リコピンはカロテノイドの一種で、トマトの赤い色素成分です。その最大の特徴は強力な抗酸化作用にあり、β-カロテンの2倍以上、ビタミンEの約100倍もの抗酸化力を持つとされています。
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活性酸素は体内で細胞伝達物質や免疫機能として重要な役割を果たす一方、増えすぎると細胞を傷つけ、老化や免疫機能の低下を引き起こします。リコピンはこの過剰な活性酸素を効率的に除去することで、細胞の酸化ストレスを軽減します。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11179732/
研究によると、リコピンは単なる抗酸化物質としてだけでなく、細胞内のシグナル伝達を調節する役割も持っています。これにより、遺伝子発現や酵素活性に影響を与え、多様な健康効果をもたらすことが明らかになっています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7464847/
リコピンには生活習慣病の予防・改善効果が複数報告されています。特に注目されるのが心血管系への作用です。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8868303/
悪玉コレステロール(LDL)の酸化を抑制することで、血管内の血栓形成を防ぎ、動脈硬化のリスクを低減します。1日15mgのリコピン摂取により血圧低下作用が認められ、正常高値血圧者の血圧を正常域に近づける効果が期待されています。
参考)リコピン
また糖尿病予防の分野でも研究が進んでいます。リコピンの抗酸化作用により、酸化ストレスが原因となる糖代謝異常を改善する可能性が示唆されています。8週間のリコピン摂取で善玉コレステロール(HDL)が上昇したという報告もあり、脂質代謝の改善にも寄与します。
参考)トマトのリコピンが糖尿病リスクを低下 血管を健康にする抗酸化…
さらに、がん予防、アレルギー対策、骨粗鬆症予防、白内障予防などの分野でもリコピンの効果が期待されています。
参考)https://www.rakuten.ne.jp/gold/pycno/special/about_rikopin.html
美容面でのリコピン効果として特に注目されるのが、紫外線によるダメージから肌を保護する作用です。
参考)紫外線から肌を守る機能性が報告された成分・リコピンを含有!機…
健常成人がリコピン8mgを摂取することで、紫外線により生じるサンバーン(紅斑)の発生が抑制されたという研究結果があります。また、リコピン16mgを継続的に摂取することで、紫外線刺激から肌を保護する効果が確認されています。
参考)紫外線対策でも注目!リコピン|サプリメントのヘルシーパスブロ…
リコピンは紫外線照射時に最も早く消耗される抗酸化物質であり、肌において防御的な役割を果たしています。活性酸素によるメラニン色素の過剰生成を抑制することで、シミやくすみの予防効果が期待できます。
参考)リコピンとは?期待できる効果や含まれる食べ物、摂取のポイント…
血流改善効果も美肌につながります。リコピンは血管内のコレステロール酸化を防ぎ、血液の流れを改善することで、毛細血管まで栄養を届け、血色の良い健康的な肌を保ちます。
参考)【成分解説】リコピンがもたらす3つの美肌効果とは効果的な摂取…
カゴメのトマト大学では、リコピンの美容・健康効果について詳細な研究データが公開されています
リコピンの1日あたりの推奨摂取量は15~20mgとされています。厚生労働省の日本人の食事摂取基準では特に定められていませんが、一般的にこの量が目安とされています。
参考)https://paradise-curiosity.com/archives/1477.html
具体的な食品での摂取目安は以下の通りです:
参考)トマトの食べ過ぎはなぜNG?身体に与える影響と1日あたりの目…
過剰摂取による重大な副作用の報告はありませんが、大量に摂取すると皮膚が黄色やオレンジ色に変わる可能性があります。この症状は摂取を中止すると徐々に正常に戻ります。毎日適量を継続的に摂取することが重要です。
参考)リコピンとは?効果と含む食品の摂取方法を解説
薬を服用中の方や治療中の方は、リコピンサプリメントを摂取する前に医師に相談することをおすすめします。
リコピンは脂溶性の成分であるため、油と一緒に摂取することで吸収率が飛躍的に向上します。
参考)トマトの栄養を最大限に摂る方法。生と加熱、どちらが効果的? …
生トマトの状態では、リコピンは細胞壁に覆われており体内への吸収が制限されています。しかし加熱調理することで細胞壁が壊れ、リコピンが溶け出しやすくなります。炒め物や煮込み料理、トマトソースなどの加熱調理がリコピン摂取に効果的です。
参考)トマトジュースとオリーブオイルを一緒に摂るメリットとデメリッ…
特におすすめなのがオリーブオイルとの組み合わせです。トマトジュースにオリーブオイルを小さじ1杯程度加えると、リコピンが油に溶け出し、共に体内に吸収されるため非常に効率的です。オリーブオイルにはオレイン酸やリノール酸といった良質な脂質が含まれており、健康面でも理想的な組み合わせといえます。
参考)オススメは朝or夜?トマトの栄養リコピンを効率良く摂る方法|…
トマト加工品の中でも、加工用トマトは生食用トマトと比較してリコピン含有量が多く、果肉が厚く果皮にリコピンが豊富に含まれています。トマトジュースやトマト缶などの加工品を選ぶ際は、リコピン含有量が表示されているものを選ぶと良いでしょう。
参考)【リコピン】多く含むのはどのトマト!? 効率よくリコピンを摂…
摂取のタイミングとしては、朝に摂取するとリコピンの吸収率が高まるという研究結果も報告されています。
参考)~トマトジュースと紫外線のおはなし~
カゴメの研究によると、朝のトマト摂取が最も効率的なリコピン吸収につながります