「乳アレルギーでも"乳化剤"は食べられる」と思っていたなら、今すぐ確認が必要です。
食品のパッケージに書かれているアレルギー表示には、実は「書かなければならないもの」と「書くことが推奨されているもの」の2種類があります。前者が「特定原材料(8品目)」、後者が「特定原材料に準ずるもの(21品目)」です。
特定原材料は、卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに・くるみの8品目で、これらは食品表示法によって表示が義務づけられています。一方、特定原材料に準ずるものは、過去に健康被害の報告が一定数あったものの、義務化するほど件数が多くはない品目群で、表示は推奨(任意)です。
つまり、準ずるもの21品目のアレルギーを持つ人は、表示されていないケースがあることを前提に食品を選ぶ必要があります。知らなかったでは済まない問題です。
義務と推奨の区別が基本です。
現在の21品目は以下の通りです。アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キウイフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン・ごまの21品目です(※2023年3月末時点で消費者庁が示している品目)。
これらは義務ではないため、メーカーによって表示方法や詳細度が異なります。ある製品には「大豆を含む」と書いてあっても、別の製品には一切記載がない、というケースが現実に起きています。そのため、同じ品目アレルギーでも製品ごとに確認のハードルが変わります。
アレルギーっ子のいるご家庭では、この「推奨」という言葉の意味を正確に理解しておくことが、毎日の食品選びの精度を大きく左右します。
消費者庁:食品表示におけるアレルギー表示について(義務・推奨品目の一覧と根拠法令)
特定原材料に準ずるものの品目数は、制度が始まった当初から少しずつ変化してきました。2008年頃は18品目だったものが、その後の被害報告の蓄積と行政の審査を経て段階的に見直されてきた経緯があります。
2023年3月には食品表示基準の一部改正が施行され、注目すべき変更がありました。それまで「準ずるもの」として任意表示だったくるみが、特定原材料(義務表示)に格上げされたのです。くるみアレルギーの報告件数が急増したことが主な理由で、消費者庁の調査によると、2013年〜2021年の間に食物アレルギーによる健康被害報告の中でくるみ関連が急増し、上位品目に入るようになりました。
意外ですね。
この改定により、2023年以降に製造・販売される食品は、くるみを含む場合の表示が義務となりました。ただし、経過措置として2025年3月末までは旧表示のまま販売できる猶予期間が設けられていたため、しばらくの間は「くるみ」が義務表示されている商品とされていない商品が店頭に混在していました。2025年4月以降は原則として新基準への完全移行が求められています。
くるみの移行が条件です。
主婦の視点で重要なのは、スーパーの棚に並んでいる商品が「いつ製造されたか」によって表示内容が異なる可能性がある点です。賞味期限が長い輸入菓子などは、特に注意が必要です。購入する際は製造年月日と照らし合わせる習慣をつけると安心です。
また、この改定に伴い、現在の「準ずるもの」は21品目(くるみが抜けた分、実質的な構成が変わっています)となっています。品目数だけ覚えていると混乱するので、最新のリストを一度確認しておきましょう。
消費者庁:食品表示基準の一部改正(くるみの特定原材料への追加、2023年施行)に関する通知
「特定原材料に準ずるものは入っていない」と書かれた商品でも、アレルギー症状が出た経験はないでしょうか。その原因の多くが「コンタミネーション(交差汚染)」です。
コンタミネーションとは、製造工程で異なる食品が同じ設備や環境を経由することで、微量のアレルゲンが意図せず混入してしまう現象のことです。食品ラベルに「本製品は○○を含む製品と共通の設備で製造しています」と書かれている注記がこれにあたります。
これは必須の確認事項です。
特定原材料(義務表示)のコンタミネーション注記は多くの製品で見られますが、特定原材料に準ずるものに関するコンタミネーション注記は、メーカーによって記載の有無にかなりのばらつきがあります。大手メーカーは詳細なアレルギー情報をウェブサイトで公開していることが多いですが、中小メーカーや輸入品では情報が限られる場合があります。
特にごまや大豆は日本の加工食品に広く使われており、製造ラインを共有しているケースが多いです。ごまアレルギーは重篤な症状(アナフィラキシー)を引き起こす可能性があることが近年の研究で注目されており、欧州ではごまを義務表示品目として扱う国もあります。
日本ではごまはまだ「準ずるもの」の位置づけですが、専門医の間では義務化を求める声も上がっています。心配な場合は、購入前にメーカーのお客様相談室に電話で確認する方法が確実です。一度確認した内容をノートやスマホのメモにまとめておくと、次回以降の買い物が格段に楽になります。
国立健康・栄養研究所:食物アレルギーとコンタミネーションに関する基礎情報
最新の21品目リストを「知っている」だけでは不十分です。日常の買い物・調理・外食の場面でどう使うかが重要です。
まず、食品ラベルを読む際には「原材料名」と「アレルギー物質」の2か所を確認する習慣をつけましょう。日本の食品表示では、アレルギー物質を原材料名欄に括弧書きで示す「個別表示」と、一覧形式で示す「一括表示」の2種類があります。一括表示の場合、どの原材料に含まれているかが分からないため、個別表示の方が情報量が多く安心です。
個別表示が原則です。
次に、加工食品に使われる「添加物」にも注意が必要です。乳化剤・増粘剤・調味料(アミノ酸等)などの添加物は、原料として大豆・乳・小麦などに由来する場合があります。これらは添加物の表示ルール上、由来原料の明記が省略されることがあり、準ずるものアレルギーを持つ方には盲点になりやすい箇所です。
これは使えそうです。
献立への落とし込みという観点では、以下のような工夫が有効です。
毎日の積み重ねが大事ですね。
アレルギーを持つ家族がいる主婦が実際に経験する「落とし穴」は、情報の鮮度と確認の抜け漏れから生まれます。ここでは、特定原材料に準ずるものに関して特に見落とされやすい5つの確認ポイントを整理します。
① 同じブランドでもリニューアルで原材料が変わる
食品メーカーは製造コスト・味の改良・原料調達の変化などにより、定期的に原材料を見直します。「いつも買っているこれは大丈夫」という思い込みが最も危険です。購入のたびにラベルを確認する習慣は、手間に感じても省けません。
② 「大豆油」「ごま油」は原材料由来のたんぱく質がほぼゼロの場合がある
高度に精製された植物油(大豆油・ごま油など)は、製造過程でアレルゲンとなるたんぱく質が除去されるため、多くの場合アレルギー反応を引き起こさないとされています。ただしこれは「絶対に安全」ではなく「反応が出にくい」という意味です。主治医に確認してから判断するのが原則です。
主治医への確認が条件です。
③ 学校給食のアレルギー対応は「準ずるもの」まで保証されていない場合がある
学校給食のアレルギー対応は主に義務表示8品目(現在はくるみ含む計8品目)を基準としている自治体が多く、準ずる21品目すべてに対応している給食は少数です。お子さんが小学校に入学する際には、学校の栄養士・担任と具体的な品目ごとに確認することが不可欠です。
④ 手作りのお菓子・もらい物の食品は最も情報が不確実
他の保護者からいただいたお菓子、祖父母が作った料理など、原材料が不明な食品は「準ずるもの」含有のリスクが特に高いです。「手作りだから安心」は誤りです。アーモンドプードルを使ったケーキ・ごまを練り込んだ和菓子など、一見して分からない食材が含まれていることがあります。
⑤ 海外製品は日本の表示基準が適用されない
インターネット通販や海外土産で入手した食品には、日本の食品表示法が適用されません。英語・中国語などの表記をそのまま信頼するのは危険で、特に輸入食品には日本国内では準ずるものとして管理されている食材が大量に含まれていても無表示のケースがあります。信頼できる輸入代理店経由で購入し、アレルギー情報が明示されているものを選ぶようにしましょう。
以上の5点を定期的に見直すだけで、家庭内のアレルギーリスクは大幅に下げられます。
日本アレルギー学会:食物アレルギー診療ガイドライン(最新版の要点と日常管理の指針)
特定原材料に準ずるものの制度は、アレルギー被害の報告件数・重篤度・社会的認知の広がりに応じて今後も改定される可能性があります。くるみが義務表示に昇格したように、現在の21品目の中からさらに義務化される品目が出てくることは十分に考えられます。
今後の改定情報をいち早くキャッチするためには、消費者庁と食品安全委員会のウェブサイトを定期的に確認することが最も確実です。両機関は制度改定の際にプレスリリースやパブリックコメントの募集を公開するため、メールマガジンに登録しておくとより効率的です。
情報収集は無料です。
また、アレルギーっ子を持つ保護者向けの専門NPOや患者会(例:アレルギーっ子の生活サポートブックを発行している「アレルギー支援ネットワーク」など)が提供するメルマガやSNSアカウントも、現場目線の実用的な情報が得られる貴重な情報源です。専門家の解説と保護者の体験談の両方が得られるため、判断の精度が上がります。
制度の変化には、主婦が能動的に情報を取りに行く姿勢が不可欠です。
最後に、もし家族に食物アレルギーがある場合は、アレルギー専門医のいる病院で年に1回以上の定期受診を続けることが推奨されています。アレルギーの症状は年齢とともに変化する場合があり(改善することも悪化することもある)、食べられる食品のリストは医師の判断のもとで更新していく必要があります。
専門医との連携が原則です。
特定原材料に準ずるものの最新情報を正しく理解し、制度の変化に追いつく知識を持つことが、家族を守る食卓の第一歩になります。
食品安全委員会:食物アレルギーに関するリスク評価・最新情報ページ

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