飛騨牛の3等級は「ブランド牛として認定された正真正銘の本物」なのに、値段が松阪牛の半額以下で買えることがあります。
飛騨牛(ひだぎゅう)とは、岐阜県内で最も長い期間肥育された黒毛和種で、飛騨牛銘柄推進協議会に登録された生産者が14ヶ月以上育てた牛のことです。さらに、公益社団法人・日本食肉格付協会が実施する枝肉格付で「歩留等級A・B」かつ「肉質等級3〜5等級」をクリアしたものだけが、晴れて「飛騨牛」と呼ばれます。
ここで少し混乱しやすいのが「読み方」です。生きている牛や繁殖・種雄牛の段階では「ひだうし」と読み、食肉として格付けが認定されたものを「ひだぎゅう」と呼び分けます。つまり、飛騨の地で育ったすべての牛が「ひだぎゅう」になれるわけではないのです。
また、格付けの基準に満たなかったものは「飛騨和牛(ひだわぎゅう)」という別の名称になります。飛騨牛と飛騨和牛は別物だということを覚えておきましょう。
産地についても少しだけ補足します。「飛騨牛」という名前から、飛騨地方(高山市周辺)だけで生産されていると思いがちです。ただし実際には、定義上は「飼養期間が最も長い場所が岐阜県内であること」が条件のため、岐阜県内であれば飛騨地方以外でも生産可能です。生産者の約半数が飛騨地方というのが実情で、「飛騨牛=飛騨地方産のみ」は厳密には正確ではありません。
飛騨牛であることを証明するために「飛騨牛表示ラベル」が発行されます。このラベルには肉質等級・生産者情報・個体識別番号・認定日が明記されており、購入後もその番号をもとにオンラインで血統や飼育情報を確認できます。本物の飛騨牛を選ぶ際には、ラベルの有無が目安です。
参考:飛騨牛の定義・認定基準について(飛騨牛銘柄推進協議会・丹生川viande)
https://www.nyukawa-viande.co.jp/about.html
飛騨地方では昭和20年代まで、牛は農耕用の「役牛(えきぎゅう)」として飼われていました。農業の機械化が進んだ昭和30年代以降、役牛の需要が急速に減り、食肉用に育てる方向へと転換していきます。
当時、岐阜県内には揖斐牛・郡上牛・金山牛・白川牛など、地域ごとに異なる名称の牛がいました。昭和52年(1977年)に統一ブランドとして「岐阜牛」の銘柄化が始まり、昭和63年(1988年)に「飛騨牛」という名称に正式統一されました。
その転機となったのが、1頭の種雄牛「安福号(やすふくごう)」です。昭和56年(1981年)、岐阜県が兵庫県美方郡の但馬牛から安福号を購入したことが、現在の飛騨牛ブランドの礎となりました。
安福号の産子は霜降りのきめが細かく肉質が非常に優れており、その子牛の市場価格が一気に70万円を超えるまで跳ね上がったといわれています。安福号は生涯に39,000頭以上の産子を世に送り出し、「飛騨牛の父」と呼ばれるほどの功績を残しました。現在でも日本各地の優秀な和牛のルーツをたどると安福号の血にたどり着くと言われています。
これは驚きです。安福号の血統は今もなお冷凍精液の形で保存・使用されており、現代の飛騨牛にも脈々と受け継がれています。
品評会での実績も飛騨牛ブランドの信頼性を高めました。平成14年(2002年)の「第8回全国和牛能力共進会」では種牛の部で内閣総理大臣賞、肉牛の部で最優秀枝肉賞という2冠を獲得。さらに第9回でも最優秀枝肉賞を受賞し、2大会連続で肉質日本一と評価されました。全国和牛能力共進会は「和牛のオリンピック」と称される最も権威ある品評会です。
ブランドの歴史は昭和後半から始まったものの、その品質は数十年で全国トップに立つまでになりました。歴史は比較的新しいが、質は日本最高水準ということが飛騨牛の大きな特徴といえます。
参考:飛騨牛の歴史と安福号について(JAひだ・和牛セレブ)
https://www.ja-hida.or.jp/hidagyu/
飛騨牛の等級は「歩留等級(アルファベット)」と「肉質等級(数字)」の組み合わせで表示されます。歩留等級はA〜Cで表され、Aは食用に使える割合が最も多い牛、Bはその次です。Cランクの牛は飛騨牛に認定されません。
肉質等級は1〜5の数字で、5が最高です。霜降り(脂肪交雑)・肉の色・締まり・キメ・脂の色と質の5項目で評価されます。つまり飛騨牛として認定される最低ラインはA3・B3、最高がA5になります。
| 等級 | 特徴 | おすすめの食べ方 |
|---|---|---|
| A5・B5 | 霜降り最高峰。とろける口どけ | ステーキ・焼肉 |
| A4・B4 | 旨みと霜降りのバランス良好 | すき焼き・しゃぶしゃぶ・ステーキ |
| A3・B3 | 赤身の風味が際立つ。価格も手頃 | すき焼き・しゃぶしゃぶ・炒め物 |
注目したいのは、飛騨牛の出荷全体のうち、5等級が約33%・4等級が約43%と、上位2等級だけで全体の76%を占めているという点です。これは飛騨牛全体の肉質レベルが高いことを示しています。
家庭で購入する場合のコスパを重視するなら、A4(4等級)が最もバランスが取れています。A5と比べても価格差が大きく、それでいて十分な霜降りと旨みがあります。A3は赤身が多めで、脂っこいのが苦手な方や健康を意識したい方にも向いています。
購入時に「3等級だから安い=品質が低い」と思いがちですが、それは誤解です。3等級も飛騨牛ブランドとして正式に認定されたれっきとした本物です。買い物時の損を防ぐためにも、等級ラベルの意味をしっかり理解しておきましょう。
参考:飛騨牛の等級と格付けの仕組み(Wikipediaほか公的情報をもとに解説)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9B%E9%A8%A8%E7%89%9B
飛騨牛の最大の特徴は「霜降り(サシ)が鹿の子状に細かく均一に入っている」点です。一般的なブランド牛に比べてもサシのきめが細かく、見た目に桜色の美しいお肉として知られています。
口に入れるととろけるような柔らかさを感じる理由のひとつが、飛騨牛に多く含まれる「オレイン酸」という脂肪酸です。オレイン酸は融点が低く、体温よりも低い温度で溶け始めます。品質の高いA5クラスの飛騨牛では、室内の気温でも表面の脂がじんわり溶け出すほどです。脂っこさが少なくあっさりと食べられるのは、このオレイン酸の豊富さによるものといえます。
サシはロース芯(背中側のロース部分)だけでなく、バラ・肩・モモにまで入り込んでいます。これが他のブランド牛との大きな違いです。ロース以外の部位でも霜降りが楽しめるため、家庭料理でよく使うコマ切れや薄切り肉を購入した場合でも、飛騨牛の旨みを十分に感じられます。
また、雄牛と雌牛でも味わいに違いがあります。
- 🐂 雄牛:赤身の風味がしっかりしており、脂の融点が低いため口どけも良い。旨みを重視する方向け
- 🐄 雌牛:霜降りが入りやすく、肉質がより柔らかい。甘みとやわらかさを重視する方向け
松阪牛・神戸牛・近江牛の3ブランドは雌牛のみを流通させていますが、飛騨牛は雌雄どちらも認定対象です。どちらを選ぶかで風味が変わるのも、飛騨牛ならではの楽しみといえます。
参考:飛騨牛の脂質・肉質の特徴について
https://wagyugift.jp/blogs/column/hidagyu
飛騨牛を家庭で楽しむ場合、部位選びと調理法を少し意識するだけで、レストランに近い満足感が得られます。ここでは予算別・料理法別に整理します。
🥩 ステーキ(サーロイン・リブロース・ヒレ)
ステーキには厚みのある部位が向いています。サーロインは霜降りと赤身のバランスが最も良く、飛騨牛の旨みをシンプルに味わえます。ヒレはサシが少なめで上品な味わいのため、脂が苦手な方にも最適です。
焼く前に必ずやることは、冷蔵庫から出して約30分、常温に戻すことです。冷たいまま焼くと、表面だけ焦げて中が冷たいままになりやすくなります。焼き加減はミディアムレアがベストで、肉汁と旨みが閉じ込められた状態で食べられます。
🍲 すき焼き・しゃぶしゃぶ(肩ロース・バラ・モモ)
家庭での飛騨牛デビューとして最もハードルが低いのが、すき焼きとしゃぶしゃぶです。薄切り肉を購入するだけで良く、特別な調理技術も不要です。
すき焼きには肩ロースやバラ肉が合います。甘辛い割下(だし・醤油・みりん・砂糖)に合わせると、飛騨牛の脂の甘みがより際立ちます。しゃぶしゃぶは昆布だしに薄切り肉を1〜2回くぐらせるだけで完成です。ポン酢とごまだれ、両方用意するとさらに楽しめます。
🍜 煮込み・炒め料理(コマ切れ・細切れ)
コスパを重視するなら、コマ切れや細切れ肉がおすすめです。ビーフシチューや肉じゃが、牛丼の具材として使うと、いつもの家庭料理が格段に豊かな味わいになります。
飛騨牛はモモ肉でもサシが入っているため、海外産や一般の国産牛と比べて柔らかく仕上がります。煮込みに使うと脂が溶け出してスープに旨みが加わり、全体の味を引き上げてくれます。これは使えそうです。
ふるさと納税を活用すると、飛騨牛のA4・A5等級のステーキ用やすき焼き用が、通常購入よりも大幅に割安で手に入ることがあります。飛騨牛を家庭で試してみたい方は、ふるさと納税サイト(さとふる・ふるなびなど)で「飛騨牛」を検索してみると良いでしょう。
参考:飛騨牛のおすすめ調理法と部位(飛騨牛料理みよし亭・飛騨トラベルガイド)
https://sukeroku-miyoshitei.com/post-821/
飛騨牛にまつわる意外な事実があります。飛騨牛という名前から「岐阜県・飛騨地方でしか生産されていない」と思っている方は多いですが、定義上はそうではありません。
飛騨牛の条件は「飼養期間が最も長い場所が岐阜県内であること」です。飛騨地方(高山市・飛騨市など)に限らず、岐阜県内であれば認定対象になります。実際、生産者の約半数が飛騨地方であるため、「飛騨牛の多くは飛騨地方産」というのは事実ですが、「すべてが飛騨産」は誤りです。
2005年には長野県山口村が岐阜県中津川市と越県合併したことで、旧山口村で育てられていた牛の呼称が「木曽牛」から「飛騨牛」に変わるという出来事もありました。これは、飛騨牛が「地理的名称」ではなく「岐阜県という都道府県単位のブランド認定」であることを示しています。
また、2023年1月31日には農林水産省が飛騨牛を「地理的表示(GI)保護制度」の対象として登録しました。GIとは、産地と品質が結びついた農産物や食品を国が保護する制度で、飛騨牛はこれによってブランドの真正性がより一層法的に保護されることになりました。
飛騨牛を購入する際は、「飛騨牛表示ラベル」に記載されている個体識別番号を確認することで、産地・生産者・等級が追跡できます。スーパーや通販でパック売りされている場合も、この番号を飛騨牛銘柄推進協議会の公式サイトで検索すれば真偽確認が可能です。知っておくと、贈り物選びや購入時に役立つ知識です。
さらに、2008年には岐阜県内の食肉会社「丸明」が下位等級の飛騨牛を上位等級として偽装販売する事件が発覚しました。この事件を受けて現在は個体識別番号での等級検索システムが整備されており、消費者が自分で確認できる仕組みになっています。偽装対策が整備されているという点も、飛騨牛の信頼性を支えています。
参考:農林水産省・飛騨牛のGI登録について
https://www.maff.go.jp/tokai/press/shokuhin/230131.html
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