厚削り出汁の取り方と正しい煮出し時間・保存のコツ

厚削りを使った出汁の取り方を基本から解説。煮出し時間・アクの扱い方・二番だし・だしがら活用・保存方法まで、毎日の料理をワンランク上げるコツを知っていますか?

厚削り出汁の取り方・煮出しのコツと保存活用法

アクをきれいに取り除くほど、出汁のコクが半分以下になります。


この記事の3つのポイント
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煮出し時間で味が変わる

厚削りは10〜40分の煮出し時間で風味とコクが大きく変化。料理に合わせた時間選びが出汁の仕上がりを左右します。

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だしがらも捨てずに活用

煮出し後のだしがらは旨みが残っており、二番だしや炒め物・おつまみにも再利用できます。

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冷凍保存で2週間キープ

取った出汁は冷蔵で3〜4日、冷凍なら約2週間保存可能。製氷皿で小分けにすると毎日の料理に便利です。


厚削りとは何か・薄削り(花かつお)との違い


厚削りとは、鰹節を厚さ0.2mmを超えるよう削った削り節のことです。普段スーパーで見かける「花かつお」は薄削りに分類され、厚さは0.2mm以下、なかには0.03mm程度のものもあります。つまり厚削りは、花かつおの数倍から十数倍もの厚みがある削り節ということになります。


この厚みの違いが、出汁の取り方と味わいを根本から変えます。薄削りは表面積が大きいため、沸騰させたお湯に入れて火を止めるだけで十分に旨みが抽出されます。一方、厚削りは水分が鰹節の内側まで届きにくいため、10〜40分かけてじっくり煮出す必要があります。これが「手間がかかる」と思われがちなポイントですが、実はその煮出し時間こそが厚削りの真骨頂です。


厚削りで取っただしの旨み成分(窒素分)は、花かつおで取っただしより約18〜20%多いという試験結果もあります(水100mlあたり:厚削り26.6mg、花かつお22.4mg)。醤油やみりんなどの濃い調味料に負けない、コクのある出汁が取れることが最大の魅力です。


厚削りには大きく分けて以下のような種類があります。


- 厚削り(1mm前後):最もコクが強く、長時間煮出してもへたりにくい。そばつゆ・煮物・おでんに最適
- 中厚削り(0.4〜0.6mm):香りと旨みのバランスが良く、味噌汁や炊き込みご飯にも使いやすい
- 厚削り破砕品:細かく砕かれており、だしパックの中身として使うと後片付けが楽
- 本枯節の厚削り:燻製香がほとんどなく味がまろやか。お吸い物など上品な料理にも合う


この違いを知っておくだけで、料理に応じた使い分けができます。


ヤマキ「そのまま食べてもおいしい!濃厚なだしが魅力の厚削りの活用術」:厚削りの種類・だしの取り方・活用レシピを専門家監修で解説


厚削り出汁の基本の取り方と煮出し時間の目安

厚削りの出汁を取る手順は、次の流れが基本です。


まず、水1リットルを鍋に入れて沸騰させます。沸騰したら厚削り30g(4人分のみそ汁が取れる量の目安)を静かに入れましょう。大きな厚削りが鍋からはみ出す場合は手でちぎって入れてください。湯気を当てるだけでは成分が抽出されません。これが基本です。


次に弱火〜中火で煮出します。煮出し時間の目安は下記の通りです。


| 用途 | 煮出し時間 | 特徴 |
|------|----------|------|
| 茶碗蒸し・お吸い物(香り重視) | 10分 | 鰹の香りが豊か |
| 味噌汁・そばつゆ(旨み重視) | 15〜20分 | コクと旨みが強い |
| おでん・煮物(濃厚だし) | 30〜40分 | どっしりした濃い出汁 |


煮出し中は蓋をしないことが大切です。蓋をすると魚特有の生臭さが鍋の中に閉じ込められ、出汁の雑味の原因になります。蓋なしで煮ることで香りと一緒に余分な臭みも飛ばせるということです。


火を止めたら、削り節が完全に鍋底に沈むまで5〜10分そのままにします。この時間にも旨みがじわじわと溶け出しています。かき混ぜてしまうと節が崩れて濁りやえぐみの原因になるため、静かに待ちましょう。最後にキッチンペーパーを敷いたざるでこせば完成です。


1リットルの水から取れる出汁は約700〜800ml。みそ汁なら約4杯分になります。


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厚削り出汁のアクは「取らない」が正解な理由

出汁を取るとき、アクが出てきたら丁寧に取り除こうとする方は多いのではないでしょうか。じつはこれが、厚削り出汁においては大きな勘違いです。


アクを全部取り除いてしまうと、出汁のコクが落ちます。これは厚削り専門店やだし教室でも共通して言われていることで、「おだし。」(odashi.co.jp)の解説でも「アクは料理のコクになるので、取り除かずにそのまま煮出します」と明記されています。


アクの正体は鰹節の脂質やたんぱく質成分の一部で、薄削りのアクとは性質が異なります。厚削りを長時間煮出すことで出てくるアクは、料理に深みをもたらす成分でもあります。結論はシンプルです。


ただし、すっきりした澄んだ味わいが好みの場合や、茶碗蒸しや上品なお吸い物に使いたいときはアクを取ることをおすすめします。仕上がりの味わいによって使い分けるのが賢い方法です。


- ✅ コクのある出汁(みそ汁・おでん・そばつゆ)→ アクはそのまま煮出す
- ✅ 澄んだ出汁(茶碗蒸し・お吸い物)→ アクをすくい取る


アクの扱いひとつで、同じ厚削りでも全く異なる味わいになります。これは使えそうです。


厚削りの二番だしとだしがらを無駄なく活用する方法

一番だしを取った後のだしがらには、まだ十分な旨みと風味が残っています。捨てずに使い回せるのが厚削りのもうひとつの大きなメリットです。


二番だしの取り方は非常にシンプルで、だしがら(出がらし)に水500〜600mlを加えて再び沸騰させ、弱火で20分ほど煮出すだけです。一番だしに比べると色は薄く透明に近くなりますが、旨みとほのかなコクがあり、みそ汁や炒め物・煮物のだしとして十分に機能します。一番だしとは用途を分けるのが原則です。


| だしの種類 | 特徴 | おすすめ用途 |
|------------|------|-------------|
| 一番だし | 色が濃く、旨みとコクが強い | そばつゆ・おでん・煮物 |
| 二番だし | 色が薄く、やさしい風味 | 味噌汁・炊き込みご飯・卵料理 |


二番だしを取った後のだしがらも、まだ食べられます。よく絞って水気を切り、フライパンで乾煎りするとパリパリとしたスナック食感になります。醤油を少し垂らしてご飯のお供にしたり、そのままおつまみにもなります。噛むほどに鰹の旨みが広がる一品です。


ペットを飼っているご家庭では、犬や猫のおやつとしても活用できます。ただし小型ペットの場合は喉に詰まらせないよう、ミルで粉砕してから与えてください。また与える前に必ず獣医師に確認することをおすすめします。


有限会社秋又水産「厚削りの出汁の取り方」:一番だし・二番だしの具体的な手順とめんつゆ(かえし)の作り方も掲載


厚削り出汁の保存方法と「冷凍製氷トレー」活用術

まとめて取っておいた出汁を正しく保存しておくと、毎朝の味噌汁が格段に楽になります。保存の基本は冷蔵または冷凍の2択です。


冷蔵保存の場合、清潔な密閉容器に移して冷蔵庫で保存します。日持ちの目安は3〜4日ですが、2日を過ぎると風味が落ちてくる傾向があります。早めに使い切るのが条件です。


冷凍保存の場合は約2週間保存できます。ジッパー付きフリーザーバッグで板状に凍らせて必要な分だけ割って使う方法と、製氷皿に入れてキューブ状に凍らせる方法があります。製氷皿の方法がとくに便利で、一般的な製氷皿1マスで約30〜40mlの出汁キューブができます。これはみそ汁1杯分の6〜7分の1程度の量で、数個まとめて使えば1杯分の出汁がすぐに取り出せます。


冷凍出汁キューブを活用したい場面として、こんな使い方がおすすめです。


- 🍳 卵かけご飯や卵焼き:出汁キューブを1〜2個解凍して卵に混ぜるだけで風味が増す
- 🍚 炊き込みご飯:炊飯器に出汁キューブを数個入れて炊くだけ
- 🥣 スープや鍋料理:凍ったままそのまま鍋に投入できる


保存する際の注意点として、水出しの出汁は継ぎ足し厳禁です。材料ごと継ぎ足す方法は腐敗のリスクが高く、健康を害する可能性があります。1〜2日ごとに使い切ることを心がけてください。


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厚削り出汁を「昆布と合わせる」だけで味が劇的に変わる理由

厚削りだけで取った出汁も十分においしいですが、昆布と合わせることで旨みが何倍にも膨らみます。これは「旨みの相乗効果」と呼ばれる食品科学の現象です。意外ですね。


昆布に含まれる旨み成分はグルタミン酸(アミノ酸系)、鰹節に含まれるのはイノシン酸(核酸系)です。この2種類を組み合わせると、単独で使うよりも数倍も旨みを強く感じられることが確認されています。料亭や蕎麦屋が必ずといっていいほど合わせだしを使う理由がここにあります。


昆布と厚削りの合わせだしの作り方はシンプルです。水1リットルに対して昆布10gを入れ、6時間〜一晩置くだけで昆布だしができます。火にかける必要はありません。そのあと昆布を取り出してから火にかけ、沸騰したら厚削りを加えて通常通り煮出します。


この合わせだしは、おでん・うどん・煮物・炊き込みご飯との相性が特に優れています。昆布は水1リットルごとに10gが目安で、2リットル作るなら20g必要になります。計量スプーン感覚で覚えておくと便利です。


さらに発展させるとすれば、鰹の厚削りに宗田鰹・サバ節・ムロアジなどを組み合わせるブレンドだしも選択肢のひとつです。そば屋の本格そばつゆには鰹・宗田鰹・サバの3種混合がよく使われています。家庭でも試してみる価値は大いにあります。


合わせだしを作るときに昆布の種類にもこだわりたい方は、使い分けの参考として昆布の産地・種類を調べてみるとさらに料理の幅が広がります。


小林食品株式会社「鰹節の厚削りを使ってみよう!うまみの理由とだし取りを徹底解説」:厚削りの種類ごとの特徴・旨み成分の数値データ・活用法をプロが解説




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