赤ワインを毎日少量飲んでも、タンニンの摂りすぎで鉄分の吸収が最大67%下がることがあります。
ワインを口に含んだとき、舌や歯茎がキュッとしたような感覚を覚えたことはないでしょうか。あの独特の「渋み」こそが、タンニンの仕業です。
タンニンとは、植物の葉・樹皮・果皮・種子などに含まれる「ポリフェノール」の一種で、学術的には「縮合型タンニン」と「加水分解型タンニン」の2種類に大きく分けられます。ワインに含まれるのは主に縮合型タンニンで、ブドウの果皮・種子・茎から抽出されます。タンニンという名前は、革なめし(英語でtanning)に古くから使われてきた歴史に由来しています。
タンニンは口の中の唾液タンパク質と結合する性質を持っています。この結合が起きると、舌の表面の滑らかさが失われ、あの「渋い」「ざらっとした」感覚が生まれます。つまり渋みとは、味覚ではなく触覚に近い感覚なのです。
これは意外ですね。渋みを「味」だと思っている方も多いですが、正確には口の中の物理的な変化です。タンニンの量と種類によって、その渋みの強さや質感が異なり、ワインの個性を大きく左右します。
赤ワインと白ワインでタンニン量が大きく異なります。これが理解できると、ワイン選びがぐっと楽になります。
赤ワインはブドウの果皮や種子ごと一緒に発酵させる製法(醸し発酵)を採用するため、タンニンが豊富に含まれます。一方、白ワインは果汁だけを発酵させるため、タンニンはほぼ含まれません。ロゼワインはその中間的な製法で、タンニン量も中程度です。
赤ワインの中でもタンニンが特に多い品種として知られているのが、カベルネ・ソーヴィニョン・ネッビオーロ・シラーです。逆にタンニンが少なめな赤ワイン品種には、ピノ・ノワールやガメイ(ボジョレーで使われる品種)があります。
タンニンが多い品種一覧をまとめると次のようになります。
| タンニン量 | 品種名 | 代表的なワイン |
|---|---|---|
| 多い🍷🍷🍷 | カベルネ・ソーヴィニョン | ボルドー赤ワイン |
| 多い🍷🍷🍷 | ネッビオーロ | バローロ、バルバレスコ |
| 中程度🍷🍷 | メルロー | ポムロール、サンテミリオン |
| 少ない🍷 | ピノ・ノワール | ブルゴーニュ赤ワイン |
| 少ない🍷 | ガメイ | ボジョレー・ヌーヴォー |
また、ワインの熟成もタンニン量に影響します。熟成が進むほどタンニンは重合・分解されて量が減り、渋みが柔らかくなります。若いうちは「固い」と感じるワインも、数年〜十数年の熟成を経ることで「まろやか」な味わいに変化します。タンニンが多い品種ほど長期熟成に向いているというのが、基本です。
タンニンには嬉しい健康効果が複数あります。正しく知ることで、ワインをより上手に取り入れられます。
まず最も広く知られているのが、強い抗酸化作用です。タンニンを含むポリフェノールは、体内の活性酸素を除去する働きを持ちます。活性酸素は細胞を傷つけ、老化やがん・動脈硬化の原因になるとされていますが、タンニンはその働きを抑制します。1990年代後半に注目を集めた「フレンチ・パラドックス(フランス人は脂肪摂取量が多いのに心疾患が少ない)」も、赤ワインのポリフェノール効果として世界的に話題になりました。
また、タンニンには以下のような効果も研究されています。
ただし、これらの効果を得るためには「過剰摂取にならない量」が大前提です。ワインについては、厚生労働省の「健康日本21」でも、1日あたりの純アルコール量を20g程度(ワインであればグラス2杯程度)以内にすることを推奨しています。健康効果を期待するなら、飲みすぎないことが条件です。
参考:厚生労働省「健康日本21(アルコール)」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html
タンニンには、体にとって大切な鉄分の吸収を妨げる性質があります。これは見落とされがちな、非常に重要なデメリットです。
タンニンは食事中の非ヘム鉄(植物性食品に含まれる鉄分)と結合し、体内への吸収を大幅に低下させます。研究によれば、タンニンを含む飲料と一緒に鉄分を摂取した場合、鉄の吸収率が最大で約60〜67%も低下するというデータがあります。これはグラス2枚分の紅茶でも確認されており、赤ワインも同様です。
鉄分は女性にとって特に不足しがちな栄養素です。月経のある成人女性の推奨量は1日10.5mg(日本人の食事摂取基準2020年版)とされていますが、実際の平均摂取量は7〜8mg程度にとどまる調査結果もあります。鉄が不足するということですね。そこに赤ワインの影響が加わると、さらに吸収効率が落ちる可能性があります。
具体的に気をつけたいシーンとしては次のような場面です。
対策は一つで済みます。赤ワインを飲む時間帯と、鉄分を多く摂りたい食事の時間帯をずらすだけです。たとえばランチで鉄分豊富な食事を取り、夕食時にワインを楽しむというスタイルが有効です。また、ビタミンCは鉄分の吸収を高める作用があるため、鉄分を摂る食事にはビタミンCを含む食材(パプリカ・ブロッコリーなど)を組み合わせると吸収効率がアップします。これは使えそうです。
参考:国立健康・栄養研究所「日本人の食事摂取基準2020年版」
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/info/pdf/dietary2020.pdf
「赤ワインを飲むと頭が痛くなる」という方は、少なくありません。タンニンが原因のひとつである可能性があります。
赤ワインによる頭痛の原因としては、タンニン・ヒスタミン・チラミン・亜硫酸塩(酸化防止剤)などが複合的に関与しているとされています。その中でもタンニンは、セロトニンの代謝に影響を与えることで頭痛を引き起こすと考えられています。特に偏頭痛持ちの方や、タンニンに敏感な体質の方は影響を受けやすいです。
タンニンによる頭痛を避けたい場合は、以下の選び方が参考になります。
また、渋みが苦手な方には、ボジョレー・ヌーヴォーのような新酒タイプや、タンニンの少ないロゼワインもおすすめです。渋みが苦手なら問題ありません。ワインの種類を変えるだけで、同じワインでも全く違う印象になります。
渋みは好みの問題でもあります。タンニンの多いフルボディの赤ワインをチーズや赤身肉と合わせると、渋みが柔らかくなり、むしろ旨みとして感じられるようになります。タンニンとタンパク質が結合することで、渋みが中和されるからです。これが「ワインと食事のマリアージュ(結婚)」と言われる科学的な根拠のひとつでもあります。
タンニンの知識は、ワインを飲むときだけでなく、日常の料理や家事にも意外なほど役立ちます。
たとえば、煮物に渋みが出てしまうゴボウや里芋をゆでるとき、アク抜きとして水にさらす方も多いと思います。あのアクの成分もタンニンです。切った後に水や酢水にさらすことで、タンニンが水に溶け出し、えぐみや苦みを減らせます。この原理はワインと共通しています。
また、タンニンを含む食品は日常に多く存在します。
つまりタンニンは、ワイン専用の成分ではないということですね。お茶を食事と一緒に飲む習慣がある家庭では、鉄分の吸収に対して同様の注意が必要です。特に小さなお子さんや貧血が気になる方がいるご家庭では、「食事中のお茶はほどほどに」という意識を持つだけで、家族の健康管理につながります。
ワインを料理に使う場合も、タンニンの性質を活かせます。赤ワインで肉を煮込む「ブレイズ」と呼ばれる調理法では、タンニンが肉のタンパク質と結合し、肉の臭みを和らげる効果があります。安い赤ワインで十分なので、料理用として1本ストックしておくと便利です。
また、赤ワインのポリフェノール・タンニンを手軽に摂りたい方向けに、最近は「赤ワインポリフェノール」のサプリメントも販売されています。アルコールを摂りたくない方や、授乳中の方にとって、タンニンだけの健康効果を得たい場合の選択肢として知っておくと良いでしょう。購入前に成分表示と摂取量の目安を確認することが、基本です。
参考:日本ワイン協会「ワインと健康」関連情報
https://www.wine.or.jp
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