小ねぎは青ネギ（葉ネギ）を若採りしたもので、細ねぎや万能ねぎなど複数の呼び名があります。通年流通しており、主に料理の彩りや薬味、汁ものなどに使われる日常的な野菜です。緑色の葉の部分にはβカロテンが豊富に含まれており、緑黄色野菜に区分されています。
通常、小ねぎは根付きの状態で袋に入れられて販売されています。この根の部分を10cm程残した状態で土に植えておくと、また新たにネギが伸びてきて収穫することもできます。これは小ねぎのお得な特徴で、一度の購入で何度も収穫を楽しめる可能性があるのです。
小ねぎと混同されやすい野菜があります。特にアサツキ（浅葱）とは姿が似ており、地方、特に関東以北では混同がしばしばみられます。小ねぎと長ねぎ（白ねぎ）の大きな違いは、食べる部分の色と太さです。
小ねぎは「葉ネギ」の一種で、緑色の葉部分がほとんどです。一方、長ねぎ（根深ねぎ・白ねぎ）は白い部分を食べるもので、東日本が主流です。関西では青ねぎや小ねぎが主流であるなど、地域による食文化の違いが存在します。万能ねぎは小ねぎの一種であり、商品名です。小ねぎも万能ねぎも同じく葉ネギを若採りしたものですが、万能ねぎは特に福岡県の博多万能ねぎとしてブランド化された商品を指すことが多いです。
小ねぎの辛みやにおいは他のねぎより少なく柔らかいため、加熱料理にも生のまま薬味やサラダの具として、名前の通り万能に何にでも使えます。
小ねぎには多くの栄養素が凝縮されています。ビタミンCとβカロテンは青ねぎと比べても小ねぎが最も多く含まれており、これが小ねぎを薬味として優れた選択にしています。ビタミンCは熱に弱いので、生で食べると効率的に摂ることができます。刻んで薬味に使うときはたっぷり使用することをおすすめします。
小ねぎに含まれる硫化アリルという成分は、ねぎのツンとした香りの正体で、ねぎの白い部分に多く含まれています。この硫化アリルは消化液の分泌を促すため、食欲が落ちたときにおすすめです。さらに、硫化アリルは糖質の代謝に関係するビタミンB1の吸収を高める作用や殺菌効果、血液をサラサラにするなど様々な働きがあります。
小ねぎのカリウムはカルシウムよりも豊富で、電解質バランスを調整します。葉酸も含まれており、細胞分裂に関わる重要な栄養素です。細胞を丈夫にするビタミンCと細胞を作るタンパク質が小ねぎに豊富なため、鶏肉や豚肉と組み合わせると風邪予防に効果的です。
小ねぎは各地で栽培され、多くのブランドが存在します。日本初の空輸野菜「フライト野菜」として注目されたのは博多万能ねぎで、福岡県朝倉市で栽培されています。もともと白ネギ文化だった関東へ青ネギ文化を広めたのはJA筑前あさくらの博多万能ねぎ部会です。その功績により、1986年に第15回日本農業賞、第25回全国農林水産祭で天皇杯を受賞しています。「万能ねぎ」は商標登録されており、万能ねぎと呼べるのはJA筑前あさくらから出荷された「博多万能ねぎ」のみです。「生でよし、煮てよし、薬味によし」と三拍子揃っていることから、この名前が付けられました。
その他の主要なブランド小ねぎには、山口県下関の「安岡ねぎ」、佐賀県唐津市の「うまかねぎ」があります。安岡ねぎは「ふくねぎ」とも呼ばれ、ふぐ鍋の定番です。緑色が濃く、ふぐ鍋以外にもうどんや瓦そばなどに使われます。うまかねぎは虹の松原に抱かれた地で育ったブランド小ねぎで、緑色が濃くて香り高く、歯肉がしっかりとあるため刻んでも輪がつぶれず、シャキッとした姿が特長です。
大分県では「大分味一ねぎ」、高知県では「やっこねぎ」、宮城県では「仙台小ねぎ」、名古屋市では「なごやっこ葱」が栽培されています。名古屋市のなごやっこ葱は水耕栽培で作られており、名古屋市立の小学校給食にも使われています。さらに高級品種として「鴨頭ねぎ（こうとうねぎ）」があります。九条葱の最も細いもので、「高等ねぎ」ともよばれており、山口県や福岡県で栽培されています。極立性で伸びの良いF1品種で、緑色が濃く、ふぐ料理に欠かせないことから、通称「ふぐねぎ」ともよばれています。
小ねぎを選ぶときは、緑色が濃く、葉がまっすぐ伸びているものを選びましょう。葉先まで緑色が鮮やかなものが、新鮮で栄養価も高い証拠です。くたびれて色が薄いものや、葉が折れ曲がっているものは避けるべきです。根の部分も白くしっかりしているものが新鮮です。
小ねぎの保存は乾燥を防ぐことが最も重要です。濡らしたペーパータオルで包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存することで、新鮮さを保ちやすくなります。なるべく早く使い切ることが、小ねぎの風味と栄養を活かすコツです。ただし、ねぎは冷凍保存もできます。使いやすい大きさに切り、保存袋に入れて冷凍します。冷凍する際はくっつかないように水分を拭き取ってから冷凍することが重要なポイントです。
一般的に小ねぎはビニールハウスを利用した施設栽培が行われており、周年で出荷されています。温度管理や水分管理が厳密に行われることで、通年供給が可能になっています。この技術により、季節を問わず新鮮な小ねぎを購入できるようになりました。
小ねぎの独自の活用方法として、根付きで販売されている小ねぎを再生させることができます。根の部分を10cm程残した状態で土に植えておくと、また新たにネギが伸びてきて収穫することができるのです。これはプランターや庭で簡単に実行でき、省エネルギーで環境にも優しい活用法として注目されています。根の部分がしっかりしていれば、2回目、3回目の収穫も期待できます。ただし、再生回数が増えるにつれて品質が低下することが多いため、1回目の再生で収穫することが最も効果的です。
参考リンク：小ねぎの栽培方法と各地のブランド情報について
小葱（こねぎ）・万能ネギ・やっこネギ：旬の野菜百科
参考リンク：小ねぎの栄養価と他のねぎとの比較について
健康効果にも注目！長ねぎ・青ねぎ・小ねぎの違いと栄養情報
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