エビの殻を捨てると、ビタミンEの1000倍もの抗酸化力が消えています。
「ビスク(Bisque)」とは、エビやカニ、ロブスターなどの甲殻類を使って作るフランス発祥の濃厚なスープのことです。甲殻類を殻や頭ごと香味野菜と一緒に炒め、白ワインや魚のだしを加えてじっくりと煮詰め、ミキサーにかけて裏ごしし、生クリームで仕上げるのが伝統的な作り方です。ひと口飲むと、エビやカニのうまみが凝縮されたクリーミーな味わいが広がります。
ビスクの決め手は「クーリ」と呼ばれるソースです。クーリとは甲殻類を裏ごしして作るクリーミーなソースのことで、このクーリに白ワインや生クリーム、トマトなどを合わせることで、あの濃厚なビスク独特の風味が完成します。クーリが旨みの核、というわけです。
スープの色は少し赤みがかったオレンジ色が特徴で、見た目にも食欲をそそります。おしゃれなカフェやレストランで見かけることが多い料理ですが、材料を揃えれば家庭でも作ることができます。
ちなみに日本で人気を博している「スープストックトーキョー」では、「オマール海老のビスク」がナンバーワン人気メニューとして長年愛されており、冷凍バージョンも全国で販売されています。知名度は高まっていますが、その作り方を詳しく知らない人は多いものです。これは知っておくと得ですね。
Soup Stock Tokyo公式:オマール海老のビスクについての解説
ビスクという名前はどこから来たのでしょうか? 実は有力な説が2つあります。
1つ目は、フランス西部・大西洋に面する「ビスケー湾(Golfe de Gascogne)」が語源だという説です。かつてこの湾岸地域で甲殻類漁が盛んに行われ、その食文化が広まったとされています。2つ目は、フランス語で「2度焼く・2度調理する」を意味する「bis cuites(ビスキュイ)」が語源だという説です。ビスクは甲殻類を「炒める→煮込む」という2段階の工程で作ることから、この説も説得力があります。
歴史的には、20世紀初頭にフランス料理の巨匠オーギュスト・エスコフィエが著書『Le guide culinaire』にザリガニのビスクのレシピを掲載し、ビスクを格式高いフランス料理として体系化しました。驚くことに、日本では大正天皇の即位大饗(1915年)のメニューにもビスクが登場しています。「天皇の料理番」として知られる秋山徳蔵が、フランスで習ったエクルヴィス(ザリガニ)のビスクを献立に加えたのです。つまり、ビスクは100年以上前から日本の宮廷料理にも取り入れられていた由緒ある料理です。
もともとビスクは18世紀末まで「鳩や鶏を使ったポタージュ」という意味でも使われていましたが、時代が進むにつれて甲殻類のスープを指す名称として定着しました。現代では「甲殻類でなければビスクではない」とするフランス料理人が多く、素材の定義は非常に明確です。甲殻類が基本、が原則です。
「ポタージュ」「ブイヤベース」「アメリケーヌ」——どれもフランス料理でよく聞く名前ですが、ビスクとはどう違うのでしょうか? 混乱しがちなところですが、整理すると意外とシンプルです。
まずポタージュとの違いから見ていきましょう。フランス語における「ポタージュ」は、スープ料理全般を指す総称です。つまりビスクもブイヤベースも、すべてポタージュの一種。日本人が「ポタージュ」と聞いてイメージするあの野菜系のとろみスープは、フランス語では「ポタージュ・リエ」といい、米や小麦粉などでとろみをつけたものです。ビスクはとろみ付けに米や小麦粉を使わず、甲殻類のクーリ自体の濃度でなめらかさを出す点が異なります。
ブイヤベースは、フランス南部・地中海沿岸発祥の寄せ鍋スタイルの料理です。エビやカニだけでなく、白身魚・貝・じゃがいもなどを丸ごと煮込み、具材は裏ごししません。サフランやにんにくで風味をつける点もビスクとは大きく異なります。ブイヤベースはフカヒレスープ、トムヤンクンと並ぶ「世界三大スープ」の一つとして知られています。
アメリケーヌはビスクに最も似ていて混同しやすい存在ですが、決定的な違いは「スープかソースか」です。ビスクがスープであるのに対し、アメリケーヌはソースです。パスタや白身魚のソテーにかけるものとして使われ、必ずトマトを多く使う点でもビスクとは異なります。つまりアメリケーヌは料理に添えるもの、ビスクはそれ自体が一皿になるもの、と覚えておけばOKです。
以下に簡単にまとめます。
| 料理名 | 種別 | 主な素材 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ビスク | スープ | 甲殻類(エビ・カニ・ロブスターなど) | 裏ごしして濃厚に仕上げる |
| アメリケーヌ | ソース | オマールエビ・トマト | パスタや魚料理のソースとして使う |
| ブイヤベース | 鍋料理(煮込み) | 魚介類全般・野菜 | 具材ごと煮込む/裏ごしなし |
| ポタージュ(日本的な意味) | スープ | 野菜など | 米や小麦粉でとろみをつける |
ビスクを自宅で作るのは「難しそう」と感じる人が多いですが、工程を理解すると実は筋道が明確な料理です。以下に基本の手順を紹介します。
まず有頭エビを用意します。エビは頭・胴体に分け、胴体の殻をむいて背わたを取ります。身は一口サイズにカットし、頭と殻は後で使うためにとっておきましょう。次に玉ねぎ・セロリ・にんじんをみじん切りにします。バターやオリーブオイルでエビの頭と殻を炒め、白ワインを加えてアルコールを飛ばします。ここでしっかり炒めることで、エビのうまみが最大限に引き出されます。
その後、水とトマトジュースを加えて5〜10分煮立て、スープをこします。こしたスープをミキサーにかけ、生クリームを加えて塩こしょうで味を整えたら完成です。調理のポイントをまとめると、以下の3点が重要です。
家庭で丁寧に作る場合、スープを2時間ほどじっくり煮込むとより濃厚な味わいになります。時間に余裕があるときにぜひ挑戦してみてください。これは使えそうです。
「有頭エビを買って作るのはちょっとハードルが高い…」というときでも、ビスクは楽しめます。実は、スーパーで手軽に買えるえびせんべいを使うと、本格的なビスク風スープが作れるのです。えびせんが代わりになる、というのは意外な発見ですね。
えびせんべいを使ったビスク風スープの手順は非常にシンプルです。鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて香りを出し、みじん切りの玉ねぎとにんじんを炒めます。そこへ砕いたえびせんべいとトマトジュースを加え、生クリームを入れて塩こしょうで味を整えるだけです。ミキサーにかければよりなめらかな仕上がりになります。えびせんべいがエビのうまみと風味の代わりを担ってくれるため、驚くほどビスクに近い味になります。
市販品の活用も賢い手段のひとつです。スープストックトーキョーをはじめ、セブン-イレブンなどのコンビニでもオマール海老のビスクが販売されており、手軽に本格的な味が楽しめます。市販のビスクにオリーブオイルで炒めたエビを加えるひと手間で、レストランのクオリティに近づけることも可能です。食事のレベルを上げたい特別な日にも使えます。
えびせん代用レシピの材料(2〜3人分の目安)を紹介します。
多くの家庭では、エビを調理するときに殻や頭を捨ててしまいますよね。しかし実は、エビの殻と頭こそが栄養の宝庫です。エビの殻に含まれるアスタキサンチンは、強力な抗酸化物質として知られるコエンザイムQ10の実に1,000倍以上もの抗酸化作用があるといわれています。捨てていたのはもったいないですね。
ビスクは甲殻類の殻や頭を丸ごと炒めて煮出すことで、この栄養をスープに溶け込ませる料理でもあります。エビの殻に含まれる主な栄養素は以下の3つです。
ビスクはまさにこれらの栄養を余すことなく摂れるスープです。キチンとアスタキサンチンをスープで取り込める、ということです。
一方、エビの頭を取り出した後の「だしがら」でも、風味豊かなスープが作れます。焼いた殻と頭を水に入れて煮るだけで、濃厚なエビ出汁になります。これをビスクのベースにしたり、パスタソースに使ったりすることで、廃棄ゼロの節約料理にも応用できます。1尾のエビを最大限に活かす発想は、家計にも健康にも好影響です。
アスタキサンチンは熱に対して比較的安定しているため、加熱しても効果が損なわれにくい性質があります。スープに煮出すことで溶け出した栄養ごとしっかり摂れるのは、ビスクならではのメリットです。
コーラルシー:エビの殻に含まれる栄養素と健康効果を詳しく解説
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