仕込んだ味噌を冷蔵庫に入れると、ほぼ確実に熟成が止まって失敗します。
米麹味噌の材料は「大豆・米麹・塩」の3つだけです。シンプルですが、この配合比が味の決め手になります。
基本の黄金比は、乾燥大豆:米麹:塩=1:1:0.5が目安です。たとえば大豆500g・米麹500g・塩250gで、仕上がり約1.2kgの味噌ができます。これはちょうどA4用紙の束くらいの重さのイメージです。
甘みを強くしたい場合は、塩の量はそのままで米麹の量を1.2〜1.5倍に増やします。麹の量を増やすと発酵が速くなり、まろやかな甘口味噌に仕上がります。逆に塩を増やすと辛口になりますが、塩分濃度が低すぎるとカビや腐敗の原因になるため、全体の12〜13%以上は必ず守りましょう。
つまり塩分は削らず、麹で甘さを調節するのが原則です。
生麹と乾燥麹のどちらでも作れますが、香りと旨みは生麹のほうが豊かに仕上がります。乾燥麹を使う場合は、そのまま使うと仕上がりがパサつくことがあるので、少量の水で戻してから使うことをおすすめします。
| タイプ | 大豆(乾燥) | 米麹 | 塩 | 仕上がり量 |
|---|---|---|---|---|
| 甘口 | 500g | 750g | 250g | 約1.3kg |
| 中辛(基本) | 500g | 500g | 250g | 約1.2kg |
| 辛口 | 500g | 400g | 270g | 約1.1kg |
塩の量を変えるのが条件です。甘口でも塩は減らさないようにしてください。
参考:味噌の配合計算と基本レシピ詳細は以下のページが参考になります。
初心者におすすめ! 味噌づくり|発酵食をプラス1(アサヒグループ食品)
米麹味噌の仕込みで最初に手を抜きがちなのが、大豆の下処理です。ここが後の味を大きく左右します。
まず大豆をよく洗います。見た目にはきれいな大豆でも、土・ほこり・微生物が付着しています。お米を研ぐように、大豆同士をこすり合わせながら水が透明になるまで3回ほど繰り返しましょう。
次に浸水です。洗った大豆を大豆の3倍量の水に、18時間以上つけます。冬場(水温10℃前後)では特にこの時間が必要で、夏場でも12時間は確保してください。乾燥大豆は浸水後に重量が約2〜2.3倍に膨らみます。500gの大豆が約1kgになるイメージです。
浸水が不十分だと火が通りにくくなります。確認方法はシンプルで、大豆を1粒割ってみて白い芯がなければOKです。芯が残っているようであれば、さらに2〜3時間浸水を延長しましょう。
浸水が終わったら水を新しく替えて鍋に移します。浸けていた水は使い回さないのが原則です。大豆の汚れや雑菌が溶け込んでいる可能性があるからです。
大豆の煮上がりの目安は「親指と小指で軽くつぶれる硬さ」です。圧力鍋なら20分、普通の鍋なら中火で約3時間が目安になります。煮上がったらすぐに潰さず、人肌(35℃程度)まで冷ましてから次の工程に移ります。
大豆が熱いまま麹を混ぜると、麹菌が熱で死んでしまい発酵しません。これは温度が大事です。
米麹味噌の肝となる工程が、「塩切り麹」を作って大豆と混ぜ合わせるステップです。
塩切り麹とは、米麹に塩を加えてよく混ぜたものです。先に麹と塩を合わせることで、後から大豆と混ぜたときに均一に分散し、発酵ムラを防げます。麹をつぶさないよう、手のひらでやさしくすり合わせるようにして混ぜてください。
人肌まで冷ました大豆をビニール袋やすり鉢でしっかり潰します。完全なペースト状でなくてもよいですが、粒が大きく残ると麹による分解が遅くなり、風味のムラや腐敗の原因になります。フードプロセッサーを使うと短時間できれいに仕上がります。
潰した大豆に塩切り麹を加えて混ぜます。全体が均一になるまでしっかりと混ぜましょう。仕上がりの硬さの目安は「耳たぶ程度のやわらかさ」です。パサつく場合は、大豆の煮汁(または清潔な水)を少量ずつ加えて調整します。
混ぜ終わったら、空気を抜きながら団子状に丸めます。これは容器に詰めるときに隙間をなくすための準備です。空気が残るとカビの温床になるため、一つひとつ丁寧にげんこつで押し込みながら詰めましょう。
これは使えそうです。団子を容器に投げつけるように入れると、隙間がつぶれやすくなります。
詰め終わったら表面を平らにならし、ラップや落し布で密閉します。表面が空気に触れないようにすることが、カビ対策の最大のポイントです。
参考:仕込みの詳細な手順と道具の選び方については以下を参照ください。
仕込みが終わったら、次は熟成です。ここが米麹味噌の作り方で最も誤解が多いステップです。
熟成中の保存場所は、直射日光を避けた常温の冷暗所が基本です。流し台の下、物置、玄関などが適しています。15℃以下では発酵が進みにくく、35℃を大きく超える高温環境も避けてください。そして絶対にやってはいけないのが、冷蔵庫への保存です。冷蔵庫の低温では発酵がほぼ止まり、味噌になりません。夏場でも常温保管が正解です。
熟成期間は仕込む時期や環境によって変わります。
1月に仕込んで7月に食べ始めるのが、最もおいしく仕上がると言われる「寒仕込み」のスタイルです。
天地返しとは、熟成中に容器の上下をひっくり返して味噌を別容器に移し替える作業です。発酵を促進させ、均一に仕上げる効果がありますが、しなくてもおいしい味噌はできます。やるとしたら仕込みから3ヶ月後のタイミングが適切です。
熟成の見極め方はシンプルです。表面ではなく、スプーンで中心部を少し掘って味見をしましょう。表面は空気に触れているため風味が変わっていることがあり、内部の味が本来の仕上がりに近いです。好みの味になったら、すぐに冷蔵保存(または冷凍保存)に切り替えると、その熟成度が保たれます。
手作り味噌にカビが生えると、多くの方が「失敗した」と諦めてしまいます。でも実際は、適切に対処すれば問題なく食べられます。
防腐剤を使わない自家製の米麹味噌では、熟成中にカビが生えることは珍しくありません。カビが生えた部分を清潔なスプーンで取り除き、その周辺にアルコール(焼酎など)を軽く塗布してから、ラップで表面を再び密閉して熟成を続けましょう。
カビが生えやすい原因は主に3つです。
厳しいところですね。特に初めての仕込みでは、表面の密閉が甘くなりがちです。
カビが生えても取り除けばOKですが、カビを生やさないに越したことはありません。容器の内側をアルコールで拭いてから使う、団子をしっかり押し込んで空気を抜く、表面をラップで完全に覆うという3つの対策を徹底しましょう。
保存の基本をまとめると次の通りです。
冷凍保存なら味噌は凍らないため、そのまま使える状態を長期間キープできます。これが条件です。
参考:カビへの対処法や保存についての詳しい情報はこちら。
「味噌は1年中いつでも仕込める」と思っている方が多いですが、仕込む時期によって仕上がりの味に大きな差が出ます。これは意外なポイントです。
最もおすすめの仕込み時期は、1月下旬〜2月の「寒仕込み」です。理由は3つあります。
まず、雑菌が最も少ない時期に仕込みを行えること。気温が低いと空気中の雑菌数が少なく、雑菌が繁殖しにくい環境で仕込みができます。次に、秋に収穫されたばかりの大豆・米から作られた新鮮な麹が手に入りやすいこと。良い原料が仕上がりを大きく左右します。そして、年間で最も寒い時期に仕込んで夏(最も暑い時期)を越えることで、温度差を利用した理想的な発酵が起きること。この寒暖の差が味に深みと旨みをもたらします。
「寒仕込み」が基本です。
もし時期を逃してしまっても、仕込むこと自体は問題ありません。ただし夏場に仕込む場合はカビの発生リスクが高まるため、ラップの密閉を丁寧に行い、2〜3ヶ月こまめに状態を確認することが大切です。
仕込み時期の違いによる熟成スケジュールを頭に入れておくと、食べごろの計算がしやすくなります。たとえば「お正月明けに仕込んで、夏休み前から食べ始める」というイメージで計画すると、家族で仕込みを楽しむ一大イベントになります。
参考:仕込み時期や熟成期間についての詳細情報はこちら。
手作り味噌の食べごろは?熟成期間や判断するポイントを解説(貝印)