大麦入りご飯に変えただけではやせません。
「大麦入りご飯に替えたのになかなかやせない…」と感じたことはありませんか?その原因は、カロリーの比べ方にあるかもしれません。
乾物状態(炊く前)で比べると、白米は100gあたり約358kcal、押し麦は約340kcal、もち麦は約346kcalと、実はほとんど差がありません。数字だけを見ると「大麦もほぼ同じカロリーなら意味がないのでは?」と思うかもしれませんね。
ところが、炊飯後の話になると状況が大きく変わります。大麦は白米よりもはるかに水分を吸って膨らむ「炊き増え」が起きるのが特徴です。大麦専門メーカーのはくばくが行った実験では、乾物150gを同じ条件で炊いた場合、炊き増え量は押し麦が最大で、次いでもち麦、玄米、白米の順という結果が出ています。
つまり同じお茶碗1杯に盛っても、押し麦ご飯は白米ご飯より実際に食べた乾物量が少ない、ということになります。同サイズのお茶碗で比較した試算では、白米が約313kcal、押し麦が約197kcalという差が生じました(はくばく調べ)。これが基本です。
炊き増えによって、見た目の満足感はそのままに摂取カロリーを減らせる。これが大麦入りご飯のダイエット的なメリットの核心です。
| 種類 | 乾物100gあたりカロリー | 炊飯後の特徴 |
|---|---|---|
| 白米 | 約358kcal | 炊き増えが最も少ない |
| 押し麦 | 約340kcal | 炊き増えが最も大きい |
| もち麦 | 約346kcal | 押し麦に次いで炊き増え大 |
| 玄米 | 約346kcal | 白米より少し炊き増え大 |
乾物だけ比べてもあまり意味がない、というのが正しい見方です。炊き上がりのボリュームで考えるのが、大麦入りご飯のカロリーを理解するうえで大切な視点です。
参考:押し麦と白米の炊き増え率と摂取カロリーの比較実験データ
大麦はダイエット向き? 穀物4種のカサ増し度の違いは|はくばく おいしい大麦研究所
カロリーの次に気になるのが糖質の量です。大麦入りご飯の糖質は、白米と比べてどれくらい違うのでしょうか?
乾物100gあたりの糖質量を比べると、白米が約77gに対し、もち麦は約65g、押し麦は約69gと、いずれも白米より低い数字です。白米比でもち麦は約15%、押し麦は約10%ほど糖質が少ない計算になります。これは1食ごとに積み重なる差ですね。
炊き上がり150g(お茶碗1杯)で白米と4割麦ご飯を比べると、糖質量はほぼ同じ約55〜56gです。一方で食物繊維の量は白米の約2.3gに対し、麦ご飯は約4.3gと約2倍近くになります。
この「食物繊維の差」が実はとても重要です。食物繊維は消化・吸収されないため、同じ炭水化物量でも食物繊維が多いほど実質的な糖質は少なくなります。さらに大麦に豊富な水溶性食物繊維β-グルカンは、腸の中でゲル状になり、食後の血糖値の急上昇をゆっくりと抑える働きをします。
血糖値の急上昇が抑えられると、脂肪が蓄積しにくくなる。これも大麦入りご飯の大きな利点です。
また、大麦には白米の約17倍もの食物繊維が含まれていると言われています。白米だけでは不足しがちな腸活に必要な栄養素を、毎日の主食を変えるだけで補えるのは主婦にとっても手軽なメリットです。ビタミンB1、葉酸、カリウム、マグネシウムなどのミネラルも白米より豊富で、栄養の面でも麦ご飯に分があります。
参考:もち麦・押し麦・白米・玄米の糖質・食物繊維の比較
気になる、もち麦や押麦の「糖質」。ほかの穀類と比べてみました!|はくばく おいしい大麦研究所
「ダイエットに大麦がいい」という話はよく聞きますが、実際に内臓脂肪が減るのかどうか、気になるところです。
農研機構が行ったヒト介入試験では、β-グルカンを多く含む大麦の麦ご飯(キラリモチ米粒麦50%配合)を12週間毎日食べ続けた結果、内臓脂肪面積が100cm²以上あった被験者のグループで、対照食より有意に大きな内臓脂肪の減少が確認されています。内臓脂肪が多めな方ほど効果が現れやすいということですね。
これはβ-グルカンの働きによるものです。腸内でゲル状になったβ-グルカンが糖や脂肪の吸収をゆるやかにし、さらに腸内細菌が発酵させることで短鎖脂肪酸が生成され、血糖値上昇を抑えるホルモンの分泌を促すことが分かっています。
押し麦ともち麦はどちらも大麦であり、成分に大きな違いはありません。ただしβ-グルカンの含有量は100gあたり、押し麦が約4.3g、もち麦が約9.0gと、もち麦のほうが約2倍以上多い点が注目されます。健康効果を重視するならもち麦、コスパや食べやすさを重視するなら押し麦という選び方が現実的です。
これが条件です。どちらを選んでも、白米100%よりは食物繊維を多く摂れるので、継続できる方を選ぶのが一番です。
参考:β-グルカンを含む大麦の麦ご飯を食べ続けた場合の内臓脂肪面積の変化(農研機構・無作為化二重盲検試験)
β-グルカンが多い大麦の麦ご飯を食べ続けると内臓脂肪面積が低下する|農研機構
大麦の効果を引き出すには、「何割混ぜるか」が非常に重要です。
初心者にまず試してほしいのが「白米7:大麦3」の割合です。この配合はほどよいもちもち感があり、大麦の香りもほとんど気にならないため食べ続けやすいと評判です。糖尿病の食事療法を研究した医療機関のデータでも、3割麦ごはんはGI値(血糖値の上がりやすさを示す数値)を白米より有意に下げることが確認されています。
効果をもっと高めたい場合は「白米5:大麦5」の5割配合に挑戦するのも一つの手ですが、パサつきを感じる方もいるので、最初から5割にするよりも2割→3割→5割と徐々に増やしていく方が続けやすいです。
炊き方のポイントはシンプルです。大麦を加えた分だけ水を増やすのが基本で、大麦50gにつき70ml程度の水を追加するのが目安です。大麦は白米と違って浸水が長すぎると食感が悪くなるため、浸水は30分〜1時間程度に留めることが推奨されています。
また、セカンドミール効果という現象も知っておくと役立ちます。朝食に大麦入りご飯を食べると、朝食後だけでなく昼食後の血糖値上昇まで抑えられるという効果です。これは大麦のβ-グルカンが腸内でゆっくり発酵し続けることで起きます。つまり、朝だけでも大麦入りご飯にしておくと、1日の食事全体での血糖値コントロールに役立つということです。これは使えそうです。
大麦入りご飯は健康的な食品ですが、やみくもに量を増やせばいいわけではありません。食べ過ぎには注意が必要です。
大麦の食物繊維は普段あまり摂っていない方が急に多量に摂ると、腸内細菌のバランスが急変し、お腹が張ったり、ゆるくなったりすることがあります。これはデメリットというより移行期の反応ですが、体質によっては不快な症状が続く場合もあります。特に腸が敏感な方やグルテンアレルギーを持つ方は、大麦も小麦と同じイネ科の植物であるため、注意が必要です。
また、カロリー面でも注意が必要です。「大麦入りだから健康的」という安心感から食べる量が増えてしまうと、結果的に摂取カロリーが増えてしまうことがあります。つまり量が多ければ意味がありません。
大麦を健康的に取り入れるためのシンプルな原則があります。
食物繊維は1日の推奨摂取量が女性で約18g(18〜64歳)です。大麦入りご飯(3割配合)を1食食べると約4gの食物繊維が摂れますが、それだけで十分ではありません。野菜や海藻、きのこ類なども合わせてバランスよく摂ることが大切です。食物繊維は組み合わせが基本です。
大麦入りご飯が気になる方は、まずスーパーで手軽に購入できる押し麦や市販のもち麦から試してみるのがおすすめです。はくばくや国産もち麦を扱うブランドなど、品質の安定した商品を選ぶと安心して始められます。
参考:白米と麦ごはんの栄養分析・食物繊維・カロリー・糖質の比較