シリコン型でカヌレを焼くと、外がカリカリにならず損をします。
カヌレは見た目こそ専門店のような風格がありますが、使う材料は家に常備しているものばかりです。基本レシピ(10個分)に必要なものを整理すると、薄力粉100g・牛乳500ml・グラニュー糖200g・卵1個+卵黄2個・無塩バター25g・ラム酒30ml・バニラビーンズ(またはバニラオイル)という構成になります。
これらはスーパーでほぼすべてそろいます。
「ラム酒が自宅にない」と感じる人も多いですが、少量ならスーパーの製菓コーナーや業務スーパーで小瓶(500円前後)が購入できます。ラム酒は風味づけが目的なので、バニラエッセンスのみで代用することも可能ですが、香りの深みは半減します。
次に道具です。必須なのは「カヌレ型」「ボウル」「泡立て器またはハンドブレンダー」「ザル(こし器)」「オーブン」の5つです。カヌレ型については次のセクションで詳しく説明しますが、初めての方はアルミ製またはテフロン加工の型を選ぶのが失敗しにくいという原則です。
生地作り自体は混ぜて漉すだけ。つまり工程はシンプルです。
| 材料 | 分量(10個分) | 備考 |
|---|---|---|
| 薄力粉 | 100g | 強力粉との混合もあり |
| グラニュー糖 | 200g | 上白糖でも可 |
| 牛乳 | 500ml | 成分無調整推奨 |
| 全卵 | 1個 | Mサイズ |
| 卵黄 | 2個分 | コクを出すため |
| 無塩バター | 25g(生地用)+型塗り用 | 有塩は不可 |
| ラム酒 | 30ml | バニラオイルのみでも可 |
| バニラビーンズ | 1/2本 | バニラオイル6滴でも可 |
「カヌレの生地は一晩寝かせないといけない」と思っている人は多いです。確かに本格レシピでは強力粉を使い、グルテンを十分に落ち着かせるために12〜24時間の休ませが必要です。ただ、薄力粉のみを使う簡単レシピなら、寝かせ時間は1〜2時間で十分です。
グルテンの量が少ないため、短時間でもなめらかにまとまります。
生地の作り方は次の流れです。まず牛乳をバター・バニラビーンズと一緒に鍋で中火にかけ、バターが溶けたら火を止めます。別のボウルに薄力粉とグラニュー糖をあわせてから牛乳液を3〜4回に分けて加え、そのつど泡立て器でよく混ぜます。最後に卵黄とラム酒を加えてザルで漉し、ラップをして1〜2時間休ませれば生地の完成です。
泡立てすぎに注意が必要です。
混ぜるときに空気を多く含ませてしまうと、焼成中に生地が浮き上がって型の外にあふれたり、焼きムラが生じたりします。ハンドブレンダーを使う場合はボウルの底に押しつけるようにして、なるべく空気が入らないよう撹拌するのがコツです。ザルで漉す工程にも、泡を落ち着かせる効果があります。
冷蔵庫から出したら常温(約20℃以上)に戻してから焼くのが条件です。
冷たいまま型に流してオーブンに入れると、生地内部の温度が上がりきらず焼きムラが生じやすくなります。夏場は冷蔵庫保存でも構いませんが、焼く前に必ず室温に戻してください。
カヌレ型の素材は仕上がりを大きく左右します。「100均のシリコン型でも同じでしょ?」と思いがちですが、型の素材によって熱の通り方が全然異なります。
素材ごとの特徴をまとめると以下のとおりです。
| 素材 | 熱伝導 | カリカリ感 | 型離れ | 価格目安(1個) |
|---|---|---|---|---|
| 🥇 銅製 | ◎ 最高 | ◎ | △ 蜜蝋が必要 | 1,500〜3,000円 |
| 🥈 アルミ製 | ○ 良好 | ○ | △ コツが必要 | 300〜700円 |
| 🥉 テフロン加工(鉄) | ○ | ○ | ◎ 扱いやすい | 300〜600円 |
| シリコン(ゴム)製 | ✕ 低い | △ 出にくい | ◎ 型離れ最良 | 100〜500円 |
銅製は熱伝導率が金属の中でトップクラスで、本場フランスのパティシエも使うほどです。ただし1個あたり1,500〜3,000円と高価で、手入れも大変です。初めてカヌレを作るなら、テフロン加工または黒シリコン加工の鉄型がおすすめです。
シリコンゴム製は型離れが最も良い点が魅力ですが、熱伝導が低いため表面がふにゃふにゃになりやすく、あの「カリカリ感」が出にくいのが最大のデメリットです。これが一番の落とし穴です。
厳しいところですね。
ダイソーなどの100均でもカヌレ用シリコン型は販売されており、1個あたり数百円で試せるのは魅力です。ただし、シリコン型専用のレシピ(米粉を使う・焼成温度を調整するなど)を使うことで、ある程度カリカリ感を補えます。100均型でも使い方しだいで十分美味しく焼けます。
参考:カヌレ型の素材別焼き比べ結果(馬嶋屋菓子道具店)
カヌレ型の材質による焼き上がりの違い|馬嶋屋菓子道具店
カヌレの焼き方でもっとも大切なのは「高温スタート」です。まずオーブンを250℃(家庭用の場合は230℃)に予熱してから型を入れ、最初の20〜25分を高温で焼きます。この段階で表面のキャラメリゼが始まり、あのカリカリとした黒っぽい皮が形成されます。
そのあと200℃に下げてさらに40〜50分焼くのが基本です。
高温スタートを省略したり、予熱が不十分なままオーブンに入れると、表面に焼き色がつかず「ただの蒸しパン」のような仕上がりになることがあります。家庭のオーブンによって温度差があるため、最初の5分で生地が膨らんでいるかどうか確認し、膨らみが足りない場合は10℃ずつ上げて調整するのがコツです。
また、型に塗るものにも注意が必要です。
本格的なカヌレでは「蜜蝋(みつろう)」を型に塗ります。蜜蝋はミツバチの巣が原料の食用ワックスで、融点が高く高温の焼成中も膜を保つため、独特のカリカリ食感と光沢を長時間キープできます。ただし一般スーパーではほぼ購入できず、製菓専門店やAmazonで購入しても1パック800〜1,500円程度と高め。家庭ではあまり使われません。
代用するなら「溶かしバター+はちみつ」の組み合わせが最も近い仕上がりになります。
富澤商店の検証でも「バターのみより、バター+はちみつのほうが焼き色・香ばしさともに優秀」と確認されています。はちみつの糖分が高温でキャラメリゼされて薄い膜を作るため、蜜蝋に近いカリカリ感が得られます。焼き上げ直後に冷凍庫で15分急冷すると、カリカリ感がさらに長持ちします。
これは使えそうです。
参考:カヌレ型を徹底比較!4種の型で焼き比べ(富澤商店)
カヌレ型を徹底比較!4種の型で焼き比べ、あなたにピッタリの型は?|富澤商店
手作りカヌレはできたてが一番美味しいですが、日持ちについても把握しておくと安心です。保存方法によって美味しさが大きく変わります。
常温保存は当日〜翌日が限度です。外のカリカリ感は時間の経過とともに急速に失われ、翌日にはしっとりとした食感になります。冷蔵保存なら2〜3日は食べられますが、やはりカリカリ感はほぼなくなります。
冷凍が原則です。
1個ずつラップで包んでからジップロックに入れ、冷凍庫で保存すれば約2週間は品質が維持されます。解凍する際は冷凍庫から出して常温で約1時間放置するだけです。電子レンジを使う場合は600Wで30秒が目安ですが、加熱しすぎると中がベチャつくので注意してください。
冷凍したカヌレのカリカリ感を復活させたい場合は、常温解凍後にオーブントースター150℃で3〜5分温める方法が効果的です。焼き直し(リベイク)のたびに冷凍庫で急冷するというダブルステップを踏むと、よりパリッと仕上がります。ただし電子レンジだけでの復活は難しいため、必ずトースターと組み合わせるのが条件です。
また、プレゼント用に渡す場合は必ず当日または翌日に食べてもらえるよう一言添えるのが親切です。贈る相手が「なんかしっとりしてる」と思う前に食べてもらうのが大切ですね。
基本のカヌレを1回作れたら、アレンジの幅が一気に広がります。これがカヌレの楽しいところです。
最もポピュラーなアレンジはチョコレート味です。基本生地にカカオパウダー8g(またはピュアカカオ・純ココア30g)を薄力粉と一緒に加えるだけで、ショコラカヌレが完成します。焼いた後に底に穴をあけてガナッシュ(チョコ+生クリームを同量で合わせたもの)を詰めると、カフェ風の仕上がりになります。
抹茶味は生地のカカオパウダーを同量の抹茶パウダーに変えるだけです。
米粉を使ったカヌレも近年人気が高まっています。グルテンを含まないため、寝かせ時間なしで焼けるレシピが多く、ダイソーの米粉やスーパーの製菓用米粉で作れます。食感はもっちり度が増し、薄力粉バージョンとは異なる魅力があります。小麦アレルギーのあるご家族にも喜ばれます。
フレーバー変更はとても簡単です。
アレンジを楽しむためにも、まず基本のプレーン味をマスターすることが近道です。一度成功すると「どんなフレーバーでも作れる」という自信になります。型さえあれば、材料を変えるだけなのでコストも抑えられます。
参考:外はカリカリ中はやわらか新食感カヌレの簡単レシピ(FOODIE)
カリカリ&やわらか新食感「カヌレ」簡単レシピ。人気のチョコ味も|FOODIE(三越伊勢丹)