乾燥麹で醤油麹を作るとき、醤油は麹と「同量(1:1)」でいいと思っていませんか? 実は乾燥麹を使う場合、醤油を麹の約2倍(1:2)入れないと仕込み翌日には水分がゼロになり、発酵が止まってしまいます。
醤油麹を仕込む前に、まず「割合」を正確に押さえておくことが大切です。生麹を使う場合は麹:醤油=1:1(例:麹200gに醤油200ml)で問題ありませんが、乾燥麹を使う場合はこの常識がそのまま通じません。
乾燥麹は製造の過程で水分をほぼ飛ばしており、水分量は10%以下になっています。一方、生麹の水分量は25〜30%です。その差がじつに15〜20%もあるため、乾燥麹は混ぜた直後から醤油の水分を一気に吸い上げます。仕込んだ翌日に「ガチガチに固まっている」「醤油が消えた」となるのは、この吸水性の高さが原因です。
乾燥麹の場合は、麹:醤油=1:1.5〜2の割合が正解です。
| 麹の種類 | 麹の量 | 醤油の量 |
|--------|------|--------|
| 生麹 | 200g | 200ml |
| 乾燥麹 | 200g | 300〜400ml |
たとえばよく売られている「みやこ麹(乾燥・200g入り)」を1袋使う場合、醤油は300〜400ml用意するのが目安です。醤油200mlの一般的なペットボトルだと1本では確実に足りません。つまり不足ということです。この割合さえ守れば、翌日に水分が消えるトラブルはほぼ防げます。
なお、醤油の種類は「本醸造」がおすすめです。添加物入りの安価な醤油より、アミノ酸が豊富でうまみが深く仕上がります。
参考:乾燥麹と生麹の水分量と置き換え比率についての詳細な解説
【生麹と乾燥麹の違い】甘酒・塩麹・味噌作りにおすすめの麹 – maruman
常温発酵は道具不要で始められるシンプルな方法です。必要なものは、乾燥米麹・醤油・清潔な保存容器・スプーンの4つだけです。手順は以下の通りです。
完成の目安は「麹の粒が指でつぶれるくらい柔らかくなり、全体にとろみが出た状態」です。ぶつぶつとした粒感がまだ残っているうちはまだ途中です。
発酵期間は季節によって大きく変わります。夏場は約1週間、冬場は10〜14日かかることがあります。冬に仕込む場合は、段ボールに入れて湯たんぽと一緒に置くと発酵が進みやすくなります。これは使えそうです。
また、ふたをぴったり密閉すると、発酵で発生する炭酸ガスが逃げられず雑菌リスクが上がります。ラップをかけてから軽くふたをのせる、またはキッチンペーパーで覆う方法がおすすめです。容器の消毒が基本です。
| 時期 | 完成日数の目安 |
|---|---|
| 夏(25〜30℃) | 約7日 |
| 春・秋(15〜20℃) | 約10〜14日 |
| 冬(10℃以下) | 約14〜21日 |
参考:味噌屋のプロによる醤油麹の作り方と保存のポイント解説
味噌屋のプロが教える美味しい醤油麹の作り方 | マルカワみそ
「常温で2週間は待てない」という方には、ヨーグルトメーカーを使った時短発酵が向いています。温度を60℃に設定すれば、たった6時間で仕上がります。時間の節約が条件です。
ヨーグルトメーカーを使った材料(乾燥麹200g分)
作り方の手順:
ポイントは温度設定です。60℃は麹の酵素が最もよく働く温度帯で、65℃を超えると酵素が壊れて旨みが出にくくなります。逆に50℃以下では発酵が不十分になりやすく、芯が残ることがあります。60℃・6時間が基本です。
ヨーグルトメーカーをまだ持っていない方は、アイリスオーヤマ・タニカ(ヨーグルティア)・ビタントニオなどのメーカーが60℃設定に対応しており、醤油麹・塩麹・甘酒など発酵食品全般に幅広く使えます。1台持っておくと、発酵食品の仕込みにかかる時間が大幅に短縮されます。
参考:ヨーグルトメーカーを使った醤油麹の失敗しない作り方(発酵食大学)
ヨーグルトメーカーで醤油麹の作り方|失敗しない簡単レシピ – 発酵食大学
乾燥麹で醤油麹を作ると「固くなった」「パサパサのまま変わらない」という失敗が起きやすいです。この問題にはそれぞれ原因と解決策があります。
❶ 仕込み翌日に固まっている(水分が消えた)
これは前述の通り、乾燥麹が醤油の水分を吸いすぎた状態です。麹がひたひたになるまで醤油を追加し、さらに2〜3日混ぜながら様子を見ましょう。一気に大量に足すのではなく、大さじ2〜3ずつ少しずつ加えるのがコツです。醤油の追加が条件です。
❷ 1〜2週間経っても芯が残っている(硬い)
醤油が足りていない、または温度が低すぎることが原因です。醤油を少量足したうえで、容器ごと50〜60℃のお湯につけて30分ほど温める「湯せん法」が効果的です。温めることで酵素の働きが活性化し、残った芯がほぐれやすくなります。
❸ 水分はあるのにとろみが出ない
発酵がまだ進んでいない段階であることが多いです。混ぜる回数を1日2回に増やし、もう数日待ちましょう。焦りは禁物ですね。
失敗を防ぐ3つのポイント:
また、乾燥麹をそのまま使う前に、60℃以下のぬるま湯80〜100mlで10〜15分戻してから醤油を加える方法もあります。あらかじめ麹に水分を含ませることで、醤油の吸収量が減り、仕上がりがよりなめらかになります。これは固くなりやすい方にとくに有効な裏技です。
参考:醤油麹の失敗例と救済方法のわかりやすい解説
【醤油麹の失敗例】しょっぱい!水分が足りない!芯が残る・固いときの対処法
醤油麹を手作りすることのメリットは「おいしさ」だけではありません。健康面の効果も見逃せないポイントです。
まず注目したいのが塩分濃度の違いです。一般的な濃口醤油の塩分濃度は約16%ですが、醤油麹に仕上げると約8〜9%まで下がります。これは麹が醤油に含まれるたんぱく質やデンプンを分解し、うまみ成分が増えることで、少量でも十分に味を感じやすくなるためです。つまり同じ量を使っても摂取塩分が約半分になるということです。
さらに、旨み成分グルタミン酸の量も注目に値します。醤油麹に含まれるグルタミン酸の量は塩麹の10倍以上とされており、少量をちょこっと入れるだけで料理のコクが格段にアップします。「何かもの足りない」と感じたときに醤油を大量に足す必要がなくなり、結果として減塩につながります。
そのほかにも以下のような栄養成分が豊富です。
手作りの醤油麹は無添加なのも大きな安心材料です。市販の醤油麹には旨み調味料やアルコール、保存料が入っている製品も多くあります。乾燥麹と本醸造醤油だけで作れば、原材料は文字通り2つだけです。健康を意識するなら自家製が最適な選択肢と言えます。
参考:醤油麹の塩分濃度と健康への影響についての詳細な比較
醤油麹(しょうゆこうじ)と塩麹(しおこうじ)の違い – 糀屋 雨風
せっかく作った醤油麹も、使い方がわからなければ冷蔵庫の奥で眠るだけです。ここでは主婦の毎日の料理にすぐ取り入れられる活用レシピを5つ紹介します。
🍗 ① 醤油麹の唐揚げ
鶏もも肉200gに醤油麹大さじ1.5・おろしにんにく・おろし生姜を揉み込み、冷蔵庫で30分〜一晩漬ける。片栗粉をまぶして170℃の油で揚げるだけです。醤油麹の酵素がたんぱく質を分解するため、肉が柔らかくジューシーに仕上がります。砂糖も余分な調味料も不要です。
🥚 ② 醤油麹の漬け卵(味付け卵)
ゆで卵1〜2個をラップに広げた醤油麹大さじ1で包み、冷蔵庫で一晩おくだけ。市販のめんつゆで作るより深みのある、まろやかな味の漬け卵ができます。お弁当のおかずとしても活躍します。
🥬 ③ やみつき醤油麹キャベツ
キャベツ1/4個をちぎったものに醤油麹小さじ2・ごま油適量を和えるだけです。塩昆布との組み合わせも相性抜群で、副菜に迷ったときの即席メニューとして優秀です。これは使えそうです。
🍳 ④ 野菜炒めの隠し調味料に
いつもの野菜炒めの仕上げに醤油麹を小さじ1〜2加えると、醤油だけでは出ない甘み・コクが加わります。砂糖や味の素が不要になり、シンプルな味付けでも満足感が格段に上がります。
🍚 ⑤ 卵かけごはん・冷奴に添える
通常の醤油の代わりとして、そのままかけるだけでOKです。冷奴に醤油麹をのせると、醤油と違ってタレが流れ落ちにくく、最後の一口までしっかり味が楽しめます。納豆にスプーン一杯混ぜるのも絶品です。
醤油の代わりとして使う場合、醤油麹は粒があるためそのまま使うと食感が変わります。なめらかにしたい料理の場合はミキサーやブレンダーで撹拌すると、液体に近い状態になり使いやすくなります。冷蔵で約3ヶ月、冷凍で約6ヶ月保存可能なので、まとめて仕込んで冷凍保存しておくのが時短のコツです。冷凍保存が原則です。