買って棚に入れたままの缶詰パン、じつは賞味期限前に自動で回収され世界の支援物資になります。
パン・アキモトは栃木県那須塩原市に本社を置くパンの製造販売会社で、1947年に「秋元パン店」として創業した歴史ある地元のパン屋さんです。そんな普通のパン屋が世界に名を轟かせるきっかけとなったのが、1995年の阪神・淡路大震災でした。
当時、社長の秋元義彦さんは2,000食以上の焼きたてパンをトラックで被災地へ運びましたが、配り切れないまま消費期限が来てしまい、その3分の2以上が廃棄処分になるという悔しい結果に終わりました。被災者から「歯が悪いから乾パンは食べられない」「柔らかくておいしくて長持ちするパンをつくってよ」という声をじかに聞き、試行錯誤1年をかけてついに「パンの缶詰(PANCAN)」が誕生したのです。
これが原点です。その後、新潟県中越地震の際に被災地へ届けられ、被災者がおいしそうに食べる姿がテレビで放映されたことで一気に全国へ広まりました。2009年にはスペースシャトル「ディスカバリー号」に搭載されてNASAの宇宙食として採用されるという快挙も達成しています。宇宙食に採用されるとは、それだけ品質と安全性が世界最高水準で認められたということです。
缶詰パン アキモトは今や防災備蓄食の「元祖」として定着し、日本全国の家庭・企業・自治体・学校で広く活用されています。
参考:パン・アキモト公式サイト(パンの缶詰誕生ストーリー)
https://www.panakimoto.com/products_pancan/story.html
「保存料なしで5年間もパンがやわらかいなんて、本当なの?」と思いますよね。これはアキモト独自の「缶ごと焼成」製法によって実現しています。
普通のパンは焼いてから包んで密封しますが、アキモトのパンの缶詰はパン生地を缶に入れた状態のままオーブンで焼き上げます。焼成と同時に缶の中が殺菌されるため、カビの原因となる微生物が完全に死滅した状態で密封できるのです。つまり、焼くことと殺菌が同時に行われます。さらに缶の中に脱酸素剤を封入して酸素を取り除くことで、酸化による劣化を防いでいます。保存料・防腐剤は一切不使用なのに5年間保存できるのは、この密閉された無菌環境のおかげです。
2022年にリニューアルした最新の「乳酸菌入り」シリーズでは、さらに1缶に「まもり高める乳酸菌L-137」が100億個配合されました。これはハウス食品グループが研究した独自の乳酸菌で、東南アジアの発酵保存食「なれずし」から発見されたものです。健康面にも気遣った備蓄食として進化しているのはうれしいところですね。
また、パン生地が缶にくっついてしまう問題を解決するために、秋元社長は耐熱性があり水に濡れても破れない特殊な包み紙を求めて海外まで探し回ったというエピソードもあります。それだけの苦労があったということです。
缶を開けるときはプルトップ式(缶切り不要)なので、非常時でも道具なしですぐ食べられます。開封前にお湯などで温めると、さらにふんわりとした食感が楽しめるそうです。これは使えそうです。
参考:TBSニュースDIG「ナゼ?5年経っても"フワフワしっとり"缶詰パン…カギは「缶ごと焼成」製法」
缶詰パン アキモトの現行ラインナップには大きく分けて2つのシリーズがあります。主力の「PANCANシリーズ(賞味期限5年)」と、救缶鳥プロジェクト対応の「救缶鳥シリーズ(賞味期限37か月)」です。
PANCANシリーズ(乳酸菌入り・5年保存)の味と内容量
| 味 | 内容量 | 特徴 |
|---|---|---|
| 🍊 オレンジ | 100g/缶 | ジャム練り込み。子どもから高齢者まで人気 |
| 🍓 ストロベリー | 100g/缶 | イチゴジャムの甘い香りが広がる |
| 🫐 ブルーベリー | 100g/缶 | 甘酸っぱさわやかな風味 |
3種セット(6缶)の標準小売価格は税抜3,000円前後で、1缶あたり約500円が目安です。Amazonや楽天市場のほか、防災グッズ専門ショップ、ヨドバシカメラなどでも購入できます。セット買いほど1缶あたりの単価が下がります。
内容量100gというのはどれくらい? はがき1枚(約6g)の約16倍、牛乳パック1本の約1割のボリュームです。女性や子どもが1食分として食べるには十分な量で、大人の男性なら2缶でちょうどいいボリューム感といわれています。
1缶100gという量が原則です。
また、PANCANにはオレンジ・ストロベリー・ブルーベリーの定番3種のほかに、チョコクリーム味など期間限定フレーバーが登場することもあります。バリエーションを揃えておくと、いざというときの食事に飽きが来にくいためおすすめです。
購入する場合は、パン・アキモト公式オンラインショップやAmazon・楽天市場が便利です。どこでも送料込みのセット価格を比較してから購入するのが、家計を守る上でのポイントになります。
缶詰パン アキモトが他の非常食と決定的に違う点のひとつが、この「救缶鳥(きゅうかんちょう)プロジェクト」です。2009年9月9日にスタートしたこのプロジェクトは、簡単に言うと「家庭で備蓄した缶詰パンを、賞味期限が切れる前に回収して、世界の被災地や飢餓地域に届ける」という仕組みです。
具体的には次のように動きます。
- 💡 購入時点:救缶鳥シリーズを購入し、非常食として自宅で保管する
- 📅 購入から約2年後:パン・アキモトから連絡が来る。希望すれば宅配業者が自宅まで回収に来てくれる
- 🌏 回収後:賞味期限を半年〜1年残した状態のパンが、NGO「日本国際飢餓対策機構」などを通じてジンバブエ・タンザニア・コートジボワールなどの飢餓地域や国内被災地へ届けられる
- 🔄 同時に:新しい救缶鳥が納品されるので、備蓄が途切れない
これは画期的な仕組みですね。救缶鳥プロジェクトが始まってから約10年で、国内の災害被災地への支援が約15万食、世界の飢餓・食糧難地域への支援が70万食以上にのぼっています(東日本大震災、熊本地震、ハイチ地震、ネパール大地震などへの支援実績あり)。
普通の非常食は賞味期限が近づいたらどうするかが悩みです。でも救缶鳥プロジェクトなら、捨てずに済むのに加えて世界の誰かを救う食料になるため、精神的な満足感も得られます。ローリングストック(備蓄を回転させながら使う方法)が面倒と感じる主婦でも、回収してもらえる安心感があるので継続しやすいといえます。
賞味期限の管理が不要になるのが最大のメリットです。
参考:環境省「救缶鳥プロジェクト」グッドライフアワード
https://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/goodlifeaward/report201701-kyukancho.html
「で、実際に何缶買えばいいの?」という疑問に答えます。これが基本です。
内閣府・農林水産省は家庭での非常食備蓄として「最低3日分、できれば1週間分」を推奨しています。缶詰パン アキモトの場合、1缶100gで1人の1食分にほぼ相当します。これをもとにすると、計算は次のようになります。
家族4人・3日分(9食分)を備蓄する場合の目安
| 家族人数 | 1日3食×3日分 | 必要缶数の目安 |
|---|---|---|
| 1人 | 9食 | 約9缶 |
| 2人 | 18食 | 約18缶 |
| 4人(子あり) | 36食 | 約36缶 |
もちろん非常時はパンだけで食事をするわけではなく、ご飯・おかず系の缶詰や乾麺などと組み合わせるのが現実的です。パンの缶詰は朝食・おやつ代わりとして割り当てて、1人1日1〜2缶を目安に計算すると備蓄量が決めやすくなります。
家計への負担を考えると、一度に大量に買わず「6缶セットを年に2回購入する」方法が無理のない備蓄方法です。6缶セット(税抜3,000円前後)を年2回購入した場合、年間6,000円程度の出費で家族2〜3人の3日分をカバーできる計算になります。
保管場所に困りがちな主婦の方には、キッチン下の収納スペースや寝室のクローゼット下段など、温度変化の少ない場所が最適です。直射日光と高温多湿は避けることが条件です。缶詰なので常温保存できますが、夏場に車のトランクに長期保管するのは劣化のリスクがあるため気をつけましょう。
また、アキモトのPANCANシリーズ(5年保存)を選ぶ場合は、救缶鳥プロジェクトの回収対象外なので、自分で期限前に食べきる「ローリングストック」の習慣をつけることが大切です。5年保存と聞くと安心して放置しがちですが、購入から2〜3年を目安に「防災の日(9月1日)」などをきっかけに定期的に在庫を確認するのがおすすめです。在庫確認は年1回でOKです。
参考:パン・アキモト公式「PANCANシリーズ商品一覧」
https://www.panakimoto.com/products_pancan/Shohin-ichiran.html