アセスルファムカリウム(アセスルファムk)は、1967年にドイツで発見された人工甘味料です。酢酸由来のジケテンという物質とスルファミン酸を反応させ、さらに無水硫酸を加えて化学合成により製造されます。
参考)https://www.taisho-kenko.com/ingredient/11/
この甘味料は、砂糖(ショ糖)の約200倍もの甘さを持ち、ごく少量で十分な甘みを付与できるのが大きな利点です。甘味の立ち上がりが早く、後味が少ないため、スッキリしてキレが良い甘さが特徴となっています。
参考)https://kunichika-naika.com/information/hitori202007-2
分子量が小さく消化されず、体内ではほとんど代謝されずに尿中に排泄されるため、カロリーはゼロです。また、水に溶けやすく、熱や酸に対する安定性も高いことから、さまざまな食品加工に適しています。
参考)https://j.cocacola.co.jp/info/faq/detail.htm?faq=18003
アセスルファムkは、2000年4月に日本で食品添加物として認可されて以来、幅広い食品に使用されています。現在では世界100カ国以上、4000を超える製品で認可・使用されている実績があります。
参考)https://customer.glico.com/s/article/%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%82%B9%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%A0K-%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B
主な使用例としては、清涼飲料水やコーヒー飲料などの飲料類、ゼリーやアイスクリームなどのデザート類、ガムやキャンディーなどの菓子類、さらには漬物や佃煮、麺つゆなどの塩性食品にまで及びます。カロリーオフやノンカロリーを謳う製品に特に多く採用されています。
参考)https://kobeche.co.jp/technology_post/sweet-column/
加熱しても成分が失われにくいため、調理や加工食品の製造過程でも安定性を保つことができます。また、酸と併用すると酸味や苦味のマスキング効果があり、食品の風味改善にも活用されています。
参考)https://sweetener.jp/column/991/
アセスルファムkの安全性については、国際的な評価機関で確認されています。JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)は、1990年の第37回会合においてADI(一日摂取許容量)を0~15mg/kg体重/日と設定しました。日本の厚生労働省やアメリカのFDAも同様の基準を採用しています。
参考)http://www.ahs.ajinomoto.com/products/food/pdf/acesulfameK.pdf
日本では食品衛生法により使用基準が定められており、食品の種類ごとに使用上限が設定されています。例えば、チューインガムでは食品1kg当たり15.0g以下、清涼飲料水では2.5g以下などと規定されています。この基準に基づいて使用される限り、健康への悪影響がないと推定されています。
参考)https://tokubai.co.jp/news/articles/6804
2011年度の調査では、日本人の1人あたりの平均摂取量がADIを大幅に下回っていることが確認されています。ただし、製造過程で発がん物質の塩化メチレンを溶媒として使用することに対する懸念を指摘する声もあります。
アセスルファムkは単体で使用するとわずかに苦味を感じることがあるため、他の甘味料と併用することで後味を改善できます。他の高甘味度甘味料と併用すると相乗効果をもたらす性質があり、これが大きな特徴となっています。
参考)https://www.aomori.coop/kenmin/news/detail.php?p=943
特にアスパルテームとの相性が良く、同量を併用すると甘味度が約40%強化され、キレとコクのある甘みになります。また、ショ糖・果糖・糖アルコールなどの糖質甘味料との併用でも甘味度が15~30%強化されることが知られています。スクラロースと併用することで甘さの調整をする場合もあります。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%82%B9%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%A0%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0
この相乗効果により、使用する甘味料の総量を減らしながらも十分な甘さを実現でき、コスト削減や添加物の摂取量低減につながります。食品メーカーでは、砂糖に近い味わいを再現するために複数の甘味料をブレンドして使用することが一般的です。
参考)http://www.scirp.org/journal/PaperDownload.aspx?paperID=31010
家庭でアセスルファムkを使用したい場合、市販の甘味料製品を選ぶ際には原材料表示を必ず確認しましょう。「パルスイート」シリーズなど、家庭用の甘味料製品の多くにアセスルファムkが配合されています。
参考)https://okyakusama.ajinomoto.co.jp/qa/kanmiryo/palsweet/026804.html
調理に使用する際には、卵料理・豆料理・焼き菓子や圧力鍋を使用する料理では甘味が減少する可能性があることに注意が必要です。また、ジャムなど一部の料理では、使用する甘味料の特性を理解した上で適切に選択することが重要です。
参考)https://okyakusama.ajinomoto.co.jp/qa/kanmiryo/palsweet/026271.html
人工甘味料全般に対する不安を感じる方もいますが、現時点では認可された基準内での使用において心配しすぎる必要はありません。ただし、どのような食品でも取りすぎると健康に影響を与える可能性があるため、必要以上に摂取しない適度な使用を心がけることが大切です。
参考)https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_003037.html
授乳中の方については、動物実験では乳汁への移行が確認されているため、気になる場合は医師や栄養士に相談することをおすすめします。
参考)https://www.ffcr.or.jp/shingikai/2000/01/7768026D2059D2334925686900194DAB.html