絹ごし豆腐と木綿豆腐は、製造工程が大きく異なります。木綿豆腐は豆乳に凝固剤を加えて一度固めたものを崩し、木綿の布を敷いた型箱に入れて重石をかけて水分を抜いて作ります。この工程で表面に木綿の布目の凸凹がつくのが特徴です。一方、絹ごし豆腐は豆乳に凝固剤を加え、穴のない型箱にそのまま流し込んでプリンのように固めます。水分を抜かないため、なめらかでツルっとした食感になります。
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歴史的には木綿豆腐のほうが古く、絹ごし豆腐は江戸時代中期にやわらかく舌触りのいい豆腐を求めて作られたものです。製造に使う布の種類で名前が決まるわけではなく、木綿豆腐の「木綿」は昔の製造工程で使われたふきんの布目に由来しています。絹ごし豆腐は絹のようになめらかな食感から名付けられました。
参考)https://www.we-love-tofu.com/knowledge/no1/
100gあたりの栄養成分を比較すると、木綿豆腐はエネルギー73kcal、タンパク質7.0g、絹ごし豆腐はエネルギー56kcal、タンパク質5.3gです。木綿豆腐は製造工程で水分を絞ることで成分が凝縮されるため、タンパク質が絹ごし豆腐より約1.3倍多く含まれています。カルシウムも木綿豆腐93mgに対して絹ごし豆腐75mgと、木綿豆腐のほうが約1.2倍多くなっています。
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一方、絹ごし豆腐は水分量が多いため低カロリーで、ビタミンB群などの水溶性ビタミンが豊富です。木綿豆腐は水分を絞る工程で水溶性ビタミンが流出してしまうため、この点では絹ごし豆腐が優れています。カリウムについては絹ごし豆腐150mgに対して木綿豆腐110mgと、絹ごし豆腐のほうが多く含まれています。一丁300gあたりで換算すると、木綿豆腐219kcal、絹ごし豆腐168kcalとなり、ダイエット中はカロリーを意識して選ぶとよいでしょう。
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食感の違いは製造方法に起因しています。木綿豆腐は水分を適度に抜いてあるため、しっかりとした食感で崩れにくく、大豆の風味が生きています。やや粗い舌ざわりが特徴で、しっかりした歯ごたえを楽しめます。一方、絹ごし豆腐は水分を多く含むため、なめらかできめ細かな舌ざわりが魅力です。口の中でとろけるような柔らかさがあります。
木綿豆腐の表面には布目の凸凹があるのに対し、絹ごし豆腐は表面がなめらかです。この表面の違いも見た目で判別できるポイントになります。木綿豆腐は圧搾されているため密度が高く、絹ごし豆腐は空気を含んだような柔らかさがあります。それぞれの食感の違いを活かして、料理によって使い分けることが大切です。
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絹ごし豆腐はなめらかな口当たりを活かして、冷奴やサラダなど生で食べる料理に最適です。白和えにしたり、みそ汁や湯豆腐など食感を楽しむメニューにも向いています。煮込んで味をしみ込ませるより、豆腐そのものの滑らかさを味わう料理がおすすめです。また、電子レンジで簡単に作れる麻婆豆腐にも使えます。
参考)https://www.shizensyokuhin.jp/archives/articles/645
木綿豆腐はしっかりしていて崩れにくいため、炒める、煮る、焼く、揚げるなど加熱調理全般に適しています。炒り豆腐にしても形が残り、味がしみこみやすいため煮物や鍋料理にぴったりです。豆腐ステーキや揚げ出し豆腐、肉豆腐やチャンプルなど味が絡みやすい料理に使われます。焼き豆腐や厚揚げも木綿豆腐から作られています。調理方法に応じて豆腐を選ぶことで、料理の完成度が高まります。
健康志向で豆腐を選ぶ際は、目的に応じて使い分けることが重要です。筋肉をつけたい場合やタンパク質を多く摂取したい場合は、タンパク質含有量が多い木綿豆腐が適しています。木綿豆腐100gあたりのタンパク質7.0gは、良質な植物性タンパク質としてアミノ酸スコア100を誇り、吸収率も95%以上です。カルシウムや鉄分も木綿豆腐のほうが多いため、骨の健康を意識する方にもおすすめです。
ダイエット中でカロリーを抑えたい場合は、絹ごし豆腐のほうが低カロリーです。100gあたり56kcalと木綿豆腐より17kcal低く、一丁換算では51kcalの差になります。また、絹ごし豆腐はカリウムが豊富で、むくみ予防に効果的です。水溶性ビタミンも多く含まれているため、ビタミンB群を摂取したい方には絹ごし豆腐が向いています。日々の食事で両方の豆腐を上手に取り入れることで、バランスの良い栄養摂取ができます。
参考)万能食材!豆腐の栄養と活用レシピ|【公式】まごころケア食
豆腐に使われる凝固剤には硫酸カルシウム、塩化マグネシウム(にがり)、グルコノデルタラクトン、塩化カルシウムなどがあり、いずれも食品衛生法で指定された安全なものです。豆腐の種類に応じた凝固剤が使用されており、製造者がそれぞれ工夫して使用しています。なお、豆腐には防腐剤は使用されていません。
参考)豆腐の添加物を知る|豆腐のことなら全豆連
全国豆腐連合会の公式サイト - 豆腐の添加物について詳しい情報
絹ごし豆腐と木綿豆腐の基本的な保存方法は同じですが、特性の違いを理解しておくことが大切です。開封後の豆腐は水道水に浸して保存容器に入れ、蓋をして冷蔵庫で保管します。水道水に含まれる塩素が雑菌の繁殖を防ぐため、ミネラルウォーターではなく水道水を使用することがポイントです。水は毎日取り換え、2〜3日以内に食べきるようにしましょう。
参考)【絹ごし/木綿】豆腐の適切な保存方法。冷蔵から冷凍まで - …
木綿豆腐は水分が少なく密度が高いため、比較的形が崩れにくいですが、絹ごし豆腐は柔らかく崩れやすいため取り扱いには注意が必要です。カットした状態で保存すると切り口が増え、旨味が抜けやすくなるため、長期保存する場合はカットせずに保存するほうが良いでしょう。冷凍保存も可能ですが、解凍後は食感が変わるため、凍り豆腐のような食感を楽しむ料理に活用することをおすすめします。
参考)【豆腐の保存方法】冷凍すると食感が変わる!長期間おいしく楽し…
豆腐の適切な保存方法についての詳しい解説記事
絹ごし豆腐と木綿豆腐は、どちらもスーパーマーケットで年中手に入る身近な食材です。価格面では両者に大きな差はなく、一般的に一丁100円〜200円程度で購入できます。製造工程が異なるものの、原材料は同じ大豆と凝固剤であり、製造コストに大きな違いがないためです。地域や店舗によって価格は変動しますが、基本的には同価格帯で販売されています。
豆腐は年間を通して供給が安定しており、日本全国どこでも購入しやすい食材です。健康志向の高まりから需要も安定しており、一丁だけでなく少量パックやミニサイズなど、様々なサイズで販売されています。また、最近では充填豆腐という長期保存可能なタイプも増えており、用途に応じて選べるようになっています。豆腐は手頃な価格でタンパク質を摂取できる優れた食材として、多くの家庭で活用されています。
参考)木綿豆腐と絹ごし豆腐:異なる食感の魅力とそのレシピへの活用法…
絹ごし豆腐を使った簡単レシピとして、揚げ玉冷奴があります。豆腐に揚げ玉、かいわれ大根、生姜をのせてめんつゆをかけるだけで完成し、パパッと作れるため晩酌のおつまみに最適です。また、チーズ温奴もおすすめで、電子レンジで2分加熱してスライスチーズを溶かし、醤油と粗挽き黒こしょうで味付けするだけで完成します。絹ごし豆腐は電子レンジで作る麻婆豆腐にも使え、10分以内で調理できます。
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木綿豆腐を使ったレシピでは、豆腐の照りマヨ焼きが人気です。照りマヨ味でこってり仕上がり、お弁当にもおすすめの絶品おかずになります。豆腐ハンバーグは木綿豆腐を使うとふわふわ食感になり、カサ増しもできて経済的です。木綿豆腐は水切りしてから使うことで、より味が染み込みやすくなります。炒り豆腐や肉豆腐など、しっかり味をつける料理にも木綿豆腐が適しています。
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