フランス産バターの特徴と種類・選び方完全ガイド

フランス産バターは日本のバターとどう違うの?乳脂肪分82%以上の濃厚さ、発酵バターの風味、AOP認証の意味まで。料理やお菓子作りに活かせる選び方のコツを知っていますか?

フランス産バターの特徴・種類・選び方を知る

フランス産の有塩バターをお菓子作りに使うと、仕上がりが塩辛くなって台無しになることがあります。


🧈 この記事の3つのポイント
🇫🇷
乳脂肪分82%以上の濃厚さ

日本の規格(80%以上)より乳脂肪が高く、冷蔵庫から出したてでも柔らかい。風味とコクが段違いです。

🏅
AOP認証で品質が保証される

エシレ・イズニー・ブレスなど、産地と製法が厳しく管理されたバターにだけ与えられる認証があります。

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有塩・無塩・発酵の使い分けが重要

用途に合った種類を選ばないと、料理やお菓子の味が大きく変わります。選び方のコツを知っておきましょう。


フランス産バターの乳脂肪分と日本のバターとの違い


フランス産バターが「なんだかいつもより美味しく感じる」という声をよく耳にします。その正体は、乳脂肪分の差にあります。フランスでは「バター」と名乗るために、乳脂肪分82g以上(100gあたり)・水分16g以下という規格が法律で定められています。一方、日本の成分規格は「乳脂肪80%以上・水分17%以下」です。


数字だけ見ると2%の差ですが、これが食感や使い勝手に大きく影響します。脂肪分が多いということはその分水分が少ないということ。つまり、フランス産バターは冷蔵庫から出したてでも柔らかく扱いやすく、火にかけると余計な水分が少ない分、風味がしっかり料理に乗ります。


さらに、フランス産バターの多くは「発酵バター(beurre fermenté)」です。製造の際に生クリームへ乳酸菌を加えて発酵させてからバターに仕上げるため、ヨーグルトのような爽やかな酸味と複雑なコクが生まれます。日本で主流の非発酵バター(甘性バター)は、乳そのものの甘みが前面に出た穏やかな風味が特徴です。


発酵バターが主流です。これが日仏のバターの、最も根本的な違いといえます。


実は、フランスでバターを生産するのに必要な生乳の量は、1kgあたりなんと20リットルにもなります。500mlのペットボトル40本分の生乳を使ってようやく1kgのバターができる計算です。それだけ乳の旨味が凝縮されているわけですから、日本のバターと比べて風味が濃く感じられるのは当然といえます。


参考リンク:フランスのバター規格や製法の区分について詳しく解説している日本ミルク協会の公式コラム。


第44回 フランスのバター その1 製法による区分 | 公益社団法人日本酪農乳業協会(Jミルク)


フランス産バターの種類:AOP認証とは何か

フランス産バターの中でも特に品質が高いとされるのが、AOP(Appellation d'Origine Protégée=原産地呼称保護)の認証を受けたバターです。これは、ワインのシャンパーニュ地方産しか「シャンパン」と名乗れないのと同じ仕組みで、バターにも産地・原料・製法の厳しい基準をクリアしたものだけに与えられます。


現在フランスでAOP認証を受けているバターの産地は3つあります。


- シャラント・ポワトゥー(Charentes-Poitou):1979年に最初にAOP認定を受けた産地。ミルクの香りが際立ち、他のバターと比べてゆっくりと溶ける性質があるため、パン職人やパティシエに高く評価されています。有名ブランドの「エシレ」や「パムプリー」がこの産地にあたります。


- イズニー(Isigny):ノルマンディー地域圏の産地で、1986年にAOP認定。カロテンを多く含む牧草地で育てられた牛の乳を使うため、バターの色が鮮やかな黄色みを帯びているのが特徴です。柔らかくなめらかな口どけで、コクが強いです。


- ブレス(Bresse):2014年に認定されたフランスで3番目のAOP産地。ナッツやクルミを思わせる力強い香りと深い味わいが持ち味です。


AOP認証バターが条件です。産地と製法が保証されているため、購入の目安として覚えておくと便利です。


一方、フランスのスーパーで一般的に販売されているバターの9割は、大量生産に対応した「Beurre fin(ブール・ファン)」と呼ばれる製法で作られています。こちらは冷凍したクリームの使用が30%以下まで認められており、品質は安定しているものの、伝統的な製法のバターとは一線を画します。意外ですね。


また、伝統的な木製の攪拌機「バラット(baratte)」を使って時間をかけて作られたバターには「Beurre de baratte(ブール・ド・バラット)」と表示されています。ゆっくり攪拌することでクリームが均一に熟成され、より深みのある味わいになります。バターのパッケージにこの表記があれば、職人的な製法のバターだとわかります。


参考リンク:フランスの発酵バターの種類と特徴、AOP産地の詳細が網羅されているガイド。


【フランス土産におすすめ】フランスバターの種類と選び方 | フランス旅の時間


フランス産バターの塩分の違い:有塩・無塩・demi-selを使い分けるコツ

フランス産バターには塩分の違いによって3種類に分類されます。この違いを知らずに買ってしまうと、料理やお菓子の仕上がりが大きく変わってしまうので注意が必要です。


まず「Beurre doux(ブール・ドゥー)」は無塩バターのこと。フランスでは14世紀に塩への課税が始まり、貧しい農家が塩を使えなくなったことから、塩なしのバターが誕生したという歴史があります。現在でも無塩バターを愛するフランス人は多く、厚切りにしてバゲットに乗せてそのまま食べるのがポピュラーな食べ方です。


次に「Beurre demi-sel(ブール・ドゥミ・セル)」は塩分0.8〜3%の有塩バター。日本の食塩添加バターの塩分は1.5%前後なので、ドゥミ・セルは日本人にとってもなじみやすい塩加減です。大粒の海塩(フルール・ド・セル)が入ったタイプはシャリシャリとした食感が楽しめます。


そして「Beurre salé(ブール・サレ)」は塩分が3%以上の濃い塩味バター。日本のバターと比べるとかなり塩辛く感じることがあるので、購入の際は要注意です。


つまり有塩と無塩の使い分けが原則です。お菓子作りには「無塩(doux)」か「demi-sel」を選び、demi-selを使うときはレシピの塩の量を減らすか省略するのがコツです。「gros-sel(大粒塩入り)」のバターは生地には向かず、パンに塗ったり溶かして使う料理に適しています。


ブルターニュ地方では昔から有塩バターでお菓子を作る文化があり、「ガレット・ブルトンヌ」のような焼き菓子には有塩バターが欠かせません。これは健全な使い分けの例で、産地の文化として根付いているものです。料理に合わせて塩分を調整するのが、フランス産バターを使いこなす第一歩です。


フランス産バターが料理やお菓子作りに向いている理由

フランス産バターは乳脂肪分が82%以上あり、日本の一般的なバターより水分が少ないぶん、料理やお菓子にもたらす効果が明らかに違います。これは使えそうです。


たとえばクロワッサンやパイ生地のような折り込み生地を作るとき、バターが冷たいままで柔らかく扱えるのは大きなメリットです。折り込みの最大の敵は、手の熱でバターが溶けてしまうこと。フランス産バターは低温でも適度な可塑性(柔らかさ)があるため、生地への折り込みがスムーズになり、焼き上がった時にきれいな層ができやすいのです。


さらに、発酵バターはビタミンA・B・D・Eなどのビタミン群を豊富に含み、乳酸菌が含まれているため腸内環境を整える効果も期待できます。日々の調理に使うバターを発酵バターに変えるだけで、少しずつ腸への良い影響が期待できるという点は、健康を意識する主婦にとって見逃せない情報です。


また、水分が少ないということは焼き菓子が水っぽくなりにくいということでもあります。バタークッキーやマドレーヌなどのシンプルな焼き菓子では、バターの風味がダイレクトに仕上がりに反映されます。フランス産発酵バターを使うと、乳酸発酵による複雑な風味とコクが加わり、同じレシピでも格段に味わい深い仕上がりになります。


発酵バターのコクが条件です。料理用途としては、野菜のソテーやリゾット、パスタソースへの仕上げ使いにも向いており、最後に加えるだけで全体のまとまりが増します。


参考リンク:パティシエが実践するフランス産バターの使い方と選び方のポイント。


私が焼き菓子にいつもフランス産バターを使う理由 | Taste France Magazine


フランス産バターを日本で買う方法と保存のポイント

フランス産バターは以前と比べて、日本でも手に入りやすくなってきました。成城石井やカルディコーヒーファームでは、「エシレ」「イズニー・サント・メール」「プレジデント」などのフランス産バターが常時取り扱われています。


価格の目安としては、エシレの無塩・有塩バター(150〜200g)が1,500〜2,000円前後というのが相場です。日本の一般的なバター(200g・500〜600円台)と比べると約3〜4倍の価格になりますが、フランス現地ではその同じバターが250gで3〜4ユーロ程度(約500〜700円)で売られています。輸送コストや輸入の手間を考えれば仕方ない面もありますが、この価格差は知っておくと損しません。


フランス産バターを上手に使い切るためには、保存方法も大切です。開封後は冷蔵庫(6℃以下)での保存が基本で、他の食品の香りが移りやすいため、元のパッケージか密封できる容器に入れておくと良いでしょう。すぐに使い切れない場合は、一回分ずつ(5〜10g程度)ラップで小分けにしてから冷凍保存することが可能です。冷凍しても品質はほとんど変わらず、1〜2ヶ月は風味をキープできます。


冷凍保存が基本です。少し高価なフランス産バターだからこそ、最後まで美味しく使い切る工夫をしておきましょう。


また、日本国内で購入する際の選び方として「A.O.P.」の表示があるものを選ぶのがおすすめです。産地と製法が保証されており、品質の安定したバターを選ぶひとつの目安になります。成城石井のオンラインや楽天市場などの通販でも購入できるため、近くに取り扱い店舗がない場合でも手軽にアクセスできます。


| バター名 | 産地 | 特徴 | 日本での入手先 |
|---|---|---|---|
| エシレ(ÉCHIRÉ) | シャラント・ポワトゥー(AOP) | 軽い酸味とクリーミーな口当たり | 成城石井・伊勢丹・通販 |
| イズニー・サント・メール | イズニー(AOP) | 黄色みが強く、口溶けなめらか | 成城石井・通販 |
| プレジデント | ノルマンディー | バランスが良く、世界150ヵ国で販売 | 成城石井・カルディ・スーパー |
| ボルディエ | ブルターニュ | 三ツ星レストラン御用達・入手困難 | 一部百貨店・通販 |




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