塩こんぶとは何か栄養と作り方や保存方法

塩こんぶとは、昆布を醤油や塩で味付けした万能食材です。栄養豊富でさまざまな料理に活用できますが、正しい保存方法をご存知でしょうか?

塩こんぶとは何か栄養と特徴

この記事で分かること
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塩こんぶの基本

細切り昆布を調味料で煮込んだ伝統食材の特徴と歴史

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栄養と健康効果

カリウムやカルシウムなど豊富なミネラルと食物繊維

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活用方法

手作りレシピから保存のコツまで実践的な使い方

塩こんぶとは何か基本的な定義

塩こんぶとは、細切りまたは角切りにした昆布を、醤油や砂糖、みりんなどの調味料で煮込んで作られる日本の伝統的な食材です。北海道産の昆布を使用することが多く、昆布本来の旨味に塩味と甘味が凝縮されています。「塩吹き昆布」と呼ばれるタイプは、煮込んだ後に乾燥させて塩をまぶしたもので、表面に塩が浮き出た状態が特徴です。
参考)塩昆布 - Wikipedia

塩こんぶは単なるご飯のお供ではなく、昆布のグルタミン酸とイノシン酸が生み出す強い旨味により、料理の調味料としても優れた機能を発揮します。一つで醤油、塩、砂糖、昆布出汁の役割を果たすため、「スーパー調味料」とも呼ばれています。
参考)ひとつで味が決まる!万能調味料「塩こんぶ」を使いこなす3のコ…

塩こんぶの歴史と発祥

昆布を醤で煮込む調理法は平安時代にはすでに存在していました。鎌倉時代になると蝦夷地(北海道)から日本海側を回る航路が開発され、大坂を中心に昆布が庶民の食卓に上るようになりました。
参考)「塩昆布」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書

塩昆布が全国的に知られるようになったのは明治時代のことです。大阪で昆布を扱っていた神宗が自家製の塩昆布を店頭で販売し始め、内国勧業博覧会に出品して受賞したことで名が広まりました。この初期の塩昆布は表面が濡れたタイプの佃煮でした。1949年には山本利助が塩やグルタミン酸を浮き出させる塩吹きタイプの塩昆布を発明し、1966年にはフジッコが工場での大量生産を開始しました。​

塩こんぶの栄養成分とミネラル

塩こんぶは栄養価が高く、特にミネラル類と食物繊維が豊富です。100gあたりの主な栄養成分は、エネルギー193kcal、タンパク質約12.7g、炭水化物約27g(うち食物繊維約9.6g)、脂質0.2gです。
参考)くらこん 塩こんぶ 47g 

ミネラル含有量が特筆すべき点で、100gあたりカリウム1,800mg、カルシウム280mg、マグネシウム190mg、鉄4.2mgを含みます。カリウムはナトリウムの排出を促す働きがあり、食物繊維のアルギン酸とともに塩分の吸収を抑える作用があります。このため高血圧が気になる方でも安心して摂取できる食材とされています。
参考)【塩こんぶ】は健康作用たっぷりの「スーパー食材」。熱中症対策…

その他、腸内環境を改善する水溶性食物繊維のフコイダンやアルギン酸、脂肪燃焼に良いとされる褐色色素のフコキサンチン、代謝を向上させるヨードも含まれています。ビタミンではビタミンKが豊富で、骨の健康維持に役立ちます。
参考)塩昆布 - カロリー/栄養成分/計算

塩こんぶの健康効果と熱中症予防

塩こんぶは熱中症予防に非常に有効な食材です。汗をかくと水分だけでなくナトリウムなどのミネラルも失われますが、塩こんぶにはナトリウムとカリウムの両方が含まれています。ナトリウムが血圧調節機能に関わり、カリウムが余分な塩分の排出を促すため、バランスの取れた塩分補給が可能です。​
その他の健康作用として、高血圧や高血糖の予防、骨粗鬆症予防、貧血予防、腸内環境の改善などが期待できます。水溶性食物繊維のフコイダンやアルギン酸は腸の善玉菌を増やし、便通改善などの腸活につながります。カルシウムと鉄分が豊富なことから、骨粗鬆症や貧血の予防にも効果的です。​
グルタミン酸とイノシン酸によるうま味の相乗効果は、塩味を控えめにしても満足感が得られるため、減塩にもつながります。ただし、甲状腺機能の持病がある方は医師の指示に従って海藻類の摂取を控える必要があります。​

塩こんぶとは違う昆布製品との比較

昆布製品には塩こんぶ以外にもさまざまな種類があります。昆布の佃煮は塩こんぶと似ていますが、より水分が多く、柔らかい食感が特徴です。一方、塩吹き昆布は乾燥させて塩を吹かせたもので、カリッとした食感が楽しめます。
参考)【塩昆布】冷蔵NGって知ってた?正しい保存法と腐敗の見分け方…

出汁を取った後の昆布を再利用して作る自家製塩昆布も人気があります。市販品と比べて塩分や甘味を自分好みに調整でき、経済的でエコな選択肢です。刻み昆布はカリウム含有量が100gあたり8,200mgと非常に高く、塩こんぶよりも栄養価が高い場合もあります。
参考)自家製「塩昆布」の作り方。出汁をとった後の昆布でこんなに美味…

とろろ昆布や昆布茶など、昆布を原料とした製品はそれぞれ用途や風味が異なり、料理によって使い分けることで昆布の魅力を最大限に活かせます。塩こんぶは調味料としての機能が強く、少量で料理全体に旨味と塩味を加えられる点が最大の特徴です。​

塩こんぶ手作りレシピと材料

自家製塩こんぶは意外と簡単に作ることができます。基本的な材料は、昆布150g(千切り、出汁を取った後の昆布でも可)、濃口醤油大さじ1.5、米酢・きび砂糖・みりん各小さじ1、仕上げ用の塩大さじ1、きび砂糖小さじ1/2です。
参考)素朴な味わい! 手作り塩昆布のレシピ動画・作り方

作り方は以下の通りです。まず昆布をザルに入れて水で洗い、ぬめりを軽く落とします。昆布と煮込み用調味料を底の広い鍋に入れ、弱火から中火で焦げないように注意しながら、水分がなくなるまで混ぜながら火を通します。バットの上にシワにしたオーブンペーパーを敷き、天日で1日かけて干します。昆布が半生状態になったら仕上げ用調味料を全体によく絡め、一晩常温に置いて完成です。
参考)https://chomiryo.blogspot.com/2014/05/blog-post_21.html

市販の塩こんぶと比べて、自家製は塩分や甘味を好みに調整できる利点があります。また、出汁を取った後の昆布を活用すれば、食材を無駄なく使えて経済的です。​

塩こんぶの正しい保存方法と賞味期限

塩こんぶは常温保存が基本で、冷蔵庫に入れるのはNGです。市販の塩こんぶは「塩吹き昆布」と呼ばれる乾燥食品であり、乾燥状態を保つことが重要です。冷蔵庫に入れると結露が発生し、風味や食感が変わるだけでなく、カビの原因にもなります。
参考)「ふじっ子シリーズ(塩こんぶ)」は、開封後は冷蔵庫に入れた方…

賞味期限は未開封の場合で約半年から1年、開封後は1ヵ月程度が目安です。ただし商品によって異なるため、パッケージの表示を必ず確認しましょう。保存のコツは、湿気やダニの侵入を防ぐため密閉することです。チャック付きの保存袋や密閉容器に移し替え、温度変化の少ない棚や引き出しに保管するのが理想的です。
参考)https://www.shizensyokuhin.jp/archives/articles/1187

コンロやオーブンの近くなど、温度が上がりやすい場所は避けてください。直射日光が当たる場所も品質低下の原因となります。開封後は早めに使い切ることが、おいしさを保つ最大のポイントです。​

塩こんぶ活用法と料理のコツ

塩こんぶは幅広い料理に活用できる万能食材です。基本的な使い方として、生野菜と和える際は食べる直前に混ぜることがポイントです。キャベツやきゅうりなどの水分の多い野菜は、和えてから時間が経つと余計な水分が出て、昆布の色が移り全体が茶色っぽくなります。彩りをきれいに仕上げたい場合は、食べる直前に和えるか、作り置く場合は食べる前に水気を切りましょう。​
料理のコツとして「追い塩こんぶ」がおすすめです。肉と漬け込んだり炊き込みご飯に使ったりする場合、塩こんぶが柔らかくなってしまうため、仕上げに追加で塩こんぶを入れることで食感が楽しめます。​
オイルとの相性も抜群で、ごま油やオリーブオイル、ツナ缶などと合わせるとコクが加わり、食材とのなじみも良くなります。パスタのシンプルな味付けや、冷奴に塩こんぶと好みのオイルをたらすだけで、手軽においしい一品が完成します。塩こんぶは軽量で常温保存できるため、キャンプや登山などのアウトドアシーンでも重宝します。​

塩こんぶを使った簡単レシピ例

塩こんぶを使った最も簡単なレシピは「塩こんぶキャベツ」です。材料は2人分でキャベツ約50〜200g、塩こんぶ5g〜大さじ1、ごま油小さじ1〜大さじ1、お好みで白いりごま大さじ1です。作り方は、キャベツを一口大に手でちぎり、ボウルに入れて塩こんぶを加えて手でよくもみ合わせ、ごま油を加えて混ぜるだけです。白いりごまを入れてさっと合わせれば完成で、冷蔵庫で30分ほど置くとよく味がなじみます。
参考)塩こんぶキャベツ

「無限塩こんぶもやし」も人気のレシピです。材料は2人分でもやし200g、ツナ缶(オイル漬け)1缶70g、塩こんぶ8g、にんにく(すりおろし)小さじ1/2、ごま油小さじ2です。もやしを茹でて水気を切り、他の材料と混ぜ合わせるだけで完成します。youtube​
じゃがいもの塩昆布バター炒めは、じゃがいも2個を薄切りにして片栗粉をまぶし、サラダ油で炒めた後、塩こんぶ20g、みりん小さじ2、バター15gを加えて炒め合わせる料理です。塩こんぶのうま味でシンプルながら奥深い味わいが楽しめます。youtube​