毎日使っているウスターソースに、すでにタマリンドが入っているのに気づいていない人が9割以上います。
タマリンドとは、マメ科ジャケツイバラ亜科タマリンド属の常緑高木に実るフルーツで、原産地は熱帯アフリカです。インド・タイ・フィリピンをはじめ、メキシコやブラジルなど世界の熱帯・亜熱帯地域で広く栽培されており、現地では生活になくてはならない食材として親しまれています。
見た目は、大きなソラマメを一回り丸くしたような、薄茶色のさや状の果実です。長さは7〜15cmほど(はがきの短辺くらい)で、ふっくらとした殻の中にねっとりした茶色の果肉と黒っぽい扁平な種が入っています。木の高さは放置すると20〜25m以上にもなる大木で、日本のケヤキ並みの存在感があります。実がなるまでには植えてから6〜10年かかる、じっくり育つ植物です。
タマリンドには大きく分けて2種類があります。
- スイートタマリンド(マカーム・ワーン):甘みが強く、フルーツとして生食したりドライフルーツに加工して食べる品種。落花生のような茶色の大きめのさやが特徴です。
- サワータマリンド(マカーム・テー):酸味が強く、調味料・ペーストに加工して料理に使う品種。赤みを帯びた枝豆のような見た目をしています。
スイートとサワーの2種類があるということですね。日本のスーパーやカルディで売られているのは多くがサワータマリンドを加工したペーストタイプです。
タマリンドを初めて食べた人のほとんどが最初に感じるのは「梅干し?干し柿?」という不思議な懐かしさです。正確に言うと、梅干しの酸味と干し柿のねっとりした甘みを合わせて2で割ったような味で、さらに独特のコクと深みがあります。甘酸っぱい。これが基本です。
熟した果肉はとてもねっとりとした食感で、生で食べるとかなり酸味が強く感じられます。東南アジアでは砂糖や塩、唐辛子をまぶしたドライタマリンドが人気のおやつになっていますが、まさに梅干し感覚で食べられるイメージです。タイのコンビニでは袋入りのドライタマリンド菓子が数十種類並んでいます。
日本人にとっては少しクセのある風味に感じることもありますが、カレーやスープの「隠し味」として使うと酸味がまろやかに溶け込み、料理の奥行きがぐっと増します。クセは調理することで消えます。一口食べてみると「なんかどこかで食べたことある」と感じる人も多く、それはウスターソースやカレーソースの中にタマリンドが使われているためです。
タマリンドは見た目の地味さからは想像できないほど、栄養価が非常に高いフルーツです。「万能スーパーフルーツ」と呼ばれる理由が栄養成分にあります。
以下にタマリンド果肉100gあたりの主な栄養素をまとめました。
| 栄養素 | 含有量 | 期待できる効果 |
|-------|--------|--------------|
| 食物繊維 | 5.1g | 腸内環境の改善・便秘予防 |
| カリウム | 628mg | 血圧調整・むくみ改善 |
| 鉄分 | 2.8mg | 貧血予防 |
| マグネシウム | 92mg | 血圧降下・糖尿病予防 |
| カルシウム | 74mg | 骨・歯の形成 |
| ビタミンC | 3.5mg | 免疫力・美肌 |
特に注目すべきなのは食物繊維と鉄分です。食物繊維は5.1gという量で、これはゴボウとほぼ同じ水準です(ゴボウ100gの食物繊維は約5.7g)。また鉄分2.8mgは、タマリンドを100g摂取するだけで1日の鉄分推奨量(成人女性で1日10.5mg)の約26%を補えるほどの量です。
カリウムの含有量はバナナの約2倍という点も驚きですね。むくみが気になる方にとっては、余分な塩分を体外に排出するカリウムが豊富なタマリンドは心強い味方になります。クエン酸・酒石酸・AHA(アルファヒドロキシ酸)という有機酸も豊富で、疲労回復・消化促進・美肌効果も期待されています。
タマリンドの栄養素一覧と効能を詳しく解説(沖縄アボカド農園・研究者による実測データ掲載)
タマリンドを料理に使う場合、最も手軽なのが「タマリンドペースト」です。果肉をペースト状に加工したもので、繊維や種子があらかじめ取り除かれているため、そのまま計量して料理に加えるだけで使えます。これが一番簡単です。
主な活用シーンは以下のとおりです。
- 🍜 パッタイ(タイ風焼きそば):タマリンドペースト大さじ1〜2をナンプラー・砂糖と合わせるだけで本格ソースが完成。
- 🍛 カレー:市販のルーに小さじ1加えるだけで酸味とコクが増し、まるでレストランの味になります。
- 🍖 煮込み料理・マリネ:肉の臭みを消すはたらきもあり、鶏肉・豚肉のマリネ液に混ぜると柔らかさが増します。
- 🥗 ドレッシング:ペースト小さじ1+オリーブオイル+塩で、エスニック風ドレッシングが5分で作れます。
タマリンドペーストはカルディ(KALDI)や富澤商店、楽天などの通販で購入可能です。「ユウキ食品 タマリンドペースト」はスーパーの輸入食品コーナーでも見かけることがある定番商品で、200g前後で400〜600円程度が相場です。まずはペーストから試すのがおすすめです。
もしどうしても手に入らない場合の代用品として、梅干しをペーストにしたものにレモン汁少々を加えたものが近い風味を出せます。完全に同じにはなりませんが、酸味とコクという点ではそれなりに代用可能です。
タマリンドペーストを使ったカレーレシピ(印度料理シタール・現役シェフによる解説)
タマリンドは「エスニック料理の話でしょ?自分には関係ない」と思われがちです。ところがこれは大きな思い込みです。タマリンドはすでに多くの日本の家庭のキッチンに忍び込んでいます。
日常的に使っているウスターソースの原材料を確認してみてください。多くの製品に「タマリンド」と明記されています。ブルドッグソースの公式サイトでも原材料にタマリンドが記載されており、いわゆる「隠し味」ではなく正式な原材料として使われています。つまり、ウスターソースをトンカツや焼きそばにかけているご家庭なら、すでにタマリンドを口にしているわけです。意外ですね。
また、市販のカレールーや一部のバーベキューソース・中濃ソースにもタマリンドが含まれているものがあります。成分表示を見る習慣がない方は、この機会に一度お手持ちの調味料の裏ラベルを確認してみると面白い発見があるはずです。
さらに最近注目されているのが、タマリンドの「美容・ダイエット効果」です。AHAや酒石酸はピーリング系化粧品にも使われる成分で、タマリンドを食べることで肌の古い角質代謝を促す「インナーケア」効果が期待されています。食欲を適度に抑える「ヒドロキシクエン酸」に似た作用も報告されており、食前に少量のタマリンドウォーター(ペーストをお湯で溶いたもの)を飲む習慣がタイでは一般的です。知っていると毎日の食事がちょっとだけ変わります。
ただし食べすぎには注意が必要です。タマリンドは1日の摂取量が多すぎると(目安として果肉で30g以上の毎日摂取)、消化器系への過剰な刺激や下痢を引き起こす可能性があるとされています。薬を服用中の方は念のため医師に確認することをおすすめします。適量を守れば問題ありません。
タマリンドの効能・日本での使われ方をわかりやすく解説(macaroni)