当帰を「ただの生薬のひとつ」と思っていると、更年期症状が3割以上長引くリスクがあります。
当帰(とうき)は、セリ科に属する多年草の植物「トウキ(Angelica acutiloba)」の根を乾燥させた生薬です。日本では奈良県・北海道・長野県が主な産地で、とくに奈良県の大和当帰(ヤマトトウキ)は品質が高いとされています。
中国産の「中国当帰(Angelica sinensis)」も広く流通しており、日本産と中国産では成分バランスや香りが異なります。中国産は香りが強く、日本産はやや香りがマイルドという特徴があります。これは重要な違いです。
生薬として使われるのは根の部分で、収穫後に蒸したり陰干しにしたりして乾燥させます。根の太い部分(当帰頭)と細い部分(当帰尾)では、それぞれ主に「血を補う作用」と「血を動かす作用」の強さが異なるとされており、漢方の処方では用途に応じて使い分けることがあります。
産地・部位によって効き目が変わる、ということですね。
市販の漢方薬にはどちらの当帰が使われているかが記載されていないケースも多いです。気になる場合は、購入先の薬剤師や漢方専門家に確認する習慣をつけると安心です。
漢方医学における当帰の最大の特徴は、「補血(ほけつ)」と「活血(かっけつ)」という2つの作用を同時に持つ点です。補血とは血を増やし・補う働きで、活血とは滞っている血の流れをよくする働きを指します。
つまり、血が足りない状態にも、血が滞った状態にも対応できるということです。
この2つの作用が主婦に特に関係するのは、「血虚(けっきょ)」と「瘀血(おけつ)」という体質との関連です。血虚は血が不足した状態で、顔色が悪い・爪が割れやすい・髪がパサつく・めまいがするといった症状が出やすいとされています。瘀血は血の流れが滞った状態で、肩こり・生理痛・くすみ・シミなどとして現れることがあります。
これは使えそうです。
現代の生活習慣から見ると、睡眠不足や偏食、過度なダイエットなどで血虚になりやすい女性は少なくありません。厚生労働省の国民健康・栄養調査(2022年)では、20〜40代女性の約3人に1人が鉄欠乏の傾向を示しており、これは漢方でいう血虚の状態と重なる部分があります。
当帰はこうした「血に関わる不調全般」にアプローチできる生薬として、古くから「婦人科の要薬(ようやく)」と呼ばれてきたのです。
厚生労働省:国民健康・栄養調査(栄養・食生活に関するデータ)
当帰が配合されている漢方処方は非常に多く、日本で広く使われているものだけでも20種類以上に及びます。なかでも主婦が耳にする機会が多いのが以下のような処方です。
| 処方名 | 主な対象症状 | 当帰の役割 |
|---|---|---|
| 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) | 冷え・むくみ・月経不順・貧血傾向 | 補血・活血の主薬として中心的役割 |
| 四物湯(しもつとう) | 皮膚の乾燥・爪割れ・産後の体力低下 | 補血作用を最大限に活かした基本処方 |
| 加味逍遙散(かみしょうようさん) | イライラ・不眠・更年期症状 | 血を補いながら気のめぐりも整える |
| 当帰建中湯(とうきけんちゅうとう) | 生理痛・産後の腹痛・虚弱体質 | 体を温め、痛みを和らげる |
| 温経湯(うんけいとう) | 手足の冷え・唇の乾燥・不妊傾向 | 血を補いつつ子宮を温める |
四物湯が基本です。
四物湯は「当帰・芍薬・川芎・地黄」の4つの生薬からなる補血の基本処方で、多くの婦人科系漢方はこの四物湯を土台にアレンジしたものです。当帰はその中核を担っています。
市販のドラッグストアでも購入できる処方が多く、当帰芍薬散はツムラ・クラシエなどのメーカーから「第2類医薬品」として販売されています。ただし、同じ処方名でもメーカーによって生薬の産地・抽出方法が異なるため、効き目に個人差が出やすい点は知っておく必要があります。
ツムラ:漢方製品一覧(当帰を含む処方の詳細確認に活用できます)
当帰は「天然成分だから安全」と思われがちですが、使い方を誤ると消化器への負担や出血傾向につながることがあります。意外ですね。
具体的には、当帰に含まれる「フタリド系化合物(Z-ligustilideなど)」には子宮収縮作用があることが動物実験で確認されており、妊娠中の服用は原則として避けるべきとされています。日本漢方生薬製剤協会も、妊婦または妊娠の可能性がある方への投与については医師・薬剤師への相談を必須としています。
注意すべき主なポイントをまとめると以下の通りです。
胃腸への配慮が条件です。
当帰を含む漢方薬を初めて試す場合は、2週間程度服用して体の反応を観察することが推奨されます。体質に合っていれば「体が温かくなる」「睡眠の質が上がる」「肌がしっとりする」といった変化を感じやすいとされています。変化がない・不快な症状が出た場合は、漢方専門の薬剤師がいるドラッグストアや漢方外来への相談が確実です。
日本漢方生薬製剤協会:漢方薬に関する安全性・使用上の注意についての情報が掲載されています
当帰は漢方薬として服用するだけでなく、食材・薬膳食材として日常の料理に取り入れられることはあまり知られていません。中国や韓国では古くから鶏肉スープや豚骨スープに当帰を加えて煮込む「薬膳スープ」が家庭料理として定着しており、日本でも乾燥当帰の根がネット通販や一部の漢方専門店・中国系スーパーで1袋300〜600円程度から購入できます。
乾燥当帰をそのまま料理に使う場合の基本は次の通りです。
量の目安が基本です。
1回あたりの使用量は乾燥当帰で5〜10g(はがき1枚分の重さ=約5g)を目安にするのが一般的です。過剰に摂取すると消化器への刺激や下痢につながることがあるため、初めて試す場合は少量から始めるのが安全です。
当帰の独特の香りが苦手という方には、市販のサプリメントタイプも選択肢のひとつです。「当帰エキス」として抽出・カプセル化されたものが、Amazonや楽天市場でも1,500〜3,000円台で流通しています。ただしサプリメントは医薬品ではないため、治療目的での使用には限界があります。冷えや体のだるさなど、日常的な体質改善の補助として位置づけるのが適切です。
薬事日報:薬膳・生薬に関する専門的な記事が豊富で、当帰の食品利用に関する情報収集に役立ちます
漢方では「同じ症状でも、体質が違えば処方が変わる」というのが大原則です。これは西洋医学とは根本的に異なる考え方で、当帰を選ぶ際にも体質の確認が欠かせません。
漢方でいう体質判断の基準は「証(しょう)」と呼ばれ、主に以下の2軸で考えます。
冷えタイプが原則です。
セルフチェックの簡単な目安として、「手足が冷えやすい」「顔色が青白い・土気色」「疲れやすい」「月経血の量が少なめ」「爪が割れやすい」のうち3つ以上当てはまる場合は、当帰が適合しやすい血虚タイプの可能性があります。
一方、「顔が赤い・ほてる」「口が渇く」「汗をかきやすい」「便秘がひどい」というタイプの方は、当帰の温性が強くなりすぎることがあり、そのまま当帰を多く含む処方を使うと逆効果になるケースも報告されています。
体質に迷ったときは、全国にある「漢方相談薬局」の無料相談を活用するのが最も確実です。日本漢方薬剤師会のホームページでは、地域ごとに漢方相談に対応した薬局を検索できます。
日本漢方薬剤師会:漢方相談薬局の検索、当帰を含む処方の体質別選び方に関する情報が掲載されています
自分の体質を知ってから選ぶ、それが漢方の基本の考え方です。当帰は「婦人科の要薬」として非常に優れた生薬ですが、正しく使うためには補血・活血という作用の意味を理解した上で、自分の体の状態と照らし合わせることが大切です。市販の漢方薬を選ぶ際も、体質チェックを一度行ってから選ぶことで、効果を実感できる確率が大きく上がります。
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