牛肉より鉄分が多いのに、あなたはまだ鉄のためにお肉を買っています。
黒レンズ豆(ブラックレンティル・ベルーガレンズ豆とも呼ばれます)は、シチリア島を原産地とするレンズ豆の一種です。その名の通り真っ黒な見た目が特徴で、キャビアに似た光沢感があることから「貧乏人のキャビア」という愛称を持つこともあります。
栄養成分の面では、ほかの種類のレンズ豆(赤・緑・茶)と比べてもトップクラスの数値を誇ります。乾燥状態100gあたりで見ると、タンパク質は約33.8g、食物繊維は約16.5g、鉄分はゆでた状態で4.3mgという高い含有量です。これが同量の緑レンズ豆や赤レンズ豆よりも「より多くのタンパク質と食物繊維を含む」と評価される理由です。
さらに黒レンズ豆にしかない大きな特徴が、黒い皮に含まれる「アントシアニン」です。これはブルーベリーや黒豆にも含まれる抗酸化ポリフェノールの一種で、細胞の酸化を防ぎ、老化・動脈硬化・がんの予防にも関わると注目されています。つまり黒レンズ豆は、同じレンズ豆の中でも抗酸化力がプラスされた"上位互換"と言えます。
脂質はわずか4.1g(乾燥100gあたり)と非常に低く、カロリーは400kcalですが、これは乾燥状態の数値です。ゆでると重量が約2〜2.5倍に増えるため、実際に食べる際のカロリーは大幅に下がります。ダイエット中でも安心して食べられる食材です。
| 栄養素(乾燥100gあたり) | 黒レンズ豆 | 緑レンズ豆(参考) |
|---|---|---|
| エネルギー | 約400kcal | 約350kcal |
| タンパク質 | 約33.8g | 約23g |
| 食物繊維 | 約16.5g | 約9g |
| 脂質 | 約4.1g | 約2g |
| 鉄分(ゆで100g) | 約4.3mg | 約4.3mg |
| アントシアニン | ✅ 含む | ❌ 含まない |
データは豊富です。つまり黒レンズ豆は「ほかのレンズ豆の栄養を底上げした、さらに抗酸化力まで加わった存在」ということですね。
参考:管理栄養士監修によるレンズ豆の栄養解説(macaro-ni)
貧血や美肌にも!レンズ豆の栄養とおすすめの食べ方を管理栄養士が解説 – macaro-ni
黒レンズ豆が女性に特に注目される理由の一つが、鉄分の豊富さです。ゆでた状態で100gあたり約4.3mgの鉄分が含まれており、これは牛もも肉(100gあたり約1.5〜2.5mg)の約2〜3倍に相当します。
成人女性(月経あり)の鉄の1日推奨量は約10.5mgです(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」)。一方、日本人女性の鉄の平均摂取量は12.6〜13.5mg/日(19歳以上)と数値上は近い水準に見えますが、実際には鉄欠乏性貧血に悩む女性は非常に多く、月経のある女性の約20〜30%が鉄不足とも言われています。
黒レンズ豆に含まれる鉄は「非ヘム鉄」という種類で、動物性食品のヘム鉄より吸収率は低め(約5〜10%)ですが、ビタミンCを一緒に摂ることで吸収率を大幅に高めることができます。例えばレモン汁をかけたり、パプリカやブロッコリーを一緒に調理するだけで効果的です。
さらに、黒レンズ豆には葉酸も含まれています。葉酸は赤血球の合成を助ける栄養素で、鉄と葉酸が同時に摂れる食品は実は多くありません。特に妊娠中・授乳中の女性にとっては「鉄+葉酸」が一度に摂れる黒レンズ豆は非常に理にかなった食材と言えます。これは使えそうです。
鉄と葉酸の組み合わせが大切です。黒レンズ豆はその両方を同時に摂れる貴重な食材であることを覚えておくと、日々の献立選びに役立ちます。鉄分強化が目的なら、ビタミンC豊富な野菜(パプリカ・ほうれん草・ブロッコリー)と一緒に調理するのが基本です。
参考:女子栄養大学出版部による貧血対策と豆類の解説
豆を食べて健康生活①貧血対策 – 女子栄養大学出版部 栄養と料理WEB
黒レンズ豆は腸活とダイエット、両方の目標を同時にサポートできる食材です。まず食物繊維から見ていきます。
乾燥100gあたり16.5gの食物繊維が含まれており、調理済みのレンズ豆1カップ(約240ml相当)だけで、1日の食物繊維推奨摂取量(25〜30g)の約半分が摂れます。これは成人女性の1日の目標量(18g以上)のほぼすべてをカバーできるほどの量です。さすがですね。
黒レンズ豆に含まれる食物繊維は、水溶性・不溶性の両方をバランスよく含んでいます。水溶性食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなり腸内環境を整え、不溶性食物繊維は便のかさを増やして便秘を解消する働きがあります。腸内環境が整うと免疫力も高まるとされているため、食物繊維の摂取は美容・体調管理の両面に関わります。
タンパク質については、乾燥100gあたり33.8gという数値は、鶏むね肉(100gあたり約23g)を大きく上回ります。植物性なのに非常に高いタンパク質量です。タンパク質は筋肉の材料になるだけでなく、満腹感を長続きさせる作用があります。食物繊維と合わせることで「食べ応えがあり、腹持ちが良い」という状態を作り出せるため、過食防止に役立ちます。
40〜50代になると基礎代謝が落ちやすくなります。その対策として「タンパク質で筋肉量を維持しながら、食物繊維で腸を整える」という食事戦略は非常に効果的です。黒レンズ豆は、この2つの条件を一食材で満たせる、コスパのよい選択肢になります。
腸活とダイエット、同時に進める食材が黒レンズ豆です。過食を防ぎながら腸を整えたい方は、週に2〜3回のペースで食卓に取り入れることから始めるとよいでしょう。
黒レンズ豆の最大の利便性の一つが「浸水不要」であることです。大豆や小豆は調理前に一晩(6〜8時間)水に浸けておく必要がありますが、黒レンズ豆を含むレンズ豆全般はその工程が不要です。思い立ったその日に、すぐ調理できます。
基本の茹で方はとてもシンプルです。
茹で上がりの目安は、豆を指でつまんでつぶれるくらいの柔らかさです。食感を残したい場合(サラダなど)は20〜25分程度でOKです。煮込み料理に使う場合は、スープや野菜と一緒にそのまま煮込んでしまえば下茹で不要なので、さらに手間が省けます。
茹でた黒レンズ豆はまとめて作って冷凍保存できます。小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋へ入れると約1ヵ月保存可能です。使いたいときに自然解凍か、スープに凍ったまま入れるだけでOKです。まとめて茹でておくのが一番のコツです。
なお、有機栽培の黒レンズ豆の場合、マメゾウムシと呼ばれる小さな甲虫が豆の中に入り込んでいることがあります。水に浸けたときに浮かび上がる豆はその可能性があるため、沈んだ豆だけを使うようにしましょう。これは農薬を使っていない証拠でもあります。
参考:レンズ豆の水戻し・茹で方に関する実用的な解説記事
水戻し不要でスープもカレーも時短!「レンズ豆」の使い方&レシピ集 – kinarino
黒レンズ豆はクセが少なく、ほのかな甘みとコクがあるので、和洋問わずさまざまな料理に活用できます。独特の黒い色は加熱後も比較的保たれるため、食卓の彩りにもなります。
日常使いで特におすすめしたい食べ方を3つご紹介します。
栄養を損なわないために気をつけたいポイントが一つあります。黒レンズ豆に含まれるアントシアニンは水溶性のため、ゆで汁に溶け出してしまいます。スープやカレーのようにゆで汁ごと食べる料理に使うと、アントシアニンも無駄なく摂ることができます。これが条件です。
また、コーヒーや緑茶に含まれるタンニンは鉄分の吸収を妨げることが知られています。黒レンズ豆を食べた後1〜2時間は、コーヒーや濃い緑茶を控えると鉄分の吸収効率が高まります。
黒レンズ豆はAmazonや楽天市場などの通販サイトで乾燥タイプが購入でき、500g〜1kg単位で販売されているものが多いです。近隣の輸入食材店やカルディにも取り扱いがある場合があります。
参考:レンズ豆の鉄分と貧血対策、吸収率を高める方法についての解説(イシペディア)
鉄分が必要なら「レンズ豆」 – イシペディア(健康寿命を科学的に考える情報サイト)