市販アイスを毎日食べさせると、ひと夏で4万円近く消えます。
昭和後期から平成にかけて、「自分でアイスを作れるおもちゃ」は女の子の夢そのものでした。当時の子供部屋には、カラフルなアイスクリームメーカーが置かれていたご家庭も多かったのではないでしょうか。
代表的な商品として、まず「サーティワン アイスクリーマー」が挙げられます。ファーストママシリーズの一つとして発売されたこのおもちゃは、あのサーティワンアイスクリーム(バスキン・ロビンス)とコラボした本格的な商品でした。
| 商品名 | 発売元 | 時代 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| サーティワン アイスクリーマー | ツクダオリジナル(ファーストママシリーズ) | 平成初期 | 塩と氷でアイスを手作り、本物そっくりの見た目 |
| くるりんアイスクリン | セガトイズ | 2008年 | 冷凍ポットを回してアイス作成、41レシピ付属 |
| シュガーバニーズ ソフトクリームメーカー | 各社 | 平成中期 | 塩と氷の仕組みで、ソフトクリーム型に仕上げる |
| アイスだヨーヨー | タカラトミーアーツ | 2020年代 | ヨーヨーで遊びながら約3分でアイス完成 |
ファーストママシリーズは1991年3月に発売された模擬体験玩具の草分け的存在で、「お母さんの心を持った優しい女の子のための」というコンセプトのもとで作られていました。アイスクリーマー以外にも、乾燥機・脱水機・食器洗い機など、本物の家電を再現したおもちゃが揃っていました。つまり、単なる遊び道具ではなく、生活体験を学ぶ知育玩具という側面が当時からあったのです。
現在、これらのレトロなおもちゃはメルカリやヤフオクで「平成レトロ」として取引されており、未使用品のサーティワン アイスクリーマーは7,777円前後で出品されているケースもあります。懐かしさだけでなく、希少価値という観点でも注目が集まっています。
ヤフオク「アイスクリーマー」レトロ品の出品一覧(希少度・価格帯の参考に)
昔のアイスクリームメーカーおもちゃの多くが、冷凍庫を使わず「塩と氷」だけでアイスを固める仕組みを採用していました。「なんで塩を入れるの?」と子供に聞かれたことがある方もいるかもしれません。
これは「凝固点降下」と「吸熱反応」という2つの化学現象を利用しています。まず、通常の氷は0℃で溶けますが、塩(食塩)を加えると氷が溶ける温度が下がります。食塩水はマイナス20℃近くまで凍らないため、塩を加えた氷水は0℃以下に温度が下がるのです。
さらに、氷が溶けるとき(融解)と食塩が水に溶けるとき(溶解)に、どちらも周囲から熱を奪います。この2つの現象が同時に起きることで、最大でマイナス20℃前後まで冷やすことができます。
つまり「冷凍庫なしでもアイスが固まる」のはこの相乗効果のおかげです。
この「氷と塩の実験」は、高校化学の「凝固点降下」として学ぶ概念ですが、最近では中学受験の問題にも登場することが増えています。おもちゃで遊びながら自然と理科の原理を体得できるのが、アイスクリームメーカーおもちゃの大きな魅力の一つです。
この仕組みを知っておくと、おもちゃを使うときに「なぜ塩が必要か」を子供に説明しやすくなります。ちなみに、塩を入れすぎると今度はアイスに塩味がついてしまうことも。昔おもちゃで遊んだ方の中には「塩バニラ味になってしまった」という思い出を持つ方も少なくないようです。
アイスの科学的な背景については、グリコの公式ガイドブックにわかりやすい解説があります。
グリコ公式|氷の温度のふしぎを体験しよう(自由研究ガイドブックPDF)
昔のアイスクリームメーカーおもちゃといえば、手でクルクル回し続けるのが定番でした。くるりんアイスクリン(セガトイズ・2008年発売、メーカー希望価格7,140円)の説明書には「回し始めて約15分でできあがる」と記載されており、昔の手動式はその15分間ずっと手を止めずに回し続ける必要がありました。
これが結構な重労働で、「途中で飽きて失敗した」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかしくるりんアイスクリンは、あらかじめポットを冷凍庫で7時間冷やしておくことで、ハンドルを回す力が少なくて済む工夫がされていました。実際の使用感としては、「とろみがつくまでは休まずに回す→とろみがついたらときどき回す→ソフトクリーム状になったらゆっくり仕上げる」という3段階でOK。完全に15分間回し続ける必要はなく、使ってみると昔よりずっとラクだったという声も多くありました。
さらに現代の「アイスだヨーヨー」(タカラトミーアーツ、2,640円)は、塩と氷をセットしてヨーヨーで遊ぶだけで約3分でアイスが完成します。事前に容器を冷やす必要すらありません。これは進化ですね。
くるりんアイスクリンは「2008年日本おもちゃ大賞」のハイターゲット・トイ部門で優秀賞を受賞しています。おもちゃに見えて、本格的な品質が認められた商品でした。
一方で、昔のおもちゃが現在も中古市場でそれなりの値段で取引されているのは、「手で作った感覚」「アナログな楽しさ」に価値を感じる層がいるからです。電動でボタンひとつでできるアイスより、手を動かして作るアイスのほうが「特別においしく感じる」という心理も働いています。これは親子で体験を共有できる点にも関係しています。
家電Watch|セガトイズ「くるりんアイスクリン」詳細レビュー(2008年)
「おもちゃでアイスを作るなんて、ただの遊びでしょ?」と思っている方がいたら、それは少し損をしているかもしれません。実はアイスクリームメーカーおもちゃには、複数の知育的な効果が研究者からも指摘されています。
まず「食育」の観点があります。子供が自分で材料を選び、自分の手で作ったものを食べる体験は、食への関心や感謝の気持ちを育てます。食育の専門家・浜田峰子氏(All About食育ガイド)は「家族とコミュニケーションをとりながら自分で食べるものを作ることは、食を通して情緒を育む食育につながる」と述べています。
次に「理科・科学への興味喚起」です。先ほど解説した「凝固点降下」の現象は、高校化学で学ぶ内容ですが、体験として先に知っておくことで学習への興味が格段に高まります。東大卒の教育アドバイザー・松江由紀子氏も「最近では中学受験の問題にも登場しており、家庭でこのような理科実験を行うことは将来の学習への導入として良いきっかけになる」と指摘しています。
また「達成感と自己効力感」も見逃せません。材料を入れて、手を動かして、数分〜十数分後に自分の手でアイスが出来上がる体験は、子供に「やればできる」という感覚を与えます。これが自信につながり、他のことへの挑戦意欲にもつながっていきます。
これが大切な点ですね。ただのおやつ作りではなく、子供の成長につながる体験型の遊びとして位置づけられます。昔おもちゃで遊んだ記憶が「何かを作ることの楽しさ」として大人になっても残っているのは、こうした体験の蓄積があるからではないでしょうか。
Honda Kids|ぶんぶん回してアイスクリームを作ろう(夏休み自由研究向け・科学的解説付き)
「手作りアイスって結局材料費がかかって、買うより高くなるんじゃないの?」と思っている方も多いかもしれません。これは実際のところどうなのでしょうか?
結論から言うと、家族単位・継続して作ることを前提にすれば、手作りのほうが節約になるケースが多いです。
具体的な試算を見てみましょう。ひと夏(5月〜9月の約153日間)、1日250円分のアイスを消費するとした場合、その合計は38,250円。なんと4万円近くに達します。一方、バニラアイスを手作りする場合、1回分の材料費(卵黄1〜2個・砂糖10〜40g・生クリーム80〜100ml・牛乳80〜120ml)は約80〜120円程度。市販品と比べると1回あたり100〜300円の節約になります。
さらに、手作りアイスには健康面でのメリットもあります。市販のラクトアイスには植物油脂が多用されており、トランス脂肪酸のリスクが指摘されています。また、安定剤・乳化剤・香料などの食品添加物が含まれているものも少なくありません。手作りであれば、卵・牛乳・生クリーム・砂糖のみ。添加物ゼロが実現します。
もちろん、アイスクリームメーカーおもちゃ自体の購入費用もかかります。現在発売中のタカラトミーアーツ「アイスだヨーヨー」は2,640円、大人向けの貝印アイスクリームメーカーは3,850円、ドリテック製は3,300円(いずれも税込)から入手できます。これであれば10〜20回作るだけで元が取れる計算です。
手作りアイスを始めるうえで気になる「節約効果」については、実際に比較した記事が参考になります。
mymo(アイフル公式)|ひと夏のアイス代は4万円!手作りアイスでヘルシーに節約する方法
また、製品選びで迷った際はビックカメラのアイスクリームメーカー比較記事が役立ちます。価格帯ごとの機能差がわかりやすく整理されています。
ビックカメラ|アイスクリームメーカーのおすすめ6選(2025年5月更新)
昔のアイスクリームメーカーおもちゃで手作りアイスの楽しさを知った世代が、今度は自分の子供に同じ体験を届けられる時代になっています。おもちゃとしての懐かしさだけでなく、節約・健康・知育という実用的な価値も持ち合わせているのが、このジャンルの奥深いところです。子供と一緒に台所に立って、塩と氷でアイスを作る夏の午後、きっと思い出に残る体験になるはずです。