深煎りのコーヒーを毎日飲んでいても、クロロゲン酸はほとんど摂れていません。
クロロゲン酸とは、コーヒー豆に豊富に含まれるポリフェノールの一種です。ポリフェノールと聞くと赤ワインを思い浮かべる方も多いですが、実はコーヒーにはその約1.7倍ものポリフェノールが含まれているとされています。これは意外ですね。
クロロゲン酸はコーヒー豆に特に多く含まれる成分ですが、さつまいもやごぼう、りんご、ナスなど日々の食卓によく登場する野菜や果物にも含まれています。もともとは植物が紫外線や外敵のダメージから身を守るために作り出す「天然の抗酸化物質」です。
この成分が注目されるようになったのは、20世紀にドイツの製薬会社がコーヒー豆から単離し、その薬理作用を明らかにしてから。それ以降、糖尿病予防や肥満対策のサプリメント素材として研究が進んできました。つまり長い食経験のある、安全性の高い成分ということです。
コーヒーを飲んでいるだけで、これだけ多くの健康成分を摂取できるというのは、家事と育児で忙しい毎日を過ごす方にとってはうれしい話です。ただし「飲めば何でもOK」ではなく、飲み方や量によって効果に大きな差が出る点は覚えておきたいポイントです。
クロロゲン酸を効果的に摂るには、量の目安を知ることが大切です。コーヒー1杯(約200ml)に含まれるクロロゲン酸は、焙煎度や抽出方法によって異なりますが、70〜400mg程度とされています。
では、どのくらいの量を飲めば効果を実感できるのでしょうか? 国立大学などの研究機関が注目する「1日3〜4杯(糖尿病予防目的)」という数字が、一つの目安です。医療機関のデータでも、1杯あたり150mlのコーヒーを1日3〜4杯飲むことが糖尿病予防の摂取量目安として示されています。
また、花王の研究では、クロロゲン酸を270mg摂取したときに冷水をあてた後の皮膚温の回復が有意に改善したという報告もあります。体感として「手足の冷えが気になる」方も、クロロゲン酸の量を意識する意味があるということです。
「1日何杯も飲むのは難しい」という場合は、コーヒー以外の食材も活用できます。ごぼう100g中には約50〜340mgのクロロゲン酸が含まれ、さつまいも100g中には約90〜228mgが含まれています。これはコーヒー1杯分に匹敵する量です。実は毎日の食事からも意外に摂れているということですね。
ただし過剰摂取には注意が必要です。胃酸の分泌を促す作用があるため、空腹時にコーヒーを飲みすぎると胃もたれや不快感につながることがあります。胃腸が弱い方はサプリとコーヒーを合わせて大量摂取しないよう、注意が必要です。
| 食材 | クロロゲン酸含有量の目安 |
|---|---|
| ドリップコーヒー(200ml) | 約132〜400mg |
| インスタントコーヒー(140ml) | 約27〜30mg |
| さつまいも(100g) | 約90〜228mg |
| ごぼう(100g) | 約50〜340mg |
| りんご(100g) | 微〜中程度含有 |
クロロゲン酸の摂取量と血めぐり・体温回復に関する研究|花王株式会社 栄養代謝研究
クロロゲン酸を摂るなら、飲むタイミングが重要です。これが意外と知られていません。
テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」でも紹介されたように、血糖値の上昇を抑える目的であれば食前に飲むのが正解です。食前にコーヒーを摂ることで、クロロゲン酸が腸の糖吸収をブロックする準備ができるからです。つまり食後ではなく食前が原則です。
ただし、胃が空っぽの状態ではクロロゲン酸が胃酸分泌を促し、胃を刺激することもあります。その場合は食事中に飲むか、少し食べてから飲む形でも効果は期待できます。自分の胃腸の状態に合わせた飲み方が大切です。
また、冷え対策・美肌目的の場合は時間帯を問わず継続摂取が大切です。花王の研究では、クロロゲン酸を毎日継続して摂取することで、8週間後に肌水分量が有意に向上し、頬の肌質が改善されたと報告されています。これは使えそうです。
砂糖やシロップを加えたコーヒーは血糖値を逆に上げてしまう可能性があるため、血糖値が気になる方はブラックか、牛乳を少し加えたカフェオレ程度にとどめるのがおすすめです。血糖値対策ならブラックが条件です。
コーヒーを飲むタイミングと血糖値の関係(林修の今でしょ!講座おさらい)|テレビ朝日
「コーヒーを飲んでいるから大丈夫」と思っていても、選ぶコーヒーの種類によってクロロゲン酸の量に大きな差があります。
実は、クロロゲン酸は熱に弱い成分です。焙煎(加熱)すればするほど分解されて減少してしまいます。ある研究によると、浅煎りコーヒー1杯(200ml)には約400mgのクロロゲン酸が含まれていたのに対し、深煎り(フレンチロースト)では約150mg程度まで減少するという報告があります。同じコーヒーでも、約2〜3倍もの差がつくわけです。
さらに、ドリップコーヒーとインスタントコーヒーでも大きな差があります。ドリップコーヒー(粉末10g・160ml)のクロロゲン酸量が約132mgなのに対し、インスタントコーヒー(2g・140ml)では約27mgにとどまります。実に5倍近い差です。「毎朝インスタントコーヒーを飲んでいるから健康習慣はバッチリ」と思っていた方には、少し残念な情報かもしれません。
クロロゲン酸を効率よく摂りたいなら、浅煎りのドリップコーヒーが最も適しています。スーパーで売っているコーヒーのパッケージに「ライトロースト」「シナモンロースト」などと書かれているものが浅煎りに該当します。普段のコーヒー選びの基準に加えてみてください。
コーヒーを飲めない日のために、さつまいも(特に品種「ベニアカ」などポリフェノール高含有のもの)やごぼうを料理に取り入れることでも、クロロゲン酸を補うことができます。これだけ覚えておけばOKです。
浅煎り・深煎りコーヒーのクロロゲン酸含有量の違い|草津・南草津内科・皮膚科
クロロゲン酸の効果は「血糖値を下げる」だけではありません。毎日の生活をより豊かにする複数の側面があります。
まず注目したいのが、内臓脂肪への働きです。コーヒー由来のクロロゲン酸類を継続摂取した研究では、約60日間(2か月)の摂取で体重が約2.5kg、BMIが1kg/㎡減少したという結果が報告されています。東京ドームのグラウンドほどの広い差があるとは言いませんが、「特に運動をせずにコーヒーをこまめに飲んだだけで」という視点は、毎日忙しい方には興味深い情報です。
次に、美肌効果です。クロロゲン酸にはシミの原因となるメラニンの生成を抑制する作用があるとされています。また、肌の角質層の水分量を増やしバリア機能を保つ働きも確認されています。乾燥が気になる季節に継続して摂取することで、肌状態の改善が期待できるということです。
さらにあまり知られていないのが、「冷え性」への効果です。花王の研究によると、クロロゲン酸を270mg摂取すると約1時間後に血流が改善し、皮膚温の回復が早まることが確認されています。冬場に手足が冷えやすい方は、コーヒーを意識的に摂ることで血めぐりのサポートになる可能性があります。
そして糖尿病予防。1日3〜4杯のコーヒーを飲む習慣が糖尿病リスクを下げるという複数の研究報告があります。とくに「カフェインレスコーヒー(デカフェ)」でも同様の予防効果が認められていることから、糖尿病予防に働いているのはカフェインではなくクロロゲン酸であることが強く示唆されています。カフェインが苦手な方もデカフェを選べば問題ありません。
クロロゲン酸はサプリメントでも摂れますが、コーヒーという形で日常的に取り入れる方が継続しやすく、食経験も豊富で安全性も確認されています。まずは普段飲んでいるコーヒーを浅煎りに変えるだけで、手軽にクロロゲン酸量を増やすことができます。
| クロロゲン酸の主な健康効果 | 期待できる内容 |
|---|---|
| 🩸 血糖値上昇抑制 | 食後の血糖スパイクをゆるやかにする |
| 🔥 内臓脂肪ケア | 約60日で体重2.5kg・BMI1減少の報告あり |
| 🌸 美肌・保湿 | 肌水分量増加・シミ予防効果 |
| 🌡️ 冷え対策 | 摂取後約1時間で血流改善・皮膚温回復 |
| 🛡️ 糖尿病予防 | デカフェでも効果あり(カフェインは無関係) |
クロロゲン酸による美肌・血めぐり効果の最新研究|ミルボン FYB magazine