ロングブラックを「薄いエスプレッソ」だと思って頼んだら、想像より全然濃くて驚いた経験はありませんか?
ロングブラックとは、熱湯(約60〜70mlほど)を先にカップに注ぎ、その上にダブルエスプレッソ(約30〜40ml)を静かに重ねて作るコーヒーのことです。このお湯とエスプレッソの比率はおよそ2:1が基本で、全体量はカフェラテのような大きなカップではなく、小ぶりなカップ(120〜150ml程度)で提供されます。
「アメリカーノと同じじゃないの?」と思う方も多いですが、実は作る順番がまったく逆です。アメリカーノはエスプレッソを先に入れてからお湯を注ぎますが、ロングブラックはお湯を先に入れます。この順番が味の決め手になります。
お湯を先に入れることで、エスプレッソのクレマ(泡)が壊れずに表面に美しく残ります。クレマとはエスプレッソの最上層に浮かぶ、きめ細かいキャラメル色の泡のことで、コーヒーの香りと旨みを閉じ込めている大切な部分です。アメリカーノではこのクレマが崩れやすいのに対し、ロングブラックではクレマが保たれるため、一口目から香りが際立ちます。つまり飲み方の体験が根本から違います。
ロングブラックが生まれたのは、オーストラリアとニュージーランドのカフェ文化からです。1950年代にイタリア移民がオーストラリアに持ち込んだエスプレッソ文化が、現地の人々の「もう少し量を多く飲みたい」というニーズと融合し、ロングブラックというスタイルが定着していきました。
オーストラリアのメルボルンは「世界一カフェ文化が発達した都市」と呼ばれることもあり、フラットホワイトやロングブラック、マジックコーヒーなど独自のメニューが数多く生まれた地です。これらのメニューは現在、スペシャルティコーヒーの流行とともに日本国内にも広まっています。
日本国内でも、東京・大阪・福岡などの都市部を中心に、ロングブラックをメニューに載せるスペシャルティカフェが2015年ごろから急増しました。意外な豆知識ですね。現在ではスターバックスやブルーボトルコーヒーなど大手でも関連するブラックコーヒーのスタイルが提供され、一般への認知度も上がっています。
主婦の方々がランチのあとや買い物の合間に立ち寄るカフェでも、ロングブラックはメニューに登場するケースが増えています。知っておくと注文がスムーズです。
ロングブラックの味の大きな特徴は、エスプレッソそのものの風味をダイレクトに感じながら、飲みやすい量で楽しめることです。お湯で希釈されているとはいえ、アメリカーノよりも濃度感が高く、豆の個性(フルーティな酸味やチョコレートのような甘み)が前面に出ます。
苦みの強さは使用するエスプレッソ豆の焙煎度合いによって大きく変わります。深煎り豆を使えばビターでコクのある仕上がりに、中煎り〜浅煎り豆を使うとフルーティで明るい酸味が楽しめます。スペシャルティコーヒーのカフェでは浅煎りのロングブラックを提供することが多く、「コーヒー=苦い」というイメージとは異なる体験ができます。
カフェインの量については、ダブルエスプレッソをベースにするため、一般的なドリップコーヒー1杯(約150mg)に対し、ロングブラック1杯には約80〜120mg程度のカフェインが含まれるとされています。量は少なく見えても、カフェインはしっかり入っています。午後遅い時間や就寝前の摂取には注意が必要です。
ミルクや砂糖を加えずブラックのまま飲むのが基本スタイルですが、少量のはちみつを添えると甘みが加わりつつコーヒーの風味を損ないません。これは試してみる価値があります。
「ロングブラックは専用のエスプレッソマシンがないと作れない」と思っていませんか?実は完全ではないものの、家庭でもかなり近い味わいを再現できます。
最も手軽な方法は、モカポット(直火式エスプレッソメーカー) を使う方法です。モカポットはイタリア生まれの家庭用器具で、直火にかけることで高圧でコーヒーを抽出します。1,500円〜3,000円程度で購入でき、スーパーやAmazonなどでも手に入ります。モカポットで濃くコーヒーを抽出し、先にお湯60mlほどをカップに注いでからその上にコーヒーを静かに加えれば、ロングブラックに近いスタイルになります。
もう一つは濃いめのドリップコーヒーを使う方法です。豆を通常の1.5〜2倍量使い、少ない湯量で抽出します。お湯を先にカップに注ぎ、その上からゆっくりドリップコーヒーを重ねれば、クレマこそ出ませんが風味の濃いブラックコーヒーとして楽しめます。
自宅再現のポイントをまとめると以下の通りです。
モカポットを選ぶ際は、ビアレッティ(Bialetti)のブランドが世界的に有名で、品質が安定しています。初めて購入するなら「モカエキスプレス 2カップ用」が家庭での一人〜二人分にちょうどよいサイズです。
ロングブラックはミルクや砂糖を加えないブラックコーヒーのため、1杯あたりのカロリーはほぼゼロです。具体的には1杯あたり約5〜10kcal程度とされており、ダイエット中でも取り入れやすい飲み物といえます。これは嬉しい情報です。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸という抗酸化物質は、食後の血糖値上昇をゆるやかにする効果が複数の研究で示されています。日本の農林水産省などもポリフェノールとしての機能性を紹介しており、食後に1杯飲む習慣は健康面でのメリットが期待できます。ただし飲みすぎは禁物です。
一方で気をつけたいのが、空腹時や鉄分の吸収との関係です。コーヒーに含まれるタンニンは、食事中の非ヘム鉄(植物性食品の鉄分)の吸収を最大で60〜70%妨げることが研究で報告されています。特に貧血気味の方や妊娠中・授乳中の方は、食事と同時にコーヒーを飲む習慣に注意が必要です。鉄分吸収を妨げたくない場合は、食後30分以上あけてから飲むと安心です。
カフェインの過剰摂取についても把握しておくことが大切です。欧州食品安全機関(EFSA)が示すガイドラインでは、健康な成人の1日のカフェイン摂取量の上限はおよそ400mgとされています。ロングブラックを1日3杯以上飲む習慣がある場合は、合計カフェイン量が上限に近づく可能性があります。カフェイン量に注意が必要です。
参考:農林水産省によるカフェインの過剰摂取に関する情報
農林水産省|カフェインの過剰摂取について
カフェでメニューを見たときに「どれを頼めばいいかわからない」という経験は多くの方にあると思います。ロングブラック・フラットホワイト・アメリカーノの3つは特に混同されやすいので、違いを整理しておくと便利です。
以下の比較表をご覧ください。
| メニュー名 | ベース | 加えるもの | 量の目安 | 風味の特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ロングブラック | ダブルエスプレッソ | お湯(先) | 120〜150ml | 濃くてクレマあり、豆の個性が出る |
| アメリカーノ | シングル〜ダブルエスプレッソ | お湯(後) | 150〜240ml | 薄めでクレマが崩れやすい |
| フラットホワイト | ダブルエスプレッソ | スチームミルク | 150〜180ml | 濃厚でミルクのコクがある |
選び方の目安としては、「コーヒーそのものの風味をしっかり味わいたい」「ブラックが好き」という方にはロングブラック、「もう少し薄めでたっぷり飲みたい」という方にはアメリカーノ、「ミルクのコクも欲しい」という方にはフラットホワイトが向いています。自分の好みに合わせて選べます。
スペシャルティコーヒー専門店では、使用するシングルオリジン豆の説明をスタッフが丁寧に教えてくれることが多いです。「どの豆がロングブラックに向いていますか?」と一言聞いてみるだけで、よりおいしい一杯を選びやすくなります。これは使えそうです。
カフェ選びの際は、「スペシャルティコーヒー」「シングルオリジン」という言葉をメニューや看板で見かけたら、豆の品質にこだわっているカフェである可能性が高いです。そういったカフェでロングブラックを頼むと、豆の個性が最も引き立つ形で楽しめます。
参考:スペシャルティコーヒーの定義と品質基準について
日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)|スペシャルティコーヒーとは
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