生のエルダーベリーをそのまま食べると嘔吐・下痢を起こします。
エルダーベリーが「万能の薬箱」と呼ばれてきた最大の理由が、この免疫力サポートです。豊富に含まれるビタミンCは、体内に侵入した細菌やウイルスを撃退する白血球の働きを強化し、感染症の予防や回復を助ける役割を持っています。さらに、アントシアニンやフラボノイドといったポリフェノールの抗酸化作用が、インフルエンザウイルスの増殖を抑えることも複数の研究で確認されています。
実際に、B型インフルエンザ患者を対象とした研究では、エルダーベリーを摂取したグループが摂取しなかったグループと比べて完治までの日数が有意に短縮したと報告されています(Journal of Alternative and Complementary Medicine, 1995)。また別の研究では、A型・B型インフルエンザ患者60名にエルダーベリー果汁15mLを投与したところ、こちらも同様に回復日数の短縮が確認されました。つまり症状が出てしまった後も、エルダーベリーは役立つということですね。
予防としての効果も見逃せません。オーストラリアから海外旅行へ向かう旅行者312名を対象にした研究では、エルダーベリーエキスを摂取したグループは風邪の持続日数が有意に短く、症状のスコアも低かったことが示されています。体が疲れやすい季節の変わり目や、風邪をもらいやすい時期に意識して取り入れると良いでしょう。
ただし、現時点ではエルダーベリーがCOVID-19(新型コロナウイルス)に対して効果があるとは証明されていないため、感染症全般に万能というわけではありません。免疫機能を調整する作用があるぶん、自己免疫疾患を持つ方は医師に相談してから摂取するのが原則です。
▶ 国立健康・栄養研究所「感染症の予防にエルダーベリーが効く」等の情報に注意(エルダーベリーの効果の現状・科学的根拠について解説)
エルダーベリーの美肌効果は、含まれるポリフェノールとビタミンCの相乗作用によるものです。紫外線を浴びると体内でメラニン色素が生成され、これがシミやそばかすの原因になります。エルダーベリーに含まれるポリフェノールとビタミンCは、このメラニン色素の生成に関わる「チロシン」という物質の働きを抑制し、沈着を防ぐ効果があります。これは使えそうです。
特に注目したいのがアントシアニンの含有量です。エルダーベリーのアントシアニン含有量は100gあたり約1375mgとされており、ブルーベリーの約5〜8倍もの量が含まれていると言われています。アントシアニンは強い抗酸化作用を持ち、細胞の老化を促進する活性酸素を除去します。
さらに、ビタミンCにはメラニン色素をすばやく分解する働きもあるため、日焼けした後の肌の再生にも力を発揮します。また、コラーゲン合成に欠かせない成分でもあるため、肌のハリや弾力を保つことにもつながります。アントシアニンとビタミンCの2つがそろっているのがエルダーベリーの強みです。
18世紀のヨーロッパでは、エルダーフラワーを入れた水が美白やそばかす除去に効果的とされ、女性たちの間で流行したという歴史的な記録もあります。長い歴史の中で、女性の美容に寄り添ってきた植物といえるでしょう。
▶ わかさの秘密「エルダーベリー成分情報」(美肌・美白効果、アントシアニンの働きについて詳しく掲載)
エルダーベリーには、生活習慣病の予防という観点でも注目すべき成分が揃っています。まずポリフェノールの一種である「イソケルセチン」には、血液をサラサラにする働きと、アレルギーや脂肪の吸収を抑える働きがあります。そして「ルチン」には血管を強化し、血流をスムーズにして血圧を下げる働きが確認されています。
血糖値にも良い影響があると報告されています。エルダーベリーの成分の一つ「ナリニンゲン」は、インスリン抵抗性を改善するPPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)を活性化し、グルコースの取り込みを促進することがわかっています。つまりⅡ型糖尿病の予防効果が期待できるということですね。また、海外の研究ではエルダーベリージュースが血中の脂肪レベルを下げ、コレステロールを改善する可能性も示されています(Healthline参照)。
日本では生活習慣病が増加しており、女性においても40代以降から高血圧や脂質異常症のリスクが上がります。毎日の食事に気を配りながら、こうしたハーブの恵みを取り入れることは、長期的な健康維持に役立つ可能性があります。健康診断の数値が気になってきた方には特に、食生活改善の一つとして覚えておきたい選択肢です。
また、エルダーベリーに含まれる豊富な食物繊維(果実全体の約7%を占める)は腸の動きを整え、腸内細菌のバランスをサポートする役割も持っています。慢性便秘の患者さんを対象にした研究でも、エルダーベリー摂取後に大腸通過時間が短縮したという報告があります。腸内環境の改善が血糖や血圧にも良い影響をもたらすことを考えると、エルダーベリーの生活習慣病予防への貢献は多角的です。
▶ ダイケンバイオメディカル「エルダーベリーとは?栄養成分・効能・副作用の徹底解説」(血糖・血圧・生活習慣病への効果研究が詳しく掲載)
エルダーベリーは健康効果が高い一方で、正しい知識がないと逆に体を傷つけてしまう可能性があります。毒性がある、というのが実情です。生の未熟な果実、葉、幹、種子には「サンブニグリン(sambunigrin)」という青酸配糖体が含まれており、摂取すると悪心・嘔吐・下痢などの中毒症状が出ます。大量に摂取した場合は重篤な状態を引き起こす恐れもあるため、注意が必要です。
では、どうすれば安全に食べられるのでしょうか?加熱・調理することでサンブニグリンの毒素は除去されます。市販のエルダーベリーサプリメント・シロップ・ジャム・ジュースなど、きちんと加工された製品であれば安全に摂取できます。逆に、自宅の庭で採れたものや自然の中で摘んだものをそのまま生で口にするのは控えましょう。
厚生労働省のeJIMでも「生の熟していないエルダーベリーおよびエルダーツリーの果実以外の部分(葉や幹など)には毒性物質(例:サンブニグリン)が含まれており、悪心や嘔吐、下痢を引き起こします」と明記されています。調理すればこの毒素は取り除かれる、というのが原則です。
また、妊娠中・授乳中の女性については、現段階では安全性に関するデータが十分ではありません。この時期にエルダーベリーを摂取する場合は、必ず医師に相談してから判断するようにしましょう。子どもへの使用も同様です。サプリメントを選ぶ際は成分や製造方法がきちんと明記されている製品を選ぶのが安全です。
▶ 厚生労働省eJIM「ヨーロピアンエルダー(医療者向け)」(毒性・副作用・安全性について公的機関による詳しい情報が掲載)
エルダーベリーを継続して摂るには、続けやすい形で日常に組み込むことが大切です。まずは最も手軽な方法として、サプリメントを利用する方法があります。iHerbや国内の薬局・ネット通販でも、エルダーベリーのカプセル・グミ・タブレットが多数販売されています。食前か食中に摂るのが効率的とされています。
自宅でシロップを手作りするのも人気の方法です。ドライのエルダーベリー10gと水800cc、シナモン・クローブ・生姜スライスを鍋でじっくり煮詰め、液量が1/3〜1/4になったら砂糖200gを加えて完成です。遮光瓶に入れて日の当たらない涼しい場所に保存すれば、4〜5か月ほど持ちます。ヨーグルトや紅茶に入れて毎日少量ずつ取り入れるのがおすすめです。
エルダーベリーのジャムをパンやスコーンに塗ったり、ヨーグルトに混ぜたりする方法も取り入れやすいです。日本ではオーガニック食品店やハーブショップ、Amazon・楽天などでドライのエルダーベリーが購入できます。季節の始まりや体調を崩しがちな時期に、まとめて作り置きしておくと便利です。
継続が条件です。エルダーベリーの効果は毎日の積み重ねで発揮されるものですから、楽しく続けられる形を選ぶことが最重要です。シロップをホットドリンクに混ぜる、グミタイプのサプリを朝のルーティンに組み込むなど、自分の生活に合った方法を一つ決めて試してみましょう。
| 摂取形態 | 手軽さ | 特徴 |
|---|---|---|
| サプリメント(カプセル・グミ) | ⭐⭐⭐ | 成分量が安定。毎日の管理がしやすい |
| エルダーベリーシロップ | ⭐⭐ | ドリンクに混ぜやすく、家族も飲みやすい |
| ジャム・コンポート | ⭐⭐ | 食事に取り入れやすい。朝食にぴったり |
| ハーブティー(ドライ葉・花) | ⭐⭐ | リラックスタイムに◎。エルダーフラワーも人気 |
エルダーベリーを選ぶ際は、加熱・加工処理が明記された信頼性の高いメーカーの製品を選ぶことが大切です。特にサプリメントの場合、原材料・製造国・品質保証の記載を確認してから購入しましょう。厚生労働省のeJIMや国立健康・栄養研究所のデータベースなどで情報を補足するのもおすすめです。
▶ Possim「エルダーベリーの効能は?入手方法・毒性・副作用も解説」(シロップの作り方・ジャムのレシピ・入手方法が詳しく解説されています)