実は渋柿は甘柿より糖度が20度前後と高く、渋さが甘みを隠しているだけです。
柿が渋い理由は「タンニン」という成分にあります。タンニンは緑茶やワインにも含まれる成分ですが、渋柿にはとくに多量の「水溶性タンニン」が含まれています。口に入れると唾液に溶け出し、舌のたんぱく質と結びついてあの強烈な渋みを引き起こします。
甘柿にもタンニンは含まれていますが、甘柿のタンニンは「不溶性」です。つまり口の中で溶けないので渋みを感じないのです。これが甘柿と渋柿の根本的な違いです。
ここで驚くのが糖度の話です。渋柿は「渋くて食べられない」というイメージがありますが、実は甘柿の糖度が16度前後なのに対して、渋柿の糖度は20度前後もあります。渋みに隠れているだけで、本来は甘柿よりずっと甘い果物なのです。
渋抜きとは、この水溶性タンニンを不溶性に変える作業のことです。タンニンを「抜く」のではなく「不溶化させる」のが正確な表現で、それにはアセトアルデヒドという物質が鍵を握っています。仕組みを理解しておくと、なぜ焼酎やドライアイスで渋が抜けるのかがスッキリわかります。
参考:渋柿と甘柿の糖度の違い・脱渋の仕組みについて詳しく解説されています。
焼酎を使う方法が、自宅での柿の渋抜きで最も一般的です。必要なものはアルコール度数35度以上の焼酎(ホワイトリカーが最適)、ビニール袋だけ。手順はシンプルです。
まず、渋柿の汚れをキッチンペーパーで拭き取ります。次に浅い器に焼酎を入れ、柿のヘタを下にして数秒だけ浸します。ボウル一杯に焼酎を用意する必要はなく、大さじ3程度で1個分には十分です。その後、焼酎が付いたままの状態でビニール袋に入れ、できるだけ空気を抜いてしっかり密封し、常温の冷暗所に置きます。
大切なのは「密封」と「温度」の2点です。空気が入ったまま放置すると渋抜きの反応が進みにくくなります。また冷蔵庫に入れてしまうと、化学反応が遅れてなかなか渋が抜けません。15〜20℃の室温が理想的です。
小さめの柿であれば約1週間、大きいものは2週間が目安です。アルコール度数が高いほど渋が抜けるのが早く、47度前後の焼酎なら5〜7日程度で完了することもあります。焼酎ではなく専用の「渋抜き職人」などの市販品を使うと、さらに確実です。
| 焼酎の度数 | 渋抜きの目安日数 | コメント |
|---|---|---|
| 35度(ホワイトリカー) | 1週間〜10日 | 最もポピュラー |
| 44〜47度 | 5〜7日 | より早く渋が抜ける |
| 渋抜き専用品(47度) | 約5日 | 失敗しにくい |
密封と適温管理が基本です。この2点さえ守れば、焼酎法は非常に安定した渋抜き方法です。
参考:焼酎の度数別の渋抜き日数や保存方法について公式回答があります。
「今すぐ食べたい」「1〜2週間も待てない」という方のために、より短時間で渋を抜く方法がいくつかあります。それぞれの特徴と手順を整理しておきましょう。
電子レンジを使う方法は最も手軽です。柿の皮をむき、十字の切り込みを入れてラップの上に置きます。スプーン半分ほどの焼酎を全体にかけてからラップでしっかり包み、600Wで30〜40秒加熱します。加熱後は完全に冷ましてから食べてください。当日中に渋が抜けるのが最大のメリットです。ただし、食感が柔らかくなりやすいので、シャキっとした食感を好む方には向きません。
ドライアイスを使う方法は、もともと業者が産地で大量に渋抜きする際に使う手法を家庭版にアレンジしたものです。新聞紙で包んだドライアイスと柿を一緒にビニール袋に入れ、空気をしっかり抜いて密封します。ドライアイスの量は柿1kgに対して約12gが目安で、ケーキ屋さんでもらえるドライアイスで十分です。4〜5日で渋が抜けます。ただし、ドライアイスが柿に直接触れると柿が傷むので、必ず新聞紙で包むことがポイントです。
お湯を使う「湯ざわし」は昔ながらの方法です。40〜50℃のお湯に渋柿を浸し、温度が下がらないよう保温しながら一晩おきます。アセトアルデヒドが発生しやすい温度帯を活かした仕組みで、温度管理がやや手間ですが焼酎を使いたくない方には選択肢になります。これは使えそうです。
急ぎの場合はレンジ法、食感重視の場合はドライアイス法と使い分けると便利です。
参考:電子レンジを使った渋抜き方法など、家庭向けの各種方法がまとまっています。
2023年1月号「渋柿の干し柿以外の渋を抜く方法は?」 – JAあいち海部
「冷凍すれば渋が抜ける」という情報を見聞きして試したことのある方は多いかもしれません。確かに冷凍は渋抜きの一手段ですが、「完全に渋みが抜ける保証はない」という点は知っておくべき重要なポイントです。
冷凍による渋抜きのメカニズムは、柿を冷凍することで細胞が破壊され、タンニンが不溶化しやすくなるというものです。ただし冷凍の場合、焼酎やドライアイスのように「アセトアルデヒドを積極的に発生させる」わけではないため、渋みが中途半端に残ることが多く報告されています。
渋みを残さないコツは次の2点です。まず、中途半端な冷凍は禁物です。芯まで完全に凍らせることが必要で、目安は3日以上の冷凍です。そして解凍は「冷蔵庫でゆっくり24時間かけて行う」ことが大切で、室温で急速に解凍すると渋みが残りやすくなります。
もう一点、冷凍した柿は解凍後に食感がシャーベット状になるため、「生の柿と同じように食べたい」という場合には不向きです。シャリシャリした食感がお好きな方や、スムージー・ジャムなどに加工する目的なら、冷凍法は非常に手軽で有用な方法です。
食感を重視するなら焼酎法が原則です。冷凍は「加工用途向けの渋抜き法」と理解しておくと、使い分けがしやすくなります。
渋抜きをした柿は、栄養面でも非常に優秀な食品です。柿1個(約200g)に含まれるビタミンCは約140mgで、成人1日の推奨摂取量100mgを超えます。みかん100gあたり約32mgのビタミンCと比べると、約2倍以上の量です。レモン1個分のビタミンCが約20mgであることを考えると、その豊富さがよくわかります。
ビタミンCは抗酸化作用により肌荒れ改善や風邪予防に働きます。さらにカリウム、食物繊維、β-クリプトキサンチンも豊富で、秋から冬にかけての体のケアにうってつけの果物です。
ただし、渋抜き後の柿は甘柿よりも日持ちが短い点に注意が必要です。渋抜き完了後は常温のまま数日で傷みやすくなるため、食べきれない場合は冷蔵庫で保存し2〜3日以内を目安にするのがおすすめです。
渋抜き後の柿を活用する方法として、意外にも料理への活用がおすすめです。甘みが強い渋抜き柿はそのまま食べるのはもちろん、サラダや柿ドレッシング(柿の果肉に酢・砂糖・塩・レモン汁・オリーブオイルを混ぜるだけ)、トーストにのせてシナモンと蜂蜜をかける柿トーストなど、日常的に活用できます。これは使えそうです。
渋抜き後の保存には冷蔵が基本です。余ったときは冷凍保存してスムージーや離乳食に活用するのが、無駄なく使い切るコツです。
参考:柿に含まれる栄養素の具体的な量と健康効果について詳しく説明されています。
柿は栄養満点!成分の特徴から栄養を損なわない食べ方のコツまで – ふるなび
渋柿にも種類があり、種類によって渋の抜けやすさが変わります。この点を知らずに一律で同じ方法を使うと、「なかなか渋が抜けない」という失敗につながることがあります。渋柿は大きく「完全渋柿」と「不完全渋柿」に分かれます。
完全渋柿は、種が入っても渋みが残るタイプです。代表品種は「蜂屋柿(岐阜県美濃加茂市産)」「西条柿」「天王柿」などで、主に干し柿(あんぽ柿・枯露柿)の原料として使われます。渋みの成分が非常に強く、アルコール法でも2〜3週間かかる場合があります。完全渋柿が基本です。
不完全渋柿は、種が入ることで種の周辺だけ渋みが抜けるタイプです。代表品種はスーパーでよく見かける「平核無柿(ひらたねなしがき)」や「身不知柿(みしらずがき)」です。渋抜きしやすく日持ちも良いため、自宅での渋抜きには不完全渋柿が適しています。
| 種類 | 代表品種 | 渋抜きの難易度 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 完全渋柿 | 蜂屋柿・西条柿・天王柿 | やや難しい | 干し柿・加工用 |
| 不完全渋柿 | 平核無柿・身不知柿 | 比較的簡単 | 生食・渋抜き向き |
自宅で初めて渋抜きをするなら、不完全渋柿を選ぶのが失敗しにくい選択です。店頭で購入するときに「平核無柿」や「身不知柿」という品種名を確認するか、産直品を扱う農産物直売所でスタッフに渋柿の種類を聞いてみると確実です。品種を確認することが条件です。
また、完全渋柿を使いたい場合は、焼酎の度数を47度以上に上げるか、専用の渋抜き剤(固形アルコール製品)を使うことで渋抜きの精度が上がります。大阪府立環境農林水産総合研究所や農産物直売サイトなどでも、品種別の渋抜きアドバイスを公開していることがあるので参考にしてみてください。
参考:渋柿の種類ごとの特徴と渋抜きのしやすさについて詳しく解説されています。
渋柿の渋抜き方法を教えて欲しい – 大阪府立環境農林水産総合研究所
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