品川カブの種は一般的なカブとは異なり、入手方法が限定されています。現在のところ、品川カブとして販売されている種は市場流通が少なく、主に「東京大長カブ」という名称で販売されているものが品川カブの元となった品種です。
参考)品川カブ - Wikipedia
種の購入先としては、タキイ種苗やサカタのタネなどの大手種苗メーカーのオンラインショップでカブの種を購入できますが、品川カブ専用の種を探す場合は江戸東京野菜の普及活動を行っている団体や、品川区内のイベントで配布される機会があります。一般的なカブの種は1袋300円から500円程度で、ホームセンターや園芸店、インターネット通販で購入可能です。
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品川区では2007年から福祉施設、学校、幼稚園、区民農園利用者らに種子を配布する取り組みが行われており、地元での栽培活動が広がっています。食育の一環として栽培・収穫して給食の食材に使う小学校もあり、地域に根付いた活動が展開されています。
品川カブを含むカブ類の栽培には年2回の適期があります。春まきは3月から4月に種をまき、6月頃に収穫します。秋まきは8月下旬から9月に種をまき、10月下旬から12月にかけて収穫する流れです。特に秋まきの方が甘みが増し、品質の良いカブが収穫できる傾向にあります。
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カブの生育適温は15~25℃と冷涼な気候を好み、発芽適温は20~25℃です。耐暑性は弱く25℃以上の高温では根の肥大が悪くなりますが、低温にはかなり強い特性があります。土壌は有機質に富んだ壌土または砂壌土が適しており、土壌酸度はpH6~6.5が最適です。
参考)カブの栽培方法・育て方
品川周辺と土の質が似ている滝野川周辺(現在の北区)でも同じカブが栽培されていた歴史があり、土壌環境が栽培の成否を左右する重要な要素となっています。プランター栽培の場合は65型以上のサイズを使用し、野菜用の培養土を用意すれば家庭でも十分栽培可能です。
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種まきは条まき方式が基本です。プランター栽培の場合は深さ1cmの溝を作り、15cmの間隔をあけて溝を作って種をまきます。畑栽培の場合は条間15~20cmを確保して1cmの溝を作り、種を条まきした後、軽く土をかぶせて鎮圧します。種まきから4日~5日ほどで発芽するため、発芽するまでは土が乾燥しないように注意が必要です。
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害虫対策として、種まき後は防虫ネットや寒冷紗をかぶせることが重要です。春まきの場合は特に害虫被害に遭いやすいため、トンネルを作って防虫ネットをかぶせておくと安心です。
間引きは生育に合わせて数回行います。本葉が2~3枚になったら株間3~4cmに、本葉5~6枚で株間6~8cmに、最終的には小カブの場合10~12cm程度の株間を確保します。土壌水分が豊富な時にカブは豊円形となり、土壌水分が少ないと縦長になる特性があるため、品川カブのような長カブを育てる場合は水分管理に注意が必要です。
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品川カブの収穫は品種や栽培時期によって異なりますが、秋まきの場合は10月下旬から12月にかけてが収穫期となります。一般的なカブの旬は春(3月~5月)と秋(10月~11月)の2回あり、秋に収穫されるカブは甘みが増して煮物や汁物に最適な品質になります。youtube
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収穫の見極めは根の太さを確認します。品川カブの場合、長さが16~18cm、直径が2~3cmになった頃が収穫適期です。地上部の葉の付け根部分が緑色になることもあり、これは青首大根のような特徴として現れます。
参考)品川かぶ かぶ 味の感想や特徴など 野菜ブログ
品川区では毎年12月に品川カブの品評会が品川神社境内で開催されており、小学生の部・一般の部での表彰のほか、品川カブが入った「品川汁」の振る舞いなどが行われています。このようなイベントを通じて地域コミュニティでの栽培が活性化しています。
参考)江戸東京野菜・品川カブ
品川カブは一般的なカブに比べて果肉がしっかりしており、パリッとした歯ごたえが特徴です。浅漬けにするとカブのうまみと風味を感じることができ、皮ごと食べても美味しくいただけます。
加熱調理では肉質が締まっていて煮崩れしにくく、それでいてホクっとした食感が楽しめます。スープや煮物にする場合は皮をむいた方が舌触りが良くなりますが、葉もやわらかく、根と葉の両方を調理に活用できる点が魅力です。
江戸時代には主に漬物として利用され、江戸っ子の食卓には欠かせない存在でした。現在でも「品川かぶ漬」として塩漬けや糖しぼり漬けが商品化されており、まろやかで甘味のある塩漬けは好評を得ています。炒め煮やみそ汁にも活用でき、様々な調理法で江戸野菜の味わいを堪能できます。
参考)品川カブ
品川かぶの詳しい味の感想はこちら(野菜ナビ)
収穫後の品川カブは適切に保存することで長く楽しめます。まず収穫直後に葉と根を切り分けることが重要で、葉は蒸散作用が強く、つけたままにしておくと根部の水分が急速に失われます。葉を根元から数センチ残して切り落とし、実と葉を分けて保存袋に入れ冷蔵庫で保存します。実は一週間ほど、葉っぱは3日ほど保存できます。
参考)☆かぶの保存方法☆ レシピ・作り方 by とらねこのぱせり …
根の部分は土を軽く落としてから洗わずにキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れるのが基本です。洗ってから保存する場合は水分をしっかり拭き取ってから袋詰めし、袋には数か所小さな穴を開けて通気性を確保すると良いでしょう。
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冷凍保存も可能で、1ヶ月程度日持ちさせることができます。冷凍カブは汁物などの加熱調理に適しており、カブの味噌汁などに活用すると美味しくいただけます。
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栄養面では、カブの根にはアミラーゼという消化酵素が含まれており、でんぷんの消化を助けて胃もたれや胸やけを解消する働きがあります。葉の部分はβ-カロテンを非常に多く含み、抗発ガン作用や免疫賦活作用が期待できるほか、ビタミンCも豊富で風邪の予防や疲労回復、肌荒れなどに効果があります。カリウム・カルシウム・食物繊維も多く含まれており、高血圧の予防や便秘解消効果が期待できます。
参考)カブ(蕪/かぶ)の栄養価と効能:旬の野菜百科
カブの栄養価と効能の詳細はこちら(旬の食材百科)