運動しない日でも、日本人女性の7割はタンパク質が不足したまま過ごしています。
ホエイプロテインとは、牛乳を加工する過程で生まれる液体「ホエイ(乳清)」から作られるタンパク質サプリメントです。ヨーグルトの上に溜まっている透明な液体、あれがまさにホエイです。
牛乳に含まれるタンパク質は全体の約20%がホエイ、残り80%がカゼインという2種類に分けられます。このうちホエイ由来のタンパク質を粉末状に濃縮したものが「ホエイプロテイン」と呼ばれます。
ホエイプロテインが選ばれる理由のひとつは、アミノ酸スコアの高さです。アミノ酸スコアとは、食品に含まれる必須アミノ酸のバランスを数値化したもので、100が満点です。牛乳はアミノ酸スコアが100であり、ホエイプロテインはその優秀さをそのまま引き継いでいます(参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」)。
また、ホエイプロテインは消化吸収が非常に速いのが特徴です。体内での吸収にかかる時間はおよそ1〜2時間とされており、同じ牛乳由来のカゼインプロテイン(7〜8時間)やソイプロテイン(5〜6時間)と比べると格段に早い。つまりホエイが基本です。
| 種類 | 原料 | 吸収速度 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| ホエイプロテイン | 牛乳(乳清) | 約1〜2時間 | 吸収が早い・アミノ酸スコア100・BCAAが豊富 |
| カゼインプロテイン | 牛乳(固形分) | 約7〜8時間 | 腹持ちが良い・就寝前向き |
| ソイプロテイン | 大豆 | 約5〜6時間 | 大豆イソフラボン含有・女性ホルモンに似た働き |
ホエイプロテインはもともとスポーツ選手向けのイメージが強いですが、近年は「普段の食事でタンパク質が不足している主婦にこそ必要」という見方が広まっています。意外ですね。
参考:ホエイプロテインの基本的な特徴と吸収速度について詳しく解説されています。
ロッテ「メディパレット」:ホエイプロテインとは?特徴や効果、摂取タイミングなどについて
ホエイプロテインの最もよく知られた効果が、筋肉量の維持と増加です。筋肉はタンパク質でできており、体内でタンパク質が不足すると筋肉が分解されてしまいます。
厚生労働省によると、18歳以上の女性に必要な1日のタンパク質摂取推奨量は50gです。しかし実際には、日本人女性の7割がこれを満たせていないというデータもあります(参考:インスタグラム調査データほか複数の栄養調査より)。毎日の食事でこの量を満たすには、鶏胸肉なら約250g、卵なら8個近くを食べる計算になります。けっこうな量ですね。
ホエイプロテイン1回分(約30〜35g)でタンパク質を約20g補えるため、食事の不足分を効率よく補える点が魅力です。
ダイエットとの関係でいうと、ホエイプロテインと筋トレを組み合わせることで「基礎代謝」が上がりやすくなります。筋肉量が増えると、何もしていない状態でも消費するカロリー(基礎代謝量)が増えるためです。あるメタ解析研究では、ホエイプロテイン摂取と筋トレを組み合わせた群で、除脂肪体重(筋肉などの脂肪以外の体重)が平均2.24kg増加したという結果が報告されています(参考:PR TIMES:新たなメタ解析研究結果 ホエイプロテインが身体組成の改善に)。
ただし、ホエイプロテインを飲むだけで痩せるわけではありません。これが原則です。タンパク質も1gあたり約4kcalのエネルギーがあるため、食事全体のカロリーバランスを意識することが大切です。
「プロテインは筋肉をつけるもの」と思っている方も多いですが、美肌・美髪・爪の健康にも深く関わっています。これは使えそうです。
私たちの体は約60%が水分で、その次に多い成分がタンパク質です。肌のコラーゲン・エラスチン、髪のケラチン、爪の成分も、すべてタンパク質から作られます。つまり、タンパク質が不足すると、どれだけスキンケアやヘアケアに力を入れても、原材料が足りないため効果が出にくくなるというわけです。
ホエイプロテインには、必須アミノ酸の一種「トリプトファン」も含まれています。トリプトファンは体内で「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの材料になるため、精神的な安定にも貢献します。家事や育児に追われる毎日の中で、気持ちを穏やかに保つサポートにもなるかもしれません。
また、ホエイプロテインに含まれる「ラクトフェリン」という成分は、内臓脂肪の減少をサポートする可能性が示唆されています。外見だけでなく体の内側からのアプローチができる点が、ホエイプロテインが美容面でも注目される理由です。
鶏モモ肉(皮付き100g)のタンパク質は約17.3gで脂質は約19.1g。一方、ホエイプロテイン1回分(約31g)はタンパク質約20.6gで脂質が約1.7gです。同量のタンパク質を摂るのに脂質を約11分の1に抑えられるため、体型が気になる方にも適しています。
参考:女性の美容とホエイプロテインの関係について詳しく解説しています。
FIT-EASY「ホエイプロテインの女性への効果とは?美容と体づくりをサポートする理由」
ホエイプロテインは「いつ飲むか」によって、体内での利用効率が大きく変わります。ここが条件です。
最もよく知られているのが、運動後の「ゴールデンタイム」です。運動後30〜45分以内は筋肉の修復が最も活発になる時間帯とされており、このタイミングにホエイプロテインを摂取すると、吸収されたタンパク質が効率よく筋肉の材料として使われます(参考:森永製菓「運動後45分がプロテイン摂取のゴールデンタイム」)。
ただし、運動後だけが飲み時ではありません。朝は就寝中の絶食状態でタンパク質が枯渇しているため、朝食と合わせてホエイプロテインを補給するのも効果的です。吸収が早いホエイプロテインは朝の補給にも向いています。
ひとつ覚えておきたい注意点があります。「ホエイプロテインだけ飲めばいい」は間違いです。体内で糖質が不足していると、タンパク質がエネルギー補給のために消費されてしまい、筋肉の材料として使われなくなります。プロテインを飲む際は糖質も一緒に摂ることが基本です。
忙しい主婦の方には、バナナ1本(糖質約21g)と一緒にプロテインシェイクを飲む方法が手軽でおすすめです。時間も手間もかかりません。
ホエイプロテインには製法の違いによって主に3種類があります。選び方で効果や体への影響も変わってくるため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
| 種類 | タンパク質含有率 | 乳糖 | 価格 | こんな人向け |
|---|---|---|---|---|
| WPC(濃縮法) | 約70〜80% | 含む | 比較的安価 | 初めての方・コスパ重視の方 |
| WPI(分離法) | 約90%以上 | ほぼなし | やや高め | 牛乳でお腹を壊す方・タンパク質を純粋に摂りたい方 |
| WPH(加水分解法) | 約95%以上 | ほぼなし | 高め | 吸収速度最優先・胃腸への負担を減らしたい方 |
一般的に市販されているホエイプロテインのほとんどはWPC製法です。コスパが良く、タンパク質以外の栄養素(カルシウムや乳糖など)も一緒に摂れるメリットがあります。
一方、「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする」という乳糖不耐症気味の方には、乳糖がほぼ取り除かれたWPI製法がおすすめです。WPI製法ならお腹の不調が起きにくいという点で、牛乳が苦手な主婦にも選択肢が広がります。
参考:WPC・WPI・WPHの違いと選び方を詳しく解説。
Ultora「ホエイプロテインのWPCとWPIを選ぶならどっちがいい?違いや特徴を解説」
初めてホエイプロテインを選ぶなら、まずWPC製法で体が慣れるかを確認する方法がシンプルです。お腹が弱いと感じた場合はWPIに切り替えるという手順で確かめましょう。
ホエイプロテインは適切に使えば頼れる栄養補助食品ですが、いくつかの落とし穴も存在します。知っていれば回避できることばかりです。
まず「飲みすぎによる体重増加」について。タンパク質は1gあたり約4kcalのエネルギーを持っています。食事に加えてプロテインを飲む場合、全体のカロリー摂取量が増えすぎると体重増加につながります。1日のタンパク質摂取量の目安は、運動習慣のない女性なら体重1kgあたり約1.0〜1.3g程度。体重55kgの女性なら55〜72g前後が目安です。
次に注意したいのが腎臓への負担です。タンパク質を消化・分解する過程で「尿素窒素」という老廃物が生じ、これを体外に排出するのが腎臓の役割です。過剰なタンパク質摂取が続くと腎臓に負担がかかる可能性があります。健康な人であれば過度に心配する必要はありませんが、腎臓や肝臓に持病がある方はかかりつけ医への相談が先決です(参考:赤羽腎臓内科「プロテインは腎臓に悪い?腎臓の専門医の本音」)。
さらに、牛乳が苦手な方がWPC製法のホエイプロテインを飲むと、乳糖の影響でお腹が緩くなることがあります。この場合はWPI製法への切り替えが有効です。
腎臓や肝臓への懸念がある方向けに、かかりつけ医や管理栄養士に相談できる窓口を活用するのがベストです。各自治体の保健センターでは、無料の栄養相談を実施しているところも多いので、まず問い合わせてみるのも一つの手です。