植物性の生クリームで作ると、いくら攪拌してもバターは絶対に固まりません。
発酵バターとは、生クリームに乳酸菌を加えて発酵させてから作ったバターのことです。ヨーロッパでは「バターといえば発酵バター」が当たり前で、フランスの高級ブランド「エシレバター」もその代表格。一方、日本のスーパーで売られている一般的なバターのほとんどは「非発酵バター(甘性バター)」です。
普通のバターとの最大の違いは「風味の深さ」にあります。乳酸菌が発酵する過程でほのかな酸味と芳醇な香りが生まれ、パンに塗るだけで味がぐっと豊かになります。市販の発酵バターは100gあたり500〜800円と価格が高め。つまり自家製にすれば、生クリーム200ml(約200円前後)+ヨーグルト少量という材料費で、同等の美味しさが実現できます。
発酵の仕組みを簡単に言うと「生クリーム → 乳酸菌で発酵 → サワークリーム → 攪拌 → 発酵バター」という2ステップです。ここが普通のバター作り(生クリームをそのまま攪拌するだけ)との根本的な違い。サワークリームを経由することが核心です。
さらに、発酵バターは乳酸菌の働きで消化がしやすくなるため、日本人に多いとされる乳糖不耐症の方にも比較的食べやすいとされています。これは意外と知られていないメリットですね。
| 種類 | 風味 | 乳酸菌 | 価格目安(100g) |
|---|---|---|---|
| 発酵バター(市販) | コク深い・酸味あり | あり | 500〜800円 |
| 非発酵バター(市販) | あっさり・クセなし | なし | 200〜300円 |
| 手作り発酵バター | フレッシュ・コク深い | あり | 約200円〜(材料費) |
生クリームの選び方を間違えると、何時間攪拌しても発酵バターは完成しません。これが最も多い失敗原因です。
スーパーのクリームコーナーには複数の種類が並んでいますが、パッケージの「種類別」表示で見分けられます。「クリーム(乳製品)」と書かれているものが純正の動物性生クリーム。「乳又は乳製品を主要原料とする食品」と書かれているものは乳化剤や安定剤が入っており、バター作りには向きません。
乳化剤とは、水と油が混ざりやすいようにする添加物のこと。この成分が含まれていると、攪拌しても水分と脂肪分が分離しにくくなり、バターが固まらない原因になります。一見似ている商品でも中身は全然違うということですね。
乳脂肪分の数字にも注目してください。発酵バター作りには乳脂肪分35%以上が必須で、できれば40〜47%のものを選ぶとより仕上がりが濃厚になります。植物性ホイップクリームはもちろんNG。コンパウンドクリーム(動植物混合)も乳脂肪分が低すぎるため分離が難しいです。
スーパーで迷ったときは「よつ葉」「タカナシ」「中沢」などのブランドで乳脂肪分が記載された純正生クリームを選べば間違いありません。一般的にレジ近くや冷蔵ケースの端に置かれていることが多いです。生クリームの選び方さえ正しければ、失敗のリスクは大幅に下がります。
それでは、ヨーグルトメーカーを使った発酵バターの作り方を、順を追って説明します。
【材料】(仕上がり約80〜100g分)
【手順】
① 器具の消毒(重要!)
ヨーグルトメーカーの容器、混ぜるスプーン、後で使うボウルをすべて熱湯消毒またはアルコール消毒します。発酵と腐敗は紙一重。衛生管理だけは妥協しないでください。
② 発酵させてサワークリームを作る
消毒した容器に生クリームを入れ、プレーンヨーグルトを加えてよく混ぜます。ヨーグルトメーカーを40〜45℃、6〜8時間にセット。時間が経つとゆるいヨーグルト状(サワークリーム)に変化します。これが成功のサインです。
③ 冷蔵庫で1〜3日寝かせる(ここがポイント!)
発酵が終わったら、必ず冷蔵庫に入れて1〜3日間しっかり冷やします。このステップを省くと攪拌しても分離しません。冷やして固まるまでが条件です。
④ ハンドミキサーで攪拌して分離させる
冷えて固まったサワークリームをボウルに移し、ハンドミキサーまたはブレンダーで攪拌します。最初はホイップ状になり、5〜10分後にそぼろ状に変化。さらに混ぜると黄色い固形物(バター)と白い水分(バターミルク)に分離します。攪拌開始から分離まで10〜20分が目安です。
⑤ 水分を取り除いて完成
ザルにキッチンペーパーをのせてバターを入れ、バターミルクをしっかり切ります。まな板の上でバターベラや木べらを使って練り込み、さらに水分を出します。塩を加える場合はここで練り込みます。保存容器に詰めて冷蔵庫へ。
参考:発酵バターの詳細なレシピと栄養効果について
発酵バターを手作り!お家で簡単にできる自家製「発酵バター」の作り方・レシピ|haccola
「攪拌してもバターが固まらない」「ホイップ状のまま変わらない」という声は発酵バター作りで最もよく聞かれる悩みです。原因は大きく2つ。
失敗原因その1:生クリームの種類が違う
乳化剤入りや植物性のものを使っている場合は、どれだけ混ぜても固まりません。これは原理的な問題です。前述の「種類別:クリーム(乳製品)」表示の純正動物性生クリームを用意し直すしか対処法はありません。生クリームの種類が原則です。
失敗原因その2:材料が十分に冷えていない
発酵後にそのまま(温かい状態で)攪拌しようとすると確実に失敗します。デコレーションケーキの生クリームが常温では泡立たないのと同じ原理。発酵後のサワークリームは最低でも一晩、できれば1〜3日冷蔵庫でしっかり冷やしてから攪拌を始めてください。
試しに冷やし不足で失敗した場合でも諦めないでください。その状態でいったん冷蔵庫に戻して数時間〜一晩冷やし直し、再度攪拌すると分離に成功したケースが多く報告されています。痛いですね。でもリカバリできます。
また、攪拌中に「いつまで経っても変わらない」と感じる時間帯があります。これは正常な経過です。そぼろ状になったあとが一番時間がかかるように感じますが、だいたい攪拌開始から10〜20分が目安。室温や生クリームの乳脂肪分によって前後するので、慌てず混ぜ続けることが大切です。
参考:発酵バターが分離しない理由と対処法の詳細
手作りの『発酵バター』が分離しない!これって失敗?いいえ、リカバリできます|発酵アバンギャルド
発酵バターを作ると、必ずバターミルクが生まれます。これを捨てるのはもったいない。実はバターミルクは、カリウム・ビタミンB12・カルシウムが豊富な栄養ドリンクに近い液体なのです。
バターミルクの活用場面はたくさんあります。スープや味噌汁に少し加えるとコクが増し、パンケーキの生地に牛乳代わりに使うとふんわり仕上がります。スムージーに混ぜたり、ドレッシングの隠し味に使うのもおすすめです。料理好きな方にとっては宝の液体と言えるでしょう。
発酵バターの保存方法と賞味期限
手作り発酵バターは市販品と異なり、水分が残りやすく傷みやすい面があります。これは注意が必要です。
冷凍保存のコツは「使いやすいサイズにカットしてからラップで個別に包むこと」。10〜15gずつ(500円玉大・はがきの約1/4サイズ)に分けておくと、料理のたびに解凍しやすくなります。解凍は冷蔵庫で自然解凍が基本です。
「少しでも匂いや色がおかしい」と感じたら迷わず廃棄してください。発酵食品は発酵と腐敗が紙一重。自家製であることを忘れず、味や香りのチェックを毎回行う習慣を持ちましょう。これだけ覚えておけばOKです。
参考:発酵バターの保存方法・食べ方・活用レシピについて
ヨーグルトメーカー活用術②サワークリーム・発酵バターの作り方|Vitantonio公式

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