表面がベタベタしてるりんごは捨てないで。あなたが損してます。
シナノスイートは、長野県農業試験場が1978年から育種を始め、1996年に品種登録した長野県オリジナルのりんごです。名前の「シナノ」は長野県の旧国名「信濃」に由来し、「スイート」はそのまま甘さを表しています。
親品種は「ふじ」と「つがる」という、いずれも日本を代表する2品種です。ふじの持つ濃厚な甘みとシャキシャキした硬めの果肉、つがるの持つジューシーさと食べやすい柔らかさ——その両方をバランスよく引き継いでいるのがシナノスイートの最大の魅力です。
実はもともと「あじぴか」という名前で売り出す予定だったそうですが、すでに商標登録された名前と重なってしまったため、現在の「シナノスイート」になったという裏話があります。意外ですね。
果実の大きさは平均して300〜400g(レモン2個分くらい)と大玉で、外観は鮮やかな赤色に縞模様が入るのが特徴です。糖度は14〜15%程度、酸度は0.3%程度と甘みが強く酸味は控えめ。この数字のバランスが「食べやすい」と評価される理由です。
また、シナノスイートは「りんご三兄弟®」の1つとして知られています。長男が「秋映(あきばえ)」、次男がシナノスイート、三男が「シナノゴールド」です。この3兄弟の並び順は旬が早い順に決まっていて、商標登録もされています。伊藤園などのメーカーがジュース製品として商品化するほど知名度の高いブランドです。
りんご三兄弟についての公式情報は以下で確認できます。
シナノスイートの最大の特徴は、なんといっても甘さと食感のバランスです。つまり「甘いけれどしつこくない」が基本です。
糖度は平均14〜15%前後ですが、数字だけを見ると「ふじ」などと同程度に見えます。ところが、酸度が0.3%程度と非常に低いため、口の中で感じる甘みの印象がほかの品種よりも強く感じられます。従来の中生りんごは酸味が強い品種が多い中、シナノスイートは「中生種なのに甘い」という点で品種改良の成果がはっきり出ています。
食感はシャキッとしつつも適度な柔らかさがあり、かじった瞬間に果汁がじゅわっと広がります。果汁の量が多い品種なので、食べていると口の中がりんごの香りでいっぱいになるのが特徴です。これは使えそうです。
旬の時期は毎年10月上旬〜11月上旬ごろです。秋の短い期間にしか出回らない品種なので、スーパーで見かけたらぜひ手に取ってみてください。産地は長野県がダントツで、全国の作付面積の約55%以上を長野県が占めています。2位が青森県で約23%、3位が山形県です。
産地ごとの栄養データについては、農林水産省の統計情報も参考になります。
旬の短い品種だからこそ、せっかくなら甘くて美味しい個体を選びたいですよね。ポイントは3つです。
① ベタつきは甘さのサイン
シナノスイートは、完熟が進むと表面がべとべとするのが特徴の品種です。これは農薬でもワックスでもありません。りんごが熟す過程で「リノール酸」と「オレイン酸」という脂肪酸が増え、果皮に含まれるろう物質を溶かすことで起きる天然現象です。
「ベタベタ=ワックスや農薬で体に悪い」と思いがちですが、実は逆です。ベタついているものほど熟していて甘い証拠です。日本国内でりんごにワックス処理はされていないので安心してください。つまりベタつきOKが条件です。
② 重さをチェック
同じサイズのシナノスイートが並んでいたら、持ち比べてみてください。ずっしりと重いほうが果汁をたっぷり含んでいます。外見が少し小さくても、重みのある個体を選ぶほうがジューシーに仕上がります。
③ 色づきで完熟度を確認
果皮が頭からお尻まで全体的に赤く染まっているものを選びましょう。日光をよく浴びたりんごほど甘みが増します。濃い赤の縦縞が入っているものは、太陽をたっぷり浴びた証拠です。お尻の部分にまだ緑色が残っているものは、完熟前の可能性があるので注意が必要です。
購入後の保存方法を間違えると、シャキシャキ食感があっという間に失われてしまいます。保存が条件です。
まず大前提として、シナノスイートは「ふじ」などと比べると日持ちが短めの品種です。冷蔵庫に入れれば1〜2週間ほどは美味しさを保てますが、常温に置いておくと数日で食感が落ちます。
保存する場合は、1個ずつ新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫に入れます。ここでの注意点が1つあります。「野菜室でいいや」と思いがちですが、実は冷蔵室(チルド付近)のほうが理想的です。りんごの保存に最適な温度は0〜4℃で、野菜室(約5〜7℃)よりも低い温度帯が合っています。
さらに重要なのが「エチレンガス対策」です。りんごは収穫後も「エチレンガス」という植物ホルモンを放出し続けます。このガスを他の野菜や果物が吸い込むと、熟成(老化)が早まって傷みやすくなります。キャベツやブロッコリーなどが同じ冷蔵庫に入っているご家庭では、必ずポリ袋で密封してからしまいましょう。
逆に、まだ固くてなかなか熟れないバナナをりんごと一緒に袋に入れると、エチレンガスで追熟が進むという活用方法もあります。これは使えそうです。
長期保存を検討しているなら、さらに新聞紙をポリ袋の中にも入れ込むと、湿度を適度に保ちながら保存できます。1ヵ月以上持たせたい場合に有効です。
りんごの保存について、長野県のおいしい食べ方サイトにも詳しい解説があります。
多くの方がりんごの皮をむいて食べますが、実はこれだけで栄養素を半分近く捨てていることになります。厳しいところですね。
りんごの皮には、果肉の部分と比べてポリフェノール(特に「プロシアニジン」や「アントシアニン」)が豊富に含まれています。皮ごと食べた場合、ポリフェノール量は皮なしと比べて約2倍(果肉のみ約15mgに対し、皮ごと約30〜36mg)に増えるとされています。抗酸化作用があり、体内の活性酸素を除去して老化を防ぐ効果が期待できます。
また、食物繊維の「ペクチン」も皮に多く含まれており、腸内環境を整える働きがあります。シナノスイートは果肉が比較的柔らかい品種のため、皮をつけたままでも食べやすいのが嬉しいポイントです。
シナノスイートの最もおすすめの食べ方はそのまま生食です。皮をよく洗ってから、食べやすい大きさにカットして食べましょう。薄くスライスしてサラダのトッピングにするのも人気の食べ方で、甘みが強い分、酸味のあるドレッシングとの相性が抜群です。
鮮度が落ちてきてしまった場合は、ジャムやりんごバター、コンポート、スムージーなどに加工するのがおすすめです。砂糖を控えめにしても甘みがしっかりあるので、健康を気にするご家庭にもぴったりです。
りんごのポリフェノール成分については専門的な解説があります。
スーパーの売り場では、旬の時期になると複数のりんごが並んでいて迷うことがありますよね。ここでは実際の売り場で使える、主婦目線のチェックポイントをまとめます。
売り場でよく見かけるのが「ふじ」「シナノゴールド」「シナノスイート」の3種類が並んでいる秋の光景です。3品種の違いは以下のように整理できます。
| 品種 | 甘さ | 酸味 | 食感 | 日持ち |
|---|---|---|---|---|
| シナノスイート | ★★★★☆ | ★☆☆☆☆ | やや柔らか・ジューシー | 1〜2週間 |
| シナノゴールド | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | 硬め・しっかり | 2〜3ヶ月 |
| ふじ(サンふじ) | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | 硬め・シャキシャキ | 冷蔵2〜3ヶ月 |
シナノスイートは日持ちが短めな分、鮮度が良いうちの風味は格別です。「子どもが酸っぱいのが苦手」「りんごが得意じゃない人にも食べてもらいたい」という場面にこそ選んでほしい品種です。
買い時のサインを3つまとめます。
また、10月中旬以降になると価格が下がりやすく、まとめ買いのチャンスです。1箱5kg(11〜15玉程度)をネット通販でまとめて購入し、冷蔵庫で適切に保存すれば、コスパよく楽しめます。産地直送品は鮮度が違います。
旬の時期を逃してしまった場合でも、11月以降は貯蔵りんごとして少量ずつ出回ることがあります。ただし食感や風味はやや落ちるため、旬の10月中に手に入れるのがベストです。
果物のナビサイトで産地情報を確認することもできます。