食品添加物の最も重要な役割は、食中毒から私たちの健康を守ることです。保存料は食中毒の原因となる菌の増殖を抑え、酸化防止剤は食品の変色や品質低下を防ぎます。1960年代には30,000~40,000人だった食中毒患者数が、2016年には約20,000人まで減少しており、保存料や酸化防止剤の発達が大きく貢献しています。
参考)https://www.jp-life.japanpost.jp/health/column/susume_004.html
温暖多湿な日本の気候では食品が腐りやすく、適切な添加物の使用により長期保存が可能になりました。また、輸送コストが軽減され、食品価格の安定化にも寄与しています。厚生労働省では、実際にスーパーやコンビニで購入した食品中の添加物を検査し、一日摂取許容量(ADI)の範囲内にあることを確認しています。
参考)https://wearth.tokyo/food-additive/
食品添加物は、味や香り、見た目を向上させ、私たちの食生活を豊かにしています。甘味料、香料、着色料などにより、食品の嗜好性が高まり、食事の楽しみが広がります。乳化剤や増粘剤は食感をなめらかにし、より美味しい食品を実現しています。
参考)https://www.mix-nuts.ichoice-coop.com/organic/shokuhintenkabutsu_yakuwari-28/
また、ビタミンやミネラルなどの栄養強化剤により、不足しがちな栄養素を補うことができます。特に子どもや高齢者向けの食品では、カルシウムやビタミンの添加が積極的に行われ、栄養バランスの改善に役立っています。豆腐の凝固剤やパンのイーストフード、中華麺のかんすいなど、添加物なしには作れない食品も多く、日本人の食文化を支えています。
参考)https://future-foods.co.jp/column/food-additives-easily/
食品添加物の使用には、注意すべきデメリットも存在します。加工食品の美味しさが増すことで食べ過ぎを招き、結果として塩分・糖分・脂質の過剰摂取につながる可能性があります。特に保存性を高めるために加工品に含まれる食塩は、塩分の取りすぎを招く要因となります。
参考)https://www.mix-nuts.ichoice-coop.com/organic/shokuhintenkabutsu-toha-39/
最新の研究では、でんぷん、ペクチン、グアーガム、カラギーナンなどの乳化剤や保存料が、腸内マイクロバイオームを乱し、炎症やインスリン抵抗性を引き起こすことで、2型糖尿病のリスクを上昇させる可能性が指摘されています。また、タール系色素(赤色102号・黄色5号)などの合成着色料は、アレルギーや多動症との関連が報告されており、特に子どもの摂取には注意が必要です。
参考)https://www.elle.com/jp/gourmet/gourmet-healthyfood/g64698314/food-additives-type-2-diabetes-risk-study-25-0623/
日本で使用が認められている食品添加物は、指定添加物454品目、既存添加物365品目などに分類されています。主な種類として、保存料(ソルビン酸、安息香酸)は微生物による腐敗を防止し、酸化防止剤(ビタミンC、トコフェロール)は油脂の酸化を防ぎます。
参考)https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/shokuhin-tenkabutsu.html
着色料(カロテン、クチナシ色素)は見た目を良くし、甘味料(アスパルテーム、スクラロース)は甘みを付け、乳化剤(レシチン、グリセリン脂肪酸エステル)は水と油を均一に混ぜ合わせます。pH調整剤(クエン酸、乳酸)は食品の酸性度を調整し、微生物の増殖を抑えることで日持ちを向上させます。厚生労働省は食品安全委員会の評価を経て、安全性が確認されたもののみを指定し、使用基準や成分規格を定めています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/index.html
食品添加物は原則として、全ての添加物を重量の割合が高いものから順に表示することが義務付けられています。ただし、「一括名表示」として、同じ役割の複数の添加物を一つの名称でまとめて表示する方法が認められています。
参考)https://www.mix-nuts.ichoice-coop.com/organic/shokuhintenkabutsu_hyozi-35/
一括名表示が可能な14種類には、イーストフード、香料、酸味料、調味料(アミノ酸等)、豆腐用凝固剤、乳化剤、pH調整剤、膨張剤などがあります。調味料は使用される成分により「調味料(アミノ酸)」「調味料(核酸等)」「調味料(有機酸等)」「調味料(無機塩等)」の4グループに分類されます。アレルギーを持つ方は、パッケージの原材料表示を確認し、自分に合わない成分を避けることが重要です。
参考)https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_kakou_additives.html
厚生労働省の食品添加物に関する情報は以下で確認できます。
家庭での食事作りにおいて、食品添加物を減らす工夫は可能です。基本的な対策として、無添加の調味料を使った自炊を中心とし、添加物が多く含まれる加工食品や外食をできるだけ避けることが推奨されます。醤油、酢、酒、ハーブなど、添加物の少ない調味料を活用することで、健康的な食生活を実現できます。
参考)https://pantry-lucky.net/blogs/column/additivefree_life
子どものアレルギー対策としては、超加工食品の摂取を控えることが重要です。超加工食品に含まれる添加物や保存料が皮膚のバリア機能を低下させ、アレルギー反応を引き起こしやすくなる可能性が指摘されています。韓国の研究では、グルタミン酸ナトリウム(MSG)を制限した食事を1週間続けることで、アトピー性皮膚炎の症状が改善したという報告もあります。
参考)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/d032a29825859379e03bf4698d97733403d11991
表にまとめると以下のようになります。
| 取り組み内容 | 具体的な方法 | 期待される効果 | 
|---|---|---|
| 自炊の推進 | 無添加調味料を使用した料理 | 添加物摂取量の削減 | 
| 食品選択の見直し | 原材料表示を確認して購入 | 不要な添加物の回避 | 
| 加工食品の削減 | 新鮮な食材から手作り | 栄養バランスの改善 | 
| 調味料の工夫 | 天然香辛料やハーブ活用 | 自然な風味づけ | 
ただし、食品添加物を完全に避ける必要はありません。科学的データは、適切に使用された添加物の安全性を示しており、過度に神経質になるよりも、バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。
参考)https://president.jp/articles/-/30078?page=1