「有機JASマーク付きでも、大豆の産地が外国産のことがあります。」
スーパーで有機納豆を手にとったとき、「有機JASマークがあるから安心」とカゴに入れていませんか。じつはこの判断が、大きな思い込みにつながっている可能性があります。
有機JASとは、農林水産省が定める「JAS法」に基づいた認証制度です。重要なのは、この認証は「栽培方法」を証明するものであり、大豆の産地が日本国内であることを保証するものではないという点です。農薬・化学肥料を原則使わずに育てた大豆であれば、アメリカ産・ブラジル産・中国産であっても、その国の有機認証基準を満たし、日本の有機JASと同等性があると認められれば、有機JASマークを貼って販売できます。
農林水産省の資料(令和5年産)によると、納豆用に使われる大豆全体のうち、国産大豆の比率はわずか約21%にとどまります。つまり、スーパーに並ぶ納豆の約8割は輸入大豆を使っているのです。有機納豆に絞ってもこの傾向は変わらず、外国産の有機大豆が使われている商品は決して珍しくありません。国産比率が低い原因は、日本の大豆自給率そのものが約6〜7%(食品用に限定しても約20%)しかなく、需要に対して国産大豆の供給量が圧倒的に足りていないからです。
外国産の有機大豆が悪いわけではありません。ただ、「国産大豆を選びたい」という気持ちで有機納豆を買っているなら、有機JASマークだけを確認するのは不十分ということです。
つまり、有機JASと国産大豆は別の話です。
ラベルをひっくり返して「原材料」欄の大豆産地を確認するのが基本です。「国産」または「北海道産」「十勝産」などの産地名が明記されているかどうかが、安心の分かれ目になります。
農林水産省:大豆の用途別需要と国産比率に関する公式データはこちら。納豆向けの国産比率21%という数字の出典として参照できます。
実際にスーパーで「国産の有機大豆」を使った納豆を見分けるには、ラベルを3か所見れば十分です。慣れると10秒以内に確認できるようになります。
① 原材料欄の大豆産地名を見る
原材料欄には「大豆(国産)」または「大豆(北海道産)」のように、産地が括弧書きで記載されています。この表記がなく、単に「大豆」と書かれている場合は、産地不明または輸入大豆の可能性があります。産地名が明記されているものを選ぶのが原則です。
② 有機JASマークの有無を確認する
有機JASマークは、農薬・化学肥料を使わず育てた有機農産物の証明です。国産大豆100%使用と有機JASマークの両方が揃っていれば、最も安心度が高い組み合わせと言えます。ただし前の項目で説明した通り、有機JASマークだけでは産地の確認にはなりません。この2つをセットで確認する習慣をつけましょう。
③ タレ・からしの原材料欄も見る
ここが盲点です。有機納豆の本体(豆の部分)は国産有機大豆でも、付属のタレに「果糖ぶどう糖液糖」「調味料(アミノ酸等)」などの食品添加物が使われているケースがあります。健康を意識して有機納豆を選んでいる場合、付属のタレが健康効果を相殺してしまう可能性があるのです。
このリスクを避ける場面に直面したとき、選択肢として「タレなし」または「有機タレ付き」の商品を選ぶという方法があります。たとえばあづま食品の「有機そだち」シリーズは有機JAS認定で、タレも有機製品であることが確認しやすい商品として知られています。まずはラベル裏の原材料欄をスマホで撮影してメモしておくと、次回以降の買い物がスムーズになります。
ラベルを見る習慣、これが基本です。
国産大豆と輸入大豆の安全性・品質の違いについて詳しく解説しているページ。ラベル確認の際の参考情報として活用できます。
丸万醸造|国産大豆と海外産大豆の違い 品質・安全性・栄養価を徹底解説
有機納豆を選ぶ理由は「安心感」だけではありません。納豆そのものが持つ栄養・健康効果は、普通の食品と比べてもかなり充実しています。ここでは特に主婦の日常生活に関係の深い3つの成分に注目します。
ナットウキナーゼ(血液サラサラ効果)
納豆に含まれるナットウキナーゼは、血栓を溶かす働きが確認されている酵素です。食べてから約4〜8時間にわたって効果が持続するとされています。血栓は睡眠中に形成されやすい性質があるため、夜の食事に納豆を取り入れると効率的に効果を得られると言われています。加熱すると酵素が失活するため、熱々のご飯に直接乗せるのは注意が必要です。炊きたてご飯の温度は約90〜95℃になりますが、ナットウキナーゼは70℃以上で活性が低下するとされているので、少し冷ましてから乗せるか、別皿で食べるのがおすすめです。
大豆イソフラボン(女性ホルモン様作用)
大豆イソフラボンは、女性ホルモン「エストロゲン」と構造が似た植物由来の成分です。骨粗しょう症の予防、更年期症状の軽減、肌のハリ維持など、女性にとってうれしい効果が期待されています。食品安全委員会によると、大豆イソフラボンの摂取目安量は1日70〜75mgとされており、納豆1パック(約50g)には約33〜38mg程度のイソフラボンが含まれています。1日1パックは無理のない量です。
納豆菌と腸内環境
納豆菌は非常に生命力が強く、胃酸の中でも死滅しにくい特性を持っています。腸に到達した納豆菌は善玉菌のひとつである乳酸菌を約10倍に増やすという研究報告もあり、腸内環境を整える効果が期待できます。腸内環境が整うと、免疫力の向上や肌荒れ改善にもつながるとされています。いいことですね。
明治の管理栄養士監修ページ。ナットウキナーゼの血栓溶解効果と持続時間について信頼性の高い情報が掲載されています。
明治|納豆の栄養と働き ナットウキナーゼの効果持続時間を解説
せっかく国産の有機納豆を選んでも、食べ方を間違えると効果が半減してしまいます。知っておきたいポイントが4つあります。
混ぜ方:25回以上が目安
テレビ番組などで「400回混ぜると旨みが最高になる」と紹介されたことがありますが、栄養価の観点では混ぜる回数は味ほど大きな影響がないとされています。ただし、ナットウキナーゼを効率よく吸収するうえでは「最低25回以上」混ぜることで空気が入り、酵素の活性が高まるとされています。混ぜることで粘りが泡立ち、まろやかな食感になる変化もあります。25回以上なら問題ありません。
食べるタイミング:夜がベスト
ナットウキナーゼの効果は摂取後4〜12時間持続するとされています。血栓は就寝中に作られやすいため、夜の食事でいただくのが最も効果的です。朝食派の方も多いと思いますが、健康効果を意識するなら夕食か夜食として取り入れるのが理にかなっています。
タレは後から加える
付属のタレを最初に混ぜてしまうと、塩分が大豆の表面をコーティングし、ナットウキナーゼの吸収を妨げるという指摘があります。先にタレなしで混ぜてから、食べる直前にタレを加えるほうがよいとされています。小さな工夫ですが、意識してみる価値があります。
組み合わせる食材:キムチ・玉ねぎが相性抜群
納豆にキムチを組み合わせると、乳酸菌の種類が増えて腸内環境への効果が高まると言われています。また、玉ねぎに含まれるケルセチンという抗酸化成分がナットウキナーゼの効果をサポートするという研究報告もあります。これは使えそうです。ただし玉ねぎは辛みが強いため、薄切りにして水にさらしてから加えるのがおすすめです。
加熱はしない
炒め物や加熱料理に使うと、ナットウキナーゼの多くが70℃以上で失活します。生で食べることが大原則です。ご飯にかけるだけでなく、冷奴のトッピングや冷製パスタのソースとして使うと、毎日飽きずに続けられます。
腸活における納豆の効果と、納豆菌が乳酸菌を約10倍増やすという情報の参考ページ。腸内環境との関係を確認できます。
福岡天神内視鏡クリニック|腸活に最強の食べ物は納豆!腸活におすすめの理由と食べ方
「国産有機大豆使用」かつ「有機JASマーク取得」という2条件を満たす納豆は、スーパーでも少しずつ見かけるようになりました。ただし、価格帯は通常の納豆(3パック約50〜100円)に比べて、国産有機納豆は1パック単品で150〜250円程度になることが多く、約2〜3倍の価格差があります。国産大豆の価格が輸入大豆の約2.5倍であることを考えれば、この価格差は妥当といえます。
以下に代表的な商品をまとめます。
| 商品名 | メーカー | 特徴 |
|---|---|---|
| 有機そだち 極小粒 | あづま食品 | 有機JAS認定・タレも有機品、スーパーでも比較的入手しやすい |
| 有機認証国産小粒納豆 | 保谷納豆 | 水戸市長賞受賞歴あり、国産大豆100%・有機JAS認定 |
| 大地の想い 国産有機納豆 | 豊洲市場ドットコム取扱 | 北海道比布町産有機大豆使用・せいろ蒸し製法 |
| 国産有機納豆(コープ自然派) | コープ自然派 | 北海道今城さん産の有機大豆スズマル使用・産地指定品 |
ここで一つ独自の視点をお伝えします。「国産有機」にこだわりながらもコストを抑えたい場合、週の前半は国産有機納豆、週の後半は「国産大豆100%・有機JASなし」の商品にするというローテーション方法があります。「国産大豆100%・非有機」の商品であれば、農薬残留への懸念は残りますが、少なくとも遺伝子組み換えリスクはゼロです(日本では食品用の遺伝子組み換え国産大豆の栽培は行われていません)。家計への負担を分散させながら、国産大豆の安心感は毎日維持できるという考え方です。月4,000〜5,000円の食費の中で無理なく取り入れるためのひとつの工夫として参考にしてください。
また、購入ルートとして生協・コープ自然派やビオ・マルシェのような宅配サービスを使うと、国産有機納豆の選択肢が広がります。スーパーよりも産地情報が明確に記載されていることが多く、ラベルを逐一確認する手間が省けるというメリットもあります。
国産有機で毎日続けるなら、無理のない方法を選ぶのが条件です。
ビオ・マルシェの国産有機大豆「オオスズ」使用の大粒納豆の詳細ページ。産地や製法の透明性が高く、参考情報として役立ちます。
ビオ・マルシェ|大粒タイプで食べ応え抜群!国産有機大豆を味わう有機納豆