市販のアイスを型に詰めるだけで、カッサータは本格的な仕上がりになります。
カッサータとは、イタリア・シチリア島発祥の伝統的なスイーツです。語源はアラビア語の「カアス(器・椀)」に由来するとも言われており、1000年以上の歴史を持つ由緒あるお菓子です。
大きく分けると「ケーキタイプ」と「アイスクリームタイプ」の2種類があります。日本で広く知られているのはアイスクリームタイプで、リコッタチーズや生クリームをベースにしたクリームに、ドライフルーツやナッツを混ぜ込み、型に入れて凍らせたものです。
口に入れた瞬間、ふわっとしたチーズクリームの風味と、ドライフルーツの甘酸っぱさが同時に広がります。濃厚でありながら後味が意外とさっぱりしている点が多くの人を虜にする理由です。これが基本です。
ケーキタイプのカッサータはスポンジ生地にリコッタクリームを挟み、マジパンや砂糖漬けの果物で華やかに飾り付けたものです。シチリアのお祝いごと、とくに復活祭(イースター)に欠かせない伝統菓子として現地では今も親しまれています。
日本では「カッサータ=冷たいアイスケーキ」として定着していますが、本場シチリアでは冷たくないケーキこそがカッサータの原点です。意外ですね。
カッサータの起源は9〜11世紀ごろのシチリアにさかのぼります。当時シチリアを支配していたアラブ人が、砂糖・アーモンド・リコッタチーズをスポンジ生地に合わせたのが始まりとされています。
その後、ノルマン人やスペイン・ハプスブルク家の支配を経て、カッサータは少しずつ形を変えながら洗練されていきました。16世紀ごろには修道院の修道女たちがマジパンや砂糖漬け果物で飾り付けるスタイルを確立し、現在のビジュアルに近い形になったと言われています。
つまり、カッサータは複数の文化が融合して生まれたお菓子ということです。
アイスクリームタイプは19世紀後半にアメリカへ移民したシチリア人によって広められたという説が有力です。本場の味を異国でも再現したいという思いから、リコッタクリームを凍らせる形式が生まれたとされています。日本へはイタリア料理ブームとともに1980〜90年代にかけて広まり、現在ではコンビニや百貨店でも購入できるほど身近な存在になりました。
歴史を知ると、一口食べるたびに違う景色が見えてきます。これは使えそうです。
参考:シチリア料理と歴史的背景についての解説(外部の食文化情報として参照)
nippon.com|イタリア食文化に関するコラム(シチリア料理の背景)
カッサータには大きく2種類あると前述しましたが、それぞれの特徴をより具体的に整理しておきましょう。
ケーキタイプ(カッサータ・シチリアーナ)は、スポンジ生地の内側にリコッタチーズクリームを詰め、外側をマジパン(アーモンドペースト)で覆い、砂糖漬けのフルーツや砂糖衣のアイシングで飾ったものです。見た目が非常に華やかで、シチリアのパン屋やパスティッチェリア(洋菓子店)では定番商品として販売されています。復活祭の時期には1店舗で数百個単位が売れることもあるほどの人気メニューです。
アイスタイプ(カッサータ・ジェラータ)は、型にアイスクリームまたはジェラートを貼り付け、内側にリコッタベースのクリームとドライフルーツ・ナッツを詰めて凍らせたものです。断面が美しい「層」になっており、カットするとカラフルなフルーツが顔を出します。見た目のインパクトが大きく、パーティーやおもてなしの場に最適です。
2種類あるということですね。
日本のスーパーやコンビニで「カッサータ」として売られているのは、ほぼアイスタイプです。ハーゲンダッツやROYCEなどからも類似商品が販売されたことがあり、国内での認知度は年々上がっています。どちらのタイプも「リコッタチーズ+ドライフルーツ」という組み合わせが核心にあります。リコッタが基本です。
| 比較項目 | ケーキタイプ | アイスタイプ |
|---|---|---|
| 温度 | 常温・冷蔵 | 冷凍 |
| 主な材料 | スポンジ+リコッタ+マジパン | アイス+リコッタ+ドライフルーツ |
| 食感 | しっとり・濃厚 | なめらか・ひんやり |
| シーン | お祝い・行事 | パーティー・おもてなし |
| 日本での普及度 | 低め | 高め |
「材料を混ぜて凍らせるだけ」というシンプルさが、カッサータの最大の魅力のひとつです。特別な製菓道具がなくても、パウンドケーキ型やタッパーで代用できます。
基本の材料は「リコッタチーズ・生クリーム・砂糖・ドライフルーツ・ナッツ」の5つだけです。リコッタチーズが手に入らない場合は、クリームチーズにプレーンヨーグルトを少量混ぜると風味が近づきます。
【基本の手順】
ドライフルーツは「レーズン・クランベリー・オレンジピール」の組み合わせが色鮮やかで見栄えがよくなります。ナッツはピスタチオが本場らしさを出しますが、くるみやアーモンドでも十分においしく仕上がります。
失敗しないコツは2つです。「クリームを混ぜすぎない」「冷凍時間を短縮しない」。この2点に注意すれば大丈夫です。
クリームを混ぜすぎると空気が抜けてぼそぼそした食感になります。また、冷凍時間が短いと型崩れしてカットしにくくなるため、できれば一晩(8時間以上)冷やすのが理想です。
市販のバニラアイスを外側に使い、内側にリコッタクリームを詰める「なんちゃってカッサータ」は、作業時間が30分以内に収まります。忙しい日のおもてなしに最適です。
カッサータはスイーツの中では「意外と罪悪感が少ない」という声をよく聞きます。どういうことでしょうか?
一般的なカッサータ1切れ(約80g)のカロリーはおよそ200〜250kcalです。同量の生クリームケーキ(約350〜400kcal)や濃厚チョコレートムース(約300kcal前後)と比べると、カロリーが低めに抑えられています。これはリコッタチーズがほかのチーズ類に比べて脂肪分が低いためです。
リコッタチーズ100gあたりのカロリーは約130〜150kcalで、同量のクリームチーズ(約350kcal)の半分以下です。さらにリコッタにはカルシウムやたんぱく質が豊富に含まれているため、栄養面でも優秀な食材と言えます。
比較すると優秀ですね。
ただし、砂糖や生クリームを加える分、市販品ではカロリーが高くなりやすい点は覚えておいてください。手作りにすると砂糖量をコントロールできるため、カロリーを抑えたいときは砂糖をはちみつに置き換えたり、生クリームの一部をギリシャヨーグルトに変えたりする工夫が有効です。
アレンジのバリエーションも豊富です。
見た目が豪華なのに作り方がシンプル、というギャップがカッサータを「映えスイーツ」として人気にしている大きな理由です。インスタグラムなどSNSへの投稿でも映えやすく、断面をきれいに撮影して「手作りカッサータ」として投稿する主婦が近年増えています。
リコッタチーズはイオンやコストコのほか、カルディコーヒーファームでも取り扱いがあります。近所で手に入らない場合はAmazonや楽天市場での取り寄せも手軽です。まずはリコッタを探すところから始めてみてください。
参考:リコッタチーズの栄養成分と健康効果に関する情報
グリコ|栄養成分・食品成分に関するデータベース(チーズ類の栄養比較に活用)
わざわざ手作りしなくても、市販のカッサータで十分においしい体験ができます。どんな商品を選べばよいか、迷う方も多いはずです。
市販のカッサータを選ぶときのポイントは「ドライフルーツの種類の多さ」と「リコッタチーズが使われているか」の2点です。リコッタチーズ不使用で生クリームだけのものはカッサータ風ではありますが、本来の風味とは少し異なります。原材料名を確認する習慣をつけましょう。
活用シーンも幅広いです。
ホームパーティーへの差し入れとして持参すると「どこで買ったの?」と話題になりやすいです。断面がカラフルなため、切り分けた瞬間の驚きが場を盛り上げます。
子どもの誕生日には、市販のバニラアイスを使った手作りカッサータをホールケーキの代わりに出すと、ろうそくを立てることもでき、見栄えもばっちりです。デコレーションはホイップクリームや食用の金箔を少し添えるだけで一気に華やかになります。
夏の手みやげとして冷凍のまま持参するのも喜ばれます。生菓子より日持ちするため(冷凍で2〜4週間程度)、日程の調整がしやすいのも魅力です。
保存方法は「冷凍・密封」が基本です。においが移りやすいため、しっかりラップで包んだうえでジップロックに入れる二重包装が理想的です。食べる15〜20分前に冷蔵庫へ移して少し解凍すると、なめらかで食べやすい食感になります。これだけ覚えておけばOKです。
カッサータは「知ると損しない」スイーツの代表格です。歴史・作り方・楽しみ方のどれをとっても奥が深く、一度知ると何度でも作りたくなる魅力があります。ぜひ今週末の食卓に取り入れてみてください。