薄力粉だけで作ったナンは、冷めると石のように硬くなります。
ナンをフライパンで手作りするとき、「どの粉を使えばいいの?」と迷う方は多いです。結論から言うと、強力粉2:薄力粉1の割合が、もちもち感と歯切れのよさを両立させる黄金比です。
強力粉はグルテン(小麦のタンパク質が形成する網目構造)を多く含み、生地に弾力と伸びを生みます。一方、薄力粉を加えることで歯切れのよい食感になり、冷めても硬くなりにくい仕上がりになります。強力粉だけで作ると、どうしてもゴムのような弾力が出すぎてしまう場合があります。薄力粉のみだと、冷めたときに生地が引き締まりすぎて固くなりやすいため、注意が必要です。
もちもち食感の「もうひと押し」になるのが、無糖のプレーンヨーグルトです。ヨーグルトに含まれる乳酸が小麦のグルテンを柔らかくほぐし、冷めてからも弾力が残りやすくなります。これが基本です。
| 材料 | 分量(3〜4枚分) | 役割 |
|---|---|---|
| 強力粉 | 150g | 弾力・もちもち感 |
| 薄力粉 | 50g | 歯切れよさ・冷めても柔らかく |
| 無糖ヨーグルト | 50g | 乳酸がグルテンを柔らかくする |
| ぬるま湯(35〜40℃) | 70〜80ml | 生地をまとめる |
| 砂糖 | 大さじ1(約10g) | イーストの栄養源・焼き色をつける |
| 塩 | 小さじ1/2 | 味を引き締め、コシを強くする |
| ドライイースト | 小さじ1(約3g) | 発酵・膨らみの源 |
| 溶かしバターまたはサラダ油 | 大さじ1 | 風味・しっとり感 |
なお、「イーストが家にない」「発酵時間が取れない」という場合は、ドライイーストの代わりにベーキングパウダー小さじ1で代用できます。この場合、発酵が不要になるため、混ぜてから生地を15分ほど休ませるだけで焼くことができます。これは使えそうです。料理研究家の沼津りえさんによれば、ベーキングパウダーを使った時短レシピは、薄力粉のみ・牛乳などを使って約25分で完成するとのことです。忙しい朝やランチにも対応できます。
参考:発酵なしで25分で作れるナンレシピ(kufura / 沼津りえ)
https://kufura.jp/movie/gourmet/200554
生地のこね方と発酵が、ナンの食感を決める最大のポイントです。ここを丁寧にやるかどうかで、焼き上がりが驚くほど変わります。
こね作業は、ボウルの中で材料をひとまとめにしたあと、台の上に出して行います。手の付け根を使って生地を前方に押し出し、また手前に折り返す動作を繰り返します。最初はベタついて手にくっつきますが、7〜10分ほどこね続けると、表面がツヤっとして手から離れるようになります。このとき、生地を台に軽く叩きつける「叩きこね」を取り混ぜると、より弾力のある生地になります。生地を指で押してゆっくり跳ね返ってきたら、グルテン形成が完成した証拠です。
発酵時間は気温によって大きく変わります。目安は以下の通りです。
発酵の完了サインは、生地が元の約1.5〜2倍に膨らんだかどうかで確認します。粉をつけた指を生地の中央に刺して、穴がすぐに戻らなければ発酵完了です。これが原則です。
発酵後は4等分にして丸め直し、ラップか濡れ布巾をかぶせて15分ほどベンチタイム(生地を休ませる時間)を取ります。この工程を省くと、成形の際に生地が縮みやすく、きれいな形に伸ばせません。生地の乾燥防止も重要な点です。表面が乾燥すると皮が張ったように硬くなり、焼いたときの膨らみが悪くなります。
参考:ナンの作り方を解説!美味しく作るコツやアレンジ方法(オリーブオイルをひとまわし)
https://www.olive-hitomawashi.com/column/2020/05/post-10445.html
フライパンでナンを焼くとき、多くの方が「なぜか膨らまない」「焦げてしまう」という壁にぶつかります。成功のカギは、予熱・蓋・火加減の3点セットです。
まず、フライパンを中火で約2分しっかり予熱します。冷たい状態のままフライパンに生地を置くと、生地がダレてしまい、あの特徴的な気泡ができにくくなります。テフロン加工のフライパンなら油は不要です。乾いた面で直接焼くことで、香ばしい焦げ目がつきます。鉄製スキレットを使う場合は、ペーパータオルで薄く油を塗り、余分をふき取ってから焼き始めてください。
生地をフライパンに乗せたら、すぐに蓋をするのが最大のコツです。蓋をすることでフライパン内部の温度が均一に保たれ、生地に含まれる水分が蒸気となって内側から生地を押し上げます。これがぷっくりした膨らみの正体です。
蓋を開ける瞬間は要注意です。蓋の裏側に水蒸気がたまっているため、勢いよく開けると水滴が生地の上に落ち、その部分だけベチャッとした仕上がりになります。蓋は斜めに傾けながらゆっくり開けてください。
焼き上がったらすぐに、ハケで有塩バターまたはギー(精製バター)を薄く塗ります。風味が格段にアップするだけでなく、表面の乾燥を防ぐ効果もあります。焼きたてに塗るのが条件です。
参考:フライパンで焼けば簡単!本格ナンの作り方(macaroni)
https://macaro-ni.jp/42510
チーズナンは子どもから大人まで大人気ですが、「焼いたらチーズが飛び出てしまった」「中のチーズが溶けきらなかった」という失敗がよくあります。これを防ぐには3つのポイントを押さえるだけで、ほぼ確実に成功します。
①生地の分量を守り、欲張りすぎない。1枚分の生地(約70g)に対して、ピザ用チーズは大さじ2〜3杯(約30g)程度が適量です。入れすぎると、伸ばすときに生地が破れます。
②包み方は「肉まん方式」で。生地を麺棒で直径約15cm(ハガキの横幅くらい)の円形に伸ばし、中央にチーズを乗せます。周囲の生地を少しずつつまんで中央に集め、しっかりつまんで閉じます。このとき綴じ目が下になるように置くことが大切です。
③伸ばしは優しく、麺棒を使って。包んだ生地を麺棒で再び伸ばすとき、強く押しすぎると生地が破れてチーズが出てしまいます。厚さ1cm程度を目安に、やさしく均等に伸ばしてください。
焼き方は基本のナンと同じですが、チーズが入っている分だけ火が通りにくいので、弱火で蒸し焼きにする時間をやや長め(プラス30秒〜1分)にするのがコツです。チーズが溶けてナンが少し重くなった感覚があれば、中まで火が通っているサインです。意外ですね。
さらに一歩踏み込んだアレンジとして、「あんバターナン」もおすすめです。こしあんと薄切りにした有塩バターを包んで焼くと、甘じょっぱい和風スイーツナンが完成します。これはカレーのお供だけでなく、おやつとしても家族に喜ばれる一品です。チーズとはちみつを組み合わせた「ハニーチーズナン」も、塩気と甘さのバランスが絶妙で、人気のアレンジです。チーズの塩気+はちみつの甘みという組み合わせは、ワインのおつまみにもなります。
手作りナンは、正しく保存すれば冷凍で約2週間キープできます。逆に常温で放置すると、2〜3時間で表面が乾燥してカチカチになります。まとめて作っておいて小分け冷凍しておくと、忙しい平日の夕食がぐっと楽になります。
保存の手順はシンプルです。焼き上がったナンを完全に冷ましてから、1枚ずつラップでぴったりと包みます。空気が入り込まないようにするのがポイントです。さらにジップ付き保存袋に入れて密閉し、冷凍庫へ。生地の状態で保存したい場合は、一次発酵後にガス抜きをして小分けにし、ラップで包んで冷凍します。食べる前日に冷蔵庫に移して自然解凍し、常温に戻してから成形して焼けばOKです。
温め直しで最も避けたいのは、電子レンジだけで加熱することです。レンジだけだと水分が飛んでゴムのような食感になりがちです。おすすめは以下の2ステップです。
トースターがない場合は、フライパンに戻す方法も有効です。フライパンに少量の水を垂らし、蓋をして蒸し焼きにすると、焼きたてに近い状態に戻すことができます。冷凍のまま直接トースターに入れる場合は、アルミホイルでナン全体を包んで低温(160〜170℃)でじっくり5分ほど温めると、中まで均一に熱が通ります。
また、少し硬くなったナンは「ナンピザ」にリメイクするのがおすすめです。表面にケチャップや市販のピザソース、残り野菜やシュレッドチーズを乗せてトースターで3〜4分焼けば、ボリューム満点のランチが完成します。細かくちぎって具だくさんスープに浮かべたり、グラタンの底に敷いたりと、活用の幅は広いです。
参考:ナンの温め直し方法まとめ(variousthingsinlife.hatenablog.com)
https://variousthingsinlife.hatenablog.com/entry/2025/05/16/181237