レモン汁を入れると紫色どころか赤色になって台無しになりますよ。
ラベンダーシロップを作るとき、まず最初に悩むのが「どのラベンダーを使えばいいの?」という点です。実はラベンダーには20種類以上の品種があり、系統によって食用向きかどうかが大きく変わります。
食用として使うなら、香りが強くすっきりとした「アングスティフォリア系(イングリッシュラベンダー)」がベストです。代表的な品種は「ヒドコート」「マンステッド」などで、ハーブティー用ドライフラワーとして市販されているものの多くがこの系統です。
一方で注意したいのが「ラバンディン系」や「スパイカ系」です。これらは花束やドライフラワー向きで、食用には不向きとされています。香りが強すぎて苦みが出やすく、シロップに使うと飲みにくい仕上がりになることがあります。
生ラベンダーが手に入らない季節でも大丈夫です。ハーブティー専門店やネット通販で「食用ドライラベンダー」を選べば、一年中シロップが作れます。購入前に「食用可」の表記を必ず確認してください。
肥料や農薬を使って自宅で育てている場合は、必ずハーブ用・野菜用の資材を使ったものを使いましょう。食用かどうかの基準が原材料の安全性にかかわるため、ここは妥協なしです。
| 系統 | 代表品種 | シロップ向き? | 特徴 |
|---|---|---|---|
| アングスティフォリア系 | ヒドコート・マンステッド・富良野ラベンダー | ✅ 向いている | 香りが強く上品。食用向き。 |
| ラバンディン系 | グロッソ・スーパー | ❌ 不向き | 香りが強すぎ苦みが出やすい |
| ストエカス系(フレンチ) | キューレッド・ウィングス | △ 少量なら可 | 観賞用向き・独特の香り |
| スパイカ系 | メルロー | ❌ 不向き | スパイシーすぎる |
つまり「食用ドライラベンダー」と書かれたものを選べばOKです。
材料をそろえたら、いよいよシロップ作りです。基本の配合と手順を押さえれば、初めてでもきれいに仕上がります。
【基本材料(作りやすい量)】
【手順】
砂糖を先に溶かす工程がエグみ対策になっています。砂糖を溶かしてからラベンダーを入れる順番を守るだけで、仕上がりの雑味がぐっと減ります。これが基本です。
グラニュー糖を使うとさっぱりとした甘さに、上白糖を使うと丸みのある甘みになります。好みで選んで問題ありませんが、シンプルな香りを活かしたいならグラニュー糖がおすすめです。
また、ラベンダーを絞るときは「ぎゅっと力を入れて絞る」のは禁物です。やさしく押し当てる程度にすると、苦みのないすっきりした味わいに仕上がります。
「きれいな紫色のシロップができると思ってたのに、灰色っぽくなった」という声はとても多いです。実は、ラベンダーシロップの色はアントシアニンという天然色素が関係していて、酸性・アルカリ性・中性のどの環境に置かれるかによって劇的に変化します。
ラベンダーの紫色はアントシアニン由来の天然色素です。この色素は酸(クエン酸、レモン果汁など)を加えると、紫色から赤〜ワインレッドへと変色する性質があります。よく「仕上げにレモン汁を入れるとおいしい」と書かれているレシピがありますが、それは味のためです。紫色のシロップを仕上げたいなら、レモン汁の量には注意が必要です。
【色別:何が起きているか】
色をきれいな紫に仕上げたい場合は、レモン汁を入れずに仕上げるか、ほんの数滴に抑えるのがポイントです。一方、ピンクやワインレッドの色みがお好みなら、レモン汁を大さじ1程度加えると色が鮮やかに変化します。この変色は見ていると感動するほど一瞬で起こるため、子どもへの食育にもなりますね。
色の変化を楽しみながら作れるのが、ラベンダーシロップの醍醐味のひとつです。
また、生花のラベンダーを使うと、ドライよりも鮮やかな色素が出やすいです。ただし生花は入手できる季節が限られるため、ドライで作る場合は蒸らし時間をしっかり取ること(15〜20分)で色素をしっかり引き出せます。
厚生労働省eJIM:ラベンダーの安全性と食用としての情報 ─ 厚生労働省
せっかく作ったシロップも、保存を間違えると1週間もしないうちにカビが生えたり、発酵して使えなくなることがあります。3つの鉄則を守るだけで、冷蔵庫で約3ヶ月保存できます。
【鉄則①:保存瓶は煮沸消毒してから使う】
市販の保存瓶でも、洗っただけでは細菌が残ります。鍋にふきんを敷いて水を張り、瓶と蓋を沈めて沸騰させ、5分以上煮沸します。取り出したらペーパータオルの上で自然乾燥させてください。アルコール消毒スプレー(食品用)でも代用できます。
【鉄則②:シロップが熱いうちに瓶へ移す】
粗熱を取りすぎてから移すと粘度が上がって注ぎにくくなります。熱いうちに移す際はやけどに十分注意し、じょうごを使うと安全です。熱いシロップを入れることで瓶の中を殺菌する効果も期待できます。
【鉄則③:冷蔵庫で保存し、水気のあるスプーンを使わない】
取り出すたびに水気のあるスプーンを使うと、雑菌が混入してシロップが傷みやすくなります。清潔な乾いたスプーンを使う習慣をつけましょう。
常温保存はカビや発酵のリスクがあるため、夏場は特に避けてください。冷凍保存は味や香りが若干落ちますが、大量に作りたい場合には有効な方法です。
冷凍の場合は製氷皿に入れて凍らせ、固まったらジッパー袋にまとめておくと便利です。1キューブ=大さじ1程度にしておくと、使いたい分だけ取り出せます。これは使えそうです。
シロップができたら、次は使い方を広げてみましょう。定番の炭酸割りだけでなく、毎日の家事の合間に気軽に楽しめるアレンジがたくさんあります。
① ラベンダーソーダ(最もシンプルな定番)
グラスに氷を入れて炭酸水200mlを注ぎ、シロップを大さじ1〜2加えて軽く混ぜるだけです。レモン汁を数滴足すと、目の前で色がワインレッドに変わる演出が楽しめます。来客時のおもてなしドリンクにも喜ばれます。
② ラベンダーラテ
温めたミルク(または豆乳)150mlにシロップを大さじ1混ぜます。コーヒーの上に静かに注げば、おしゃれなラベンダーラテの完成です。バニラエッセンスを1〜2滴加えると風味が増して本格的な味になります。
③ ヨーグルトにかける
無糖のプレーンヨーグルトにラベンダーシロップをかけるだけで、簡単な朝食デザートになります。プロバイオティクス効果のあるヨーグルトと、ラベンダーのリラックス成分を同時に摂れます。
④ かき氷やアイスクリームのトッピング
夏の定番かき氷に、市販のシロップのかわりにラベンダーシロップをかけるだけで、カフェ風の映えデザートに変わります。バニラアイスにかけても乳製品との相性が抜群です。
⑤ ホットラベンダードリンク(寒い季節に)
お湯(白湯)150mlにシロップを大さじ1溶かした「ホットラベンダー」は、寝る前のリラックスドリンクとして人気があります。レモンスライスを浮かべるとビジュアルも整います。
アレンジの幅が広いのがラベンダーシロップの魅力です。一度作れば、1本のシロップでドリンクからデザートまで使い回せるので、コスパも良好です。
市販のラベンダーシロップ(例:モナンのラベンダーシロップ、500ml・約1,400円前後)と比較すると、自家製は150〜200ml程度が材料費200〜400円で作れます。使い切りサイズで新鮮なうちに楽しめる点が自家製の大きなメリットです。