手延べそうめんは、実はうどんと同じ太さで売られていることがあります。
「ひやむぎとそうめんって、ほとんど同じじゃないの?」と思っている方は多いのではないでしょうか。実は、国が定めるJAS規格(日本農林規格)によって、麺の太さで名称が明確に区別されています。
機械製法の乾麺の場合、分類は次のようになっています。
| 麺の種類 | 太さ(直径) |
|--------|----------|
| そうめん | 1.3mm 未満 |
| ひやむぎ | 1.3mm 以上〜1.7mm 未満 |
| うどん | 1.7mm 以上 |
| きしめん | 幅4.5mm 以上・厚さ2.0mm 未満 |
この差はわずかコンマ数ミリですが、食べたときの食感や喉越しに大きな違いとして現れます。そうめんの1.3mm未満という細さは、シャープペンシルの芯(0.5mm)を2〜3本並べたくらいの幅感です。
つまり「太さの差が名前の差」ということですね。
ちなみに、この規格は消費者保護のための法律に基づいています。表示に違反があった場合は国から改善命令や罰則が科せられることもあるため、メーカーは厳密に管理しています。逆に言えば、スーパーで「ひやむぎ」と書かれた商品は必ずひやむぎの太さで作られているので、ラベルを信頼して問題ありません。
参考:ひやむぎとそうめんの太さ区分に関する公式情報(全国乾麺協同組合連合会)
https://www.kanmen.com/topic/04_chigai.html
太さの基準に加えて、製法の違いもそうめんとひやむぎを分ける重要なポイントです。ただし、製法によってJAS規格の適用ルールが変わるという、少し複雑な話があります。
機械製麺のそうめんとひやむぎ・うどんは製法が違います。そうめんは生地に油を塗りながら手作業で引き延ばす「手延べ式」が伝統的な製法ですが、ひやむぎとうどんは生地を平らに伸ばしてから刃物で切る「包丁切り(機械切り)」が基本です。このためひやむぎは昔「切麦(きりむぎ)」とも呼ばれていました。
断面の形にも違いが出ます。手延べ製法の麺は断面が丸く(●)、刃物で切った麺は断面が四角く(■)なります。これが食感の違いにもつながっています。
ここで知っておきたいのが「手延べ麺の特例」です。手延べで作った麺は、機械製麺と違って微妙な太さの調整が難しいという特性があります。そのため、JAS規格上は「直径1.7mm未満であればそうめん・ひやむぎのどちらの名称を使ってもよい」とされているのです。
意外ですね。
つまり「手延べそうめん」と書かれた商品の中には、実際にはひやむぎ相当の太さのものも存在します。「細いから絶対そうめん」とは言い切れないというのが、麺業界の複雑なところです。購入時に気になる場合は、乾麺の表記だけでなく「手延べ」かどうかもあわせて確認してみましょう。
同じ材料から作られているひやむぎとそうめん、そしてうどん。食べたときの印象は変わるのでしょうか?
まず食感についてです。そうめんは非常に細いため、茹でると「つるっとした喉越し」が楽しめます。一方、ひやむぎはそうめんよりも少し太い分だけ、噛んだときの「もちっとした弾力」があり、食べごたえがあります。うどんはさらに太く、しっかりとしたコシが特徴です。
茹で時間にも差があります。
- そうめん:約1分半〜2分(非常に短い)
- ひやむぎ:約3〜4分
- うどん(乾麺):約8〜12分
そうめんの1分半という茹で時間は、うどんの乾麺に比べると約6倍も速いです。時間が限られた昼食や、子どもがお腹を空かせているときに大活躍します。
味についても微妙な違いがあることが分かっています。麺が細いほど茹でた際にデンプン(甘味成分)が流れ出やすいため、最も細いそうめんが一番甘みを感じにくく、うどん>ひやむぎ>そうめんの順で甘みが強くなるとされています。「そうめんって何か物足りない…」と感じたことがあるなら、これが原因かもしれません。
食感の好みで選ぶのが基本です。つるっとした喉越しを重視するならそうめん、少し食べごたえがほしいならひやむぎ、しっかり噛んで食べたいならうどん、と覚えておくと料理の幅が広がります。
「夏にそうめんをよく食べるけど、カロリーはどうなんだろう?」と気になる方も多いかと思います。日本食品標準成分表2020年版のデータをもとに確認してみましょう。
茹でた状態(100gあたり)での比較はこうなります。
| 種類 | カロリー | 糖質 |
|-----|--------|-----|
| そうめん | 114 kcal | 約24.9g |
| ひやむぎ | 114 kcal | 約24.9g |
| うどん(ゆで) | 95 kcal | 約20.3g |
| 白米(ご飯) | 156 kcal | 約38.1g |
カロリー・糖質ともにそうめんとひやむぎは同じです。
どちらも白米に比べてカロリーは低めですが、麺は水分が少ない乾麺の状態では100gで300kcalを超えます。「そうめんはヘルシー」というイメージを持っている方は多いですが、乾麺1人前(100g)を茹でると約270g相当になることを意識しておきましょう。
実際の食事では、麺そのものよりも「何と一緒に食べるか」のほうがカロリーに大きく影響します。めんつゆは意外と糖質が高く、薬味(ネギ・しょうが・みょうが)は栄養豊富でカロリーも低いので積極的に使うのがおすすめです。また、ゆで卵やサラダチキンをプラスしてたんぱく質を補うと、満足感が増して食べ過ぎ防止にもなります。
参考:日本食品標準成分表(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
ひやむぎを買うと、袋の中にピンクや緑の麺が数本混じっていることがありますよね。「何のために入っているの?」と疑問に思ったことはありませんか?
この色付き麺、実はもともと「そうめんとひやむぎを見分けるため」に入れられたものです。原材料も製法もほぼ同じで、見た目も似ているふたつの麺を区別するために、ひやむぎ側にだけ着色した麺を数本混ぜたのが始まりといわれています。これは知らなかった、という方も多いはずです。
現在はJAS規格の太さ基準が広まったこともあり、「色付き麺=ひやむぎ」という絶対ルールではなくなっています。最近ではそうめんにも彩りとして色付き麺を入れたり、色付き麺単体で販売したりするメーカーも出てきました。
🌸 色付き麺の原料の一例。
- ピンク: 梅、赤しそ、トマトなど
- 緑: ほうれん草、抹茶など
- 黄: かぼちゃ、卵など
食卓の彩りとしてだけでなく、子どもが食べる際に「ピンクの麺を探そう!」とゲーム感覚で楽しんでもらえるという使い方もあります。これは使えそうです。
もう一つ、実用的な見分け方をお伝えします。スーパーで買い物するとき、パッケージに「乾麺」と書かれた商品を選ぶ場合は、品名表示の部分に「素麺(そうめん)」か「冷麦(ひやむぎ)」とはっきり書かれているので、それを確認するのが一番確実です。手延べ製品の場合は前述の通り太さの基準が異なるので、より細かく知りたいなら「手延べ」の文字があるかどうかも確認するとよいでしょう。
「なんとなく茹でているけど、実はコツがあるの?」という声も多いテーマです。せっかく良い麺を買っても、茹で方を間違えると風味が落ちてしまうので要注意です。
まず茹で方の基本を押さえておきましょう。
🍶 そうめん・ひやむぎの基本的な茹で方:
1. 大きめの鍋に、乾麺100gに対してお湯1Lを目安にたっぷり沸かす
2. 沸騰したら麺をパラパラとほぐしながら入れる
3. 吹きこぼれないように火加減を調整し、袋に書かれた時間どおりに茹でる(差し水はしない)
4. 茹で上がったらすぐにザルに移す
5. 冷水でよくもみ洗いしてぬめりを取る
重要なのは「差し水をしない」という点です。差し水をすると鍋の温度が下がり、麺が均一に茹でられなくなります。吹きこぼれそうになったら火を弱めて対処するのが正解です。
保存方法も知っておくと便利です。乾麺(未開封)は高温多湿を避ければ長期保存が可能ですが、開封後は密閉容器や保存袋に入れて湿気から守りましょう。茹でた後に余ってしまった場合は、冷蔵で2〜3日、冷凍であれば2〜4週間ほど保存できます。
冷凍保存のコツは「表示時間より20〜30秒短めに茹でること」です。解凍後に食感が戻りやすくなります。冷凍したそうめんやひやむぎは、サラダにトッピングしたり炒め麺にアレンジしたりすることもできるので、多めに買って保存しておくと食材のムダが減ります。
ゆで麺の冷凍保存については、ニチレイフーズのコラムに詳しい情報があります。
https://www.nichireifoods.co.jp/media/26553/