茹でこぼしをせずに圧力鍋にそのまま入れると、臭みが肉の中に閉じ込められて取れなくなります。
圧力鍋を持っていると、ついついすべての工程を圧力鍋に任せたくなりますよね。しかし牛すじに限っては、圧力をかける前に必ず「茹でこぼし」を行う必要があります。これをスキップすると、せっかくの圧力鍋調理がすべて台無しになってしまうのです。
茹でこぼしとは、鍋に牛すじと水を入れて沸騰させ、出てきたアクや脂ごと茹で汁を全部捨てることを言います。牛すじは牛のスネやアキレス腱など筋張った部位で、牛独特のくさみを含む血液・脂・アクが非常に多く出ます。この最初の茹で汁を捨てずに圧力をかけてしまうと、臭みの成分が鍋の中で高圧・高温にさらされ、肉の内部まで浸み込んでしまいます。結果、何時間かけて調理しても「獣のような臭いが残った煮込み」になってしまうのです。
茹でこぼしの手順はシンプルです。牛すじを鍋に入れ、ひたひたの水を注いで強火にかけます。沸騰したら弱火にして2〜3分ほど煮ます。このとき大量のアクと脂が浮いてきますが、気にせずそのままで大丈夫です。その後、湯を全部捨て、牛すじを取り出します。これが茹でこぼしです。
茹でこぼし後の洗い方にも重要なポイントがあります。必ず40℃前後のぬるま湯で洗うことです。冷水で洗ってしまうと、脂が固まって肉の表面にこびりつき、アクを取りきれなくなります。手のひらで優しくもむように洗うと、肉の隙間のアクや脂もしっかり落ちます。ぬるま湯が条件です。
茹でこぼし1回だけで十分かと感じる方もいますが、臭みが強い場合は2〜3分の茹でこぼしを2回繰り返すとより効果的です。これで下処理前半の工程は完了です。
牛すじの下処理方法—やわらかく仕上げる基本技とレシピを紹介(トライアル公式マガジン・料理家 風間章子氏監修)
茹でこぼしが終わったら、いよいよ圧力鍋の出番です。圧力鍋を使う場合の加圧時間の目安は、15〜30分が一般的です。普通の鍋で1時間半〜2時間かかるところが、ぐっと短縮されます。これは使えそうです。
圧力鍋に洗った牛すじを戻し入れたら、ひたひたになるくらいの水を注ぎます。このときに一緒に入れると効果的なのが、香味野菜と料理酒です。
| 材料 | 目安量(牛すじ500gの場合) | 役割 |
|---|---|---|
| しょうが(皮ごと薄切り) | 大きめ1かけ(約10g) | 臭み取り・風味付け |
| 長ねぎの青い部分 | 1本分 | 臭み取り・風味付け |
| 料理酒 | 50〜100ml | アク抑制・臭み軽減 |
しょうがと長ねぎの青い部分は、牛すじ特有の獣臭を吸着して和らげてくれる香味野菜です。長ねぎの青い部分は捨てがちな食材ですが、こうした臭み取りとして非常に優秀です。なければしょうがだけでも問題ありませんし、どちらもなければ料理酒を少し多めに入れることで代用できます。
圧力がかかったら弱火にして、15〜30分加圧します。火を止めたら自然減圧するまで蓋を開けないでください。急いで蓋を開けようとすると大変危険です。圧力が完全に抜けてから蓋を開け、長ねぎとしょうがを取り除いたら、再びぬるま湯で牛すじを洗います。これが最終の洗浄です。
調理圧の高い圧力鍋(アサヒ軽金属「ゼロ活力なべ」など高圧タイプ)であれば、3〜5分という極めて短い加圧時間でも柔らかく仕上げることができます。使用している鍋の取扱説明書に記載されている加圧時間を確認してから調理するのが安全です。
なお、加圧後に蓋の裏側にアクが付いていることがあります。これをそのまま牛すじに戻してしまわないよう、蓋を開けたらすぐに確認してアクを拭き取っておきましょう。
下処理後の牛すじは、余分な脂が抜けるため重量が大きく減ります。これが意外と盲点になりやすい点です。
下処理後の牛すじは生の状態から約25〜30%重さが減ります。つまり、1kgで購入した牛すじが下処理後には700〜750gほどになります。4人家族で牛すじ煮込みを作る場合、仕上げ後の目安として1人あたり80〜100g程度の下処理済み牛すじが必要です。4人分なら400g弱が必要になります。逆算すると、生の牛すじは550〜580g程度購入する必要があります。
計算式で確認しておくと、
- 必要な下処理後の量(g)÷ 0.75 = 購入すべき生の牛すじの量(g)
この計算を知らずに「なんとなく500gでいいかな」と購入してしまうと、仕上がり量が想定より少なくなり、食卓が寂しくなってしまいます。痛いですね。
購入量を多めに見積もるのがポイントです。スーパーで牛すじを見かけたときは、少し多めに買ってまとめて下処理するのが最も賢い選択です。まとめて下処理しておけば、次の調理の手間が大幅に省けます。国産和牛の牛すじはスーパーによっては入荷量が少なく売り切れることもあるため、見かけたときにまとめ買いしておくのがおすすめです。
また、茹でこぼし時の茹で汁についても注意が必要です。アクや脂が大量に溶け込んだ1回目の茹で汁はそのまま排水口に流すのは避けましょう。排水管内で脂が冷えて固まり、詰まりの原因になります。鍋ごと冷蔵庫に入れて冷やし、表面に固まった脂をポリ袋に取り出してから燃えるごみとして捨て、残った水分だけを流すのが安全な処理方法です。
下処理が終わった牛すじはまとめて冷凍保存しておくと、日々の料理が格段にラクになります。保存期間の目安は約1か月です。
冷凍保存の正しい手順を確認しておきましょう。
1. 下処理後の牛すじを食べやすい大きさ(3cm幅程度)に切っておく
2. 1回分ずつ小分けにしてジッパー付き保存袋に入れる
3. 空気をしっかり抜いて封をし、できるだけ平らにして冷凍庫へ
4. 解凍は流水で行うか、冷蔵庫に移して前日から自然解凍する
小分けにしておくと、使う分だけ取り出せて便利です。また、茹でこぼし後の2回目の茹で汁(生姜・長ねぎと一緒に加圧した後のもの)にはコラーゲンや旨みが豊富に溶け出しています。この茹で汁を一緒に冷凍しておくと、カレーやおでんのだしとして大活躍します。捨てるのはもったいないです。
冷凍した下処理済み牛すじの活用例としては、以下のような料理がすぐに作れます。
- 牛すじ煮込み(醤油・みりん・砂糖ベース):だし汁500mlに下処理済み牛すじと大根・こんにゃくを合わせて20〜30分煮るだけ。落とし蓋をするとタレが全体にしっかり回ります
- 牛すじカレー:玉ねぎ・じゃがいも・にんじんを炒め、冷凍牛すじとその茹で汁を加えて煮立て、カレールーを溶かすだけ
- 牛すじおでん:茹で汁に昆布・かつお節でだしを足し、薄口醤油・みりん・塩で味を整えたスープで大根・こんにゃく・牛すじを1時間煮込む
冷凍庫に下処理済み牛すじをストックしておけば、忙しい平日でも15〜20分でご馳走感のある食卓が完成します。これは使えそうです。牛すじはスーパーで100gあたり200〜300円程度で手に入ることも多く、コストパフォーマンスも優秀な食材です。
牛すじの下処理後の冷凍保存・カレー・おでんの活用レシピ(長谷工コーポレーション監修)
牛すじといえば「脂っぽくてカロリーが高そう」というイメージを持っている方が多いかもしれません。しかし実際は、牛すじのプルプルとした部分の正体は脂ではなくコラーゲン(ゼラチン質)です。これは意外ですね。
コラーゲンはタンパク質の一種で、脂をほとんど含んでいません。牛すじ100gあたりに含まれるコラーゲン量は約5gとされており、しかも低カロリーです。牛バラ肉の100gあたりのカロリーが約400kcalを超えるのに対し、下処理後の牛すじは100gあたり約155〜200kcal程度に収まります。同じ牛肉でもカロリーは倍近く違います。
コラーゲンが豊富という点では、肌の潤いや関節の健康維持にも関係する栄養素です。さらに牛すじにはビタミンKも含まれており、骨粗しょう症予防にも効果が期待できます。家族の健康を考えるご家庭では、積極的に取り入れたい食材です。
圧力鍋を使う大きなメリットのひとつは、この栄養を損なわずに短時間で引き出せる点にあります。長時間の加熱が必要なコラーゲンのゼラチン化も、圧力鍋の高温・高圧環境なら大幅な時短が可能です。普通の鍋だと1時間半〜2時間かけてコトコト煮込む必要がありますが、圧力鍋を使えば茹でこぼし込みでも全行程を45〜60分程度で終えられます。これが基本です。
ただし、栄養を最大限に活かすためには、2回目の茹で汁(下茹で後の旨みが溶け出したもの)を料理のだしとして使うことが重要です。捨ててしまうと、コラーゲンをはじめとした栄養成分の多くを無駄にしてしまいます。カレーやおでん、スープに積極的に使いましょう。
牛スジは低カロリーで栄養満点!コラーゲンと圧力鍋活用の詳細(アサヒ軽金属工業)
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