ピザ用チーズだけでキッシュを作ると、風味が薄く約700円分が無駄になります。
グリュイエールチーズは、スイスのグリュイエール地方で生まれたハードタイプのチーズです。マイルドながらもナッツのような香ばしさとコクがあり、加熱するとなめらかにとろけるのが最大の特徴。キッシュにおいては卵液・生クリームとなじんで全体のまろやかさを引き上げ、焼き上がりに香ばしい焦げ目を生み出す重要な役割を担っています。
雪印メグミルク社のチーズ辞典によると、グリュイエールは「わずかに酸味があり、熟成すると風味が増す」チーズとして紹介されています。熟成期間は約5〜12ヶ月が一般的で、熟成が進むほどコクが深まります。
グリュイエールの特徴と熟成について詳しく解説(雪印メグミルク チーズ辞典)
問題は、日本の一般的なスーパーではグリュイエールチーズがなかなか手に入らないという点です。専門店や高級スーパーで購入すると100gあたり約1,100〜1,350円。ピザ用チーズの約100〜250円と比べると5倍以上の価格差があります。「レシピにグリュイエールと書いてあるけどどこにも売っていない」という経験は、多くの主婦が持っているのではないでしょうか。
つまり代用チーズの知識が必須です。ただし、代用するなら「キッシュに求められる特性」を理解した上で選ばないと、焼き上がりがべちゃっとしたり、風味が薄くなったりと失敗につながります。
キッシュに使うチーズには「①溶けやすい」「②クセが少なくマイルド」「③ほどよいコクと香り」という3つの条件が求められます。この条件をもとに、代用チーズ候補を5種類ピックアップしました。
| チーズ名 | 風味の近さ | 溶けやすさ | 入手しやすさ | 価格目安(100g) |
|---|---|---|---|---|
| コンテ | ◎ 最も近い | ○ | △ 輸入チーズコーナー | 700〜900円 |
| エメンタール | ○ 近い | ◎ | ○ カルディ・成城石井 | 500〜600円 |
| ゴーダ | △ やや甘め | ◎ | ◎ 多くのスーパー | 300〜500円 |
| チェダー | △ コク寄り | ○ | ◎ 多くのスーパー | 300〜500円 |
| ピザ用チーズ単体 | ✕ 風味が薄い | ◎ | ◎ どこでも買える | 100〜250円 |
コンテは、グリュイエールと同じ加熱圧搾タイプのフランス産チーズで、風味の近さではNo.1と言っても過言ではありません。熟成が進むとキャラメルやハーブのような複雑な香りが加わり、キッシュに使うと味に深みが生まれます。ただし価格がやや高めなので、少量を混ぜる形で活用するのも賢い使い方です。これが条件です。
エメンタールは穴が開いたチーズとして有名なスイス産。グリュイエールと同じスイス生まれで、溶けやすさと伸びの良さはグリュイエールに非常に近い特性を持ちます。クセが少ないので子どもが食べるキッシュにも適しています。スイスの伝統的なチーズフォンデュではエメンタールとグリュイエールを1:1でブレンドするのが定番であることからも、その相性の良さがわかります。
ゴーダはオランダ産でクセが少なく、なめらかな溶け方が特徴です。風味はグリュイエールより甘め・塩味は控えめですが、キッシュのようにマイルドな仕上がりが求められる料理では問題なく使えます。スーパーで最も見つけやすい代用品のひとつです。
チェダーはコクと塩味がやや強め。そのまま使うと少し個性が前に出るため、ピザ用チーズやエメンタールとブレンドして使うのがおすすめです。熟成チェダーはパルメザンに近い風味も出るため、コクをプラスするアクセント役として加えると効果的です。これは使えそうです。
ピザ用チーズ単体については後述しますが、単独使用ではコクが不足します。ブレンドすれば活用できます。
「冷蔵庫にピザ用チーズがあるから、これで代用しよう」と考える方は非常に多いです。実際にヤフー知恵袋にも「ピザ用チーズしか入れなかったので何か物足りない感じでした」という声が寄せられており、単独使用の限界を多くの方が体験しています。
ピザ用チーズの主成分はモッツァレラで、水分が多く風味が淡泊です。溶けやすさや伸びは優れていますが、グリュイエールのようなコクやナッツの香ばしさはほとんどありません。キッシュに入れると卵液との一体感が弱く、食べたときに「チーズの存在感がない」と感じやすい仕上がりになります。意外ですね。
ただし、工夫次第でピザ用チーズも十分活用できます。以下のブレンドが効果的です。
「追いパルメザン」という方法も有効です。卵液に混ぜるチーズにピザ用チーズを使い、焼く直前に表面へ粉チーズを薄くふりかけるだけで香ばしい焦げ目がつき、グリュイエールらしさに近づきます。ブレンドが基本です。
なお、「とろけるスライスチーズ」はプロセスチーズであることが多く、加熱しても分離しにくい安定感はありますが、風味の深さはナチュラルチーズより劣ります。急いでいるときや応急処置的な代用としては使えますが、本格的なキッシュを目指すならナチュラルチーズを選ぶことをおすすめします。
「そもそもどこで買えるの?」というのが、実際のところ最も気になる点ですよね。店舗別におすすめの代用品をまとめました。
イオン・近所のスーパーでは、ゴーダチーズ(スライスまたはブロック)やとろけるミックスチーズが入手しやすいです。お値打ち価格でまとめて購入できます。とにかく手軽さ重視ならここです。
カルディコーヒーファームでは、ラクレットチーズやゴーダのブロック、輸入エメンタールスライスが比較的手頃に手に入ります。輸入食品に強い店舗のため、選択肢が豊富です。
カルディコーヒーファーム公式サイト(店舗検索やオンライン購入に活用)
成城石井では、コンテチーズや本格的なエメンタールがそろっています。グリュイエールそのものが入手できる場合もあり、質にこだわりたい方に最適です。
業務スーパーは、1kgパックのとろけるチーズやゴーダスライスがリーズナブルに購入できます。100gあたりのコストに換算すると最安クラスです。頻繁にキッシュを作るご家庭には大容量購入が節約になります。購入したらすぐに小分け冷凍しておくのがコツです。
コストコでは、カークランドブランドのシュレッドチーズ(モッツァレラ+チェダーのブレンド)が1kg前後で1,500〜2,000円程度で販売されており、コスパは抜群です。グリュイエールそのものが入荷することもあるため、見かけたときは購入しておくのがおすすめです。
| 購入場所 | おすすめ代用チーズ | 特徴 |
|---|---|---|
| イオン・近所のスーパー | ゴーダ、ミックスチーズ | 手軽、価格低め |
| カルディ | エメンタール、ラクレット | 輸入品豊富 |
| 成城石井 | コンテ、エメンタール | 高品質、風味重視 |
| 業務スーパー | とろけるチーズ(大容量)、ゴーダ | コスパ最強 |
| コストコ | シュレッドブレンド、グリュイエール本品 | まとめ買い向き |
代用チーズを選んでも、調理の仕方を間違えると「べちゃっとした」「チーズが分離した」という失敗につながります。キッシュでチーズを失敗なく使うには、以下のポイントを押さえることが大切です。
①水分の多いチーズを使いすぎない
モッツァレラやフレッシュ系のチーズは水分量が高く、キッシュの卵液に加えると全体がゆるくなりすぎることがあります。焼き上がりがぶよぶよとした食感になる原因のひとつです。水分の多いチーズを使う場合は、他のハードタイプとブレンドしてバランスを取るのが原則です。
②チーズは細かく刻んでから加える
ブロックチーズはそのまま入れると均一に溶けません。すりおろすか5mm程度の小さなサイコロ状に切って卵液に混ぜ込むことで、焼き上がりにチーズが全体にまんべんなく広がります。
③卵液とよく混ぜ合わせてから型に流す
チーズを先に型の底に敷き、その上に卵液を注ぐという方法もありますが、チーズと卵液をよく混ぜてから型に流す方法のほうが均一な仕上がりになりやすいです。特に代用チーズはグリュイエールより融点が異なる場合があるため、この方法がおすすめです。
④オーブン温度は170〜180℃でじっくり焼く
高温で短時間焼くとチーズだけが焦げたり、中心が固まりきらなかったりします。170〜180℃でじっくり40分程度焼くのが基本です。チーズに焦げ目をつけたい場合は、焼き上がり直前の5分間だけ200℃に上げると香ばしい表面が生まれます。香ばしさが条件です。
仕上がりが薄く感じた場合は、食べる直前に粉チーズをかけると風味がぐっとアップします。代用チーズはグリュイエールより風味が軽い場合が多いため、「追い粉チーズ」はぜひ試してほしいテクニックです。
キッシュとチーズの関係性・伝統的なキッシュの作り方について(東京デーリー マガジン)
また、チーズを常温に戻してから使うというひと手間も重要です。冷蔵庫から出したばかりのチーズは内部温度が低く、卵液に入れた際に温度ムラが生じます。調理の15〜20分前に冷蔵庫から出しておくだけで、溶け方が均一になりベストな仕上がりに近づきます。これだけ覚えておけばOKです。
「代用チーズ=単品で使うもの」という固定観念を持っている方も多いですが、実はブレンドこそが代用の王道です。この視点は検索上位記事ではあまり掘り下げられていませんが、プロの料理人が家庭でグリュイエール代用を行う際に実践している方法でもあります。
目指す仕上がり別に、おすすめブレンドを紹介します。
ブレンドの比率を変えるだけで、同じ食材でもまったく違う風味のキッシュが生まれます。たとえばコンテの割合を増やすと大人向きの深いコクが出て、ゴーダを多めにすると家族全員が食べやすいマイルドな仕上がりになります。この組み合わせの幅こそが、代用チーズの真の魅力です。
また、チーズの熟成度にも注目しましょう。同じゴーダチーズでも「若いゴーダ(6ヶ月未満)」はマイルドで溶けやすく、「熟成ゴーダ(1年以上)」はナッツ系の強い香りを持ちます。スーパーのチーズコーナーで「ミルド」「マチュア」などの表記を確認するだけで、仕上がりの風味を事前に想像できます。成城石井やカルディでは熟成度の異なるチーズが複数並んでいることも多く、目的に合わせた選択がしやすいです。
さらに、少量のナツメグやタイムなどのスパイス・ハーブを加えることで、チーズの風味の物足りなさを補うこともできます。グリュイエールはわずかに大地を感じるような複雑さがあるチーズですが、ハーブをプラスすることでその奥行きをある程度再現できます。代用チーズで作るキッシュを「本物以上」に仕上げるためのひと手間として、ぜひ取り入れてみてください。
プロ直伝のキッシュレシピとチーズ選びのポイント(mi-journey FOODIE)

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