王林の蜜は、収穫時期の気温が「平年より高い年」にしか発生しません。
王林(おうりん)は、青りんごの代表格として知られる日本を代表する品種のひとつです。実は意外なことに、王林の生まれは青森県ではなく福島県。福島県の大槻只之助氏が育成し、「ゴールデンデリシャス」と「印度」を掛け合わせて生まれた品種で、1943年(昭和18年)に初めて結実、1952年(昭和27年)に「王林」と命名されました。現在では青森県が生産量の大部分(約3万8,000トン/2023年)を占めており、青りんごの中では栽培面積がトップを誇ります。
王林の最大の特徴は、甘みが強く酸味がほとんどない点です。糖度は14〜15%程度と高めで、和梨のような上品で独特の香りが楽しめます。一般的な青りんごは酸っぱいイメージがありますが、王林はりんごが苦手な方や子どもにも食べやすいと人気があります。
では、なぜ王林には蜜が入らないのでしょうか?
青森県りんご対策協議会の公式情報によると、「王林」「つがる」「ジョナゴールド」などは、熟しても蜜が入ることは基本的にありません。りんごの蜜は「ソルビトール」という糖の一種が細胞と細胞のすき間にあふれ出す現象で発生しますが、この変換が起きるかどうかは品種の遺伝的な性質に大きく左右されます。王林はこのソルビトールの変換が進みやすい体質を持つため、通常は細胞内にすべて取り込まれ、蜜としてあふれ出しにくい品種なのです。蜜が入らないことが原則です。
つまり「王林は蜜が入らない品種」というのが基本的な認識として正しいということですね。
青森県りんご対策協議会公式:りんごの蜜自体は甘くない?(品種と蜜の関係を解説)
「王林に蜜は入らない」というのが原則とはいえ、実は例外もあります。これが多くの方が知らない重要なポイントです。
秋田県の農業試験場が公開した資料「みつ入りリンゴの秘密」によると、王林やつがるも、収穫時期の気温が平年より極端に高い年には蜜が発生することがあると明記されています。通常、蜜が入るためには「果実が成熟すること」に加え「気温が低くなるなどの気象条件」が整う必要があります。しかし気温が高いと、ソルビトールから果糖への変換がうまく進まず、王林のような本来は蜜の入りにくい品種にも蜜症状が現れることがあるのです。
さらに愛媛大学の研究によると、王林は「通常成熟期にはみつ症状を発生しない品種ですが、松山のような暖地で栽培すると夏季の未熟な果実に著しいみつ症状を発現する」という興味深い知見も報告されています。気候温暖化が進む近年においては、こうした「例外的な蜜入り王林」と出会う可能性も、今後少しずつ増えていくかもしれません。
逆に言えば、「ふじ」のように蜜が入りやすい品種でも、収穫が早すぎたり収穫時期の気温が高すぎたりすると蜜が入らないことがあります。蜜入りは完熟の目安ではあるものの、「蜜入り=完熟」とは一概に言い切れないということですね。
| 品種 | 通常の蜜の入りやすさ | 高温時の例外 |
|------|------|------|
| ふじ(サンふじ) | ◎ 入りやすい | 高温年は蜜なしも |
| こうとく | ◎ 入りやすい | ほぼ安定 |
| 王林 | △ 入りにくい | 高温年に例外あり |
| つがる | △ 入りにくい | 高温年に例外あり |
| ジョナゴールド | △ 入りにくい | ほぼ入らない |
意外ですね。温暖化の影響が、王林の蜜にまで及んでいるとは。
秋田県農業試験場:みつ入りリンゴの秘密(品種と気象条件の関係を詳しく解説)
「蜜が入ったりんごは甘い」というイメージを持っていませんか? 実はこれ、半分正解で半分間違いです。
蜜の正体はソルビトールという糖アルコールと水分の混合物です。ソルビトールはキシリトールと同じ糖アルコールの仲間で、その甘さは砂糖の0.6倍程度しかありません。つまり蜜そのものは、思っているほど甘くないのです。
では、なぜ蜜入りりんごは甘く感じるのでしょうか?
それは、蜜が入っているりんごが「糖でいっぱいに満たされた完熟状態」の証だからです。りんごの葉が光合成で作ったソルビトールは果実に運ばれ、通常は果糖・ショ糖・ブドウ糖に変換されて細胞の中に蓄えられます。完熟期になると細胞内がこれらの糖で満杯になり、変換しきれなかったソルビトールが細胞のすき間にあふれ出します。これが蜜の正体です。
つまり「蜜が多い=果実全体の糖分も豊富」という関係が成り立つため、結果的に甘く感じるわけです。蜜自体が甘いのではなく、蜜はいわば「甘さ満ちていますサイン」なのです。
さらに、蜜には「エチルエステル類」という香り成分も多く含まれており、りんご独特の芳醇な風味を引き立てていることも最近の研究でわかっています。これが使えそうです。王林の豊かな香りもまた、ソルビトールと無関係ではないのかもしれません。
また注意点として、蜜は収穫後に貯蔵していると徐々に消えていきます。貯蔵中に残ったソルビトールが果糖などに変換されるためです。蜜が消えても甘さ自体は変わりませんが、シャキシャキ感やジューシーさはやや落ちてくる傾向があります。蜜のある時期に食べるのが一番です。
りんご大学:蜜入りりんごの仕組みと蜜の正体についての詳しい解説
王林に限らず、蜜が入ったりんごを買ったとき、切ってみたら中が茶色く変色していたという経験はないでしょうか。これは腐っているわけではなく、「蜜褐変(みつかっぺん)」または「蜜腐れ」と呼ばれる現象です。
蜜褐変とは、蜜が入ったりんごを貯蔵中に呼吸が制限され、水分の蒸散がうまくいかない場合に蜜の部分が変色していく生理現象です。外見からは判断できないため、切ってみて初めて気づくことが多いのが特徴です。コープ神戸の商品検査センターによると、産地では光センサーによる検査で見落としを防いでいますが、それでもごく稀に流通してしまうことがあります。
それで大丈夫でしょうか?
軽度の褐変(茶色い部分が一部にとどまる)であれば、その部分を取り除けば食べられます。ただし腐敗臭・酸っぱい匂い・ぬめりがある場合は腐っている可能性が高いため、食べるのはやめましょう。また甘みも損なわれていることが多いです。
蜜腐れを防ぐための最も有効な方法は、適切な保存です。王林を購入したら、新聞紙に包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に保存するのが基本です。鮮度のよいものでも10日程度を目安に食べ切るようにしましょう。暖房の効いた部屋に置いておくと鮮度が急速に低下します。
また、切った王林を置いておくと茶色く変色するのは、ポリフェノールが酸化する別の現象です。こちらは食塩水やレモン水・炭酸水(5分ほど浸す)に漬けることで防ぐことができます。変色防止に塩水が基本です。
コープ神戸商品検査センター:りんごの蜜褐変とはどういう現象か(原因と対処法)
スーパーで王林を選ぶとき、どんな点を見ればよいか迷う方も多いと思います。王林は見た目が独特なので、選び方のコツを知っていると損しません。
まず色について。王林は黄緑色が基本ですが、旬の盛りになると少し黄みがかったものも出回ります。酸味が少なく甘みを楽しみたい方は、純粋な緑色よりも少し黄色っぽいものを選ぶと間違いないでしょう。ただし、熟しすぎると食感が落ちるため、明らかに全体が黄色くなっているものより、黄みがかった黄緑のものがベストです。
次に果点とサビの確認です。王林の表面には小さな茶色い点(果点)が目立ち、茶色いひび状の「サビ」も発生しやすい品種です。見た目が悪いため「傷んでいるの?」と心配されることがありますが、これは品種の特性によるもの。むしろ果点が目立ち、サビが出ているものほど甘みが強いとされています。気にしなくて大丈夫です。
重さも重要なポイントです。同じ大きさのりんごを手に取ったとき、より重いほうを選ぶのがコツです。果汁がしっかり詰まっているサインで、ジューシーな食感を楽しめます。
そして香りも見逃せません。特に王林は香りが豊かな品種なので、鼻を近づけたときに甘い香りが漂うものは食べごろのサインです。スーパーでもそっと確かめてみるのもいいですね。
王林の旬は10月下旬〜11月ごろですが、貯蔵性が非常に高く、翌年の夏(7〜8月)頃まで出荷されます。年間を通じてスーパーに並ぶ品種ですが、最も風味が豊かなのは旬の時期に流通している新鮮なものです。
| チェックポイント | 良いもの | 避けるもの |
|------|------|------|
| 色 | 黄みがかった黄緑色 | 全体が深い緑色 |
| 重さ | 見た目より重いもの | 軽く感じるもの |
| 果点・サビ | 目立つものでOK | 傷や凹みがあるもの |
| 香り | 甘い香りがするもの | 無臭のもの |
| お尻の形 | 丸みがあり左右対称 | 変形しているもの |
保存するときのコツも覚えておくと得します。王林は乾燥に弱いので、新聞紙に1個ずつ包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。りんごはエチレンガスを出すため、他の野菜や果物を傷めないよう密閉するのが鉄則です。旬の時期にまとめ買いした場合は、1〜2週間以内に食べ切ることを目安にしましょう。
果物ナビ:王林の特徴・選び方・保存方法・食べ方(基本情報を網羅)

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