減塩梅干しなら何個食べても安心、と思って毎日3個以上食べると塩分オーバーになることがあります。
スーパーの棚に並ぶ梅干しを手に取ると、「減塩」という表示は目に入るものの、実際にどれくらいの塩分が入っているのかはパッと見ただけでは判断しにくいものです。実は「減塩梅干し」という言葉でひとくくりにされていても、その塩分濃度は製品によって大きく異なります。
一般的な梅干し(白干し梅)の塩分濃度は約18〜20%です。これに対して、いわゆる「減塩梅干し」として市販されているものは、おおよそ3〜12%の範囲に収まっています。さらに最近は塩分1.5%という超低塩タイプも登場しており、選択肢はかなり広がっています。
具体的な1粒あたりの塩分量で比べると、次のようになります(2Lサイズ・約15〜19gの梅干しを想定)。
| 種類 | 塩分濃度 | 1粒あたりの塩分量(目安) |
|------|----------|--------------------------|
| 昔ながらの白干し梅 | 約20% | 約2.1〜2.9g |
| 一般的な調味梅干し | 約7% | 約0.7〜1.0g |
| 減塩タイプ | 約3〜5% | 約0.3〜0.6g |
| 超低塩タイプ | 約1.5% | 約0.16〜0.2g |
数字だけ並べてもイメージしにくいので、比較してみましょう。味噌汁1杯の塩分は約1.2gです。白干し梅を1粒食べると、それだけで味噌汁1杯分以上の塩分を摂ることになります。一方、超低塩タイプ(1.5%)なら、味噌汁1杯分の塩分に相当するのは6粒食べた場合。同じ「梅干し1粒」でも、塩分量は最大で約10倍以上の差があるということですね。
塩分濃度と食塩相当量は似て非なるものです。袋の表示を確認するときは「塩分濃度(%)」ではなく「食塩相当量(g)」を見るのが正確です。この食塩相当量は「この1粒を食べると、これだけの塩を摂ったことになる」という実際の量を示しています。濃度(%)はあくまで梅干し全体に占める塩の割合なので、同じ濃度でも大粒と小粒では摂取量が変わります。表示を確認するクセをつけることが原則です。
参考:梅干しの塩分量を種類別に詳しく解説しているページです。食塩相当量と塩分濃度の違いについても丁寧に説明されています。
梅干しの塩分量は1個何グラム?種類別の濃度比較一覧表と目安3選 – 紀州みなべの梅 トノハタ
塩分管理をしているご家庭では「1日の塩分量を〇g以内にしよう」と意識している方も多いと思います。では梅干しはその中でどれくらいの位置を占めるのでしょうか。
厚生労働省が定める1日の食塩摂取目標量は、成人男性7.5g未満・成人女性6.5g未満です。ところが、現実には日本人の平均塩分摂取量は男性で約11g・女性で約9.3gと、目標を大きく上回っています(厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査」)。これが実情ということです。
この数字を梅干しに当てはめてみると、塩分20%の白干し梅を1粒食べると約2〜3gの塩分を摂ることになり、女性の1日目標量(6.5g)のおよそ3分の1から半分近くをそれだけで消費してしまう計算になります。厳しいところですね。
一方で、減塩タイプ(7%前後)の調味梅干しなら1粒あたり約0.7〜1.0gですから、残りの食事の塩分とうまく組み合わせれば毎日1〜2粒は無理なく食べられます。塩分1.5%の超低塩タイプになると、1日2〜3粒食べても塩分は0.5g程度。ほかの食事のバランスを大きく崩す心配がなくなります。
高血圧が気になる方向けには、1日の食塩摂取量6g未満が指標とされています(日本高血圧学会の推奨基準)。この場合、白干し梅を1粒食べるだけで1日の摂取可能量の約3分の1から半分近くに達してしまいます。減塩タイプを選ぶ意味は、こういう数字を見ると明確になりますね。
日々の食事で塩分管理をしている方は、梅干しの食塩相当量を1日の塩分収支に組み込んで考えると安心です。スマートフォンのカロリー・栄養管理アプリ(「あすけん」「カロミル」など)を活用すると、梅干しの塩分も含めてまとめて記録できて便利です。
参考:1日の塩分摂取量と梅干しの関係、高血圧との関連について詳しく書かれているページです。
梅干しの塩分取りすぎは危険?梅干しの塩分量について解説 – プラムレディ
「減塩=健康的」と思って選んでいる方に、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。塩分を下げれば下げるほど、製品の保存性が落ちてしまうという事実です。
昔ながらの梅干しが18〜20%という高い塩分濃度で作られてきたのには理由があります。塩には微生物の繁殖を抑える効果があり、高濃度の塩分が天然の防腐剤として機能していたのです。一般的に、塩分15%以上であればカビが発生しにくくなると言われています。これが基本です。
ところが、塩分を10%以下に下げた減塩梅干しでは、塩の防腐効果が弱まります。そこを補うために、市販の減塩梅干しには保存料・甘味料・調味料(アミノ酸等)・酸味料といった添加物が加えられていることがほとんどです。塩分が少ないのに長持ちするのは、添加物のおかげということになります。
また、塩が少ない分だけ梅本来の旨みも出にくくなるため、旨み調味料(アミノ酸等)でコクや風味を補っているケースも多くあります。つまり、塩分が低い製品ほど使われている添加物の種類や量が増えやすい傾向があります。これは使えそうな知識ですね。
添加物の多い少ないを確認したい場合は、購入前に原材料欄を確認することを習慣にしましょう。シンプルなものは「梅、食塩、しそ」だけが原材料として書かれており、添加物が入っていません。一方、添加物が多い製品は「調味料(アミノ酸等)、甘味料(ステビア、スクラロース)、保存料(ソルビン酸K)」など数種類が並びます。
塩分を抑えつつ添加物も気になるという場合は、塩分20%前後の白干し梅を購入して「塩抜き」をする方法もあります。塩分20%の白干し梅を水に12時間浸すと、塩分を約12〜15%程度まで落とせます。無添加のまま塩分だけを減らせるので、添加物が気になる方に特に向いています。
参考:減塩梅干しの添加物問題について、消費者目線で詳しくまとめられているページです。
普通の梅干しは塩分が多い、減塩梅干しは添加物が気になる。結局どれが良いの? – きい散歩
「梅干しは長持ちする保存食」というイメージを持っている方は多いと思いますが、これは昔ながらの塩分の高い梅干しの話です。塩分が低い減塩梅干しは、保存性がまったく異なります。
塩分濃度が高い白干し梅(18〜20%)は、正しく保存すれば数年〜数十年持つとも言われています。実際、古い蔵から何十年も前の梅干しが発見され、今でも食べられたという話も残っています。これは高い塩分濃度が防腐・殺菌の役割を果たしているためです。
ところが、減塩タイプになると保存期間は大きく変わります。目安として塩分10%以下のものは冷蔵保存が必須で、開封後の賞味期限は概ね半年程度です。市販の減塩梅干しの中でも塩分が特に低いものでは、開封後2週間程度という製品もあります。「うっかり常温で放置していたら傷んでいた」というトラブルを避けるためにも、購入後はすぐに冷蔵庫へ移すことが条件です。
また、保存中の容器にも注意が必要です。清潔でない容器や、手で直接触れることで雑菌が混入し、カビが発生しやすくなります。取り出すときは清潔な箸を使い、梅汁が付いたふたはこまめに拭いておくと安心です。
減塩梅干しを大量に買い置きするのはリスクが高いため、使い切れる量をこまめに購入する方が衛生面での安全性は高まります。塩分が低い製品は「たくさん買ってストックする」より「少量を新鮮なうちに食べ切る」を基本にしましょう。
参考:梅干しの種類別の賞味期限と保存方法について詳しく解説されているページです。
賞味期限切れの梅干しは食べても大丈夫?腐るとどうなるのかも解説 – かわしま屋
「どれを買えばいいかわからない」という方のために、塩分量を軸にした選び方のポイントをまとめます。目的によって選ぶべき製品が変わってくるので、自分のニーズに合わせて確認しましょう。
まず、日常的にご飯のおともとして毎日食べたい方には、塩分5〜8%程度の調味梅干しがおすすめです。食べごたえと塩分のバランスが取りやすく、添加物の量もそれほど多くないものが多いです。1粒あたりの塩分が0.5〜1g程度なので、食事全体の塩分計算に組み込みやすいです。
高血圧の管理や医師から塩分制限を指示されている方は、塩分3%以下のタイプを選ぶか、超低塩(1.5%)のものを検討してみてください。ただし、この場合は添加物の内容もあわせて確認することを忘れないようにしましょう。
「添加物ゼロで低塩分に抑えたい」という方には、塩分18〜20%の白干し梅を購入し、食べる分だけ事前に塩抜きする方法がもっとも合理的です。塩抜きの手順はシンプルで、食べる分の梅干しをボウルに入れ、水(ひとつまみの塩を加えると旨みが逃げにくい)に12時間ほど浸すだけです。冷蔵庫で行えば安全です。
梅干しを料理に活用するという視点も、実は塩分管理に役立ちます。たとえばチャーハンを作るとき、調味梅干しを2粒細かく刻んで混ぜ込むだけで、塩を加えなくても酸味と塩味がしっかり立ちます。この場合の塩分は梅干し2粒分(約1〜2g)だけなので、食塩を直接加えるよりも総塩分量を抑えやすくなります。これはすぐに使えそうです。
一方、意識したいのが「量のコントロール」です。どんなに低塩分の梅干しでも、食べ過ぎれば塩分は積み重なります。「減塩だから大丈夫」という安心感が食べすぎにつながるケースも少なくありません。1日の食事全体の中での位置づけを意識することが、減塩生活を長続きさせるコツです。塩分量の把握が原則です。
参考:梅干しを使った料理での塩分コントロールについて参考になるページです。
梅干しには塩分がどれくらい含まれる?1個あたりの塩分量や減塩の方法 – 中田食品
実は、市販の梅干しのパッケージさえ見れば、1粒あたりの正確な塩分量を自分で計算することができます。多くの方が知らないこのスキルを身につけておくと、どの製品を買うときでも安心して選べるようになります。
計算式はシンプルです。
梅干し1粒の塩分量(g)=可食部の重さ(g)× 塩分濃度(%)
「可食部の重さ」とは、種を除いた果肉部分の重さのことです。一般的に梅干し1粒の重量の約75%が可食部なので、総重量が20gの梅干しなら可食部は約15gになります。たとえば塩分7%の梅干しで計算すると、15g × 7% = 1.05gとなります。これが計算の基本です。
ただし、正確な可食部の重量はパッケージの栄養成分表示から読み取れます。「1個(●g)あたり 食塩相当量:●g」と記載されていることが多いので、この表示を直接確認するのが一番確実です。
また、「食塩相当量」と「ナトリウム量」が別々に書かれている場合は、食塩相当量の数字を使ってください。ナトリウム量(mg)から食塩相当量(g)を計算するには「ナトリウム(mg)× 2.54 ÷ 1000」という換算式が必要で、少し面倒です。慣れないうちは食塩相当量だけ確認するだけでOKです。
自分で計算できるようになると、スーパーで複数の製品を並べたときに「どっちが塩分が低いか」を即座に判断できます。価格だけで選ぶのではなく、1粒あたりの塩分量あたりのコストパフォーマンスで判断する視点も生まれてきます。知っておくと得する知識ですね。
また、ご家族に塩分制限が必要な方がいる場合、この計算法を使って1日の食事全体の塩分量を管理するシートをメモ帳やスマホにまとめておくと、日々の献立作りがぐっと楽になります。減塩生活は「何となく低塩のものを選ぶ」から「数字で確認して選ぶ」に変えることで、より確実に効果が出ます。塩分量の把握に注意すれば大丈夫です。
参考:文部科学省の食品成分表から、梅干しを含む食品の塩分量データを確認できます。