冷凍きのこは、生きのこより先に炊き込みご飯に使うべきです。旨味成分が最大3倍になるからです。
「きのこは生のまま使うほうがおいしいはず」と思っている方は多いのではないでしょうか。ところが実際には、冷凍後のきのこのほうが炊き込みご飯の旨味が格段にアップします。その理由は、きのこの細胞構造にあります。
きのこの細胞は約90%が水分でできており、冷凍するとこの水分が氷の結晶となって膨張し、細胞壁を内側から破壊します。細胞壁が壊れることで、通常は細胞内に閉じ込められていた旨味成分の「グアニル酸」が外に溶け出しやすくなるのです。複数の研究によると、冷凍したきのこを加熱調理した場合、グアニル酸は生きのこと比べて約2〜3倍に増加することが確認されています。
グアニル酸がこれほど増えると、炊き込みご飯に使う際にはだし汁をまったく使わなくても、きのこだけで十分な深みのある旨味が引き出されます。調味料は醤油とみりんだけで成立するので、食卓に出すご飯のグレードが上がりながら、料理の手間は減るという二重のメリットがあります。
さらに、グルタミン酸やアスパラギン酸といったアミノ酸系の旨味成分も、冷凍によって生きのこの約3倍に増えると言われています。炊飯中の蒸らし時間でこれらの旨味成分がご飯全体に染み渡り、一粒一粒が旨味をまとった仕上がりになります。これが基本です。
きのこは冷凍で栄養が増えるって本当?うま味アップの理由と活用法(食品メディア)
炊き込みご飯に使うきのこは、どれを選んでも大丈夫というわけではありません。種類によって旨味の出方や食感が変わるため、目的に合わせた選び方が大切です。
まず、炊き込みご飯に特におすすめなのが「まいたけ・しめじ・えのき」の3種ミックスです。まいたけはグアニル酸が豊富で旨味の核になり、しめじは穏やかな旨味でご飯全体をまとめ、えのきは炊くと細かくほぐれて旨味がご飯に均一に広がります。この3種を合計200g(米2合に対して)使うと、相乗効果でだし不要の深い味わいが生まれます。
| きのこ | 旨味の特徴 | 炊き込みご飯での役割 |
|--------|----------|------------------|
| 🍄 まいたけ | グアニル酸が特に豊富 | 旨味の主役・コクを出す |
| 🍄 しめじ | バランスの良い旨味 | 全体をまとめる |
| 🍄 えのき | 細かくほぐれやすい | 旨味をご飯全体に広げる |
| 🍄 しいたけ | 香りが強い | アクセントになる |
| 🍄 エリンギ | 食感が残りやすい | 食べごたえを加える |
複数のきのこをミックスすると旨味の相乗効果がさらに高まります。これは使えそうです。
なお、まいたけには「マイタケプロテアーゼ」というたんぱく質分解酵素が含まれており、生のまま炊飯器に入れると鶏肉などのたんぱく質が分解されてご飯の食感が変わることがあります。しかし冷凍すると、この酵素の活性が大幅に低下します。冷凍まいたけを使う炊き込みご飯のほうが、食感面でも安定しているという点は意外と知られていません。
各きのこを購入したらすぐに石づきを取って食べやすい大きさに分け、まとめて冷凍用保存袋に平らに入れておくのが最も効率的な方法です。袋に日付を書いておくと1か月以内に使い切れて安心です。
冷凍のままのせて炊飯するだけ!きのこの炊き込みご飯(ミツカン公式)
冷凍きのこを使った炊き込みご飯で最も多い失敗は、「べちゃべちゃになった」というものです。これは、冷凍きのこが溶ける際に出る水分を計算に入れなかったことが原因です。水加減に注意すれば大丈夫です。
まず、お米は研いだあと「水だけで」30分以上浸水させます。この「水だけで」というのが重要なポイントで、最初から調味料入りの水に浸すとお米が塩分を吸ってしまい、芯が残る原因になります。30分の浸水が終わったらザルに上げ、その後に調味料を加えた水で炊飯します。
炊き込みご飯(米2合)の黄金比調味料:
- しょうゆ:大さじ2
- みりん:大さじ1〜2
- 酒:大さじ1(あれば)
- 水:規定量より大さじ1〜2少なめ
冷凍きのこは解凍せずにそのまま炊飯器にのせます。凍ったきのこが溶けると約大さじ1〜2分の水分が出るため、最初から水を少し控えることでべちゃべちゃを防げます。このひと手間だけで、仕上がりがまったく変わります。
炊飯器のスイッチを入れたら、炊飯中は絶対に蓋を開けないようにしましょう。蒸気が逃げると炊きムラの原因になります。炊き上がったら蓋を開けずに10〜15分蒸らしてから、全体を大きく混ぜて完成です。蒸らしの間にきのこの旨味がご飯全体に行き渡るため、この工程は省かないのが原則です。
きのこご飯(炊き込みご飯)のレシピ/作り方(白ごはん.com)
きのこを冷凍するとき、「水で洗ってから」冷凍している方は要注意です。水で洗うと水分が表面に付着し、冷凍したときにその水分が氷の結晶となって食感を著しく損ねる原因になります。きのこの汚れはキッチンペーパーで優しく拭き取るだけで十分で、基本的に水洗い不要な食材です。
種類別・冷凍前の下処理の手順:
- 🍄 しめじ・まいたけ・えのき:石づきを切り落とし、手でほぐすだけ
- 🍄 しいたけ:石づきを切り落とし、かさと軸に分けてスライスか半割り
- 🍄 エリンギ:石づきを切り、縦半分にしてから食べやすい大きさにカット
処理したきのこは、できるだけ平らになるように冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いてから冷凍します。金属製のトレーやアルミホイルの上に置いて冷凍すると、熱が早く奪われてきのこが短時間で凍り、旨味と食感がより保たれます。急速冷凍がポイントです。
保存期間の目安は冷凍から約1か月です。2か月を超えると冷凍焼けが起き始め、色が変わって風味も落ちます。袋に日付を書いておく習慣をつけると、使い忘れを防いで食品ロスも減らせます。
また、複数の種類のきのこをあらかじめミックスして冷凍しておくと、炊き込みご飯を作るときにそのまま入れるだけなので時短になります。100g単位で小分けにしておくとさらに使いやすいです。まいたけ50g、しめじ50g、えのき50g、しいたけ50gの合計200gを一袋にしておくと、米2合分の炊き込みご飯にそのまま使えて便利です。
【きのこの冷凍】種類別に解説。1ヵ月保存可能!(ニチレイフーズ)
冷凍きのこの炊き込みご飯に、ある食材を1枚加えるだけで味に格段のコクが出ます。それが「油揚げ」です。油揚げはきのこの旨味を受け止めて閉じ込め、ご飯全体にまろやかなコクをプラスします。細切りにして炊き込みご飯に加えるだけで、さっぱりしすぎず、ボリュームも増してメインのおかずなしでも満足できる一品になります。
さらに旨味を重ねたい場合には、かつお節を10g(小さじ1袋程度)調味料と一緒に加える方法もあります。きのこのグアニル酸とかつお節のイノシン酸が組み合わさることで「旨味の相乗効果」が生まれ、使う旨味成分の量が少なくても何倍もの旨味を感じられる炊き込みご飯になります。これは必須です。
アレンジバリエーション一覧:
- 🐔 鶏ごぼう風:冷凍きのこ+鶏もも肉(一口大)+ごぼうのささがき
- 🐟 鮭きのこ:冷凍きのこ+塩鮭(一切れ)+三つ葉(炊き上がり後にのせる)
- 🧄 バター醤油:冷凍きのこ+バター(5g)+醤油・みりん(通常量)
- 🌿 シンプル塩きのこ:冷凍の「塩きのこ」(塩ともみ込んで冷凍したもの)をそのまま投入
このうち特に独自の視点としておすすめしたいのが「塩きのこを使う炊き込みご飯」です。きのこに塩をまぶしてもみ込み、そのまま冷凍したものを「塩きのこ」と呼びます。塩ともみ込む段階でさらに細胞が壊れて旨味が引き出されやすくなるため、通常の冷凍きのこよりもさらに旨味が濃く、調味料がより少量で済みます。塩きのこは汁物や炒め物にも使い回しがきくため、週末に作り置きしておくと平日の料理が格段に楽になります。
また、炊き上がった冷凍きのこ炊き込みご飯は、1食分ずつラップに包んで冷凍保存できます。電子レンジで600W・3分温めるだけで食べられるので、朝食やお弁当の一品としても重宝します。お弁当の主食を毎回白ご飯にするより、このように旨味たっぷりの炊き込みご飯を冷凍ストックしておくと、献立の手間が減って食費節約にもつながります。
きのこ冷凍!椎茸、えのき、しめじなど、種類別の長持ち冷凍法(カゴメ)