卵白を泡立てると、フィナンシェがパサパサに仕上がって損します。
フィナンシェを作るのに必要な材料は、驚くほどシンプルです。基本の材料は「無塩バター・卵白・砂糖・薄力粉・アーモンドプードル」の5つだけで、特別なものは何ひとつ必要ありません。
材料の黄金比率として有名なのが「全材料を卵白に対して1対1にそろえる」という考え方です。卵白・砂糖・粉類(アーモンドプードル+薄力粉)がそれぞれ同量になる構成で、計量がしやすく覚えやすいのが特徴です。たとえば卵白70g・グラニュー糖70g・アーモンドプードル30g+薄力粉30g・無塩バター70gという構成が代表的です。
ポイントは、アーモンドプードルを薄力粉の約1〜1.5倍使うことにあります。アーモンドプードルが多い分だけ、焼き上がりのしっとり感と香ばしさが際立ちます。つまり「粉の半分以上がアーモンドプードル」が基本です。
アーモンドプードルは酸化が非常に早い食材です。未開封でも2〜3ヶ月で香りが飛んでしまうため、購入後はすぐに密閉袋に入れて冷凍保存しておくと鮮度を長持ちさせられます。開封後は約1ヶ月以内に使い切るのが理想的とされています。鮮度のよいアーモンドプードルを使うと、焼き上がりの香りが別格になります。
アーモンドプードルが手に入らない場合は、きな粉やすりごまで代用することも可能です。ただし吸水率が異なるため、水分量の調整が必要になります。代用品の場合、風味はアーモンドとは変わりますが、それはそれで和風アレンジとして楽しめます。
| 材料 | 量(8〜12個分) | ポイント |
|---|---|---|
| 無塩バター | 70g | 焦がして使う(ブールノワゼット) |
| 卵白 | 70g(約2個分) | 泡立て厳禁!ほぐすだけでOK |
| グラニュー糖 | 70g | 微粒子タイプが溶けやすい |
| アーモンドプードル | 30g | 新鮮なものを使う |
| 薄力粉 | 30g | 必ずふるっておく |
材料が揃ったら、下準備として薄力粉とアーモンドプードルをあわせてふるっておきましょう。粉のダマが残ると、焼き上がり後もそのまま固い塊として残ってしまいます。これが基本です。
参考リンク:フィナンシェの失敗原因と成功のポイントを丁寧に解説している、製菓専門店cottaの公式レシピページです。
「フィナンシェ」失敗から学ぶ、成功するお菓子レシピ|cotta
フィナンシェの美味しさの9割は、焦がしバター(ブールノワゼット)にあると言っても過言ではありません。「ブールノワゼット」とはフランス語で「ヘーゼルナッツバター」を意味します。
焦がしバターの作り方は次のとおりです。
色の見極めが命です。焦がし足りないと香ばしさが出ず、焦がしすぎると苦みが出て失敗します。目標の色は「ヘーゼルナッツの皮のような薄い茶色」で、べっこう飴を少し濃くしたくらいのイメージです。
焦がしバターを生地に加えるときの温度は50〜60℃が理想とされています。熱すぎると卵白が固まってしまい、逆に冷えすぎるとバターが固まって生地と均一に混ざりません。どちらも底上げや周りが焦げる原因になります。温度計があれば確認するのが確実です。
また、焦がしバターを作ると底に茶色い沈殿物がたまります。これはバターのうまみ成分ですので、捨てずに生地に一緒に入れるのがプロ直伝のコツです。
「バターを焦がす加減がわからない」という方には、最初から発酵バターを使う方法もおすすめです。発酵バターはコクが強いため、多少焦がし加減が甘くても風味豊かに仕上がります。一般的な無塩バターよりもやや高価(国産品で200g約600〜800円程度)ですが、味の違いは歴然です。これは使えそうです。
多くの方が「卵白を使うお菓子=泡立てるもの」と思い込んでいますが、フィナンシェは例外です。卵白は泡立てません。
フィナンシェに卵白を泡立ててしまうと、大きな気泡が生地の中に残ります。この気泡が焼き上がり後にパサパサとした食感の原因になります。泡立てず混ぜるだけが原則です。
正しい混ぜ方は「泡立て器でグルグルと円を描くようにゆっくり混ぜる」だけです。シャカシャカと激しく泡立てると失敗の原因になります。泡立て器を使うのはあくまで「均一に混ぜるための道具」として使うのが正解です。
粉を加えた後も、「粉気がなくなればOK」というのが鉄則です。混ぜすぎると薄力粉のグルテンが出てしまい、焼き上がりが固くつまったような食感になります。粉が見えなくなったらすぐに止めましょう。
さらに、卵白とグラニュー糖を混ぜる際に卵白が冷たいと砂糖が溶けにくいため、湯煎で34〜人肌程度(約35℃)に温めてから混ぜると砂糖がスムーズに溶けます。これひとつで焼き上がりのキメが格段に細かくなります。
生地が完成したらなるべく素早く型に入れることも大切です。ボウルの中に放置しておくと生地温度が下がり、バターが分離して「まわりが焦げる」失敗の原因になります。
参考リンク:プロのお菓子研究家が教える、フィナンシェを本格的かつ簡単に作るためのポイントが詳しく解説されています。
【プロ直伝】カリッ&しっとり「フィナンシェ」人気レシピ|WEB FOODIE
「フィナンシェの型を持っていないから作れない」と諦めていた方に、朗報があります。専用型がなくても十分においしく焼くことができます。
代用できる型と特徴をまとめると以下のとおりです。
型を代用する際に変わるのは「焼き時間」と「仕上がりの食感」だけです。レシピの配合はまったく同じで構いません。
パウンド型で焼いたフィナンシェは、薄い専用型で焼いたものに比べてよりしっとり感が強くなります。食べるときは8mm程度の薄めにスライスすると、バターのリッチな味わいとのバランスがよいとプロも推薦しています。
なお、型にバターを塗るのは必須作業です。刷毛を使ってもよいですが、プロの現場では「指でしっかり四隅まで塗り広げる」方法がすすめられています。バターを塗った型は必ず冷蔵庫で冷やしてから使いましょう。室温に置きっぱなしにするとバターが溶け落ちて、塗り残しができてしまいます。
参考リンク:バット1台で作る型なしフィナンシェのレシピと、アレンジ方法・ラッピングまで詳しく紹介されています。
焼きたてのフィナンシェは外側がカリッと香ばしく、内側がしっとりとした食感のコントラストが楽しめます。しかし実は、翌日以降のフィナンシェのほうが美味しいとされています。これは意外と知られていない事実です。
焼いた直後は、バターとアーモンドの香りが個別にダイレクトに感じられます。しかし一晩おくと、バターがじわじわと全体にしみわたり、しっとり感が増して香りに一体感が生まれます。プロのお菓子研究家も「翌日のほうが別格においしい」と実食で確認しています。
この性質を利用すれば、前日に焼いておいて翌日プレゼントするという段取りが最高の選択です。焼きたてをすぐ渡すよりも、一晩おいたものの方が格段においしくなります。
保存方法と日持ちの目安は以下のとおりです。
また、フレッシュラズベリーや生の果物を入れたアレンジフィナンシェは、傷みやすいため冷蔵保存が必須で、3日以内を目安に食べきりましょう。保存容器への移し替えが基本です。
余ったフィナンシェが少し乾燥してきたと感じたら、電子レンジで10〜15秒ほど温めてみてください。バターが溶け出して、焼きたてのようなしっとりした食感が復活します。温めすぎると固くなるので注意が必要です。
冷凍しておけば急なおもてなしやプレゼントにも対応できます。10〜12個まとめて焼いて小分け冷凍しておく習慣をつけると、毎回の手間が省けてとても便利です。
参考リンク:フィナンシェの保存方法の詳細と、脱酸素剤を使った長期保存・プレゼント向けラッピングのやり方まで解説されています。
フィナンシェの保存期間・保存方法について|WEB FOODIE