「プロバイオティクスをとっているつもりが、実は腸内環境を悪化させていた人が約3人に1人というデータがあります。」
名前がよく似ていて「どっちがどっちだっけ?」となりがちなこの2つ、実はシンプルな語呂合わせで簡単に覚えられます。
まず大前提として、「プロバイオティクス」は生きた善玉菌そのものを指します。ヨーグルトや納豆、漬物などに含まれているあの乳酸菌やビフィズス菌がまさにこれです。「プロ」は英語で「for(〜のために)」という意味の接頭語で、「生命(bios)のために働くもの」と覚えると定着しやすいです。つまりプロバイオティクスは、腸に直接働きかける"選手"です。
一方、「プレバイオティクス」の「プレ(pre)」は「前・準備」を意味します。善玉菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖がこれに当たり、善玉菌が活動するための"下準備"をするイメージです。プレバイオティクスは、選手(善玉菌)を育てる"コーチ"と考えると分かりやすいですね。
語呂合わせで整理すると、次のようになります。
| 名称 | 役割 | 代表例 | 覚え方の語呂 |
|---|---|---|---|
| プロバイオティクス | 善玉菌そのもの | ヨーグルト、納豆、キムチ | 「プロ選手=実際に戦う菌」 |
| プレバイオティクス | 善玉菌のエサ | 玉ねぎ、バナナ、大麦 | 「プレ準備=菌を育てるコーチ」 |
もう一つの覚え方として、「プレ=プレゼント(善玉菌へのごはんをプレゼント)」「プロ=プロテイン(体を鍛えるような菌)」というイメージも使えます。これだけ覚えておけばOKです。
日常で出てくる場面は、「このサプリにはプロバイオティクスが入っているって書いてあるけど、プレバイオティクスとは違うの?」という場面が多いはず。その瞬間に「プロ=菌、プレ=エサ」と引き出せれば完璧です。
プレバイオティクスが多く含まれる食品を知っておくと、スーパーでの買い物がぐっとラクになります。
代表的なものは次の食品です。
注目したいのは、「どれくらい食べればいいか」という点です。厚生労働省は日本人の食物繊維の摂取目標量を、18〜64歳の女性で1日21g以上と定めています。ところが実際の平均摂取量は14〜15g前後とされており、約6〜7gが不足している計算です。これはごぼうの煮物(小鉢1杯)を毎日追加で食べないと補えない量です。不足しがちということですね。
プレバイオティクスは腸内で発酵し、酪酸・酢酸・プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を生産します。この短鎖脂肪酸が腸の粘膜を保護し、免疫機能の調節にも関わることが近年の研究で明らかになっています。
プレバイオティクスを効率よく補いたい場合は、「イヌリン含有のサプリメント」や「フラクトオリゴ糖が配合されたヨーグルト用のオリゴ糖シロップ」なども市販されています。毎日の食事で補うのが難しいと感じたら、サプリで補う選択肢も覚えておくと便利です。
プロバイオティクスを含む食品は、ひとことで言えば「発酵食品」です。
代表的な食品を確認しましょう。
ここで意外な落とし穴があります。市販のヨーグルトに含まれる乳酸菌は、製品によって菌の種類や生菌数が大きく異なります。例えばビフィズス菌(Bifidobacterium属)は腸まで届きやすいとされていますが、菌の数が「1個のカップで100億個」と書かれていても、胃酸で大半が死滅してしまう菌株もあります。同じ乳酸菌でも効果に差があるということですね。
特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品のマークがついたヨーグルトは、一定の試験で効果が確認されたものです。毎日同じものを2〜4週間続けることで腸内環境への変化が実感されやすいとされています。「なんとなく選ぶ」ではなく、試験結果のある製品を2週間継続する、というシンプルなルールが有効です。
加熱するとプロバイオティクスの生菌が死んでしまう点にも注意が必要です。みそを煮立てたり、ヨーグルトを加熱調理に使うと、生きた菌の恩恵は得られなくなります。死菌でも腸の免疫刺激には一定の意義があるという研究もありますが、生菌としての働きは期待できません。加熱は避けるのが原則です。
「シンバイオティクス(Synbiotics)」という言葉を聞いたことはありますか?
これはプレバイオティクスとプロバイオティクスを同時に摂取する考え方のことです。「シン(syn)」には「一緒に・相乗」という意味があり、2つを組み合わせることで腸活の効果が高まるとされています。これは使えそうです。
具体的なイメージでいうと、善玉菌(プロ)だけを送り込んでも、エサ(プレ)がなければ生き残れません。反対に、エサだけ豊富でも善玉菌が少なければ効率が悪い。両方を同時に補うことで、善玉菌が腸内で定着しやすくなるのがシンバイオティクスの考え方の本質です。
シンバイオティクスの実践は難しくありません。たとえば次のような組み合わせが理想的です。
いずれも普段の食卓に自然に取り入れられる組み合わせです。特別な食材を買い足す必要がなく、今ある食事の組み合わせを変えるだけで実践できます。
市販のサプリでも「シンバイオティクス対応」と表記されたものがあり、乳酸菌とイヌリン・オリゴ糖が1粒に配合されています。毎日の食事でバランスよく補うのが難しいと感じた場合は、このようなサプリも選択肢の一つです。ただし、サプリはあくまで補助と考えるのが基本です。
腸活に関心がある主婦ほど、実は陥りやすい誤解があります。
最も多いのは「ヨーグルトを毎日食べているから腸活は完璧」という思い込みです。ヨーグルトはプロバイオティクスですが、プレバイオティクスが少ない食事ではせっかくの善玉菌が腸内で定着しにくくなります。ヨーグルトだけでは片手落ちということですね。
次に多い誤解は「食物繊維は多ければ多いほど良い」というものです。食物繊維を一気に増やすと、腸内でガスが過剰に発生し、腹部膨満感や下腹部の不快感が出ることがあります。これを「腸内フローラの過渡期反応」と呼ぶこともあり、特にプレバイオティクスを急激に増やした場合に起きやすいです。1日5g程度を目安に、1〜2週間かけて徐々に増やすのが安全な方法とされています。焦らず増やすのが条件です。
また、ストレスが腸内環境に直接影響することも見逃せません。脳と腸は「腸脳相関」と呼ばれる双方向の神経ネットワークで繋がっており、精神的なストレスが腸内の善玉菌バランスを崩すことが研究で示されています。食事だけでなく、睡眠や運動・ストレス管理も腸活の一部です。
さらに、抗生物質を服用中は腸内細菌全体が影響を受けるため、プロバイオティクスを同時に摂取しても効果が大幅に落ちます。抗生物質の服用が終わってから腸活を本格的に再開するほうが合理的です。タイミングも大切です。
腸活は「続けること」が何より重要で、1週間の集中より3ヶ月の継続のほうがはるかに効果的です。毎日の食卓に「プレ食品+プロ食品」を1品ずつ意識して加える、という小さな習慣が腸内環境の改善につながります。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」食物繊維の摂取目標量について
厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)
参考:国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構によるプレバイオティクス・腸内フローラ研究情報
農研機構|腸内フローラ・発酵食品の研究情報
参考:日本機能性食品医用学会によるプロバイオティクスの定義・基準について
日本栄養・食糧学会|プロバイオティクス・腸内細菌研究