パクチー嫌いを無理に克服しようとすると、健康メリットを丸ごと逃してしまいます。
「コリアンダー」と「パクチー」、スーパーで両方の表記を見かけたとき、思わず「どっちがどっち?」と迷ったことはないでしょうか。結論から言えば、この2つはまったく同じ植物を指しています。セリ科コリアンドルム属の一年草で、学術的には「Coriandrum sativum」という一種類しか存在しません。
呼び名が複数あるのは、言語の違いが原因です。「コリアンダー(Coriander)」は英語由来、「パクチー」はタイ語の「ผักชี(パクチー)」が語源です。そして中国語では「香菜(シャンツァイまたはシャンサイ)」と呼ばれ、日本の中華料理店ではこの呼び方が使われることも多いですね。
| 名称 | 言語 | 日本での主な使われ方 |
|------|------|----------------------|
| コリアンダー | 英語 | スパイス(種子・パウダー)を指す場合が多い |
| パクチー | タイ語 | 生の葉・茎・根を指す場合が多い |
| 香菜(シャンツァイ) | 中国語 | 中華料理で使う場合に呼ばれる |
つまり「コリアンダー=パクチー」が基本です。
ただし日本では、植物全体の呼び名としてよりも「どの部位を・どの形で使うか」によって呼び分けられる習慣が定着しています。乾燥させた種子や粉末にしたものを「コリアンダー(スパイス)」、フレッシュな生葉をハーブとして使う場合を「パクチー」と呼ぶケースが圧倒的に多いです。
また、英語圏でも国によって呼び方が異なります。イギリスやオーストラリアでは葉も種も「Coriander」と呼ぶ一方、アメリカでは葉を「Cilantro(シラントロ)」、種を「Coriander」と呼び分けているのです。これも「コリアンダー=スパイスの種」という日本の感覚と似た事情ですね。
参考リンク:コリアンダー・パクチー・香菜の呼び名の由来についてNHK放送文化研究所が解説したページ
同じ植物なのに、コリアンダー(スパイス)とパクチー(生葉)では香りがまるで別物のように感じる人が多いです。これは「使う部位の違い」と「乾燥・加熱による香り成分の変化」が原因です。
生のパクチーの葉に含まれる主な香り成分は「デセナール」や「ヘキセナール」と呼ばれる脂肪族アルデヒドです。これが独特のツンとした青臭さ・カメムシのような香りの正体で、苦手な人がどうしても受け付けないのはこの成分が強く出るからです。
一方、コリアンダーシード(種子)を乾燥・加熱すると、これらの青臭い成分は揮発して消え、代わりに「リナロール」という柑橘系・花のような甘い香り成分が前面に出てきます。つまり同じ植物から来ているのに、生葉と種子では全く異なる香りの体験になるのです。これは使えそうです。
| 形態 | 主な香り | 向いている料理 |
|---|---|---|
| 🌿 生葉(パクチー) | 青臭い・カメムシ系・爽やか | フォー・生春巻き・エスニックサラダ |
| 🟤 シード(ホール) | 甘い・柑橘系・スパイシー | カレー・ピクルス・スペアリブ |
| 🟡 パウダー | マイルドな柑橘・ほんのり甘い | カレー粉・ひき肉料理・焼き菓子 |
コリアンダーシードの香りが実はクッキーや焼き菓子にも合う点は、あまり知られていません。柑橘系の爽やかな甘さを持つので、バターたっぷりのパウンドケーキにひとつまみ加えるだけで、「お店っぽい深み」が出ます。市販のカレー粉の多くにはコリアンダーパウダーが主原料として配合されているので、すでに毎日食べている人がほとんどかもしれません。
参考リンク:コリアンダーシードの香り特性と使い方についてエスビー食品が詳しく解説
コリアンダー(シード)を使いこなそう!ミニ講座|S&B Foods
「どうせ少量しか使わないし、栄養は関係ないでしょ」と思っている方も多いですが、パクチーは少量でも無視できない栄養素を持っています。
まず注目したいのはβカロテンです。パクチー100gあたりには約3,000μg以上のβカロテンが含まれており、これは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持・免疫力向上に働きます。
次に鉄分です。パクチー100gあたりに約1.4mgの鉄分が含まれており、貧血が気になる女性にとってもうれしい成分です。鉄欠乏性貧血は女性に多く見られますが、パクチーをこまめに食事に取り入れることで補給の一助になります。
さらにカルシウムも豊富で、100gあたり約67mgが含まれています。牛乳のカルシウム量(約110mg/100g)にはかないませんが、野菜としては優秀な水準です。骨粗しょう症が気になり始める40代・50代以降の主婦にとって、意識的に摂りたい成分ですね。
コリアンダーシードには「キレート作用」と呼ばれるデトックス効果も注目されています。体内に蓄積した水銀・鉛・カドミウムなどの有害金属を体外に排出する働きがあると言われており、現代の食生活で蓄積しやすい重金属の排出を助ける可能性があります。コリアンダーを積極的に使うことは、「スパイスを使う」だけでなく「体をケアする」行動にもなるということですね。
栄養を効率よく摂りたいなら、葉は生のままサラダやトッピングに使うのがベストです。加熱するとビタミンCなどの熱に弱い成分が損なわれてしまうので、火を通す料理には仕上げに乗せる形が理想的です。
参考リンク:パクチーの栄養素と効能を管理栄養士が詳しく解説
「パクチー」に含まれる栄養素と効能6つ|DOMANI(小学館)
「パクチーが苦手なのは、慣れていないだけ」「食わず嫌いなんじゃない?」と言われることがありますが、実は遺伝子が深く関係しています。
嗅覚受容体の遺伝子「OR6A2」に特定の変異を持つ人は、パクチーの香り成分(脂肪族アルデヒド)を石鹸やカメムシのように感じてしまうことが科学的に判明しています。この遺伝子型(CC型)に該当する日本人の割合は、なんと52.9%。つまり日本人の半数以上は、生まれつきパクチーが苦手と感じやすい体質なのです。
これは意志の問題ではありません。遺伝子レベルの話です。
ただし、「嫌いなら一切食べなくていい」という話でもありません。苦手な人でも食べやすくなる方法がいくつかあります。
- 🔥 加熱する:炒めたり揚げたりすることで、青臭さの原因となるアルデヒドが揮発します。天ぷらやかき揚げにすると別の食べ物のような印象になる人も多いです。
- 🥚 肉に混ぜ込む:ハンバーグやつくねのタネに細かく刻んで入れると、肉の香りに紛れて食べやすくなります。
- 🧄 コリアンダーシードから入る:同じ植物でも乾燥種子は甘い柑橘系の香りなので、カレーやピクルスでシードを使うところから始めると受け入れやすいです。
苦手な方がいる家庭では、鍋やサラダにパクチーを使う際は「別皿に用意して各自でトッピング」の形にするのが親切です。遺伝子的に苦手な人に強要するのは酷ですね。
参考リンク:日本人のパクチー苦手遺伝子の割合と都道府県別データをユーグレナが公開
日本人の半数以上は生まれつきパクチーが苦手だと判明|ユーグレナ
パクチーを買ってきたとき、葉だけ使って根と茎を捨てていませんか。実はパクチーは「根→茎→葉」の順に香りが強く、特に根っこが一番香り豊かです。根が一番おいしいということですね。
プロの料理人やインド料理店では、根を捨てずにスープの出汁や炒め料理の香り付けに活用するのが定番です。根をみじん切りにしてニンニク・唐辛子と一緒に油で炒め、そこにカレーの具材を加えると本格的な深みが生まれます。
各部位の使い方をまとめると以下のとおりです。
- 🌱 根:スープの出汁・肉の下味・カレーのベース炒め
- 🥬 茎:刻んで薬味・炒め物の香り付け・みじん切りでハンバーグに混入
- 🍃 葉:サラダ・トッピング・生春巻き・仕上げ飾り
保存方法も大切です。買ってきたパクチーをそのままにしておくと、2〜3日で急速に香りが落ちます。長く使うなら以下の方法がおすすめです。
- 📦 冷蔵(1週間程度):根元に湿らせたキッチンペーパーを巻いて、ポリ袋に入れて野菜室へ。根が水に触れると鮮度が保ちやすくなります。
- ❄️ 冷凍(1ヶ月程度):洗ってざく切りにしたものを冷凍用保存袋に入れて冷凍。解凍後はしんなりするので、炒め物・スープ・カレーの仕上げに使います。
- 🫙 オイル漬け(10日程度):みじん切りにしてオリーブオイルや胡麻油に浸す方法。冷蔵保存で約10日持ちます。パスタやうどんに垂らすだけでエスニック風になるので便利です。
冷凍が基本です。せっかく購入したパクチーを余らせて捨ててしまうのはもったいないので、買ってきたらすぐに処理しておくことをおすすめします。
参考リンク:ニチレイフーズがパクチーの冷凍保存法を具体的な手順付きで解説
【パクチーの保存】は冷凍がおすすめ!香りと鮮度をキープする方法|ニチレイフーズ

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