ゆっくり丁寧に巻くほど、ロールケーキはひび割れやすくなります。
ロールケーキの巻き方には、大きく分けて2種類あります。それが「内巻き(裏巻き)」と「外巻き(表巻き)」です。この2つはどちらを選ぶかで、仕上がりの難易度が大きく変わります。
内巻きとは、焼き目が内側になるように巻く方法です。外側に来るのはふわふわとした弾力のある生地面なので、多少の力がかかっても割れにくいという特徴があります。初めてロールケーキに挑戦する場合は、内巻きから始めるのがおすすめです。
一方、外巻きは焼き目を外側に見せる巻き方で、断面の見た目が華やかになります。ただし、焼き目の部分は水分が少なく乾燥しやすいため、巻いたときに皮がはがれたり、ひびが入りやすくなります。外巻きが得意になるまでは、3回以上の練習が必要という声も多いです。
つまり、まず内巻きで成功体験を積む、が基本です。
内巻きと外巻きは、見た目の仕上がり以外に巻きやすさが大きく違います。どちらの場合も、巻き方の手順自体は同じなので、基本のコツをしっかり覚えておけば両方に応用できます。外巻きに挑戦したいときは、生地の乾燥を防ぐことと一気に巻くことをより強く意識しましょう。
| 巻き方 | 難易度 | 外観の特徴 | おすすめ対象 |
|---|---|---|---|
| 内巻き(裏巻き) | ⭐ 易しい | 白くふわっとした見た目 | 初心者 |
| 外巻き(表巻き) | ⭐⭐⭐ 難しめ | きつね色の焼き目が外側に | 中級者〜 |
「きれいに焼けたのに、巻いたら割れてしまった…」という失敗は、ロールケーキで最も多いトラブルです。この割れの原因は、主に3つに分けることができます。
まず1つ目は、卵の泡立て不足や粉の混ぜ不足です。生地の気泡が大きくなりキメが粗くなると、巻いたときにその部分から裂けてしまいます。卵は白っぽくなるまでしっかりと泡立て、粉を加えたらムラなく混ぜることが重要です。
2つ目は、焼きすぎによるものです。ロールケーキ生地は薄いため、低温でじっくり焼くと水分が飛びすぎて硬くなります。一般的な目安は180℃で10〜12分程度。ポイントは「高温・短時間」で一気に焼き上げることです。
3つ目が、冷ます際の乾燥です。これが意外に見落とされがちなポイントです。焼き上がった生地をそのままケーキクーラーに乗せて長時間放置すると、表面が乾いて割れやすくなります。乾燥に注意するだけで割れ率が大幅に下がります。
対処法は明快です。焼き上がったらすぐにクッキングシートをかぶせて保湿し、生地が完全に冷めたらすぐに巻き作業に入ることです。「後で巻こう」という先延ばしが、失敗の最大の原因といえます。
参考:ロールケーキの割れ対策・乾燥防止のポイントが詳しく解説されています
ロールケーキの成功法!プロの仕上がりになる3つのコツ|アトリエエスリエゾン
生地と同じくらい重要なのが、生クリームの状態です。ここを間違えると、形が崩れたり横からクリームがはみ出したりする原因になります。
まず、使う生クリームの乳脂肪分に注目しましょう。乳脂肪分40%以上の動物性生クリームは、泡立てたときにしっかりとした固さが出やすく、ロールケーキのような巻き作業に向いています。スーパーで安価に売られている植物性ホイップクリームや乳脂肪分35%前後のものは泡立てに時間がかかり、固さのコントロールが難しいことがあります。
泡立て加減の目安は8分立てです。ホイッパーを持ち上げたときにツノが立ち、先端が少しおじぎするくらいのかたさが理想です。ツノがまっすぐ立つ「10分立て」まで泡立ててしまうと、生地に塗るときにうまく伸びず、ゴソゴソした仕上がりになってしまいます。
クリームは時間が経つとやわらかくなります。
泡立てたあとは、使う直前に再度かたさを確認することが大切です。また、泡立て中はボウルを必ず氷水に当てながら作業してください。常温のまま泡立てると温度が上がりすぎ、分離してバサバサになることがあります。特に夏場は室温の影響を受けやすいので要注意です。
クリームを生地に塗るときは、手前を厚め・奥を薄めにするのが基本です。巻くと手前のクリームが芯の部分に集中するため、このバランスにすることで均一な断面に仕上がります。
準備が整ったら、いよいよ巻きの工程です。巻き方の手順をひとつずつ確認していきましょう。
①作業台の準備
まず、作業台の上にシルパットや濡れ布巾などの滑り止めを敷きます。これがないと巻いている途中に生地がずれてしまい、形が崩れる原因になります。100円ショップのシリコン製鍋敷きでも代用可能です。
②生地の端を斜めにカット
手前側と奥側の端を斜めにそぎ切りします。斜めにカットすることで「の」の字の巻き始めと巻き終わりがきれいにおさまり、断面が美しく見えます。切り幅の目安は1cmほどです。
③芯を作る
手前の生地に1cm間隔で3本ほど軽く筋を入れ、その筋に沿って生地を折るようにしてコロッとした小さな芯を作ります。この芯が「の」の字を作る核になります。芯がしっかりすると、その後の巻きが安定します。
④一気に巻く
これが最大のポイントです。芯に沿わせながら紙(ベーキングシート)を台と平行に進め、一気に奥へ巻いていきます。途中で止めたり、おそるおそるゆっくり巻くのは逆効果で、生地に余計な負荷がかかって割れやすくなります。
⑤定規で締める
巻き終わったら、ベーキングシートの上から30cm定規を当てて、シートの下の端を奥に引っ張ります。これによって全体がきゅっと締まり、丸みのある形が整います。左右の太さが均一になるように確認しながら調整しましょう。
⑥冷蔵庫で休ませる
巻いたロールケーキはラップでしっかり包み、冷蔵庫で最低1時間(できれば2時間以上)冷やします。クリームが落ち着いてカットしやすくなります。冷やしが足りないとカットした瞬間に形が崩れることがあります。
冷やしてからカットが絶対条件です。
参考:プロの巻き方の手順が画像つきで確認できます
ここでは、検索上位ではあまり語られない視点として「冷やし巻き」の考え方を紹介します。通常のレシピでは「生地が冷めてから巻く」とされていますが、プロの現場では「完全に冷えきる前に巻き始めることが外巻きの成功率を上げる」という考え方もあります。
その理由は、生地はある程度の温度があるうちの方が柔軟性が高いからです。完全に冷えてしまうと、生地が収縮して固くなり、わずかな曲げ力でもひびが入りやすくなります。特に焼き目を外側にする外巻きでは、この収縮が大きな失敗につながります。
一方、生地に衛生面の問題が出てくるのは、クリームと合わさってからです。生地の粗熱が取れる時間は15〜20分ほどで、この段階でクリームを塗り始めることで、外巻きの成功率が上がるという声が多くあります。
内巻きの場合は、逆に完全に冷ましてからの方が扱いやすいという声もあります。内巻きは生地の収縮の影響を受けにくいため、作業を急ぐ必要は低いです。
この「生地の温度と巻くタイミング」は、ロールケーキの完成度に直結します。何度試しても外巻きがうまくいかない場合は、巻くタイミングを少し早めにしてみることをおすすめします。生地の柔軟性が残っているうちに巻き始めるだけで、驚くほど仕上がりが変わります。
参考:焼成後の生地の扱い方と表巻きの失敗原因について詳しく解説されています
『表巻きロールケーキ』;「割らない」ための焼成と焼成後の処理|pour les petits
せっかくきれいに巻けたロールケーキも、カットの仕方を間違えると断面が崩れてしまいます。ここではカット方法のコツを確認しましょう。
まず、使うナイフは「切れ味の良いもの」を選びます。波刃のパン切りナイフはロールケーキの断面が荒れやすいので、できれば薄刃のシェフズナイフや菜切りナイフが適しています。カット前にナイフをお湯で温め、布巾で水気を拭き取ってから使うと、クリームがナイフにくっつかずスッと切れます。
1回カットするごとにナイフをきれいに拭くことが大切です。
カットする幅の目安は3〜4cmです。これはちょうど指4本分に相当する幅で、フルーツ入りのロールケーキなら断面のフルーツが映えるサイズ感になります。薄く切りすぎるとクリームと生地が崩れやすく、厚く切りすぎると食べにくくなります。
盛り付けの際は、断面の「の」の字が正面を向くようにお皿に置くのが一般的な飾り方です。切り口を上向きにしてから少し斜めに傾けて置くと、ケーキスタンドやお皿の上でバランスよく見えます。
フルーツ入りのロールケーキを作る場合、カット後のフルーツの位置が均等になるように、最初のフルーツ配置から計画することも重要です。例えば、いちごを芯に使う場合は、カット幅に合わせていちごを一定間隔(3〜4cm間隔)で並べておくと、どの断面にも必ずいちごが見えるように仕上がります。
参考:フルーツロールケーキの断面を美しく仕上げる方法の詳細はこちら
もう失敗しない!ロールケーキの上手な巻き方をプロが解説|macaroni