冷凍したきのこを自然解凍すると、旨みが全部水と一緒に流れ出てしまいます。
「きのこは冷蔵庫で保存するもの」と思っていませんか。実はそれ、大きなもったいないです。
きのこを冷凍すると、旨み成分のひとつである「グアニル酸」が約3倍に増えることが知られています。これは、冷凍中にきのこ内部の水分が膨張し、細胞壁が壊れることで、旨み成分が溶け出しやすくなるためです。東京新聞が報じた専門家の研究でも「冷凍したシイタケを煮ると、生のシイタケを煮たときよりもグアニル酸は約3倍に増えた」というデータが示されています。
グアニル酸はイノシン酸・グルタミン酸と並ぶ「三大うまみ成分」のひとつ。これが3倍になるということは、味噌汁や炊き込みご飯に冷凍きのこを入れるだけで、出汁を足さなくても十分なコクと旨みが生まれるということです。つまり冷凍きのこは、料理の「だし代わり」になります。
冷蔵保存の場合、きのこは購入後3〜5日で風味が落ち始めます。「今日使わないな」と思ったその日に冷凍してしまう方が、はるかに旨みをキープできるのです。旨みを上げたいなら冷凍が基本です。
さらに、冷凍によるメリットはうまみだけではありません。保存期間が冷蔵の「約1週間」から「約1ヶ月」へと大幅に伸びます。食品ロスを防げるうえ、安い日にまとめ買いして冷凍しておけば、食費の節約にもつながります。
使いたい量だけ取り出せる小分け冷凍にしておけば、忙しい夕食の準備もぐっとスムーズになります。これは使えそうですね。
なお、きのこに含まれるビタミンDは「脂溶性」のため、油と一緒に加熱することで体への吸収率が上がります。冷凍きのこを炒め物に使うのは、旨みだけでなく栄養の面でも非常に合理的な食べ方です。栄養を逃さない調理が条件です。
参考:きのこ研究の専門家・江口文陽氏らによるきのこの冷凍と栄養に関する解説
日経グッデイ「きのこは冷凍保存で健康効果が増す?栄養素を逃さない調理方法は」
まず覚えていただきたいのが、「水洗いはNG」という鉄則です。
きのこは水を吸いやすい構造をしており、水洗いすると風味成分や水溶性ビタミン(ナイアシン・葉酸など)が一気に流れ出してしまいます。特に冷凍前に水洗いすると、洗い残した水分が冷凍庫でそのまま氷になり、解凍時に水っぽくなったり、臭みが出たりする原因になります。汚れが気になる場合は、湿らせたキッチンペーパーで軽く拭き取るだけで十分です。
次に「自然解凍もNG」です。冷凍きのこを常温で解凍してしまうと、壊れた細胞からうまみ成分を含んだ水分(ドリップ)がどんどん流れ出し、ちょうどスポンジを絞ったように旨みが抜けていきます。風味が薄くなるだけでなく、常温に置くことで雑菌が繁殖し、衛生面でも問題が起きやすくなります。これは痛いですね。
正しい使い方は「冷凍のまま加熱調理する」一択です。味噌汁・スープ・炒め物・炊き込みご飯など、どんな料理でも凍ったまま投入してください。汁物の場合は、きのこからうまみ成分がスープ全体に溶け出すため、出汁いらずで深い味わいが生まれます。
また、「パックのまま冷蔵」もNGです。スーパーのパックに入ったまま冷蔵庫に入れると、パック内の水蒸気ときのこが触れ合い、カビが生えやすくなります。購入したらすぐパックから出し、下処理をして保存袋へ移すのが正解です。凍ったまま加熱が原則です。
また見落としがちなのが「傷んだきのこを冷凍する」という行為です。ぬめりがある・酸っぱいにおいがする・黒く変色しているきのこを「もったいないから冷凍しよう」と思う方もいますが、冷凍は細菌を死滅させません。活動を一時停止させるだけなので、解凍後に腐敗が再び進行します。冷凍前に鮮度の確認が必須です。
参考:きのこの正しい保存方法と冷凍・解凍のNG事例をまとめた専門記事