エリンギを水で洗うと、旨みと栄養が最大30%流れ出てしまいます。
スーパーでエリンギを買ってきたとき、まず流しで水洗いしていませんか。実は、その一手間がエリンギの美味しさを大きく損なっています。管理栄養士の監修によると、市販のエリンギを含むきのこ類は室内の清潔な環境で栽培されており、無農薬であるため、基本的に水で洗う必要はありません。
水洗いをすると、エリンギに含まれるビタミンB1・B2・ナイアシン・葉酸といった水溶性ビタミンが溶け出てしまいます。洗わないが正解です。さらに、水分を吸収してしまうことで炒め物のときに蒸れやすくなり、あのコリコリとした食感が失われてしまうのです。
どうしても汚れが気になるときは、濡らしたキッチンペーパーで表面をやさしく拭き取るだけで十分です。それで大丈夫でしょうか?はい、キッチンペーパーで拭くだけで衛生面は問題ありません。調理する直前に表面をサッと拭いて、すぐ切って調理に入るというのが、風味を活かす最もシンプルな手順です。
次に石づきについてですが、エリンギの石づきはごくわずかです。茎の根元に茶色い線がある場合は、その線のすぐ上を切り落とすだけでOKです。「石づきがないから全部使える」と思って大きく切り落としすぎている方は、食べられる部分をムダにしていることになります。コスパよくエリンギを使い切るためにも、石づきの見分け方は覚えておくと得です。
参考:管理栄養士監修・エリンギの下処理と栄養素の解説
エリンギは切り方ひとつで、まるで別の食材のような食感になります。これは意外と知られていないポイントで、知っておくだけで毎日の料理が格段にレベルアップします。
まず大きく分けると、「縦に切る(繊維に沿う)」か「横に切る(繊維を断つ)」かで食感が真逆になります。
- 縦切り(薄切り・手で裂く):繊維に沿って切るため、コリコリとした歯ごたえが残ります。炒め物やパスタに向いており、しっかりした存在感が欲しいときに最適です。
- 輪切り(横切り):繊維を断ち切るため、やわらかくふんわりした食感になります。1〜2cm厚の輪切りにするとホタテのような弾力が出て、ソテーや主役おかずに大活躍です。
- 斜め切り:縦と横の中間的な食感で、炒め物・煮物と幅広く使えます。厚みを調整することで火の通りもコントロールしやすい、使いやすい切り方です。
- 乱切り:カレーや煮物など、じっくり煮込む料理に向いています。歯ごたえがしっかり残り、エリンギの存在感を最大限に楽しめます。
- 手で裂く:包丁を使わず、繊維に沿って縦に手で裂く方法です。断面がデコボコになるため、調味料が染み込みやすく、炒め物やパスタで特に威力を発揮します。
手で裂いたエリンギを炒め物に使うと、包丁で切ったものより確実に味が染み込みやすくなります。これは使えそうです。料理に少しだけ変化をつけたいとき、まずは「手で裂く」から試してみてください。
なお、エリンギは加熱すると約2〜3割ほど縮みます。切るときはやや大きめを意識すると、完成後にちょうどよいサイズになります。
参考:切り方ごとの食感と調理法を写真付きで詳しく解説
エリンギには、知っておくと食卓が豊かになる栄養素がたっぷり含まれています。特に注目したいのが、βグルカンという食物繊維です。βグルカンはコレステロールを下げる効果が期待されており、腸内環境を整えるはたらきもあります。100gあたり3.4gの食物繊維を含み、日常的に摂りたい食材のひとつです。
そのほかにも、骨を作るビタミンD、疲労回復・代謝向上に役立つビタミンB1、皮膚や髪を作るビタミンB2、アルコール分解を助けるナイアシン、炎症を抑えるビオチンなど、主婦の健康管理に役立つ成分が豊富に揃っています。つまり、エリンギは家計にやさしいうえ栄養価も高い、かなりコスパのいい食材です。
この栄養を最大限に活かすには、調理法を意識することが重要です。
油を使った炒め物はビタミンDの吸収を促進するため、むしろ積極的にすすめられます。一方で、ビタミンB群などの水溶性ビタミンはスープや煮物にすると煮汁に溶け出してしまいます。スープにする場合は必ず汁ごと飲める仕立てにするのが、栄養を逃がさない原則です。
また、管理栄養士によれば「βグルカンなどの食物繊維は、細かく刻み過ぎると効果が薄れる」とされています。エリンギは比較的大きなきのこなので、細かくみじん切りにせず、ある程度の大きさ(1cm以上)を目安に切ることで食物繊維の効果を引き出せます。大きめが基本です。
一方で食べ過ぎには注意も必要です。エリンギに含まれる不溶性食物繊維は、過剰摂取するとかえって便秘が悪化したり、下痢を引き起こしたりすることがあります。1日の目安としては1〜2本(50〜100g程度)を継続的に食べることが、健康面でもバランスの取れた食べ方です。
エリンギの調理法でダントツ人気なのが、バター醤油炒めとホタテ風ソテーです。どちらもシンプルな材料でできるのに、完成度が高く、家族全員に喜ばれます。
バター醤油炒めの基本レシピ(2人分)
| 材料 | 分量 |
|------|------|
| エリンギ | 大2〜3本(約200g) |
| バター | 10g |
| 醤油 | 大さじ1 |
| にんにく(お好みで) | 1片 |
| 塩・こしょう | 少々 |
作り方は、エリンギを手で縦に裂くか薄切りにして、フライパンに油を引いて中火で炒め、焼き色がついたらバターと醤油を加えて絡めるだけです。ポイントは「あまり触らずにじっと焼く」こと。片面に焼き色がついてから裏返すと、香ばしさが格段に増します。
ホタテ風ソテーの基本レシピ
エリンギを1.5〜2cm厚の輪切りにし、両面に格子状の切り込みを入れます(これがホタテの貝柱に見せるポイント)。フライパンにオリーブオイルを熱し、エリンギを並べて両面に焼き色がつくまでじっくり焼きます。仕上げにバターと醤油を加えて絡めれば完成です。格子状の切り込みを入れることで味が染み込みやすく、見た目もホタテそっくりになります。
これらのレシピはどちらも10〜15分で完成します。エリンギ1パックが100〜150円前後であることを考えると、ホタテ(1パック600〜1,000円)のような満足感をはるかに低コストで実現できます。家計を気にする毎日の食卓に、とても頼もしい食材です。
エリンギは冷蔵保存だと3〜5日が目安ですが、冷凍すると約1ヶ月保存できます。冷凍保存が正解です。しかも、ただ長持ちするだけでなく、冷凍することでエリンギのうま味成分(グアニン酸などのアミノ酸)が増加するという研究データもあります。生のまま使うより、冷凍してから使ったほうが味が濃く感じられるため、同じ量でも満足感が高まります。
冷凍保存の手順は非常にシンプルです。
1. 石づきを取り除く
2. 使いやすいサイズに切る(輪切り・縦切りなど)
3. キッチンペーパーで水気を拭き取る(洗わない)
4. 冷凍用保存袋に平らに並べて空気を抜く
5. 冷凍庫へ入れる
使うときは解凍せず、凍ったままフライパンや鍋に入れるのが鉄則です。解凍してしまうと、せっかくのうま味が水分と一緒に流れ出てしまいます。凍ったまま直接加熱することで、うま味をしっかりキープできます。
また、冷凍エリンギは硬い状態でも包丁で切れるため、サイズの調整も冷凍後でも可能です。ただし炒め物のように食感を楽しみたい場合は、冷凍すると多少やわらかくなるため、スープや煮物・炊き込みご飯のほうが向いています。
「特売のエリンギを買ったけれど使いきれないかも」というときこそ、冷凍保存の出番です。むしろ特売日にまとめ買いして冷凍しておくと、旨みが増えて節約にもなる一石二鳥の活用法です。いいことですね。
ここからは、一般的なレシピ記事にはあまり載っていない、主婦ならではの視点からのエリンギ活用法をご紹介します。
「かさ増し食材」としてのエリンギ
エリンギは、かさ増しに最適な食材です。たとえば鶏むね肉100gに対してエリンギ100gを加えると、ボリュームはほぼ2倍になります。鶏むね肉の価格が100gあたり約50〜80円に対し、エリンギは約30〜50円程度。コリコリ食感のエリンギは食べ応えがあるため、「お肉が少なめでも満足できた」という効果が生まれます。
炊き込みご飯への応用
エリンギを薄切りにして炊き込みご飯に加えると、きのこの旨みがごはん全体に広がります。特に冷凍エリンギをそのまま炊飯器に入れると、うま味成分がより引き出されて風味豊かに仕上がります。醤油・みりん・だし汁と合わせるだけで、立派な一品になります。
唐揚げ風・天ぷらへの応用
エリンギを大きめに切って唐揚げ粉をまぶして揚げると、外はカリッと中はジューシーで、子どもにも大人気のおかずになります。ヘルシー感があり、お肉の唐揚げより油の吸収量が少ない点も安心です。天ぷらにする場合は、ハーフカット(縦半分)にするとサクッとした食感になります。
エリンギは、炒める・焼く・煮る・揚げる・蒸す・生のまま冷凍するなど、どんな調理法にも対応できます。油との相性が特によく、炒め物は食感が最も際立ちます。一方でバター醤油・ガーリック醤油・ポン酢・オイスターソースなど、味付けを変えるだけで週に何回使っても飽きない、懐の深い食材です。冷凍しておけば時短にもなり、まとめ買いするほどコスパが高まります。主婦の味方な食材といえます。