「ホワイトソースとベシャメルソースって同じじゃないの?」と思いながら毎回缶を開けていると、実は毎食100円以上の無駄な出費をしているかもしれません。
ベシャメルソースとは、バターと小麦粉を炒めて作った「ルー(roux)」に牛乳を加えて仕上げた、なめらかで白いソースのことです。フランス料理の「5大母ソース(マザーソース)」のひとつに数えられており、世界の料理人が学ぶ基礎中の基礎として位置づけられています。
5大母ソースとは、ベシャメル・ブルーテ・エスパニョール・トマトソース・オランデーズの5種類で、西洋料理で作られる無数のソースはこれらのいずれかから派生しています。つまりベシャメルソースは、世界の料理文化を支える「ソースの柱」といえる存在です。これは使えそうです。
その起源は17世紀のフランス宮廷にまでさかのぼります。ルイ14世(1638〜1715年)の宮廷に仕えた貴族、ルイ・ド・ベシャメイユ侯爵にちなんで名付けられたとされるのが最も有力な説です。当時の宮廷シェフ、フランソワ・ピエール・ラ・ヴァレンヌがこのソースを整備・体系化したといわれています。
一方、イタリアではカトリーヌ・ド・メディシス(フランス国王アンリ2世の妃)が連れてきたトスカーナ州の料理人が原型を持ち込んだという説もあり、フランス発祥かイタリア発祥かは現在も議論が続いています。いずれにしても、数百年にわたる歴史を持つ由緒ある基本ソースです。
使う材料はバター・小麦粉・牛乳の3つだけ。シンプルだからこそ、バターの選び方や火入れのタイミングが味を左右します。
参考:ベシャメルソースの起源と歴史についての詳細解説
ベシャメルソースとは?その歴史から特徴、基本の作り方を徹底解説 | ChefrepiMagazine
「ベシャメルソース=ホワイトソース」だと思っている方は非常に多いです。実はこれは半分正解で、半分は誤解です。
正確に整理すると、「ホワイトソース」とは白い色をした洋風ソース全般を指す大きなカテゴリの名前です。一方、「ベシャメルソース」はそのカテゴリの中に含まれる、最も基本的で代表的な1種類のソースです。つまりベシャメルがホワイトソースの一種ということですね。
わかりやすく例えるなら、ホワイトソースは「果物」、ベシャメルソースは「りんご」のような関係です。すべてのりんごは果物ですが、すべての果物がりんごではありません。
| 名称 | 位置づけ | 主な材料 | 使われ方 |
|------|----------|----------|----------|
| ホワイトソース | 白いソース全般の総称 | 様々 | 幅広く |
| ベシャメルソース | ホワイトソースの代表的な基本形 | バター・小麦粉・牛乳 | グラタン・シチュー等 |
日本では歴史的に「ホワイトソース」と「ベシャメルソース」がほぼ同義で使われてきた経緯があります。市販のグラタンの素や缶詰のラベルにも両方の表記が混在しているため、混乱が生じているのが現状です。
フランス料理の世界では、ベシャメルソース以外にも「ブルーテソース(ブイヨンベースの白いソース)」や「クリームソース(生クリーム主体)」なども広義のホワイトソースに含まれます。料理本や料理教室によって用語の定義が微妙に異なるため、「どちらの意味で使っているか」を文脈から判断する必要があります。
日本の家庭料理でグラタンやシチューに使うのはほぼベシャメルソースなので、実用上は「同じ」と覚えておいて問題ありません。ただし、料理の勉強を深めたい方は違いを意識すると理解が広がります。
参考:ホワイトソースとベシャメルソースの関係性がわかりやすく解説されています
「前回作ったらダマだらけになった」という経験を持つ方は少なくありません。ダマができる原因は、小麦粉のでんぷんが局所的に糊化(α化)してしまうことにあります。でんぷんの糊化は60℃前後から始まるため、温度管理が鍵です。
まず覚えておきたいのが黄金比率で、バター:小麦粉:牛乳=1:1:10が基本です。この割合だとグラタンに使いやすい中程度の濃度になります。コロッケの中身のようにしっかり固めたいなら牛乳を少し減らして1:1:8程度に、スープやシチューにする場合は1:1:15程度に薄めると使いやすくなります。
ダマを防ぐための手順と注意点をまとめます。
電子レンジを使う方法もあります。耐熱ボウルにバターと小麦粉を入れてレンジで加熱し、牛乳を加えるたびに混ぜながら再加熱する方法です。焦げにくくダマにもなりにくいため、初心者の方にはむしろレンジ調理のほうが成功しやすいというデータもあります。これは使えそうです。
鍋の素材も実は関係します。金属製のホイッパーとアルミ鍋を組み合わせると、鍋の表面が削れてソースが灰色っぽくなることがあります。ステンレス鍋か、ホーロー鍋を使うと仕上がりが白くきれいです。
参考:プロの料理人が解説するダマにならないベシャメルの作り方の詳細
ダマにならない基本的なソースベシャメルの作り方 | L'au-delà de la cuisine
グラタンを1食分作るためにベシャメルソースを仕込んだのに、結局余ってしまった——そんな経験はよくあることです。余ったソースを冷蔵庫に入れておくと2〜3日で使い切る必要があり、使い道がなくて捨ててしまうことも少なくありません。これは時間とお金の両方が無駄になる典型パターンです。
冷凍保存が断然おすすめです。冷凍すると最大1ヶ月ほど保存でき、必要なときに好きな分だけ使えます。
冷凍の手順はシンプルです。
冷凍したソースをそのまま鍋に入れて加熱すると、分離や焦げ付きの原因になります。必ず電子レンジで溶かしてから、ヘラでなめらかになるまでほぐすのが原則です。
小分けにしておくことで、平日の時短料理にも役立ちます。たとえば前日の夜に解凍しておき、翌朝パスタと合わせるだけでクリームパスタが完成します。週末にまとめて作っておくと、平日の3〜4食分をカバーできる計算です。時間の節約と食費の削減がどちらも期待できます。
旭化成のジップロックシリーズは、ホワイトソースの冷凍保存に適したサイズと密封性で定番の選択肢です。平らに冷凍しておくと冷凍庫の場所もとらず、解凍時間も短縮できます。
参考:ホワイトソースの冷凍・冷蔵保存の正しい方法と解凍のコツ
ホワイトソースの保存 | 旭化成 サランラップ公式サイト
ベシャメルソースが「万能ソース」と呼ばれる理由は、そこに何かを足すだけでまったく別の顔を持つソースに変化するからです。フランス料理のプロは1種類のベシャメルをベースに、料理によって7〜8種類以上のバリエーションを使い分けています。
代表的な派生ソースを紹介します。
家庭での活用場面は広く、グラタン・シチュー・クリームコロッケ・ラザニア・ドリア・クリームパスタが代表的です。あまり知られていないアレンジとしては、グラタントースト(パンにベシャメルをぬってチーズをのせてトースターで焼く)があります。朝食に5分以内で作れる手軽さで、洋食店のメニューに近い仕上がりが楽しめます。
また、牛乳の一部をだし汁(昆布だしや鶏ガラスープ)に置き換えると、和風のテイストが加わり、和洋折衷のクリームソースが完成します。ほんのひと工夫で料理の幅が大きく広がります。
濃度の調整が鍵です。グラタンやコロッケには固め、シチューやスープには薄め、パスタソースには中程度にすることで、1種類のレシピから複数の料理が作れます。バター:小麦粉:牛乳の比率で濃度が決まるということですね。
参考:明治が解説するホワイトソースの基本レシピと派生ソースの作り方
ホワイトソース(ベシャメルソース)の作り方と派生ソース | 明治 食育レシピ
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