アセスルファムk アスパルテーム違い、危険性、併用効果と安全な摂取

低カロリー飲料や食品に使われるアセスルファムkとアスパルテームは、どのような違いがあり、健康への影響はどの程度なのでしょうか?

アセスルファムkとアスパルテームの違いと特徴

この記事でわかること
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化学構造の違い

アセスルファムkとアスパルテームは製造方法と体内での代謝経路が異なります

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安全性基準

国際機関が定めたADI(一日摂取許容量)の範囲内であれば安全とされています

併用の相乗効果

2つの甘味料を組み合わせることで砂糖に近い自然な甘味が得られます

アセスルファムkとアスパルテームの基本的な違い

アセスルファムk(アセスルファムカリウム)は、ジケテンという酢酸由来の物質とスルファミン酸を反応させ、さらに無水硫酸を加えることで化学合成される甘味料で、砂糖の約200倍の甘味度があります。一方、アスパルテームはアスパラギン酸とフェニルアラニンという2つのアミノ酸から構成される甘味料で、同じく砂糖の約200倍の甘さを持ちます。
参考)人工甘味料(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロ…

両者の最も大きな違いは体内での代謝方法にあります。アセスルファムkは体内で代謝されずそのまま排出されるため、エネルギーとして利用されません。対照的に、アスパルテームは体内でアミノ酸(フェニルアラニン、アスパラギン酸)とメタノールに分解されます。
参考)避けたほうがいい甘味料とは?人工甘味料の種類や健康への悪影響…

甘味質の特性についても違いがあり、アセスルファムkは甘味を速く感じ後味が少ない「先甘味」の性質を持つのに対し、アスパルテームは後から甘味を感じる「後甘味」で後引きがある特徴があります。
参考)高甘味度甘味料の基礎知識(スクラロース/アセスルファムカリウ…

アセスルファムkとアスパルテームの使用基準と対象食品

日本では、アセスルファムkは2000年4月に食品添加物として指定され、食品の種類によって厚生労働省が使用基準を定めています。具体的には、清涼飲料水や乳飲料では1kgあたり0.50g以下、チューインガムでは5.0g以下、アイスクリーム類やジャムでは1.0g以下などの制限があります。
参考)人口甘味料アセスルファムk(カリウム)の危険性

一方、アスパルテームについては特定の使用基準は設けられていませんが、フェニルケトン尿症の人は摂取を避ける必要があるため、食品衛生法で「L-フェニルアラニン化合物を含む」などの表示が義務付けられています。
参考)アスパルテーム - Wikipedia

両者は、ローカロリー・カロリーオフを謳う飲料や食品、菓子類、ガム、漬物、たれ、医薬品など幅広い製品に使用されており、特に併用されることで相乗的な効果が得られるため、多くの製品で一緒に配合されています。
参考)https://www.nk-happy.com/2015/12/23/8524

厚生労働省の食品添加物使用基準(PDF):アセスルファムカリウムの詳細な使用基準が記載されています

アセスルファムkとアスパルテームの併用による相乗効果

アセスルファムkとアスパルテームは、単独で使用するよりも併用することで優れた効果を発揮します。この2つの甘味料を1対1の比率で飲料に併用すると、甘味度が約40%強化され、甘味質も砂糖に近いものになることが知られています。
参考)https://www.ajinomoto.co.jp/lcr/recipe/book/zero01/pageindices/index6.html

この相乗効果は「マルチスイートナー・コンセプト」として開発されており、アセスルファムkの先甘味とアスパルテームの後甘味が組み合わさることで、より自然な甘味プロファイルが実現されます。アセスルファムkは単体で使用するとわずかに苦みを感じることがありますが、アスパルテームと併用することで後味が良くなり、砂糖に近い味わいが得られます。
参考)https://www.aomori.coop/kenmin/news/detail.php?p=943

食品メーカーがこの併用パターンを好む理由は、味質の向上だけでなく、アセスルファムkが比較的安価であることも関係しています。実際、市販の多くのダイエット飲料や低カロリー食品において、この2つの甘味料が組み合わせて使用されています。
参考)炭酸飲料のおすすめ人気ランキング【2025年10月】

アセスルファムkの安全性と健康への影響

アセスルファムkの安全性については、国際的な評価機関であるJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)がADI(一日摂取許容量)を体重1kgあたり0〜15mgと設定しており、日本の厚生労働省もこの基準を採用しています。これは体重60kgの人であれば、1日あたり900mgまで摂取しても健康上のリスクはないという意味です。
参考)https://www.fsc.go.jp/monitor/moni_29/moni29_index.data/H29moni_shiryo1.pdf

一方で、製造工程において発がん物質である塩化メチレン(ジクロロメタン)を溶媒として使用していることが懸念されています。塩化メチレンはIARC(国際がん研究機関)によって「ヒトに対する発がん性がおそらくある」とされるグループ2Aに分類されており、微量でも不純物として残留する可能性が指摘されています。
参考)本当に危ない人工甘味料(その3) |くにちか内科クリニック

フランスの大規模コホート研究では、人工甘味料の摂取量が中央値以上の人は全体的に発がんリスクが高く、特にアセスルファムkでは13%のリスク増加が報告されています。ただし、食品安全委員会や専門家は、通常の摂取量では健康への悪影響は認められないとの見解を示しています。
参考)https://www.fsc.go.jp/hazard/a_hazard2_s1.data/Acesulfame_Potassium.pdf

アスパルテームの発がん性論争と最新の評価

アスパルテームについては、2023年7月にIARC(国際がん研究機関)が「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」(グループ2B)と分類したことで、世界中で大きな注目を集めました。この分類は、特に肝細胞がんに関する限られた証拠に基づくものでした。
参考)https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202315ca.pdf

しかし同時に、JECFAはアスパルテームのADIである体重1kgあたり0〜40mgを変更する必要はないと結論づけ、この範囲内での摂取は安全であることを再確認しています。体重60kgの人の場合、1日あたり2400mgまで生涯にわたって摂取し続けても健康への悪影響はないとされています。
参考)人工甘味料「アスパルテーム」は発がんの可能性がある?!

日本人の実際のアスパルテーム摂取量は1日あたり約6.58mgと推定されており、これはADIのわずか0.3%に過ぎません。体重60kgの成人がADIを超えるには、200〜300mgのアスパルテームを含むダイエット清涼飲料を毎日12缶以上飲む必要があり、実際の使用濃度を考えると36缶以上が必要になります。​
食品安全委員会のアスパルテームに関するQ&A:IARCとJECFAの評価についての詳しい解説があります

人工甘味料摂取の実用的なリスク管理方法

人工甘味料の安全な利用のためには、複数の種類を過度に摂取しないことが重要です。アセスルファムkとアスパルテームは併用により相乗効果を発揮しますが、どちらもADIの範囲内で使用することが推奨されています。​
日常生活での摂取量を把握するためには、食品表示を確認する習慣をつけることが効果的です。原材料名に「アセスルファムK」「アセスルファムカリウム」「アスパルテーム」「L-フェニルアラニン化合物」などの表記がある製品を特定できます。
参考)アセスルファムkが入ってる食品 飲料の添加の種類、甘味料

健康リスクを最小限に抑えるための実践的なアプローチとしては、以下のような方法があります。

  • 特定の人工甘味料に偏らず、天然甘味料を含めてバランスよく使用する
  • フェニルケトン尿症の診断を受けている人は、必ずアスパルテームを避ける
  • ダイエット飲料や低カロリー食品を1日中継続的に摂取することは控える
  • 妊娠中や授乳中の女性は、過度な人工甘味料の摂取を避ける

最新の科学的知見によれば、推奨される摂取量の範囲内であれば、アセスルファムkもアスパルテームも健康リスクは極めて低いと考えられていますが、長期的な影響についてはさらなる研究が必要とされています。
参考)https://gsconlinepress.com/journals/gscbps/sites/default/files/GSCBPS-2021-0044.pdf

国立医薬品食品衛生研究所の食品安全情報(PDF):アスパルテームの最新評価について詳細な情報が掲載されています