ジャムにすれば、おいCベリーのビタミンCはほぼゼロになります。
「おいCベリー」という名前を初めて聞いたとき、「おいしいベリー」という語呂合わせかと思う方が多いかもしれません。実は、その通りであると同時に「おいしい+ビタミンC+ベリー(いちご)」という3つの要素を凝縮したネーミングです。開発した農研機構九州沖縄農業研究センターが、ビタミンC含有量の高さを名前そのものに込めました。
品種登録は2012年(平成24年)。種子親の「9505-05」と花粉親の「さちのか」を交配して育成されました。「さちのか」はもともとビタミンCが豊富な品種として知られており、その優れた栄養特性をさらに強化することを目的に交配が行われています。品種登録の出願は2010年で、開発から登録まで10年以上の研究が積み重ねられた品種です。
つまり「おいCベリー」は、単なる美味しさの追求ではなく、健康機能性の向上を明確なゴールとして作られたいちごです。これは、国が主導で「食べて健康になれる果物」を作ろうとした取り組みのひとつでもあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 品種名 | おいCベリー(おいしーベリー) |
| 開発機関 | 農研機構 九州沖縄農業研究センター |
| 交配親 | 9505-05 × さちのか |
| 品種登録年 | 2012年(平成24年) |
| 栽培タイプ | 促成栽培用(一季なり) |
「9505-05」という交配親には炭疽病抵抗性があり、病害に強い点も農家にとってのメリットです。農研機構のプレスリリースでも「病気に強く育てやすい品種」として紹介されており、栽培側にも普及しやすい設計になっています。これは知らないと得する情報です。
参考:農研機構が発表したおいCベリーの品種詳細・ビタミンC含量データや特性一覧
おいCベリーの最大の特徴は、なんといってもビタミンCの含有量の高さです。100gあたりのビタミンC含有量は約87mgとされており、これは市販のいちご品種のなかで最高水準です。「さちのか」(約68mg/100g)の約1.3倍、「とよのか」の約1.6倍に相当します。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人のビタミンCの推定平均必要量は85mgとされています。おいCベリー1粒の重さが約15gとすると、7粒で105g相当。つまり7粒食べるだけで、1日分の必要量をほぼ補えてしまう計算になります。
7粒はどのくらいのイメージかというと、ふつうのパックいちご(約250g入り)の約4分の1程度です。毎日のデザートに少量ずつ食べるだけで、サプリなしでビタミン補給ができます。これは使えそうです。
さらに注目すべき栄養が「アントシアニン」などのポリフェノールです。おいCベリーは「とよのか」対比で抗酸化活性が約40%高いとされており、ビタミンCだけでなく抗酸化成分全体が豊富に含まれています。抗酸化物質は細胞の酸化ダメージを抑えるため、老化防止・免疫力維持にも期待されています。
参考:いちごのビタミンCとコラーゲン合成・抗酸化効果について詳しく解説
見た目の特徴として、果皮は光沢のある濃赤色で、果肉は中心部まで赤く色づいています。形はやや縦長の円錐形で、大粒品種のひとつです。1粒あたり30g前後の大きさで、これはだいたい500円玉より少し大きいくらいのイメージです。
味の特徴は、「甘みが強くほどよい酸味があり、香りが豊か」というひとことに集約されます。糖度は9〜10度台が一般的とされていますが、農園によっては15度以上のものも見受けられます。親品種の「さちのか」よりもやや糖度が高く、酸味は同等程度です。
果肉がかたい品種です。これはそのまま食べたときにしっかりとした歯ごたえを楽しめるだけでなく、輸送時の傷みにくさにもつながります。スーパーでよく見かける「とちおとめ」や「あまおう」はやわらかめで傷みやすいのに対し、おいCベリーは日持ち性に優れているのが特徴です。
他品種との比較で興味深いのは「酸味」の存在感です。いちご好きの間では「あまおうのようにとにかく甘い」品種と「さっぱりした酸味もある」品種に好みが分かれますが、おいCベリーは後者寄りで甘さと酸味のバランス型です。
| 品種 | ビタミンC(100g) | 特徴 |
|---|---|---|
| おいCベリー | 約87mg | 大粒・甘酸バランス・高抗酸化 |
| さちのか | 約68mg | 酸味少なめ・食味良好 |
| とよのか | 約54mg | 九州の定番・柔らかめ |
| とちおとめ | 約64mg | 関東の定番・スーパーに多い |
一般的に「いちごよりレモンのほうがビタミンCが多い」と思われていますが、実際にはいちごのビタミンC(100g中62mg前後)はレモン果汁(50mg前後)とほぼ同等かそれ以上です。意外ですね。おいCベリーはさらにその上を行くビタミンC量を誇ります。
おいCベリーをせっかく手に入れたからと、ジャムや煮込み料理に使う方もいるかもしれません。しかしビタミンCは水溶性で熱に弱い栄養素です。加熱調理をすると、ビタミンCの含有量は大幅に低下します。加熱が長くなるほど損失は増え、ジャムのように長時間煮込む場合はほとんどが失われてしまいます。
おいCベリーのビタミンCを活かすなら、生食が基本です。
ビタミンCの主な美容・健康効果は次のとおりです。
これらの効果は、ビタミンCが体内で機能してはじめて得られます。加熱で失われてしまったあとでは効果も期待できません。アンチエイジングやシミ予防を意識している方にとって、おいCベリーを生食するかどうかで得られる恩恵は大きく変わります。
ビタミンCは体に貯蔵されない栄養素です。毎日少量ずつ補給することが大切で、この点でも「毎日7粒をデザートに」という食べ方がとても理にかなっています。水で洗うときも長時間水に浸けるとビタミンCが溶け出してしまうため、サッと素早く洗うのが正解です。
美肌のためのスキンケアとして化粧品でビタミンCを補う方も多いですが、おいCベリーを食べることで内側からビタミンCを補給するアプローチも合わせて取り入れると相乗効果が期待できます。どちらかひとつで終わる話ではないので、生食の習慣を続けながら外側ケアも行うと効果的です。
参考:ビタミンCを多く含む食品の特徴と摂取のコツについて
ウェザーニュース「レモン以上のビタミンCを含むいちごの栄養と正しい食べ方」
おいCベリーは促成栽培の品種で、早ければ11月下旬から出荷が始まり、12月〜3月が最盛期とされています。シーズンが限られているため、見かけたときが買いどきです。
主な産地は佐賀県・長崎県・岡山県・群馬県・埼玉県など全国各地に広がっています。もともと九州沖縄農業研究センターで開発された品種なので九州が発祥ですが、現在は各地の農園が栽培に取り組んでいます。北海道の浦河町でも生産されており、ふるさと納税の返礼品として出品されているケースもあります。
スーパーにはほとんど並びません。希少品種です。
入手方法として現実的なのは、産地直送の通販サービスを使うことです。「食べチョク」では73件以上の生産者がおいCベリーを取り扱っており、農家から直接購入できます。送料やクール代がかかりますが、スーパーでは手に入らない品種を自宅で楽しめます。楽天市場やYahoo!ショッピングでも出品があり、時期によってはふるさと納税での取り寄せも可能です。
価格の目安(産地直送・通販)は以下のとおりです。
値段だけ見ると高めに感じるかもしれませんが、栄養価と入手困難さを考えると納得感があります。産地直送であれば収穫直後のフレッシュなものが届くため、鮮度面でも一般流通品とは別格です。
いちご狩りでおいCベリーを楽しめる農園も全国に点在しています。「いちごウォーカー」のサイトでは、おいCベリーが採れるいちご狩りスポットを地域ごとに検索できます。家族でいちご狩りを計画する際に活用するのも一手です。
参考:おいCベリーの価格相場と産地直送通販情報
参考:全国のおいCベリーが採れるいちご狩りスポット一覧
おいCベリーをせっかく取り寄せても、扱い方を間違えると美味しさも栄養も損なわれます。まずは保存方法から確認しておきましょう。
購入後はパックのままポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存するのが基本です。果肉がかたい品種なので他のいちごよりは日持ちしますが、基本的には新鮮なうちに食べ切ることを優先してください。洗うのは食べる直前がベストで、ヘタを取ってから洗うとビタミンCが水に溶け出しやすくなるので注意が必要です。ヘタは洗ったあとに取るのが正解です。
毎日の食卓での使い方としておすすめなのは、朝食のヨーグルトや牛乳に合わせることです。ビタミンCはたんぱく質(コラーゲン)の合成に必要な補酵素として機能するため、乳製品やたんぱく質と一緒に食べることで体内での利用効率が高まります。
やわらかくなってきたものは、冷凍してシャーベット風に食べるのも◎です。半解凍のまま食べると、果汁のみずみずしさをそのまま楽しめます。この場合、ビタミンCの損失は最小限で済みます。
おいCベリーを子どもに食べさせたい場面では、そのまま出すのがシンプルで一番です。砂糖をかけると浸透圧でビタミンCを含む果汁が出てしまうため、シンプルに生のまま出すのが美肌的にも理にかなっています。砂糖なしで食べられるくらい甘いのがおいCベリーの強みでもあります。
「高くて毎日は買えない」という場合も、1〜2週間に一度取り寄せてデザートとして楽しむだけで十分な栄養補給になります。サプリメントのビタミンC錠剤は安価ですが、いちごに含まれるポリフェノールやアントシアニンとの複合的な抗酸化効果は食品からしか得られません。サプリと食材では得られる成分の組み合わせが根本的に異なります。おいCベリーが選ばれる理由がここにあります。