差し水をするたびに、そうめんのコシが9割失われています。
「手延べそうめんならどれも茹で時間は同じ」と思っていませんか?実は銘柄によって、茹で時間にかなりの開きがあります。
最も広く知られている揖保乃糸(兵庫県)の推奨茹で時間は1分30秒〜2分です。一方、徳島県の半田手延べそうめんになると、茹で時間の目安は4〜5分が標準とされています。同じ「手延べそうめん」でも、銘柄によって約3倍の差が生まれるわけです。銘柄が違えば茹で時間も違う、が原則です。
この差が生まれる最大の理由は「麺の太さ」にあります。JASの規格では直径1.3mm未満がそうめんに分類されますが、半田そうめんは1.7mm前後とひと回り太く、ひやむぎに近い太さです。揖保乃糸や三輪素麺は0.8mm前後の極細麺なので、熱が通るまでの時間がまったく異なります。
主要な手延べそうめんの銘柄別茹で時間を以下にまとめます。
| 銘柄 | 産地 | 茹で時間の目安 | 麺の太さの目安 |
|---|---|---|---|
| 揖保乃糸 | 兵庫県 | 1分30秒〜2分 | 約0.8mm(極細) |
| 三輪素麺 | 奈良県 | 約2分 | 約0.8mm(極細) |
| 小豆島手延そうめん | 香川県 | 約2分 | 細麺 |
| 島原手延べそうめん | 長崎県 | 1分30秒〜2分 | 細麺 |
| 半田手延べそうめん | 徳島県 | 4〜5分 | 約1.7mm(太口) |
特に半田そうめんを揖保乃糸と同じ感覚で2分で上げてしまうと、芯が残った生硬い状態になります。逆に揖保乃糸を5分茹で続けると、ふにゃふにゃで伸び切った状態になってしまいます。購入した商品のパッケージに記載された茹で時間を必ず確認することが、最初にして最も大切なポイントです。
参考:揖保乃糸公式のゆで方ページ(ゆで時間1分30秒〜2分と推奨時間が明示されています)
そうめんは「ゆで方」が命 – 揖保乃糸公式サイト
参考:半田手延べそうめん協同組合の茹で方ページ(茹で時間約5分と推奨されています)
そうめんのおいしい茹で方・レシピ – 半田手延べそうめん協同組合
茹で時間の前に、まずお湯の量から見直す必要があります。これが意外に見落とされがちです。
手延べそうめんを美味しく茹でる際の黄金比は、麺100gに対して1リットル以上のお湯です。1人前2束(100g程度)に対し、1リットルを目安に大きめの鍋でたっぷりのお湯を沸かしましょう。鍋の中で麺が自由に泳げるスペースを確保することが大切です。
お湯が少ないと、麺を投入した際に鍋の温度が一気に下がります。温度が下がった状態でそうめんを茹でると、麺の表面のデンプンがゆっくりと溶け出し、麺同士がくっつきやすくなります。つまりお湯をケチると、仕上がりのツルツル感と食感が同時に損なわれるのです。お湯は多めが基本です。
また、そうめんを鍋に入れるタイミングも重要です。必ず「しっかり沸騰してから」入れてください。ぐつぐつと対流が起きている状態でパラパラとほぐしながら投入し、すぐに菜箸で軽くほぐします。麺を入れた直後は一時的に温度が下がりますが、再沸騰したら火を弱めてふきこぼれに注意しながら強火をキープします。タイマーは麺を入れたと同時にスタートさせましょう。
長年の習慣で「吹きこぼれそうになったら差し水をする」と思っている方は、少なくないはずです。しかしこれが、コシを損なう最大の原因です。
差し水をすると鍋の温度が一時的に大きく下がります。高温を維持しながら一気に茹で上げることで生まれる手延べそうめん特有の「弾力あるコシ」が、この温度低下によって失われてしまうのです。揖保乃糸公式をはじめ、多くの手延べそうめんメーカーも「差し水は不要」と明記しています。これは昔の名残がそのまま続いている習慣で、現代の手延べそうめんには当てはまりません。差し水せずに茹でるが正解です。
では吹きこぼれそうになった時はどうするか。答えは「火を少し弱める」だけです。吹きこぼれそうな時だけ火を弱め、ふきこぼれない程度に火加減を調節しながら、なるべく高温状態を維持して茹で続けます。これが手延べそうめんのコシを守る正しい対処法です。
また、茹でている間はあまりかき混ぜすぎないことも大切です。入れた直後に軽くほぐす程度にとどめ、あとは麺が自然に踊る状態で茹でます。頻繁にかき回すと麺が傷つき、コシが弱まる原因になります。
参考:手延べ麺の正しい茹で方(差し水が不要な理由を職人が解説)
五代目が直伝!手延べ麺を究極に美味しく茹でる3つの秘訣
茹で時間を守った後の「上げ方」も、美味しさを左右する大事なステップです。タイマーが鳴ったら、迷わずすぐにザルへ上げましょう。
まず流水を当てながら手でゴシゴシともみ洗いをします。「ジャッジャッ」と水と麺がぶつかる音がするくらい、しっかりと洗ってください。手延べそうめんの製造工程では、麺を伸ばす際にごま油(または食用油)が使われており、茹でた後の麺の表面にはデンプン質が溶け出した「ぬめり」と微量の油分が残っています。このぬめりをしっかり落とすことが、のど越しの良さとツルツル感を引き出す最大のポイントです。
もみ洗いが終わったら、次は氷水で約30秒しっかりと締めます。氷水に浸けることで麺の芯まで一気に冷え、コシが引き締まります。これが、食感のプリプリ感を生む最後の一手です。ただし、氷水に長時間放置しすぎると、今度は麺が吸水して伸びてしまいます。あくまで「素早く締めて、すぐに取り出す」が正しい手順です。プロの料理教室でも「氷水で約30秒」が目安とされています。
氷水から取り出したら、ザルに上げてしっかりと水気を切ります。ザルを上下に軽く振るようにすると、麺を傷めずに効率よく水が切れます。これだけで、ざるそうめんとして食卓に出しても美味しい状態が保てます。
参考:プロが教えるそうめんのゆで方(氷水で締める際の正しい手順を解説)
美しいそうめんの茹で方・プロ直伝のポイント – mi-journey
「茹でたては美味しいのに、食卓に出す頃には団子になってしまう」という悩みを抱えている方は多いはずです。これは洗い方と、仕上げの一手で解消できます。
そうめんがくっつく原因は、表面に残ったデンプン質のぬめりが乾燥することで接着剤のように働くからです。前のステップで解説したもみ洗いをしっかり行うだけで、くっつきの9割は防ぐことができます。それでも食卓に出すまでに時間がかかる場合は、「油のコーティング」が有効です。
水気をしっかり切った麺をボウルに移し、ごま油(またはオリーブオイル)を1束あたり小さじ1/2程度まわしかけて、手で優しく全体に馴染ませます。これだけで麺一本一本が薄い油膜に包まれ、時間が経ってもパラリとほぐれる状態がキープできます。お弁当にそうめんを持っていく際にも、このひと工夫は必須です。
ごま油を使えば香ばしさとコクが加わり、ぶっかけそうめんや中華風アレンジとの相性が抜群です。オリーブオイルを選べばフルーティーでさっぱりとした仕上がりになり、サラダ仕立てのそうめんにぴったりです。手延べそうめんの製造工程ではもともとごま油が使われているので、油との相性は非常に良く、味への影響もほとんどありません。これは使えそうです。
なお、もし食べるタイミングまで少し時間があく場合は、ラップをかけて冷蔵庫へ。手延べそうめんは機械麺に比べてコシが強く伸びにくい特性があるため、茹でてから30分程度であれば、美味しい状態を保つことができます。
参考:そうめんが固まる悩みを解決するプロの技(職人直伝のもみ洗い&油コーティング)
職人直伝!そうめんが固まる悩みにサヨナラする油のマジック – マルカツ製麺所
正しい茹で時間とゆで方を押さえたら、冷やしそうめん以外の使い方にも広がりが生まれます。意外なほど、手延べそうめんは応用がきく麺です。
にゅうめん(温かいそうめん)に使う場合は、通常の茹で時間よりも30秒〜1分短めに引き上げるのが鉄則です。その後、温かいだしに入れて少し煮るため、トータルで適切な火の通り方になります。揖保乃糸なら1分〜1分30秒で引き上げ、半田そうめんなら3〜4分を目安にしましょう。寒い季節はにゅうめんにすると、夏だけでなく一年中手延べそうめんを楽しめます。
炒め物(そうめんチャンプルー風)に使う場合も、同様に通常より1分ほど短く引き上げます。炒める工程で加熱が続くからです。茹でてから流水でしっかり洗い、水気を切って炒め始めます。野菜や豚肉と一緒にごま油で炒めると、香ばしくてコシのある一品になります。
炒め物にする際のポイントは「麺を炒めすぎない」ことです。高温で短時間でさっと仕上げるのが、麺のコシを損なわないコツです。手延べそうめんは機械麺に比べてコシが強いため、炒めても食感が残りやすく、チャンプルーなどの炒め物に特に向いています。
また、にゅうめんを作る際にそうめんをスープの中で直接茹でる方法もあります。別鍋で茹でる手間が省けて時短になる上、麺から出るうまみがスープに溶け込んで、コクのある一杯になります。ただし、スープが濁りやすくなるので、見た目にこだわりたい時は別茹でがおすすめです。時短か見た目か、目的に合わせて使い分けてみましょう。
参考:手延べそうめんのアレンジレシピ集(にゅうめんや炒め物など幅広い活用法を紹介)
そうめんレシピ集 – 南島原市公式・島原手延そうめん
![]()
【レビュー投稿で100円OFFクーポン】美馬製麺 半田手延べそうめん 和紙巻き国産小麦 300g 素麺 冷麦 乾麺 食材 食品