スーパーで買う輸入アボカドは、じつは皮が黒くなっても完熟していないことがあります。
国産アボカドの主な産地は、和歌山県・愛媛県・鹿児島県の3県です。これらはいずれも柑橘類の名産地として知られており、温暖な気候と豊富な日照時間がアボカド栽培にも適しています。
愛媛大学の調査資料によると、国内収穫量の内訳は和歌山57%・愛媛28%・鹿児島7%となっています。つまり、この3県だけで国産アボカドの9割以上を占めているわけです。
なかでも注目されているのが愛媛県松山市。松山市は「日本一のアボカド産地づくり」を市の施策として掲げており、2024年時点で栽培面積14.6ヘクタールと、栽培面積では国内トップとなっています。市が毎年苗木を農家へ配布するなど、行政と農家が二人三脚で産地育成に取り組んでいます。
面白いのが、このアボカドブームが始まったきっかけです。もともと松山市の農家はみかんなどの柑橘類を育てていましたが、価格低迷や耕作放棄地の増加が深刻になっていました。そこで台風被害を受けた際に試しに植えたアボカドの木が、手間をかけなくてもすくすく育ったことがきっかけで、柑橘類に代わる新しい特産品として普及していったのです。
和歌山県では有田川町などの産地直売所で毎年12月ごろからアボカドが並び始め、みかん農家がアボカドも一緒に栽培するケースが多くなっています。柑橘類の栽培ノウハウがそのまま活かせるのが、この地域でアボカドが広がりやすい大きな理由のひとつです。
栽培面積は6年間で約9倍にまで拡大しており、国産アボカドへの注目は今後もますます高まりそうです。これは使えそうですね。
スーパーで一年中並ぶアボカドのほぼ全てはメキシコ産です。実はメキシコ産はほぼ通年で輸入されているため、特定の「旬」がありません。これが基本です。
一方、国産アボカドの旬は10月下旬〜1月頃に集中しています。夏に実がつき、秋から冬にかけて徐々に油分を蓄えながら熟すのが国産品の特徴です。
ここで国産品ならではの大きなポイントがあります。輸入アボカドは船で長距離輸送する都合上、まだ未熟な硬い状態で収穫・出荷されます。日本に届いたあと、エチレンガスなどで追熟処理をしてから店頭に並びます。追熟処理自体は問題ありませんが、木の上で完全に熟した状態とは風味や食感がどうしても異なります。
国産アボカドは産地から近距離で輸送できるため、樹上で十分に熟した「完熟状態」で収穫してすぐ届けることができます。つまり、国産品は「木で育てた本当の完熟味」を味わえるのです。
10月〜1月の収穫期には寒暖差が大きくなります。この寒暖差こそが油分(オレイン酸など)を果肉に蓄積させる重要な要素です。新潟県のハウス農家「せきね農園」がアボカドの本場・メキシコ山間地の気候(昼間約25℃・夜間約10℃の寒暖差)を新潟の冬を利用して再現していることからも、この寒暖差の重要性がわかります。
旬の時期に手に入れた国産アボカドは、バターのようにとろけるクリーミーさが特徴です。輸入品との違いは一口食べればすぐわかると言われるほど。知っておけば得する情報です。
| 比較項目 | 国産アボカド | 輸入アボカド(メキシコ産など) |
|---|---|---|
| 収穫状態 | 完熟収穫 | 未熟収穫(追熟処理あり) |
| 旬の時期 | 10月〜1月(秋冬) | 通年 |
| 価格 | 1個500円〜3,000円以上 | 1個100円前後 |
| 入手場所 | 産直・通販・道の駅 | スーパー全般 |
| 主な品種 | ベーコン・フェルテ・ピンカートン | ハス種 |
豊洲市場ドットコム|超希少な国産完熟アボカド(完熟収穫の国産品と輸入品の違い、樹上完熟の意味について詳しく解説)
国産アボカドの品種の多さは、輸入品と比べると圧倒的に豊かです。スーパーに並ぶ輸入アボカドはほぼ「ハス種」一択ですが、国産品では複数の品種が栽培されています。
国産で人気の高い主な品種を紹介します。
これらの品種に共通しているのは、「熟しても皮の色があまり変わらない」という点です。輸入のハス種は黒くなるほど完熟のサインですが、国産の多くは緑色のまま食べ頃を迎えます。国産アボカドを手に入れたとき、「まだ青いから食べられない」と誤解してしまうと損をしてしまいます。
食べ頃かどうかを確認するには、色ではなく「やわらかさ」で判断するのが基本です。指でそっと押して、ほどよく弾力があり少し沈む感触なら食べ頃のサインです。
また愛媛の鹿児島では40種類以上の品種が試験栽培されており、今後さらに多様な味わいの国産アボカドが市場に出てくることが期待されています。品種が増えれば増えるほど、旬の時期も広がります。意外ですね。
松山市公式サイト|日本一のアボカド産地づくり(松山市の主力品種・ピンカートン・フェルテ・ベーコンの栽培状況について)
国産アボカドの産地がみかんの産地と一致しているのは、単なる偶然ではありません。和歌山・愛媛はいずれも日本を代表するみかんの産地ですが、近年の気候変動や消費者ニーズの変化によって、みかん農家の収益が大きく下がっていました。
その突破口として浮上したのが、アボカドへの転作・混作です。アボカドはみかんと比べて農薬や肥料の散布頻度が少なく、管理の手間が比較的かかりません。しかも市場での単価が高く、国産品は1個あたり500円〜3,000円以上の値段がつくことも珍しくありません。スーパーの輸入アボカドが1個100円前後であることを考えると、その価格差は5〜30倍にもなります。
この背景には、国産アボカドの「希少性」があります。日本国内で流通しているアボカドのうち、国産品はわずか0.018%程度(愛媛大学資料より)。これはコンビニのおにぎり1,000個のうち、国産アボカドを使ったものがたった0.18個しかないようなイメージです。それほど希少です。
また、国産アボカドは栄養面でも注目されています。アボカドにはオレイン酸(良質な不飽和脂肪酸)、ビタミンE、カリウム、食物繊維が豊富に含まれています。「森のバター」という別名の通り、良質な脂質が多い点が特徴で、美肌や腸内環境の改善に関心の高い方に支持されています。
完熟収穫の国産品は、これらの栄養素が木の上で十分に蓄積された状態で届くため、追熟処理後の輸入品よりも本来の風味を活かした栄養バランスが期待できます。これは健康面でも得する情報ですね。
日本農業新聞によると、国産アボカドの産地連携も進んでおり、「輸入品との差別化」「日本独自のブランド化」に向けた取り組みが本格化しています。今後は産地ごとの個性や品種の違いを楽しめる時代が来るかもしれません。
日本農業新聞|増える国産アボカド 産地連携しブランドに(国産アボカドの産地連携・ブランド化の動向について)
国産アボカドの最大の悩みは「どこで買えるのか」という点です。残念ながら、大手スーパーやイオンで国産品が並ぶことはほぼありません。入手できる場所は大きく3つに絞られます。
選び方についても整理しておきましょう。国産品の多くは緑色のまま熟すため、色で判断するのは禁物です。購入時点でやや固くても、常温(18〜24℃)で2〜3日追熟させれば食べ頃になります。
また、産直で購入した際に「キズや変形がある」と書かれているものは、味には問題なく農薬不使用の証拠であることが多いので、怖がらずに選んで大丈夫です。これは覚えておけばOKです。
熊本県津奈木町「つなぎ南興FARM」のような農家では、1個3,000円以上の高級国産アボカドが販売されています。「なぜそんなに高いの?」と思うかもしれませんが、樹上完熟・農薬不使用・産地直送という3つの価値が込められているためです。贈り物として使っても喜ばれる逸品です。
国産アボカドはまだまだ流通量が少なく、出会えたら「ラッキー」なレアフルーツです。旬の10月〜1月には、産直通販やふるさと納税を活用して、ぜひ一度本物の国産完熟アボカドを味わってみてください。
食べチョク|アボカドの通販(生産者直送の国産アボカドを購入できるページ。旬の時期の入荷情報が確認できます)